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2022.08.04
固定資産の償却方法は即時償却と一括償却どっちが有利なの?
固定資産を購入した場合、減価償却によって償却処理をすることとなります。この時、即時償却と一括償却のどちらで処理した方がよいのでしょうか。
ここでは、即時償却と一括償却の違いについてわかりやすく解説しています。減価償却の概要や、固定資産償却時の具体例なども紹介していますので、固定資産の処理で困った際の参考としてお役立てください。
減価償却とは
まずは、どういった時に減価償却する必要があるのかについて解説します。
時間の経過とともに価値を減らしていく会計処理
減価償却とは、固定資産を購入した際に全額を当該年度の費用とせず、耐用年数に応じて按分して複数年に渡って費用として計上する勘定科目のことです。
通常、消耗品や通信費といった経費は全額をその年の費用として計上しますが、一定以上の価格で購入した固定資産は時間とともに資産価値が減少する、という考え方のもとに行われる会計処理となります。
なお、減価償却時の耐用年数は購入した固定資産の種類によって異なります。
固定資産とは
固定資産とは、1年以上使用する目的で購入した資産や、一定年数が経過した後に費用として回収される資産のことです。
固定資産は「有形固定資産」と「無形固定資産」に大きく分けられます。それぞれの具体例は以下の通りです。
有形固定資産:パソコン、機器類、デスク、チェア、車両、建物など
無形固定資産:特許、商標、ソフトウェアなど
上記で挙げたような固定資産のうち、10万円以上で購入したものについては、減価償却で費用計上するのが原則となっています。
主な耐用年数
よく購入される固定資産の耐用年数について、以下にいくつかピックアップしてご紹介します。
パソコン:4年
コピー機:5年
自転車:2年
自動車:軽自動車は4年、その他乗用車は6年
デスク、チェアなどの家具(金属製):15年
金属製以外の家具:8年
冷蔵庫、洗濯機、エアコンなど:6年
上記以外の耐用年数については、国税庁サイトの耐用年数表または最寄りの税務署などで確認が可能です。
主な減価償却資産の耐用年数表
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/pdf/2100_01.pdf
減価償却の流れ
通常の減価償却では、耐用年数をもとに定額法、または定率法のいずれかで償却します。
届出を提出しないかぎり個人事業主は定額法、法人は機械および装置の法定償却方法の定率法で減価償却するのが一般的です。
例えば、500万円の乗用車を新車で1台購入した場合の減価償却は以下のようになります。
(耐用年数6年:償却率0.333、改訂償却率0.334)
1年目:500万×0.333=1,665,000円
2年目:3,335,000×0.333=1,110,555円
3年目:2,224,445×0.333=740,740円
4年目:1,483,705×0.334=495,557円
5年目:988,148×0.334=330,041円
6年目:658,107-1=658,106円
耐用年数6年間で上記のように減価償却を行った後、固定資産が手元にある間は残存価額を1円残し、手放した際に除却処理を行います。
なお、償却率は耐用年数に応じて定められています。改訂償却率とは、一定期間が経過した後に適用される償却率です。耐用年数に対応した償却率は、国税庁のホームページにある償却率表などで確認が可能です。
一括償却と即時償却の違いは?
減価償却と固定資産の概要がわかったところで、一括償却と即時償却の違いについて見ていきましょう。
一括償却とは
一括償却とは、購入価額が10万円以上20万円未満の減価償却資産(国外リース資産やリース資産、少額な減価償却資産を除きます。)については、減価償却をしないでその使用した年以後3年間のそれぞれの年で、その減価償却資産の全部又は特定の一部を一括し、一括した減価償却資産の取得価額の合計額の1/3の金額を必要経費にすることができるものです。
例えば、15万円でパソコン1台を購入した場合の一括償却は以下のようになります。
購入した年:5万円(15万円の1/3)
購入した翌年:5万円
購入した翌々年:5万円
即時償却とは
青色申告を行っている場合、取得価額10万円以上30万円未満の少額減価償却資産(「一括償却資産」の適用を受けるものを除きます。)を購入し、業務に使用した場合は、減価償却の計算をしないで、業務に使用した時にその購入価額をそのまま必要経費にすることができます。
ただし、業務に使用する年において少額減価償却資産の取得価額の合計額が300万円を超える場合は、その取得価額の合計額のうち300万円に達するまでの取得価額の合計額が限度となります。
一括償却と即時償却のメリット
一括償却や即時償却で減価償却を行う場合、耐用年数によらず3年または1年で経費にできる点と、定率法による計算や最後に1円残して除却するといった帳簿の手間を省略できる点が挙げられます。
また、1組10万円以上の固定資産購入価額の合計が1年あたり150万円を超える場合、1.4%の固定資産税の納税が必要となります。
一括償却では、この固定資産税の納税をしなくてよいという特例があるため、節税できるケースがあるのです。
なお、この特例は一括償却のみで、即時償却では適用されないため注意が必要です。
ただし、ソフトウェア(※販売目的で所有するソフトウェアは無形固定資産にはなりません。)や商標といった無形固定資産に関しては、どの償却方法でも固定資産税はかからないことも知っておくとよいでしょう。
即時償却と一括償却はどちらが有利?
減価償却で一括償却と即時償却のどちらも選べる場合、どちらを選択した方が有利なのでしょうか。
固定資産税を節税したいなら一括償却が有利
一括償却した固定資産には固定資産税がかからないため、固定資産税を節税したい場合は、一括償却を選択した方が有利となります。
ケースによっては即時償却が有利な場合も
即時償却では、1組30万円以内の固定資産300万円までであれば、その年に一括して償却することが可能です。売上の増減や資金調達計画などによって、その年に大きく経費を計上したい場合には、一括償却よりも即時償却を選択した方が有利な場合もあるでしょう。
まとめ
固定資産の償却方法は、通常の減価償却以外に、一定要件を満たした場合一括償却と即時償却を選ぶことが可能です。
一括償却や即時償却では、通常の減価償却のように耐用年数や償却率を確認したり、1円残して計上したりといった手間をかけずに費用とすることができます。
また、一括償却では固定資産税もかからないため、節税できる可能性も高まります。減価償却の方法以外にも、建設業の税金でお困りの際は、建設業の専門家である税理士法人松本へお気軽にご相談ください。
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