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再挑戦支援資金とは?再挑戦支援資金の融資が難しい理由や申し込むポイントも解説

再挑戦支援資金(再チャレンジ支援融資)は、過去に事業を閉じた経験がある方でも申請可能な融資制度です。
しかし、利用するためには一定の条件が設けられているため、本記事ではこの制度の基本情報や申請要件、さらに活用しやすい方の特徴について事前に理解しておくことが重要です。
本記事では、再挑戦支援資金の特徴や再挑戦支援資金の融資が難しい理由、再挑戦支援資金融資を申し込む際のポイントについても解説していきます。
ぜひこの記事を参考にして、再挑戦支援資金について理解を深めてみてください。
再挑戦支援資金の特徴
再挑戦支援資金(再チャレンジ支援資金)は、日本政策金融公庫が提供する融資制度の一つです。
過去に事業を廃業した経験がある方が、もう一度起業に挑戦する際に活用できる資金制度です。
事業をやめた経験があっても、再び経営にチャレンジしたい方をサポートすることを目的としています。
過去に廃業を経験した方向けの特別な制度であるため、一般的な融資よりも審査の基準が厳しくなる傾向があります。
具体的に、再挑戦支援資金の特徴については、以下の5つが挙げられます。
- 対象者
- 資金使途
- 利率
- 融資限度額
- 返済期間
それぞれの特徴について解説していきます。
対象者
再挑戦支援資金の対象者として受給資格を得るには、以下の3つの条件を満たす必要があります。
- 過去に廃業した経験がある個人や廃業歴のある経営者が運営する法人であること
- 廃業時の負債が、新たに立ち上げる事業へ悪影響を及ぼさない程度に整理されている、または整理が進む見込みであること
- 廃業に至った理由が、避けがたい事情によるものであること
廃業は、正式な廃業届を提出していなくても、実質的に事業活動を停止している場合や、長期間休眠状態にあるケースも含まれます。
さらに、自己破産や民事再生を経た場合も、廃業とみなされることがあります。
また、「負債が新事業に影響を及ぼさない程度に整理されている」とは、例えば以下のよう廃業に至った理由がギャンブルや計画性のない経営を行ったなど、自らの管理不足に起因する場合は、やむを得ない事情とは認めれないので注意が必要です。
一方で、自然災害の影響や景気の悪化、主要取引先の倒産など自分の努力では回避が困難だった場合は、正当な理由として判断されます。
資金使途
再挑戦支援資金の資金使途は、新たに事業を立ち上げる際や事業開始後に生じる設備投資・運営資金の確保に活用できます。
また、他の創業融資とは異なり、過去に廃業した事業の負債整理のために、返済資金として利用することも認められています。
利率
利率は、国民生活事業と中小企業事業によって、基準が異なります。
国民生活事業の場合、基準利率1.30%~2.00%(令和6年3月1日時点)となっています。
しかし、金利は変動するため、実際に融資を申し込む際には最新の情報を確認してください。
中小企業事業の場合は、基準利率1.30%~2.00%(令和6年3月1日時点)で、利率は変動するため、申請時に最新の情報を確認するようにしましょう。
また、特別利率の対象となるのは、以下の条件に該当する場合です。
- 技術・ノウハウに新規性があり、製品化や売上が見込める事業
- 女性、または35歳未満もしくは55歳以上の方
これらの条件を満たす場合、基準利率よりも低い金利で融資を受けることが可能です。
融資限度額
融資の上限額は、国民生活事業では設備資金として7,200万円、運転資金として4,800万円まで利用できます。
一方、中小企業事業では最大7億2,000万円まで借り入れが可能です。
返済期間
再挑戦支援資金の返済期間については、国民生活事業では設備資金は最長20年以内(うち据置期間5年以内)、運転資金は15年以内(うち据置期間5年以内)まで認められます。
中小企業事業では、設備資金は20年以内(うち据置期間2年以内)、運転資金は15年以内(うち据置期間は2年以内)です。
再挑戦支援資金の融資が難しい理由
再挑戦支援資金の融資が難しい理由については、以下の4つが挙げられます。
- 一度起業した経験が必要
- 廃業理由の説明が難しい
- 自己破産していると難しい
- 多額の負債があると審査通過は難しい
それぞれの理由について解説していきます。
一度起業した経験が必要
再挑戦支援資金の対象となるのは、過去に起業し、事業に失敗したものの再挑戦を希望する方になるので、一度も廃業を経験していない方は申し込むことができません。
例えば、事業の経営がうまくいかず、結果的に自己破産を余儀なくされた場合は対象となります。
しかし、事業とは関係のない個人的な事情で自己破産した方は対象外となることから、再挑戦支援資金の融資が難しい理由として挙げられます。
廃業理由の説明が難しい
対象者の条件として「廃業の理由や事情が避けがたいものであること」が求められますが、これを説明するのは意外と難しく、公庫の担当者を納得させるのにハードルが高いと言えます。
例えば、取引先の倒産が原因で自社の経営が行き詰まり、やむを得ず廃業した場合でも、「事前にリスクを想定し、回避策を講じることはできなかったのか?」などと厳しい質問をされる可能性があります。
これらに対して明確に説明できなければ、「やむを得ない事情による廃業」とは認められにくいと言えます。
