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2024.01.11
建設業の人手不足の原因は何?これからの対策方法についてもご紹介
現在、日本では少子高齢化が進み、さまざまな業界で人出不足が叫ばれていますが、建設業も例外ではありません。現状、多くの建設会社が人出不足に悩んでおり、建設業における人出不足はこれからますます深刻化すると言われています。ではなぜ、建設業では人出不足が深刻なのでしょうか。
今回は、建設業の人出不足の原因と今後、ますます深刻化する人手不足に備えた対策法についてご説明します。
建設業の人出不足の現状
建設業の人出不足の原因をご説明する前に、建設業の人出不足の現状を確認しておきましょう。
ピーク時に比べ建設業の就業者数は200万人減
国土交通省が公表している「最近の建設業を巡る状況について」の資料を見ると、令和3年度の建設業の就業者数は482万人です。建設業の就業者数が最も多かった平成9年の685万人と比べると、数にして約200万人、割合にして約29%も減少していることになります。
また、建設業の就業者全体の1/3以上にあたる35.5%の労働者の年齢は55歳以上となっています。29歳以下の建設業就業者の割合は12.0%以下であり、建設業では働く人材の高齢化も進んでいるのです。
人出不足の解消を目指し、外国人材の受け入れも開始
平成27年には、東京オリンピック・パラリンピック開催のための一時的な建設需要の増大に対応するため、技能実習修了者を対象とした外国人建設就労者受け入れ事業を開始しました。この事業は令和4年度をもって終了していますが、令和元年には特定技能1号または特定技能2号の在留資格を持っている外国人が日本で労働できる制度がスタートしています。令和3年時点で建設業に携わる外国人の数は約11万人に上り、全産業で働く人の約6.4%を占めています。
令和5年7月の建設・採掘従事者の有効求人倍率は5.32倍
厚生労働省が公表した令和5年7月分の一般職業紹介状況によると、全体の有効求人倍率は1.29倍となっています。しかし、建設・採掘従事者の有効求人倍率は5.32倍となっており、平均と比べても、建設業と同様に人出不足が叫ばれている介護職などと比べても高い数値となっています。
有効求人倍率とは、求職者に対する求職人数の割合で、有効求人倍率が1を上回れば、求職者の数より人を探す企業の方が多いことを示します。建設業の有効求人倍率5.32倍は、1人の求職者に5件以上の求人があることを意味し、有効求人倍率を見ても建設業界が深刻な人出不足の状態にあることが分かります。
参考:厚生労働省「一般職業紹介状況(令和5年7月分について)」
建設業の人出不足の原因とは
建設業の就業者数は減少を続け、建設業は深刻な人出不足状態にあります。では、なぜ建設業は人出不足になっているのでしょうか。建設業の人出不足の主な原因をご紹介します。
若者の就業が進まず、高齢化が進んでいる
建設業の就業者の約1/3が55歳以上であり、高齢化が進んでいることをご紹介しました。高齢化が進む原因は、若い世代が建設業に従事しない、または建設業に従事しても退職してしまうからです。令和2年3月卒業の新規高卒就職者の就職後3年以内の離職率は、建設業の場合42.4%となっており、他の業種の平均と比べても離職率が高くなっています。若い世代の就業が進まないために世代交代がうまく進んでいないのです。
就業者の約1/3が55歳以上となっている今、定年退職や高齢化などから退職する人が増えれば、近い将来、さらに建設業会の人出不足は深刻化していくでしょう。
参考:厚生労働省「新規学卒者の離職状況」新規高卒就職者の産業分類別(大分類※1)就職後3年以内※2の離職率の推移
きつく、危険な仕事であるわりに賃金が安い
若い世代が建設業を敬遠する理由は、建設業は危険で、きつい労働条件の厳しい職業であると考えられているからです。実際、建設業に従事したものの離職した若い世代に厚生労働省が調査を行ったところ、離職理由として次のような回答が多く挙げられました。
・雇用が不安定である
・遠方の作業場が多い
・休みがとりにくい
