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2021.12.02

所得は収入の種類によって計算方法がそれぞれ違う?10種類の所得について解説

所得は収入の種類によって計算方法がそれぞれ違う?10種類の所得について解説

所得とは、収入からそのためにかかった費用などを差し引いたもの=『利益』と考えていただければと思います。所得は、次の10種類に分かれており、それぞれの所得について、収入や必要経費の範囲あるいは所得の計算方法などが定められています。

10種類の所得とその計算方法を確認してみましょう!

①利子所得

収入の種類 預金及び公社債の利子、合同運用信託及び公社債投資信託及び公募公社債等運用投資信託の収益の分配
所得の計算 利子所得=収入金額
課税の流れ 源泉分離課税

②配当所得

収入の種類 株式の配当金、公社債投資信託以外の投資信託の分配金や特定受益証券発行信託の分配           

所得の計算 収入金額-元本取得に要した負債の利子
課税の流れ 総合課税、申告分離課税、申告不要を選択できる

③不動産所得

収入の種類 土地や建物、アパートなどの不動産の貸付けたことによる地代、家賃                   

所得の計算 収入金額-必要経費
課税の流れ 総合課税

④事業所得

収入の種類 農業、漁業、製造業、卸売業、小売業、サービス業その他の事業を営んでいる人のその事業から生じた収入
所得の計算 収入金額-必要経費
課税の流れ 総合課税

⑤給与所得

 

収入の種類 サラリーマンやOLの給与、賞与(ボーナス)                             

所得の計算 収入金額-給与所得控除額
課税の流れ 総合課税

⑥退職所得

収入の種類 退職により勤務先から受ける退職金                                 

所得の計算 (収入金額-退職所得控除額)×1/2
課税の流れ 分離課税

⑦山林所得

収入の種類 木を伐採して売却または伐採せず立木を売却して得た収入                       

所得の計算 収入金額-必要経費-特別控除額(50万円)
課税の流れ 分離課税

⑧譲渡所得

収入の種類 資産の譲渡による収入。所有期間5年超の「長期譲渡所得」と5年以内の「短期譲渡所得」があります
所得の計算 収入金額-(取得費+譲渡費用)-特別控除額(50万円)
課税の流れ 総合課税または分離課税

⑨一時所得

収入の種類 懸賞金や馬券の払戻金、保険の解約返戻金や配当金など                         

所得の計算 収入金額-その収入を得るために支出した金額-特別控除額(50万円)
課税の流れ 総合課税

⑩雑所得

収入の種類 ①~⑨以外のすべての所得                                       

所得の計算 ●公的年金等 収入金額-公的年金等控除額
●公的年金等以外 収入金額-必要経費
課税の流れ 総合課税

所得税の課税は「総合課税」か「分離課税」

総合課税とは、すべての所得を合算して税金を課す方式をいいます。
分離課税とは、他の所得とは合算せず、分離して税金を課す方式をいいます。退職所得と山林所得については、税金を軽くしたいという方針から分離課税となっています。
また現在では、株式投資の促進や不動産売買をしやすくするためなどの理由から、配当所得や譲渡所得にも分離課税が設けられています。

所得によって申告する書類が変わります

申告書A(第一表・第二表)

次の4種類の所得のみの場合
・配当所得
・給与所得
・一時所得
・雑所得

申告書B(第一表・第二表)

すべての所得の申告に使用できます

第三表

以下の所得にかかる分離課税がある場合は申告書B(第一表・第二表)に加えて必要な場合もあります
・山林所得
・退職所得
・土地、建物の譲渡所得や株式等の譲渡所得、FX、先物取引の雑所得など

第四表

以下のような損失がある場合に使用します
・すべての所得の合計額が赤字になる場合
・本年生じた雑損失を繰り越す場合
・前期以前から繰り越された損失がすべての所得の合計額を超える場合

第五表

修正申告をする場合に使用します

確定申告書の記入方法については国税庁の確定申告の手引き・しかた(記載例)をご確認ください。
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/shinkoku/tebiki/2020/index.htm#a00

「所得控除」と「税額控除」について

所得税には2つの控除が設けられています。どちらの税金を減らすという意味では同じような役割なのですが、計算による効果が異なります。
「所得控除」は税率をかける前に控除が行われます。高所得者のほうが大きい控除が受けられることになります。
「税額控除」は税率をかけた後の税額が差し引きますので、どんな税率の人でも効果は変わりません。ここでは「所得控除」について見ていきましょう。

所得控除の効果

所得-所得控除=課税所得
たとえば10万円の所得控除の場合
①税率10%の人→1万円税金が減る
②税率40%の人→4万円税金が減る
となり、税率が高い人のほうが減税効果の高いことがわかります。
それでは、次に所得控除の種類について見ていきます。

所得控除の種類

所得控除は、最低生活費を課税対象から除くことによって、担税力無きところに課税せず、という所得税のあるべき姿を実現するための重要な手段であると考えられています。
最低限の生活費を考慮する「基礎的な人的控除」と「特別な人的控除」があり、さらに特別な現金支出を控除するものがあります。

基礎的な人的控除

●基礎控除
●配偶者控除
●配偶者特別控除
●扶養控除

特別な人的控除

●障害者控除
●寡婦控除
●ひとり親控除
●勤労学生控除

その他の控除(現金支出を控除するもの)

