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2021.12.08
従業員を外注(一人親方)に変更したときの危険度やリスクとは?
雇用から外注(一人親方)に変更。でも実態は…
会社側から「来月から社員じゃなくて外注の取扱いに変更するからよろしくね!」と簡単に雇用から外注(一人親方)に変更をした経験はございませんか?
会社から見ると、雇用関係を締結せず一人親方として独立させることで、その者の労働時間の管理が不要となることや労働保険、社会保険料削減などのメリットが出てきます。
しかし、これまでとなんら変わらず労働者のときに同じような働き方であれば、外注(一人親方)として認められません。
形式的に請負契約や委任契約を締結しても、実態が労働者であれば「偽装請負」と見られ、法律上で禁止されている違法就労となります。
「偽装請負」となれば罰則を受けるだけでなく、建設業許可が取消になる可能性もありますので慎重に対応しましょう。
外注(一人親方)が労働者となる具体例
建設作業員としての採用募集を見て面接を受けました。無事採用され〇〇建設会社と請負契約を締結しました。しかし、実際の働き方は以下のようなものでした。
・〇〇建設会社と契約中に他社との請負契約はできなかった。
・〇〇建設会社より勤務時間の指定はありませんでしたが、朝8:00に事務所で仕事の指示を受けてから夕方17:00まで拘束され、それ以降の作業には手当が支給されました。
・現場では依頼されていた工事以外の他の仕事も時間が空いたら頼まれて対応していました。
・現場監督からの報告や指示により、〇〇建設会社から指揮監督を受けていました。
・作業道具は自分の所有物でしたが、必要な資材等の調達はすべて〇〇建設会社が負担していました。
このようなケースでは、〇〇建設会社と実質的な使用従属関係があると認められ、〇〇建設会社との契約は「請負契約」ではなく「労働契約」であると認定されます。
そうなることで、労災保険の適用を受けるほかに社会保険の適用、労働時間の管理など通常の従業員と同じ取扱いが必要になります。
適切に労災保険に加入しなかった会社は…
原則、労災保険は労働者を雇い入れてから10日以内に労働基準監督署に届け出て加入手続きを行わなければなりません。
外注(一人親方)ではなく、労働者となった場合は早急に加入手続きを行うようにしましょう。
会社が労災保険の手続きを怠っていた場合は、最大2年間さかのぼった労働保険料及び10%の追徴金が徴収されます。
また、事業主が故意または重大な過失により労災保険の加入手続きを行わないときに、労働災害が発生し、労災保険給付を行うこととなった場合は、会社側に労働保険料の徴収と追徴金の徴収を行うほかに、労災保険給付を行った費用の100%または40%を徴収することになっています。
労災保険の費用徴収の具体例は下記のようなケースです。
故意と認定され100%徴収の場合
労災事故が起こる前に 〇〇建設会社が労災保険の加入手続を行うように都道府県労働局から指導を受けていましたが、指導後も労災保険の加入手続を行いませんでした。
この場合「故意」により手続を行わないものと認定され、保険給付額の 100%の金額が費用徴収されることになります。
重大な過失と認定され40%徴収の場合
〇〇建設会社が、労災事故が起こる前に労災保険の加入手続を行うように都道府県労働局から指導を受けたことはありませんでしたが、労災保険の適用事業となってから 1 年を経過しており、その後も手続を行わない場合は「重大な過失」により手続を行わないものと認定され、保険給付額の40%の金額が費用徴収されることになります。
建設業許可を取得していない一人親方と下請け契約を締結する場合
雇用契約ではなく、外注(一人親方)と認められ、請負契約を締結する場合も注意が必要です。
建設業の許可がない一人親方は、500万円未満の軽微な建設工事しか請負うことができません。(建築一式工事については、1,500万円未満または150m2未満の木造住宅工事)
500万円以上の工事を依頼する場合には、一人親方が建設業の許可を取得する必要があります。元請け会社から材料の提供があった場合は、その費用も合算することとなりますので、覚えておきましょう。
軽微な建設工事のみを請け負うことを営業とする場合を除き、建設業を営む者は、元請・下請を問わず一般建設業の許可を受けることが必要となるため、建設業の許可がない一人親方と下請け契約を結ぶことは建設業法違反(建設業法第28条第1項第6号)となります。
不正行為を行った場合は、指示処分や営業停止を命じられるケースもありますので、一人親方に仕事を依頼する場合は、建設業許可を取得しているか事前にきちんと確認することが大切です。
まとめ
2017年(平成29年)より国土交通省では、このような「偽装請負」を是正するため、元請け会社に対し、社会保険に未加入である建設会社を下請先として選定しないよう要請しており、適切な社会保険に加入していることを確認できない作業員について、特段の理由がない限り現場入場を認めない取扱いがされております。
2020年(令和2年)10月からは、建設会社の社会保険の加入が建設業許可・更新の要件とされるなど、社会保険の加入確認も始まっています。
雇用と外注についてのご相談や労災保険、社会保険のご相談がございましたら税理士法人松本・社会保険労務士法人松本の無料相談をぜひご利用ください。
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