・労働に対して賃金が低い
・作業に危険が伴う
・ひと月の仕事量によって賃金額が変動する
・将来のキャリアアップの道筋が描けない
建設業は日給×出勤日で給与の計算がなされるケースが多く、天候によって月々の賃金が変動するケースが多くなっています。また、オフィスに勤務するわけではなく、現場ごとに出勤する場所も変わるため、作業が遠方になれば移動時間を含めた拘束時間も長くなります。仕事の内容の大変さに比べれば、建設業の賃金は決して高くはありません。建設業の労働環境が若い世代にとって魅力的ではないことも、建設業の人出不足が加速する原因となっています。
参考:国土交通省「建設業の働き方として目指していくべき方向性(参考資料)」
建設需要が増加している
建設業界では人出不足が顕著ですが、建設の需要は反対に拡大傾向にあります。建設需要が高まれば、必然的に必要となる人材の数も大きくなるため、建設需要の増加も人出不足に拍車をかけています。
建設需要の高まりは、さらなる人出不足を招く恐れがあります。建設需要と人材供給のバランスが崩れれば、建設現場で働く人にかかる負担は増大します。1人にかかる負担が大きくなれば、労働環境の悪化により離職が増えてしまう可能性もあるのです。
建設業の人手不足対策としてできること
今後、現役世代の建設業就業者がリタイアをする時期を迎えれば、建設業の人出不足はさらに深刻になります。では、人出不足を解決するためにはどのような対策が必要なのでしょうか。建設業の人出不足解消のために、建設会社ができ得る対策をご紹介します。
労働者の就労待遇の改善
建設業の人出不足を解消するためには、まず、若い世代の就業者を増やす必要があります。そのためには建設業自体のイメージを変えなければなりません。長時間労働を是正し、適切な休日を設定する必要があります。また、労働内容や作業の危険性に見合った賃金体制を整えることも大切です。
加えて、建設業界では社会保険に加入していない労働者も少なくありません。社会保険に加入すると会社側の負担も必要になりますが、社会保険の加入は労働者の義務であり、企業にも社会保険に加入させる義務があります。就業条件や社会保険の加入状況などを見直し、安定して働ける環境を整えることが大切です。
工期の適切な設定による長時間労働の是正
建設業では、短い時間で工事を完成させなければいけないケースが少なくありません。工期が短く設定されていれば、時間内に作業を終えるために残業が発生しやすくなります。長時間労働が常態化すれば、建設業就業者の負担が増え、若い世代の離職がさらに進む可能性があります。
国土交通省でもガイドラインを策定し、適切な工期の設定を推奨しています。工期を適切に設定し、労働環境を改善することも人出不足の改善につながるはずです。
生産性の向上
労働環境を整えることも大切ですが、建設業の人手不足解消には生産性の向上も検討する必要があります。これまでは人の力で担っていた作業も昨今の情報通信技術の発達により、施工管理をデジタル化したり、作業を自動化したりする動きも高まっています。ITCの活用は、作業効率をアップさせ、生産性を向上させることにつながります。積極的にITC化を図り、人の手によらない業務を増やすことで人出不足を改善することも考えなければならないでしょう。
まとめ
建設業就業者は人出不足が続いており、高齢化も進んでいます。今後、現在の建設業就業者がリタイアする時期を迎えると、さらに人出不足が加速すると考えられます。
人出不足を解消するためには労働環境の整備や適切な工期の設定など、若い世代が働きやすい現場を作り出すことが大切です。同時に、生産性を向上させるような取り組みも重要になります。
税理士法人松本・社会保険労務士法人松本には、建設業に強い税理士・社会保険労務士が在籍しています。これからより深刻化すると考えられる建設業の人出不足を解消するためには、早めの対策が必要です。現在の状況をお伺いしながら、最善の対策をアドバイスさせていただきます。人出不足にお悩みの場合にはお気軽にご相談ください。
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