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2022.04.01
一人親方が消費税の免税事業者となる条件とは?本則課税と簡易課税についても解説
個人事業主の一人親方であっても、確定申告の際に消費税は納める必要があります。ただし、一人親方の中でも一定条件を満たしていれば、消費税の免税事業者になることができます。
ここでは、一人親方が消費税の免税事業者となるための条件や、消費税の課税制度である「本則課税」と「簡易課税」について分かりやすく解説しています。
消費税について知りたい場合や、消費税額の計算方法について確認したい際に役立つ内容となっています。
一人親方が消費税の免税事業者となる条件
個人事業主である一人親方が以下の条件に当てはまる場合、消費税の納付を免除される免税事業者となります。
条件1:特定期間と基準期間中の売上が1,000万円以下である
消費税の課税事業者となるかどうかは、過去の売上額によって決定されます。消費税の納付義務を判定するために必要な期間中の売上が1,000万円以下の個人事業主は、消費税の免税事業者となるのです。
消費税の納付義務を判定する期間には「基準期間」と「特定期間」の2種類があり、それぞれ以下のように定義されています。
基準期間:消費税納付義務を決める前々年の1月1日から12月31日まで
特定期間:消費税納付義務を決める前年の1月1日から6月30日まで
上記期間中のいずれか一方でも売上が1,000万円を超えた場合には、翌年(または翌々年)の消費税について納付義務が生じることとなります。
例1:2020年1月1日から12月31日までの課税売上が1,600万円の場合
→2022年は消費税の納付義務ありと判定
例2:上記のうち、2020年1月1日から6月末までの課税売上が1,500万円あり、給与等の金額も1,200万円の場合
→2022年と2021年の消費税について納付義務ありと判定
例3:2020年1月1日から12月末までの売上が1,600万円
2020年1月1日から6月末までの売上は800万
2019年の1月1日から12月末までの売上は500万円であった場合
→2022年は消費税の納付義務あり、2021年は免税事業者と判定
条件2:開業1年目である
開業1年目の個人事業主の場合、前年度も前々年度も判定するための課税売上が存在しないため、免税事業者となります。
消費税の課税方法
消費税額を計上する際、選択できる課税方法は2種類あり、それぞれ以下のようになります。
本則課税(原則課税)
本則課税とは、1年間に売上として預かった消費税から、仕入れなどから支払った消費税を差し引いて納税する方法です。本則課税を計算式にすると以下のようになります。
本則課税の計算式
消費税の納付税額=課税期間中の課税売上げに係る消費税額(売上税額)−課税期間中の課税仕入れ等に係る消費税額(仕入税額)
国税庁サイト:https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shohi/6351.htm
預かった消費税から支払った消費税をマイナスして納税できるため、消費税の二重払いを防ぐことができるメリットがありますが、1年間の取引全てを8%の軽減税率とそれ以外の税率に区分する必要があるため、手間と時間がかかる点がデメリットです。
簡易課税制度
簡易課税制度とは、本則課税の手間を省いて消費税の計算ができる制度で、基準期間の課税売上が5,000万円以下の事業者が選択できる課税制度です。
簡易課税制度では、業種ごとに税率の異なる「みなし仕入率」を用いて、課税売上額だけを使った消費税の計算が可能となっています。
なお、みなし仕入率の業種ごとの税率は以下のようになっています。
卸売業(第1種事業)90%
小売業、農業・林業・飲食料品の譲渡に係る事業に限る漁業(第2種事業)80%
農業・林業・飲食料品の譲渡に係る事業を除く漁業、鉱業、建設業、製造業、電気業、ガス業、熱供給業および水道業(第3種事業)70%
第1種事業、第2種事業、第3種事業、第5種事業および第6種事業以外の事業(第4種事業)60%
運輸通信業、金融業および保険業、飲食店業に該当するものを除くサービス業(第5種事業)50%
不動産業(第6種事業)40%
国税庁サイト:https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shohi/6505.htm
簡易課税制度のメリットとデメリット
簡易課税制度を使って消費税を計算する場合、みなし仕入率を使えるため計算が簡易になることに加え、本則課税で計算した場合よりも消費税額が少なくなるケースが多いメリットがあります。
ただし、一時的に大量に買い付けや仕入、大規模な設備入れ替えなどを実施した年度では、本則課税を選択した方が消費税を少なく抑えられる場合があるため注意が必要です。
簡易課税制度の利用は事前届出が必要
また、簡易課税制度は基準期間の課税売上額5,000万円以下の事業者が、簡易課税制度を利用して消費税を課税するための届出書(消費税簡易課税制度選択届出書)を事前に提出する必要があります。
消費税簡易課税制度選択届出書は、1度提出すればその後も効力が続くため、仮に課税売上が5,000万円を超えて本則課税となった場合でも、翌年以降5,000万円を下回れば、また簡易課税制度を利用することが可能です。
消費税の免税事業者と課税事業者ではどちらがいいの?
消費税の免税事業者と課税事業者には、実はそれぞれ以下のようなメリットとデメリットが存在します。
消費税免税事業者のメリット・デメリット
消費税免税事業者のメリットとしては、申告時に消費税の計算をしなくてよい点が挙げられます。また、消費税の納付を免除されているため、納付の必要がある場合にはメリットとなるでしょう。
一方で、仕入で支払った消費税の方が多い場合には、免税事業者となることで消費税の還付が受けられないというデメリットもあるため注意が必要です。
消費税の還付を受けたい場合は、免税事業者の条件を満たしている場合でも「消費税課税事業者選択届出書」を税務署へ提出することで、課税事業者となることができます。
消費税課税事業者のメリット・デメリット
消費税課税事業者のメリットは、上記でも挙げた通り消費税の還付が受けられる場合がある点です。加えて、個人事業主の場合は、課税事業者として届け出ることでインボイス制度に必要な適格請求書発行事業者となることができます。
デメリットとしては、消費税の計算が面倒であること、消費税の納税義務が生じる点などが挙げられるでしょう。
消費税で迷ったら税理士へ相談を
消費税の免税事業者と課税事業者、どちらになった方がよいのか、課税事業者となった場合の課税制度はどちらを選択すればよいのかなど、消費税には分からないことも多いものです。
判断に迷った場合は税理士へ相談するなどして、適切な申告と納税ができるようにしましょう。
まとめ
個人事業主は、特定期間や基準期間に課税売上が1,000万円以下であるか、開業1年目である場合に消費税の免税事業者となります。消費税の計算には本則課税と簡易課税の2種類があり、簡易課税は基準期間に課税売上が5,000万円以下の事業者が、事前に届け出ることによって採用が可能となる制度です。
免税事業者と課税事業者、本則課税と簡易課税それぞれにメリットとデメリットがあるため、迷ったら税理士へ相談するなどして進めることをおすすめします。
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