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2022.07.21

建設業で日雇い(日払い)バイトに現金を手渡すとき、税金はどうしたらいいの?

建設業で日雇い(日払い)バイトに現金を手渡すとき、税金はどうしたらいいの?

建設業では、日雇いや日払いのバイトへ仕事を依頼する場合がありますが、賃金を手渡しする際、税金はどうすればよいのでしょうか。
ここでは、日雇いや日払いが発生した際に差し引くべき税金があるのかについて解説しています。源泉徴収票の発行有無や、建設業の特例などについてもわかりやすく紹介していますので、建設業の給与計算に関する疑問を解消する際の参考としてお役立てください。

日雇いや日払いのバイトへ渡す給与の税金はどうなるの?

日雇いや日払いで支払う給与や税金については、以下のように理解をしましょう。

日雇いと日払いの違い

まず、厳密に言うと日雇いと日払いは異なるものとなります。日雇いはその日1日だけの単発の仕事で雇用することを指すのに対し、日払いは継続して雇用しているかどうかに関わらず、その日の日当を支払うことを指します。
多くの場合日雇いと日払いはイコールとなりますが、雇用形態によっては日払いであっても日雇いでなかったり、複数日の日雇い分を月払いにしていたりするケースなどもあるでしょう。

日雇いバイトへの日払いでは源泉徴収が不要の場合がある

次に、日雇いバイトへの日払いをする場合の経理処理について見ていきましょう。
通常、給与を支払う場合は源泉徴収を行う必要があります。(※金額要件あり)日払いの場合であっても、源泉徴収は必要です。
しかし、日雇いバイトへ支払う日当については、一定の条件を満たしている場合には、源泉徴収が不要となります。

ポイントは源泉徴収税額の「丙欄」が使用できるかどうか

以下の条件にあてはまっている給与の場合、源泉徴収は不要となります。
・源泉徴収税額の日額表の丙欄にあたっている
・日額が9,300円未満である
源泉徴収税額には月額表と日額表があり、日額表には「甲」「乙」「丙」の3つの欄があります。
このうち丙欄に該当する給与の場合には、日額9,300円未満までは源泉徴収が不要となるのです。

源泉徴収税額「丙欄」の適用要件

日雇いバイトの給与に丙欄が適用となる要件は以下の通りです。
・日雇賃金
・パートやアルバイトに対して日給や時間給で支払う給与で、雇用される期間が2ヵ月以内であること

上記の要件を満たしていれば、源泉徴収の丙欄が適用となるため、日額9,300円未満の給与については源泉徴収が不要です。

日雇い(日払い)バイトへの手渡し給与を処理する際の注意点

日雇いバイトや日払いの給与、現金による手渡しなどの際に注意するべきポイントには、以下のようなものがあります。

日払いや日雇いでなくても源泉徴収が不要の場合がある

源泉徴収税額の丙欄では、雇用期間が2ヵ月以内と最初から決まっている雇用契約で、日給や時給計算の給与であれば源泉徴収は日額9,300円未満までは不要となっています。
厳密に1日だけの日雇いバイトだけでなく、2ヵ月間に複数回アルバイトをお願いした場合でも適用できるケースがあるため注意しましょう。
また、その日の日当をその日に現金で手渡しする以外に、2ヵ月以内の雇用期間で日雇いした分の給与をまとめて月払いにする際も、丙欄の適用が可能となります。月払いの給与であっても、日額9,300円未満までは源泉徴収は不要となるケースがあることは知っておきたいところです。

源泉徴収票の交付について

丙欄に該当する源泉徴収が不要な給与であっても、源泉徴収票の発行は必要となります。「丙欄適用」と摘要欄にすることで、年末調整の必要がない給与であることの記載となります。
なお、1人に対して支払った給与が50万円を超えない場合には、税務署へ源泉徴収票を提出する必要はありません。
税務署への提出は不要ですが、市区町村へ提出する「給与支払報告書」は、税務署への「給与所得の源泉徴収票」の提出範囲と異なり、すべての受給者の給与支払報告書を、受給者のその年の翌年の1月1日現在の住所地の市区町村に提出する必要があります。

現金による手渡し時の注意点

丙欄を適用した給与支払いで源泉徴収票を発行する場合、源泉徴収が不要でも本人の居住地や住所などは源泉徴収票を発行するために必要なため、控えておきましょう。
特に現金による手渡しの場合、税務調査などの際に架空の人件費であることを疑われる可能性があります。丙欄適用で現金払いした日雇いバイトへの給与は、その支払いが本当にあったものであると後日になっても証明できるような対策を取っておきたいものです。

建設業の特例について

日払いや日雇いで発生した給与の源泉徴収については、雇用期間が2ヵ月以内であるかどうかが判断する際の目安となりますが、建設業においては以下のような特例があります。

8ヵ月以内の雇用でも源泉徴収が不要となるケースがある

建設業では、1つの工事が終わる期間まで、という単位で雇用されるケースが少なくありません。2ヵ月を超えて雇用されたとしても、工事が完了すればそこで雇用はストップするため、建設業従事者の特例として、雇用期間が2ヵ月を超えていても、8ヵ月を超えなければ丙欄の適用が可能となっています。

建設業の特例で丙欄が適用できる要件

建設業の特例で源泉徴収が不要となる要件は以下の通りです。
・あらかじめ雇用期間が8ヵ月以内となっている
・同じ事業主から継続して1年間雇用されていない
建設業の特例適用には、上記の要件を両方とも満たしている必要があります。

国税庁参考
https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kobetsu/shotoku/gensen/661227/01.htm

判断に迷ったら税理士へ相談しよう

「2つ以上の工事でバイトをお願いした場合はどうなるのか」「外注とアルバイト雇用はどう分ければよいのか」など、建設業の給与支払いには判断の難しいケースも少なくありません。
人件費や外注費などは、税務調査でも指摘を受けることの多いケースとなっており、故意でなくうっかり間違ってしまった場合でも、追徴課税の対象となってしまうことがあります。
源泉徴収や給与計算について判断に迷った場合は、建設業の給与計算や税金の取扱実績が豊富な税理士へ相談することをおすすめします。

まとめ

建設業で日雇いや日払いのバイトを雇った場合、源泉徴収の丙欄が適用できれば日額9,300円以内は源泉徴収が不要となります。
2ヵ月などあらかじめ短期に決められた雇用期間で働く場合も同様で、日雇いや日払いでなくても源泉徴収の必要がない場合もあり、建設業の特例では8か月を超えない雇用についても源泉徴収は不要です。
ただし、現金で給与を手渡しする場合には、架空の人件費であると疑われないために、給与を受け取る人の連絡先や住所などを控えた受領書などを保管しておいた方がよいでしょう。
建設業の税金や給与の計算でお悩みの際は、税理士法人松本へお気軽にご相談ください。

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