●雑損控除
●医療費控除
●社会保険料控除
●小規模企業共済等掛金控除
●生命保険料控除
●地震保険料控除
●寄附金控除
それぞれの所得控除について対象者や控除額、計算式についてまとめると以下のようになります。

基礎的な人的控除

控除の種類 対象者 控除額
基礎控除 ・本人 最高48万円
配偶者控除
一般の控除対象配偶者
老人控除対象配偶者 
・生計を一にしかつ合計所得が48万円以下である配偶者(控除対象配偶者)を有する者
・年齢が70歳未満の控除対象配偶者を有する者
・年齢が70歳以上の控除対象配偶者を有する者
最高38万円
最高48万円
配偶者特別控除 ・生計を一にしかつ合計所得金額が48万円を超え133万円以下である配偶者を有する者 最高38万円
扶養控除
一般の扶養親族
特定扶養親族
老人扶養親族
(同居老親等加算) 
・生計を一にしかつ合計所得金額が48万円以下である親族等(扶養親族)を有する者
・年齢が16歳以上19歳未満又は23歳以上70歳未満の扶養親族を有する者
・年齢が19歳以上23歳未満の扶養親族を有する者
・年齢が70歳以上の扶養親族を有する者
・直系尊属である老人扶養親族と同居を常況としている者
   
   
   
38万円
63万円
48万円
+10万円

特別な人的控除

控除の種類 対象者 控除額
障害者控除
     
     

(特別障害者控除)
(同居特別障害者控除)
・障害者である者
・障害者である同一生計配偶者又は扶養親族を有する者
・特別障害者である者
・特別障害者である同一生計配偶者又は扶養親族を有する者
・特別障害者である同一生計配偶者又は扶養親族と同居を常況としている者
・特別障害者である同一生計配偶者又は扶養親族と同居を常況としている者
27万円
     
     

40万円
     
75万円
寡婦控除 ① 夫と離婚したもので、かつ、扶養親族を有する者
② 夫と死別した後婚姻をしていない者
※ひとり親に該当する者は除く
※住民票の続柄に「夫(未届)」「妻(未届)」の記載がある者は対象外
27万円
ひとり親控除 ・現に婚姻をしていないものでかつ生計を一にする子(総所得金額等が48万円以下)を有する者
※住民票の続柄に「夫(未届)」「妻(未届)」の記載がある者は対象外
35万円
勤労学生控除 ・本人が学校教育法に規定する学校の学生、生徒等である者 27万円

その他の所得控除

控除の種類 概要 控除額の計算方式
雑損控除 住宅家財等について災害又は盗難若しくは横領による損失が生じた場合又は災害関連支出の金額がある場合に控除 次のいずれか多い方の金額
①(災害損失の金額+災害関連支出の金額)-年間所得金額×10%
②災害関連支出の金額-5万円
医療費控除 納税者又は納税者と生計を一にする配偶者その他の親族の医療費を支払った場合に控除 (支払った医療費の額)-(次のいずれか低い方の金額①10万円②年間所得金額×5%)=医療費控除額(最高限度額200万円)
社会保険料控除 小規模企業共済掛金、確定拠出年金に係る企業型年金加入者掛金及び個人型年金加入者掛金並びに心身障害者扶養共済掛金を支払った場合に控除 支払った掛金の額
生命保険料控除 一般生命保険料、介護医療保険料及び個人年金保険料を支払った場合に控除 ・新契約に係る生命保険料控除
①支払った一般生命保険料に応じて一定額を控除(最高限度額4万円)
②支払った介護医療保険料に応じて一定額を控除(最高限度額4万円)
③支払った個人年金保険料に応じて一定額を控除(最高限度額4万円)
・旧契約に係る生命保険料控除
①支払った一般生命保険料に応じて一定額を控除(最高限度額5万円)
②支払った個人年金保険料に応じて一定額を控除(最高限度額5万円)
※各保険料控除の合計適用限度額を12万円とする。
地震保険料控除 地震保険料を支払った場合に控除 支払った地震保険料の全額を控除(最高限度額5万円)
※平成18年12月31日までに締結した長期損害保険契約等(地震保険料控除の適用を受けるものを除く。)に係る保険料等は従前どおり適用する(最高限度額1万5千円)。
※地震保険料控除と上記1を適用する場合には合わせて最高5万円とする。
寄附金控除 特定寄附金を支出した場合に控除 (次のいずれか低い方の金額①特定寄附金の合計額②年間所得金額×40%)-2千円=寄附金控除額

まとめ

所得は、10種類に区分されており、それぞれの所得について、収入や必要経費の範囲あるいは所得の計算方法などが定められています。
所得は収入と意味は似ていますが、所得とは収入から経費を差し引いた金額のことです。ここで所得の意味をしっかり覚えておきましょう。
また、所得控除は要件にあてはまる場合に所得金額から差し引くことができます。所得控除は15種類もありますので、控除するのを忘れてしまわないように1つずつ慎重に確認していくことをおすすめします。
確定申告でどうしていいか迷ってしまった、自分で確定申告書を作成するのは難しいと感じた方はお近くの税理士に相談してみましょう。

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