2025.02.28
  • 融資

資金繰りの相談先8選|相談するメリットやポイントについても徹底解説

資金繰りの相談は、会社の業績が低迷し、資金の流れが滞ってしまった場合や銀行から融資を申し込んでも審査に通らないといった状況で必要になります。

実際に、資金繰りの問題を解決するには、適切な知識やノウハウを持つ専門家に相談するのが効果的です。

本記事では、資金繰りの相談先について紹介していきます。

他にも「資金繰りの相談をするメリット」や「資金繰りの相談をする際のポイント」についても解説していきます。

ぜひこの記事を参考にして、資金繰りの相談先について理解を深めてみてください。

資金繰りの相談先8選

資金繰りの相談先については、以下の8つが挙げられます。

  • 相談先①:税理士
  • 相談先②:日本政策金融公庫
  • 相談先③:信用保証協会
  • 相談先④:中小企業基盤整備機構
  • 相談先⑤:よろず支援拠点
  • 相談先⑥:都道府県等中小企業支援センター
  • 相談先⑦:商工会議所・商工会
  • 相談先⑧:経営コンサルタント

それぞれの相談先について解説していきます。

相談先①:税理士

税理士は、税務の専門家であり、特に顧問税理士がいる場合は、会社の財務状況を把握しているため、スムーズに相談することが可能です。

実際に、多くの企業が顧問税理士をつけていることが一般的です。

企業の財務状況を深く理解している税理士も多く、定期的に訪問を受けることで資金繰りに関する相談相手となるケースもあります。

しかし、税理士の専門分野はあくまで税務であり、資金繰りや財務全般のプロフェッショナルとは限りません。

財務に関するアドバイスがどの程度できるかは、それぞれの税理士の知識や経験によって差があります。

そのため、その税理士が財務に関する十分な知識を持っているかを確認し、適切な相談相手かどうかを慎重に判断することが重要です。

相談先②:日本政策金融公庫

日本政策金融公庫は、政府系金融機関で、民間の金融機関を補完する役割を果たしています。

一般の銀行で融資を受けられなかった企業でも、利用できる融資制度が整っています。

例えば、セーフティネット貸付制度は、業績の悪化や取引条件の変化により資金繰りが厳しくなった企業を支援するための制度です。

もし取引銀行からの融資が難しい場合は、日本政策金融公庫に相談してみることをおすすめします。

相談先③:信用保証協会

信用保証協会は、中小企業や小規模事業者が円滑に資金を調達できるよう支援するために設立された機関です。

この協会が提供している「信用保証制度」を利用すると、協会が公的な保証人となるため、企業は金融機関からの融資を受けやすくなるメリットが挙げられます。

相談先④:中小企業基盤整備機構

中小企業基盤整備機構は、中小企業の支援を担う経済産業省所管の独立行政法人です。

中小企業の経営基盤の強化や新規事業の展開支援など多岐にわたるサポートを行っています。

全国の主要拠点では、対面での相談が可能で、決算書や資金繰り表を基に専門スタッフと直接話し合いながら、資金計画や経営改善についてアドバイスを受けることができます。

また、電話による「経営相談ホットライン」やメール相談、AIチャットボットを活用した窓口も設けられているため、気軽に相談することができます。

相談先⑤:よろず支援拠点

よろず支援拠点は、中小企業基盤整備機構が全国に展開している経営相談の窓口です。

全国47都道府県に設置されており、事業者が利用しやすい点が特徴です。

しかし、よろず支援拠点の支援には一定の制約があるので、あらかじめ確認をしておきましょう。

また、相談を担当するスタッフを自分で選ぶことはできないため、担当者の知識や対応の仕方が相談の成果に影響を与えるリスクがあります。

相談先⑥:都道府県等中小企業支援センター

中小企業支援センターは、中小企業庁が設置しており、各都道府県ごとに運営されています。

創業や資金繰りに関する相談ができ、公的な融資制度や補助金についての情報提供も行われています。

しかし、提供される支援内容は地域によって異なります。

例えば、融資に関する相談や制度の案内は受けられるものの、資金繰りの根本的な改善に直接関与する支援は限られている場合もあります。

そのため、まずは自社が所在する都道府県の支援内容を確認し、どのようなサポートを受けられるのかを把握しておきましょう。

相談先⑦:商工会議所・商工会

商工会議所や商工会には経営指導員が所属しており、事業の資金繰りに関する相談をすることができます。

地域の事業者が集まって形成される公益的な経済団体であり、行政とも密接に連携しているので、政府が提供する補助金や最新の融資制度に関する情報を得やすいというメリットがあります。

また、経営指導員のアドバイスを受けることで、「マル経融資」などの特定の支援制度を利用できる可能性があるのも大きなメリットの一つです。

しかし、他の公的機関と同様に、融資に関する相談や案内は受けられるものの、資金繰りの根本的な改善については十分な支援が得られない場合もあります。

さらに、地域によって提供される支援の内容に違いがあるため、具体的な支援策について事前に確認することが重要です。

相談先⑧:経営コンサルタント

コンサルタントは、主に企業の資金繰りを改善するためのアドバイスを受けることができます。

コンサルティングには多様なサービスがあるため、依頼する際は自社が求める支援内容を明確にすることが重要です。

例えば、以下のようなサポートを受けることができます。

  • 事業再建を目的としたコンサルティング
  • 経営の健全化や資金繰り改善のアドバイス
  • 事業計画書や資金繰り表の作成サポート
  • 資金調達の計画立案や金融機関との交渉アドバイス

