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2024.01.18
建設業の平均利益率とは?利益を確保する取り組みとは
建設業では「売上高は良いものの思うほど利益が上がらない」というケースが少なくありません。健全な経営を進めるためには、売上高だけに注目するのではなく、その売上から得られる利益の割合を示す利益率にも注目する必要があります。
では、建設業では平均利益率はどの程度になるのでしょうか。
今回は、建設業の平均利益率と利益を確保するためにできる取り組みについてご説明します。
建設業の平均利益率の目安とは
まずは、建設業の平均利益率からご紹介します。
建設業の平均利益率の目安は約20%
建設業の利益率の平均は、20%程度と言われています。一般社団法人建設情報管理センターの分析によると、令和3年度の建設業全体の売上高総利益率は25.65%です。業種別の売上高総利益率を見ると設備が29.58%と最も高く、土木建築の18.1%が最も低くなっています。
また、売上高別に見ると売上高が5,000万円未満の企業は利益率が33.72%であるのに対し、売上高が大きくなるほど利益率は低下し、売上高20億円以上の企業の利益率は15.32%となっています。
業種や売上規模によっても利益率は変動しますが、建設業全体の利益率としては20%程度が目安になると言えるでしょう。
参考:一般社団法人建設業情報管理センター「建設業の経営分析(令和3年度)概要版」
利益率と経営の関係
利益率とは売上高に対する利益の割合です。売上高から工事資材の仕入れ費用や外注費用などを引いた金額が売上総利益であり、売上総利益は一般的に粗利と呼ばれています。
建設業の場合、工事で得られた粗利が会社を維持するための固定費よりも大きくなれば、収支は黒字となり、反対に粗利よりも固定費の方が大きくなれば収支は赤字となります。
建設業で健全な経営を維持していくためには利益率に注目し、目安となる利益率を確保できる工事を受注することが重要になります。
建設業で用いられている主な利益率
利益率にはいくつかの種類がありますが、ここでは建設業の経営をするうえで把握しておきたい3つの利益率の計算方法についてご説明します。
売上高総利益率(粗利益率)
売上高総利益率は粗利益率とも呼ばれる利益率で、次の式で計算できます。
・売上高総利益率=売上総利益÷売上高×100(%)
上でご紹介した建設業の平均利益率は、この売上高総利益率の値です。建設業の売上高総利益率は、工事の売上高から工事原価を差し引いた額で算出します。
工事からどれくらいの利益を上げられたのかを示す数値であり、営業活動によって利益を作り出せる力を測ることができます。
売上高営業利益率
売上高営業利益率は売上高に対する営業利益の割合のことで、次の式で計算できます。
・売上高営業利益率=営業利益÷売上高×100(%)
営業利益は、売上総利益から販売費や一般管理費を差し引いた額です。売上営業利益率が高ければ、営業効率が良く、収益力が高いと判断できます。
売上高経常利益率
売上高経常利益率とは売上高に対する経常利益の割合のことで、次の式で計算できます。
・経常利益率=経常利益÷売上高×100(%)
経常利益は、営業利益に財務活動などでの営業外利益を加え、さらに営業外費用を引いた利益です。売上高経常利益は、企業の収益性を判断する際に活用できる指標です。
建設業で利益を確保するために必要な取り組みとは
建設業の売上高総利益率の平均は20%程度です。現在の利益率が20%以下の場合は、20%の利益率を目指すことが最初の関門となります。では、利益を確保するためにはどのような対策が必要になるのでしょうか。
建設業で利益率を高めるためにできる取り組みについてご説明します。
受注前に利益率を計算する
利益率を高めるためには、赤字となる工事を受注しないことが大前提です。売上高は高いものの利益率が低い工事は、受注しても赤字になってしまう恐れが高くなります。一般的に実行予算は受注後に作成しますが、受注前に作成するように変えると、どのくらいの利益を得られるのかを把握しやすくなります。利益を確保するためには、受注時にも利益率を鑑み、利益率の高い工事を優先的に受注することが大切です。
工事原価管理を徹底する
工事受注後に工事原価の管理を徹底することも、利益確保に繋がります。工事に必要な材料の仕入れルートや仕入れ方法を工夫し、外注費などを適切に管理することでコストが削減できる可能性があります。また、工事の途中で工事原価が変動することもあるでしょう。工事原価が変動すれば利益率も変わってくるため、工事を進めている間も工事原価を管理していくことが大切です。
在庫管理を徹底する
過剰な在庫も利益率を下げる原因の一つであり、在庫の管理が利益率の向上にも繋がります。在庫が多すぎれば、購入費用がかさむだけでなく保管する場所も必要となるため、定期的に在庫の量を確認し、適切な量を維持することが大切です。また、仕入れ方法の手順を見直すことで、在庫を管理しやすくなるケースもあります。
作業効率を向上させ、労務費・人件費を抑える
工事原価のうち、作業員に支払う労務費は大きな金額になるはずです。材料の仕入れなどを工夫して工事原価を下げる工夫も必要ですが、現場での作業効率を向上させることで労務費を抑えることもできます。作業工程を見直したり、IT化を推奨して業務効率を向上させれば、無駄な作業を減らすことができ、結果として効率的な人員配置が可能になります。また、建設現場だけでなく事務所内での作業も見直して無駄を省き、新たなシステムなどを導入すると、人件費を抑制できます。
工事単価を見直す
利益を確保するためには、支出を抑える方法のほか、売上を高くする方法もあります。売上を上げるためには、工事単価の値上げが必要です。ただ工事単価を値上げするだけでは、元請業者や施工主の反発を買い、反対に受注を逃してしまう可能性もあるでしょう。工事単価の値上げを狙う場合には、他社とは違う自社の強みをアピールすることが大切です。そのためには、元請業者や施工主が納得できるクオリティの高い作業を提供するように努力することをも忘れてはいけません。
利益を確保するためには専門家への相談も検討を
現在、インフレやウッドショックなどにより建設資材は値上がり、建設現場の作業員の人出不足も相まって建設コストは高くなっています。今後、建設就労者はますます人出不足に陥ると考えられており、材料費もどこまで高騰するのかは不透明な状況です。そのような状況を前に、少しでも早く、売上ではなく利益率をより重視する経営に切り替えなければ、経営状況が厳しくなっていく恐れもあります。
利益率を高めるためには、まず現在の利益率を精査し、自社の問題点をあぶり出すことが大切です。税理士法人松本は、建設業のサポート実績を豊富に持つ税理士法人です。これまでに多くの建設業の経営安定のサポートを行い、利益率を高めるためのノウハウも保有しています。利益率を高め、安定した利益を確保できる企業を目指す場合には、ぜひ一度、税理士法人松本までお問い合わせください。初回の電話相談は無料で承っています。
まとめ
建設業の平均利益率は約20%が目安です。利益率が低ければ利益を生み出せず、苦しい経営状況になってしまいます。利益を確保するためには、工事の受注前に利益率の計算をし、利益率の高い工事から優先して受注することが大切です。また、工事原価や在庫を徹底的に管理し、支出を抑えることも利益を高めることに繋がります。加えて、工事単価の値上げの取り組みも利益率を高めるうえでは重要なことです。
適正な利益率を確保するため、建設業に強い専門家に相談し、まずは自社の状況を客観的に分析し、課題を明確にしたうえで具体的な対策を進めていくことをおすすめします。
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