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2024.02.15
建設業退職金共済制度の概要とメリット・デメリットについてわかりやすく紹介
建設業退職金共済制度は、建設業の現場で働く労働者が建設業を離れたときなどに受け取ることができる退職金制度です。建設業退職金共済制度は、建設業の現場労働者にとってメリットの大きい制度ですが、実は事業主にもメリットがあることをご存じでしょうか。
今回は、建設業退職金共済制度の概要と労働者・事業主の双方のメリット・デメリットについてご説明します。
建設業退職金共済制度とは
建退共とも呼ばれる建設業退職金共済制度とは、中小企業退職金共済法に基づいて制定された建設業で働く労働者のための退職金制度です。
建設業退職金共済制度の仕組み
建設業退職金共済制度は、厚生労働省の管轄である独立行政法人勤労者退職金共済機構が運営をしています。建設業退職金共済制度では、建設業の事業主が共済契約者となり、共済契約者に雇用され、建設現場で働く労働者が被共済者となります。共済契約者である事業主は、被共済者である労働者の労働日数に応じて掛金を納付する仕組みです。労働者が建設業で働くことを辞めたときは、勤務先の事業主からではなく、勤労者退職金共済機構から直接、労働者に退職金が支払われます。
建設業退職金共済制度の契約ができる事業者
建設業退職金共済制度の契約ができるのは、日本国内で建設業を営む建設業者です。建設業許可を得ていない場合でも、外国法人であっても、元請け、下請けに関わらず、契約することができます。
建設業退職金共済制度の対象となる労働者
建設業の現場で労働する人であれば、誰でも建設業退職金共済制度の対象となります。国籍や職種、給与体系に関わらず、加入が可能です。また、一人親方でも任意組合を作れば、任意組合を事業主とみなし、建設業退職金共済制度の対象となることができます。
ただし、役員報酬を得ている人、建設業の従業員でも建設現場の作業に携わらない事務職や営業職の人は加入できません。また、他の退職金共済事業に加入している場合も、加入はできないため注意が必要です。
建設業退職金共済制度のメリット
建設業退職金共済制度に加入する労働者と事業主のメリットをご紹介します。
労働者にとっての建設業退職金共済制度のメリット
・確実に退職金を受け取れる
建設業退職金共済制度は、国が作った退職金制度です。そのため、建設業を離れたときには確実に退職金が支払われることとなり、民間の退職金制度と比べても安全で確実な制度であると言えます。
・建設業界で働いた年数が積算される
建設業退職金共済制度は、建設業界全体の退職金制度です。そのため、勤務先が変わったとしても、転職先が建設業退職金共済制度を導入している事業主であれば、労働日数が積算されて退職金が計算されます。転職によって退職金が減る心配がありません。
・退職金が請求できる理由が多い
一般的な企業の退職金制度では、退職してから1~2か月後に退職金は支給されます。しかし、建設業退職金共済制度では、次のような場合に退職金の請求が可能です。さまざまなタイミングで退職金の請求ができる点も労働者にとってはメリットでしょう。
・独立して事業を始めた場合
・無職になった場合
・建設関係以外の仕事に就いた場合
・建設会社の現場ではなく、事業所の社員になった場合
・ケガや病気のために建設現場での仕事ができなくなった場合
・満55歳以上になった場合
・本人が死亡した場合
・加入者は提携サービスを利用できる
建設業退職金共済制度の加入者は、提携しているホテルやアミューズメント施設、旅行会社などの割引を受けることができます。
事業主にとっての建設業退職金共済制度のメリット
・労働者にとって魅力的な企業となる
建設業退職金共済制度の被共済者となっている労働者にとって、転職をしても退職金制度を継続できる企業は魅力的なはずです。また、建設業では、雇用が不安定であることが離職を早める原因の一つともなっています。建設業退職金共済制度に加入している会社であれば、退職後の不安の解消につながるため、求職者からの応募も増える可能性があります。
・公共工事の受注に有利
公共工事の入札に参加する際には、事前に経営事項審査が行われます。建設業退職金共済制度の契約をしている企業は、経営事項審査において、客観的・統一的評価の対象として加点評価されることとなっています。そのため、建設業退職金共済制度を導入している会社は、公共工事を受注しやすくなるのです。
・掛金は全額損金として算入できる
事業者が払い込む建設業退職金共済制度の掛金は全額、損金として算入できます。損金として取り扱うことができれば掛金全額を利益から差し引けるため、節税につながります。
・掛金の負担を軽減できる
新たに被共済者となった労働者を雇用し、建設業退職金共済手帳が最初に交付される際、1人につき50日分の掛金の補助を受けることができます。つまり、50日分の掛金は企業が負担をしなくても良いことになるのです。
建設業退職金共済制度のデメリット
建設業退職金共済制度に加入すると、労働者と事業主の双方にメリットがありましたが、デメリットが無いわけではありません。労働者と事業者のそれぞれのデメリットをご説明します。
労働者にとっての建設業退職金共済制度のデメリット
建設業退職金共済制度では、退職金を受け取るためには12か月以上制度に加入していることが求められます。したがって建設業退職金共済制度の契約企業で労働した期間が12か月未満であった場合は、退職金を受け取ることができません。
事業主にとっての建設業退職金共済制度のデメリット
・掛金を納付する必要がある
建設業退職金共済制度の契約をする場合、掛金は事業所の負担となります。掛金は1日あたり1人320円ですが、雇用している労働者数が多い場合には負担も大きくなるでしょう。また、経営状態に関わらず掛金の納付負担は続きます。そのため、場合によっては掛金の負担が経営を圧迫する可能性も出てくるのです。
・一度契約をしたら、解約することは難しい
建設業退職金共済制度は一度加入すると、簡単に解約することはできません。解約ができる条件は、次の2つの条件のいずれかを満たした場合です。
・被共済者の3/4以上の同意を得ている場合
・厚生労働大臣から掛金の継続的な支払いが難しいと判断された場合
また、共済契約者が中小企業者ではない事業主になったときや建設業の事業主ではなくなったとき、一定割合以上の掛金の納付を怠ったときなどは、勤労者退職金共済機構から契約を解除されます。
・役員や現場作業員以外の従業員が加入することはできない
建設業退職金共済制度に加入できるのは、建設現場で働く労働者のみです。経営者や役員、本社の事務職や営業職などの従業員は、建設業退職金共済制度に加入できません。そのため、他の従業員にも適用できる退職金制度を準備する場合には、他の退職金制度を併用する必要があります。
まとめ
建設業退職金共済制度は、建設業の現場で働く労働者のための退職金制度です。他の退職金制度とは異なり、建設業退職金共済制度は勤務先が変わっても、雇用主が建設業退職金共済制度を導入していれば、働いた日数が通算されます。そのため、建設業の労働者にとって魅力的な制度です。
また、事業主にとっても公共工事の受注に有利であり、人材を採用しやすくなるといったメリットがあります。しかしながら、全額損金算入できるとは言え、事業主には掛金の負担が発生します。建設業退職金共済制度を導入するかどうかは、経営状況と掛金の負担を比較したうえで検討することが大切です。
税理士法人松本には、建設業に詳しい税理士や社会保険労務士が在籍しています。建設業退職金共済制度を導入すべきか判断に迷う場合は、お気軽にご相談ください。
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