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2023.11.09
厚生労働省が定めた法令による建設業の2024年問題の罰則とは?
建設業における「2024年問題」では、厚生労働省が定めた法令を守らなかった場合にどのような罰則があるのでしょうか。そもそも2024年問題とは何なのか、取るべき対策などについても知っておきたいところです。
この記事では、2024年問題の概要に加え、守らなかった場合の罰則や、建設業従事者が抱える課題などについてわかりやすく解説しています。2024年問題に向けて取るべき対策についても紹介していますので、何から始めればよいかお悩みの際の参考としても役立つ内容となっています。
2024年問題とは
建設業における「2024年問題」の概要について解説します。
働き方改革における労働環境に関する問題
2024年問題とは、建設業が取り組む必要のある労働環境問題をさします。2019年に施行された働き方改革によって、従業員の時間外労働に上限規制が設けられました。働き方改革では、時間外労働以外にも有給や残業時の割増賃金など、さまざまな見直しが行われており、時間外労働の上限規制もその1つに含まれます。
時間外労働の上限規制猶予は2024年に終了
本来であれば、こうした見直しは2019年4月(中小企業の場合は2020年4月)より取り組む必要のあるものでした。しかし、建設業においては従業員の高齢化や少子化による人手不足の影響が大きく、一部の見直しについて5年間の猶予が設けられたのです。この規制猶予が2024年4月までとなっているため「2024年問題」と呼ばれています。
建設業の2024年問題におけるポイント
建設業の2024年問題における主なポイントについて解説します。
時間外労働の上限規制
時間外労働の上限規制は、働き方改革の施行時である2019年4月から、他の業種では見直しが行われてきました。建設業においては、働き方改革施行時に「36協定」と呼ばれる労使協定を結び、労働基準監督署へ届け出ることによって、時間外労働の上限に規制なく労働することが可能でした。しかし、2024年4月から上限規制が設けられ、上限を超えた時間外労働については罰則が付くこととなります。
割増賃金の引き上げ
割増賃金の引き上げも、2024年問題として挙げられるものの1つです。労働基準法の改正に伴い、60時間を超えた法定時間外労働が発生した際の割増賃金について25%から50%へと引き上げられることとなりました。大企業では2010年から既に50%へと引き上げられていますが、中小企業においては猶予期間が設けられていました。この猶予期間が終了し、2023年4月からは中小企業であっても割増賃金を適用する必要があり、守らなかった場合は罰則の対象となります。
割増賃金の引き上げについては2023年4月からの適用となりますが、時間外労働の上限規制猶予が終了する2024年4月と併せて「2024年問題」といわれる場合もあります。
建設業の2024年問題に罰則はある?
結論から言うと、建設業の2024年問題として挙げられる「時間外労働の上限規制」と「割増賃金の引き上げ」については、いずれも守らなかった場合、罰則の対象となります。罰則の詳細はそれぞれ以下の通りです。
時間外労働の上限規制を超えた場合の罰則
時間外労働の上限は、原則として年間で360時間以内、1ヶ月時間以内となります。上限が守られなかった場合、30万円以下の罰金または6ヶ月以下の懲役刑が科せられることとなります。
例外的に、臨時的な特別の事情などにおいて従業員と事業所が合意した場合は年間720時間以内、月の平均60時間以内まで時間外労働が認められます。
また、年間720時間の範囲内で
・月45時間を超える労働が年に6ヶ月まで
・休日勤務を含む月100時間未満の労働(災害復興業務は除く)
・2~6ヶ月の平均で80時間以内(災害復興業務は除く)
の時間外労働も可能ですが、これらを超えた場合も罰則の対象となります。
割増賃金の引き上げを行わなかった場合の罰則
割増賃金については、60時間を超えた法定時間外労働について、従業員に50%の割増賃金を支払う必要があります。休日労働は法定時間外労働に含まれませんが、35%の割増賃金を支払う必要があります。割増賃金の引き上げを行わなかった場合、30万円以下の罰金または6ヶ月以下の懲役刑が科せられることとなります。
例外的に、従業員との同意が得られた場合には、法定時間外労働分の休暇を付与することも可能です。
割増賃金の引き上げは、2023年4月1日より中小企業も対象となります。対象となる中小企業は以下になります。
業種 | 資本金の額または出資の総額+常時使用する労働者数 |
---|---|
小売業 | 5,000万円以下または50人以下 |
サービス業 | 5,000万円以下または100人以下 |
卸売業 | 1億年以下または100人以下 |
その他 | 3億円以下もまたは300人以下 |
建設業の2024年問題における課題と対処法
建設業の2024年問題においてどのような点が課題となるのか、取るべき対処法などについて解説します。
建設業の2024年問題にある背景
建設業の2024年問題にある背景としては「少子高齢化による人手不足」「若い世代の離職率の増加」が挙げられます。
少子高齢化による人手不足は建設業に限らず、多くの業種でも問題となっていますが、特に建設業では顕著となっています。国土交通省が2021年に発表したデータによると、建設業に従事する人のうち、29歳以下が占める割合は11.8%となっており、55歳以上の割合である36%の半分にも満たないことがわかっています。
建設業における若年層の少なさは、若い世代の離職率が高いことも原因の1つといえるでしょう。若い世代の離職率が高くなる理由として、時間外労働、休日労働の多さや賃金の低さによる影響も考えられます。
従業員の高齢化によって新しいシステム導入などが進みにくく、他の業種と比べて旧態依然としている点も、若年層の確保を阻む理由となっているでしょう。
将来的に団塊の世代の定年による大量離職も予想されるため、少しでも労働環境の改善を図り、人手不足を解消して若い世代の就業数を増やすことが大切となっているのです。
建設業の2024年問題に対する対処法
建設業の2024年問題に対する対処法としては、以下のようなものが挙げられます。
・給与計算のシステム作りを整える
2024年問題における対処法として「時間外労働の上限を超えていないか」「法定時間外労働に対して割増賃率を適用できているか」などについて、適切に処理できる給与計算のシステム作りが重要となります。現行の給与計算に関するシステムで対応可能か、まずは見直してみることが大切です。
・労働時間やスケジュールを適正に管理する
法定労働時間の上限を超えないようにするためには、工期日程の調整やスケジュール管理も大切となります。自社だけで対応が難しい場合は、専門家である社労士のサポートも検討するのがおすすめです。
2024年問題の対策に困ったら専門家である社労士へ相談を
建設業の2024年問題に自社で対応できるか不安な場合は、一度建設業のサポートに強い社労士へ相談してみてはいかがでしょうか。
税理士法人松本・社会保険労務士法人松本では、建設業に強い税理士・社労士が初回無料で相談に対応しています。税務・労務顧問として多数のお客様から喜ばれており、個別の状況を丁寧に伺って最適なサポートを実現しています。お問い合わせはフリーダイヤル、またはお問い合わせフォームよりお気軽にご連絡ください。
まとめ
建設業における2024年問題とは、働き方改革によって、法定時間外労働に罰則付きの上限規制が設けられることによる問題のことをさします。建設業では人手不足や長時間労働が常態化しており、賃金の低さも若年層の離職率を高める理由の1つとなっています。
法定を超えた時間外労働や割増賃金の引き上げを行わないと、罰金や懲役などの罰則対象となってしまいます。建設業に強い社労士のサポートも受けつつ、適正な給与計算、労務管理を行えるようにして2024年問題へ備えましょう。
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