上記のように、専門知識を持つプロフェッショナルであり、経営課題の解決を支援する心強い存在です。

業務を一任することも可能なため、本業に専念したい場合や確実に目標を達成したいときには、コンサルタントの活用が有効です。

しかし、コンサルタントごとに提供するサービスが異なるので、希望する支援が受けられるかどうかを事前に確認しておくことをおすすめします。

資金繰りの相談をするメリット

資金繰りの相談をするメリットについては、以下の4つが挙げられます。

  • 資金繰りの改善につながる
  • 自社の課題を把握できる
  • 信用力の向上が期待できる
  • 本業に集中できる

それぞれのメリットについて解説していきます。

資金繰りの改善につながる

資金繰りの相談をすることによって、資金繰りの改善につながるメリットが挙げられます。

専門家の助言を実践することで資金繰りの改善が期待できるのはもちろん、計画を作成し定期的に見直しを続けることで、より安定した長期的な資金繰りの向上につながる可能性が高まります。

自社の課題を把握できる

資金繰りの相談をすることで、自社の課題を把握することができます。

実際に、資金繰りに関する課題を明確にするには、専門家の意見を取り入れるのが有効です。

経営者は自社の状況を誰よりもよく理解しているものの、あまりにも身近すぎるがゆえに問題点を見落としがちなのも事実です。

一方、資金繰りの専門家は、幅広い知識や他社の事例をもとに、客観的な視点で状況を分析できます。

このように、外部の視点を取り入れることで、自社の資金繰りに関する課題を明確にし、より効果的な対策を講じることにつながります。

信用力の向上が期待できる

信用力の向上が期待できるメリットも挙げられます。

実際に、金融機関が融資を検討する際に最も重視するのは、貸し付けた資金が確実に返済されるかどうかという点です。

そのため、企業の過去の返済履歴や担保の有無などが重要な判断基準となります。

さらに、資金繰りの計画がしっかりと立てられているかどうかも、融資の可否を左右する重要な要素の一つです。

専門家の助言を受けながら資金繰り計画を策定することは、企業の信頼性を高めることにつながります。

また、融資の申請時に資金繰り表を提出するだけでなく、その後も定期的に最新の資金繰り表を金融機関へ提出することで、より高い信用を得やすくなります。

本業に集中できる

資金繰りの相談をすることで、資金繰りについて考える時間を短縮できたり、資金管理を任せることで、経営者は本業や事業の成長に専念できるようになるメリットが挙げられます。

企業が継続的に成長していくためには、時代の変化や市場のニーズを的確に捉え、それに応じた製品やサービスを提供し続けることが不可欠です。

経営者にとって最も重要なのは、会社の将来を見据え、新たなプロジェクトを計画し、実行へと移すことです。

そのため、資金繰りの相談をすることで、本業へのリソースを増やして、外部のセミナーや経営者同士のネットワークを活用し、最新の知識や情報を得ることにつながります。

資金繰りの相談をするべき企業の特徴

資金繰りの相談をするべき企業の特徴については、以下の5つが挙げられます。

  • 特徴①:売掛金の割合が多い
  • 特徴②:自転車操業の状態
  • 特徴③:資金不足を感じている
  • 特徴④:月末時点で現預金の残高が把握できていない
  • 特徴⑤:売上の振り幅が大きい

