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2023.12.28
建設業会計とは?会計処理の注意点や特徴的な勘定科目について解説!
建設業で行われている独自の会計処理には、建設業独特の会計ルールに基づいた非常に複雑な処理が求められます。正しく建設業会計の処理を行うには、建設業会計で用いられる特殊な勘定科目や建設業会計の特徴を把握しておく必要があるでしょう。
今回は、建設業会計の特徴と建設業会計で用いられる特徴的な勘定科目、会計処理時の注意についてご説明します。
建設業の会計とは
建設業会計とは、建設業界に適用される会計処理のことです。建設業は、他の業種と異なり、工事の完成までに長い時間がかかります。
そのため、工事を開始してから引き渡しに至るまで決算期をまたぐケースが少なくないのです。サービスや商品を提供するタイミングで売上を計上できる他業種と違い、工事の引き渡しまで売上が発生しなければ、建設業は長期に渡って、工事の材料費や作業員の人件費などの負担だけが続き、収支が悪化してしまいます。そこで、建設業界では他業種とは異なる会計ルールが適用されており、これを建設業会計と呼んでいます。
建設業会計の特徴
建設業会計には次のような特徴があります。
2つの計上基準がある
一般的な会計処理では、売上は原則として商品を引き渡したとき、サービスを提供したときに計上します。
しかし、建設業では工期が長期間に渡るため、一般的な会計処理とは異なり、「収益認識基準 」と「工事完成基準」の2つの計上基準が設けられています。
収益認識基準とは、売上をどのように認識し、どのタイミングで財務に反映するかについての統一的な基準です。建設業では工事の進捗具合に合わせて完成分の売上や費用を計上することができる方法です。一方、工事完成基準では、工事が完成し、引き渡しが終わった時点で売上や費用を計上します。
原価計算が複雑である
建設業では、複数の工事を同時に請けているケースも少なくありません。そのため、利益をしっかり把握するためには、工事の現場ごとに原価管理をする必要があります。建設業会計では、完成工事原価として、原価を工事に必要になった資材の購入費用、現場で働く作業員に支払う賃金である労務費、外部業者に外注した場合の外注費、その他の経費の4つに区分します。
また、決算時には、工事にかかった原価を細かく記載する完成工事原価報告書の作成をし、提出しなければなりません。
建設業界ならではの特徴的な勘定科目がある
建設業会計では、他の業種の会計処理とは異なる特殊な勘定科目がある点も大きな特徴です。建設業の会計処理をするうえでは、建設業会計で用いられる特徴的な勘定科目についても把握しておかなければなりません。
建設業会計で用いられる特徴的な勘定科目
建設業会計で用いられる特有の勘定科目を一般会計の勘定科目と比較しながらご紹介します。
完成工事高
「完成工事高」とは、工事の完成によって得られる売上のことで、建設業会計で用いられる特殊な勘定科目です。完成工事高は、一般会計の「売上高」に該当します。
完成工事原価
完成工事高を得るために必要となった費用を建設業会計では「完成工事原価」と言います。一般会計では「売上原価」に該当するものです。
材料費、労務費、外注費、経費が完成工事原価に含まれます。直接工事に関係しない事務所の家賃や水道光熱費、通信費、宣伝広告費などは、完成工事原価には含まれません。
完成工事総利益
「完成工事総利益」は、工事を完成させたことで得られる利益のことです。完成工事総利益は「完成工事高-完成工事原価」で計算できます。
完成工事未収入金
「完成工事未収入金」は、一般会計の「売掛金」に該当するものです。完成売上高のうち、まだ回収していないものを指します。
未成工事受入金
まだ工事が完成していない工事代金を引き渡し前に受け取った場合に計上する勘定科目が「未成工事受入金」です。未成工事受入金は、一般会計では「前受金」に該当します。
未成工事支出金
「未成工事支出金」は、一般会計の「仕掛品」に該当する建設業会計独自の勘定科目です。完成工事原価に計上していない費用で、まだ完了していない工事にかかった費用を指します。工事が決算期をまたいだ場合などに用いる勘定科目です。
工事未払金
工事にかかった材料費や外注費などのうち、まだ支払っていない額は建設業会計では「工事未払金」として計上します。ただし、販管費や一般管理費などで未払いの金額があった場合は工事未払金には計上しません。工事未払金は、一般会計の「買掛金」や「未払金」に該当するものです。
建設業の会計処理の注意点
建設業会計の会計処理では、一般会計と異なる次のような点に注意が必要です。
採用する計上基準によって完成工事高の仕訳は異なる
工事完成基準を採用している場合には、完成品を引き渡した時点で完成工事高に売上を計上します。一方、収益認識基準を採用している場合には、決算期の工事の進捗度合いに応じて完成工事高を計上します。
いずれも、借方には「完成工事未収入金」、貸方には「完成工事高」の勘定科目を使います。
完成工事基準を採用している場合は、未完成の工事を完成工事高に計上することはできません。また、材料費や労務費、外注費などを先に経費として計上することもできないため、注意が必要です。
複数の工事を同時進行している場合は工事ごとに区別する
複数の工事を同時に進めている場合、現場ごとの収支を仕訳しておかないと、後々、会計処理が難しくなります。計上漏れを防ぐためにも、現場ごとに区別し、仕訳をする必要があります。
完成工事原価の仕訳ポイント
売上を計上する前の工事に関わる支出は「未成工事支出金」の勘定科目で処理をします。工事が完了した後は、未成工事支出金を「完成工事原価」に振り替えます。
工事未払金の仕訳ポイント
工事未払金は決算時点で支払っていない費用のことで、一般会計で言えば買掛金に該当するものです。具体的には、工事原価に該当する材料費や外注費などが未払いである場合は、「工事未払金」の勘定科目を使用します。
未成工事受入金の仕訳ポイント
工事が完了していない場合に受け取った工事代金は「未成工事受入金」として計上します。工事が完了し、引き渡しが終わった時点で「完成工事高」に振り替えます。
複雑な建設業会計は専門家への相談が安心
建設業会計は、工期が長くなり、決算期をまたぐ可能性が多いことから建設業界特有の勘定科目を使い、特殊な会計処理が行われます。
また、複数の工事を請け負っている場合などは、会計処理はより複雑化します。
建設業界は、税務調査において不正やミスが発覚する割合の多い業種として知られていますが、その背景には建設業会計が複雑であることも関係していると考えられます。ミスなく、正しく会計処理を行うためには、建設業界に詳しい税理士に相談することをおすすめします。
税理士法人松本は、建設業界についての詳しい知識と豊富なサポート実績があります。資金繰りや融資など、幅広いお悩みにも対応できる体制を整えていますので、建設業会計でお悩みの際にはお気軽にお問い合わせください。
まとめ
建設業は、工期が長いことから一般的な会計処理とは異なる建築業会計による会計処理が行われています。建築業会計には収益認識基準と工事完成基準の2つの計上基準があり、建設業会計特有の勘定科目を用いた処理が必要になります。また、複数の工事を同時で進めている場合などは、さらに処理が複雑になるため、経理を担当する方の負担も大きくなるはずです。複雑な建設業会計をミスなく処理するためには、建設業のサポート事績を豊富に持つ税理士に相談することをおすすめします。
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