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2023.11.30

建設業の資金繰り問題を改善するためのポイントをわかりやすく解説!

建設業の資金繰り問題を改善するためのポイントをわかりやすく解説!

建設業は、工期が長いために受注から入金までの期間が長く、資金繰りが難しい業種の一つです。工事に必要な資材や工事にあたる作業員に支払う人件費など、先行して必要になる費用も多いため、資金繰りが悪化し、経営の危機に瀕するケースも少なくありません。
では、建設業の資金繰り問題を改善するためには、どのような対策が必要になるのでしょうか。
今回は、建設業の資金繰りを改善するポイントや融資を受けるためのポイントなどについてご説明します。

建設業の資金繰りの課題とは

建設業の資金繰りが難しくなる原因には、次のような理由が考えられます。

入金までの期間が長い

建設業は、工期が長いものが多いため、工事の受注から入金までの期間が長くなります。工事の完了後に入金する契約の場合、天候などの理由で工期が延びてしまえば、入金の時期も遅くなってしまいます。
また、現在、手形取引は減少傾向にありますが、建設業は手形取引が多い業種でもあります。手形取引は現金の支払いを先延ばしにする決済方法であり、発注元が支払い時期を延ばすために使用するケースがほとんどです。手形取引の場合も入金までの期間が長くなるため、その間は、手元にある運転資金でやりくりをしなければなりません。
工期が長いことや手形取引が多いことで、入金までの期間が長くなるという事情から、建設業界では資金繰りが厳しくなるケースが多くあります。

先行した出費が多い

先行する出費が多い点も、建設業の資金繰りが厳しくなる理由の一つに挙げられます。建設業では、工事代金の入金よりも先に工事に必要な資材の購入費用や重機の調達費用、仮事務所の設置費用、外注業者への外注費用などを支払わなければなりません。
そのため、入金があるまでの期間、建設業者はこれらの出費を立て替える必要があるのです。入金までの期間が長ければ長くなるほど、手元の運転資金での支払いが増えるため、資金繰りは厳しくなります。

長期の融資を受けにくい

運転資金が不足するために銀行に融資を申請することもあります。
しかし、建設業向けの融資は、工事ごとに必要となる資金を工事引当融資として実行されるケースがほとんどです。工事引当融資は、工事代金が入金された後に返済する必要があり、借入期間は短期間に限定されます。また、工事を受注していることが前提となるため、工事を受注していなければ融資を受けることができません。
そのため、工事の受注がない状態で、事業の立て直しなどに必要となる長期的な資金の借入をすることは難しいのが現状です。

建設業の資金繰りを改善するためのポイント

建設業は、工期の延長などから運転資金が変動するケースも多く、資金繰りを改善するためには次のような対策が必要となります。

工事原価を管理し、利益率の高い工事を受注する

建設業の中には、工事原価をしっかり管理できていないために利益率の低い工事を受注しているところがあります。資金繰りを改善するためには、工事原価をしっかり管理し、売上高だけではなく利益率まで計算し、利益率の高い工事を受注することが大切です。

自社の事業規模に合った工事を受注する

売上額も大きくなる大規模な工事は、建設業者にとって魅力的です。
しかし、自社の事業規模以上の工事を受注すると材料費や労務費、外注費などの負担も大きくなり、資金繰りが厳しくなる可能性があります。
売上の大きさだけではなく、自社の事業規模に見合った工事を受注することも資金繰りの改善には必要なことです。

代金の回収サイクルを見直す

建設業の資金繰り悪化には、代金を回収するまでの期間が長いことが関係します。
そのため、資金繰りの改善には、代金の回収を早めることも大切です。受注の際に発注側と交渉をし、代金の入金サイクルを早めたり、工事の進捗に合わせて入金されるような契約を増やすようにすると、資金繰りを改善しやすくなります。