それぞれの特徴について解説していきます。

特徴①:売掛金の割合が多い

資金繰りの相談をするべき企業の特徴として、売掛金の割合が多いことが挙げられます。

掛取引では、商品やサービスを納品しても、実際に代金が支払われるまでには通常30〜60日ほどかかります。

売掛金の金額が大きくなると、どの取引先のどの納品分がいつ入金されるのかを正確に把握しておかないと、支払い期日になった際に資金不足に陥るリスクがあります。

特に掛取引の割合が高い企業は、収入と支出のタイミングを慎重に管理することが重要です。

売掛金の管理に不安がある場合は、資金繰りの専門家に相談し、適切な管理方法を検討することをおすすめします。

特徴②:自転車操業の状態

自転車操業とは、会社が得た収益のほとんどを支払いに充て続ける状況を指します。

この状態が続くと、資金の流れに余裕がなくなり、少しでも入金が遅れたり予期せぬ支出が発生すると、資金不足に陥るリスクがあります。

場合によっては、資金繰りが悪化し、最終的に倒産へとつながる可能性もあります。

こうした状況に陥ると、経営者は常に資金のやりくりに頭を悩ませることになり、長期的な経営戦略を考える余裕がなくなりがちです。

一度自転車操業の状態に陥ると、自力で抜け出すのは難しく、根本的な経営の見直しが必要となります。

このような資金繰りの問題は、早めの対策が重要になるので、専門家に相談することで、適切なアドバイスを受け、経営の立て直しを図ることにつながります。

特徴③:資金不足を感じている

資金繰りの相談をするべき企業の特徴として、資金不足を感じていることが挙げられます。

実際に、帳簿上では売上が計上されていても、毎月の支払い時に資金が足りなくなる状況が続く場合、資金繰りの見直しが求められます。

商品やサービスを提供してから実際に入金されるまでにはタイムラグがあり、その影響で資金繰りと利益計算にズレが生じることがあります。

売上があるからといって計画なしに資金を使ってしまうと、支払い時に資金が不足し、経営に支障をきたすリスクがあります。

売上と手元資金の違いを正しく理解し、資金管理の適切な方法について専門家に相談することで、安定した経営を目指すことができます。

特徴④:月末時点で現預金の残高が把握できていない

会社の経営者が、月末時点の現預金の残高を即座に答えられない場合は、早めに資金繰りの専門家へ相談することをおすすめします。

実際に、手元資金の状況を正確に把握していなければ、予期せぬ資金不足に直面した際に適切な対応が取れないリスクが高まるのも事実です。

また、企業の財務状況をある程度先まで見通しておかなければ、資金が足りなくなったときに慌ててしまい、適切な対策を講じる余裕がなくなる可能性もあります。

売上が順調に伸びていても、短期間でも資金が不足すれば、最悪の場合、事業継続が困難になることも考えられます。

こうしたリスクを避けるためにも、資金繰りを後回しにせず、日頃から現預金の状況を把握する習慣を身につけることが大切です。

特徴⑤:売上の振り幅が大きい

資金繰りの相談をするべき企業の特徴として、売上の振り幅が大きいことも挙げられます。

時期によって売上が変動する業界では、閑散期を考慮した綿密な資金計画が不可欠です。

特に、アパレル業や観光業などは時期によって収益の差が大きくなる典型的な業種です。

年間を通じて同じ商品やサービスが安定して売れるわけではないので、事前に必要な経費を洗い出し、閑散期でもスムーズに運営を続けられるような資金管理が必要です。

資金繰りの相談をする際のポイント

資金繰りの相談をする際のポイントについては、以下の3つが挙げられます。

  • 経営状態を整理する
  • 事業概要をまとめる
  • 資金繰りの状況が分かる資料を用意する

それぞれのポイントについて解説していきます。

経営状態を整理する

資金繰りに関する相談をする際には、財務状況を示す書類の提出が求められることが一般的です。

特に、過去の業績を説明できるよう、直近3期分の決算関連資料を準備しておくとスムーズに進めることができます。

また、資金繰り表を持っている場合は併せて提出しておきましょう。

万が一、作成していなければ、相談先で作成をサポートしてもらえるか確認しておくことをおすすめします。

さらに、相談の内容によっては、追加で他の資料が求められることもありますので、事前に確認しておくと安心です。

事業概要をまとめる

資金繰りの相談をする際には、自社の事業内容を整理した資料を用意しておくとスムーズに相談を進めることができます。

会社のホームページや事業案内のパンフレットなどがある場合は、事前にURLを共有するか、印刷して当日持参するようにしましょう。

また、相談を円滑に進めるためにも、事業の概要を簡潔にまとめておくことが大切です。

資金繰りの状況が分かる資料を用意する

資金繰りの状況を把握するために、以下のポイントを整理しましょう。

  • 資金繰りの悪化が始まった時期
  • 改善策として講じた具体的な対応
  • 資金不足に陥る可能性があるタイミング

これらを明確にまとめることで、説明時に要点が伝わりやすくなります。

また、可能であれば資金繰り表を作成すると、資金の流れを客観的に把握することにつながります。

資金繰りの相談をして経営状態を改善しよう!

今回は、資金繰りの相談先について紹介しました。

資金管理に精通したプロに助言を求めることで、具体的な改善策を見出し、実行に移すためのサポートを得ることができます。

実際に、経営者自身が資金繰りの知識がないまま悩み続けても、状況が劇的に好転するのは難しいのも事実です。

専門家のアドバイスを受けることで、資金繰りの課題を克服し、経営を安定させることにもつながります。

今回の記事を参考にして、資金繰りの相談をして経営状態を改善を目指しましょう。

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この記事の監修者

松本 崇宏

税理士法人松本 代表税理士

松本 崇宏(まつもと たかひろ)

お客様からの税務調査相談実績は、累計1,000件以上。
国税局査察部、税務署のOB税理士が所属し、税務署目線から視点も取り入れ税務調査の専門家として活動。多数の追徴課税ゼロ(いわゆる申告是認)の実績も数多く取得。

税理士法人松本は 国税OB・元税務署長 が所属し、 確定申告・相続・会社設立・融資サポート・労務手続きなど 幅広いサービスを提供する税理士法人です。

全国からの 税務・労務相談実績 年間1,000件以上

税理士法人松本の強み

  • 税務署目線、税理士目線、お客様目線の三方良しの考え方でアドバイス
  • 過去の無申告分から税務調査、相続、会社設立まで幅広く対応可能
  • 融資や助成金、補助金の申請など資金調達サポートにも豊富な実績
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