資金繰り表を作成し、資金計画を立てる

いつ、どのくらいの入金と出金があるのか、キャッシュフローを管理する資金繰り表の作成も資金管理には重要です。入金のタイミングや手元の資金の額を把握しやすくなれば、資金繰りが悪化する場合も早いタイミングで対策が可能です。資金繰り表を作成していないようであれば、資金繰り表を作成し、資金計画を立てるようにしましょう。

建設業者が資金調達のために利用できる融資

資金繰りが悪化した場合、何らかの手段で資金を調達する必要があります。金融機関から融資を受ける方法も資金調達法の一つです。建設業が資金調達のために利用できる融資には次のようなものがあります。

日本政策金融公庫の融資

日本政策金融公庫は、民間の金融機関の取り組みを補完し、中小企業や小規模事業者などの支援を目的とした日本政府100%出資の政策金融機関です。日本政策金融公庫の融資は比較的金利も低く、無担保・無保証人での借入もできるというメリットがあります。
しかしながら、日本政策金融公庫の融資は、提出すべき書類も多く、審査に時間がかかるといった特徴があります。

銀行の融資

銀行の融資は、大きくプロパー融資と信用保証協会の保証付融資の2つに分けられます。
プロパー融資は、金融機関が直接融資をするもので、金利が低く、融資限度額の上限もありません。
しかし、審査が非常に厳しく、大企業や安定した経営を続けている企業でなければプロパー融資を受けるのは難しいでしょう。
一方、信用保証協会の保証付融資は、万が一、返済ができなくなった場合、信用保証協会が代位弁済をするため、プロパー融資に比べると審査に通りやすくなります。
ただし、保証付融資の場合は信用保証協会に保証料を支払う必要があり、借入の限度額が設定されるなどのデメリットもあります。

資金繰り改善のために融資を受ける場合のポイント

融資を受ける際には、日本政策金融公庫の場合も銀行の場合も、返済能力が十分にある会社であるかを確かめるための審査があります。審査に通らなければ融資を受けることはできません。
建設業の会社が融資を受ける際には、次のポイントに注意しましょう。

精度の高い書類を準備する

融資の申請には次のような書類の準備が必要です。
・資金繰り表
・試算表
・受注工事明細書
・決算書
・事業計画書
金融機関によって必要となる書類は異なりますが、会社の経営状況や今後の事業の見込みを確認するため、上のような書類の提出が求められるケースが多くなっています。受注工事明細表は、運転資金の融資を申し込む際に必要となる書類で、工期や請負金額、利益率、入金予定日などを細かく記載します。
融資審査ではこれらの書類や面談を元に行われるため、書類はミスがないように作成し、事業計画書の内容を裏付ける根拠資料なども充実させることが大切です。

建設業者の資金繰りをサポートする専門家に相談する

融資は、資金繰りを改善する際の有効な資金調達手段です。
しかし、融資は審査に通らなければ受けることはできません。融資審査に通るためには、審査担当者を納得させることができる精度の高い書類を準備する必要があるのです。
スムーズに融資を受けるためには、専門家への相談がおすすめです。特に建設業のサポート実績が豊富な専門家に相談をすれば、状況に合わせた最適な融資のアドバイスも受けられ、融資の成功率を高められるでしょう。
税理士法人松本は、これまでにも多くの建設業の資金繰りをサポートしてきた実績があります。資金繰り改善にお悩みの場合は、お気軽にご相談ください。

まとめ

建設業は、入金までの期間が長く、先行する支出が多いために、資金繰りが悪化しやすい業種です。資金繰りを改善するためには、売上に惑わされず、自社の事業規模に合った利益率の高い工事を受注し、資金繰り表で資金の流れを把握すること、入金サイクルを短くするための交渉をすることが大切です。
融資によって資金を調達する方法もありますが、融資の成功率を高めるためにも、借入後の資金繰りを安定させるためにも、建設業界に詳しい専門家に相談し、長期的な視点で経営の安定化を図ることをおすすめします。

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