このように、担当者に廃業に至ってしまった理由を説明して、納得してもらえることが重要です。
自己破産していると難しい
再挑戦支援資金の融資を受ける際には、返済が滞り自己破産に至った場合には、融資を受けるのは難しくなります。
実際に、一度自己破産してしまうと、信用情報が下がってしまい、クレジットカードやローンが組めなくなってしまうのも事実です。
過去に自己破産している場合で、再び融資を受けるためには、審査担当者が納得できるような説得力のある事業計画や返済計画をしっかりと準備することが重要です。
多額の負債があると審査通過は難しい
再挑戦支援資金は、多額の負債があると審査が通過できる可能性は低くなります。
借入ができないわけではありませんが、既に多額の負債を抱えている場合や返済の見通しが立っていない状況では、再挑戦支援資金を受け取るのは難しくなります。
たとえ負債があっても支援を受けられる制度とはいえ、融資である以上、慎重な審査が行われます。
このように、審査の際に多額の負債が判明したり、返済計画を明確に説明できなければ、審査を通過するのは厳しくなります。
再挑戦支援資金融資を申し込む際のポイント
再挑戦支援資金融資を申し込む際のポイントについては、以下の5つが挙げられます。
- 自己資金を多く準備する
- 説得力のある資金計画を立てる
- 実現性のある事業計画書を作る
- 面接対策をする
- 専門家に相談する
それぞれのポイントについて解説していきます。
自己資金を多く準備する
融資を受けやすくするためには、できるだけ多くの自己資金を準備しておくことが重要です。
自己資金は審査において重要な評価基準の一つとされており、その額が多いほど有利になる傾向があります。
再挑戦支援資金には自己資金の要件はありませんが、それでも十分な自己資金を確保しておくことで、審査を通過しやすくなる可能性が高まります。
説得力のある資金計画を立てる
融資審査に通るためには、資金の使い道を明確にし、納得のいく資金計画を立てることが重要です。
資金の用途が不明確だと、融資の必要性が伝わりにくくなり、審査に落ちたり、希望額より少ない金額しか借りられなかったりする可能性があります。
そのため、資金の具体的な使用目的を示し、見積書や資金繰り表などの資料で根拠を示すことが求められます。
さらに、事業開始後の売上、仕入れ、運営費などの資金の流れを明確にすることも大切です。
審査では、事業が安定して継続できるか、返済能力が十分にあるかが判断されるため、説得力のある資金計画を作成し、金融機関に納得してもらえるよう準備を整えるようにしましょう。
実現性のある事業計画書を作る
融資審査を通過するためには、現実的で実行可能な内容を事業計画書に記載することが重要です。
融資の申請には事業計画書の提出が必須ですが、見た目が整っているだけでは不十分で、実現性のない計画では信用を得ることはできないので、どのような事業を展開するのかを明確に示すことが求められます。
具体的には、事業の内容を詳細に記述し、実際に取引可能な取引先のリストなどを盛り込むことで、計画の実現性を裏付ける情報を提供するようにしましょう。
このように、審査担当者に対して、できる限り具体的な根拠を示すことが大切です。
面接対策をする
融資を成功させるためには、入念な面接対策が欠かせません。
審査における面接では、質問内容や評価のポイントがある程度予測できるため、しっかりと準備することが重要です。
実際に、面接は事前準備がしやすいからこそ、どれだけ対策を講じたかが審査結果に大きな影響を与えます。
専門家に相談する
融資の成功率を高めるためには、融資支援の実績が豊富な専門家に相談するのが効果的です。
融資に関する知識と経験を持つプロにアドバイスを求めることで、それぞれの事業計画や経営状況に適したサポートを受けることができます。
また、自己破産の有無に関わらず、事業者が単独で融資申請を進めると、準備不足による書類の不備や見落としが発生するリスクがあります。
確実に審査をクリアするためにも、専門家の協力を得て、しっかりとした対策をするようにしましょう。
再挑戦支援資金融資を受ける際の注意点
再挑戦支援資金融資を受ける際の注意点については、以下の3つが挙げられます。
- 7年以内に廃業した経験が必要
- 審査期間に時間がかかる
- 自己資金が少ないと融資額が少なくなる
それぞれの注意点について解説していきます。
7年以内に廃業した経験が必要
再挑戦支援資金を申し込むには、過去7年以内に事業を廃業した経験が必要です。
実際に、気づいたときには10年が経過しており、申請資格を失ってしまうケースも少なくありません
このように、廃業してから融資を受けたい場合には、できるだけ早めに行動を起こすことが重要です。
審査期間に時間がかかる
融資を申し込む際は、審査に時間がかかることを考慮しておく必要があります。
過去に日本政策金融公庫から融資を受けたことがある場合は、審査が比較的スムーズに進む可能性があります。
しかし、初めて申し込む場合は、申請から数日以内に融資を受けるのは難しいと言えます。
そのため、融資を希望する方は、資金が必要になるタイミングを考慮し、余裕を持って申し込むことが大切です。
自己資金が少ないと融資額が少なくなる
再挑戦支援資金には自己資金要件はありませんが、自己資金が多いほど審査で有利になります。
自己資金が十分に確保されていないと、希望する融資額が満額承認されず、減額される可能性があります。
審査では自己資金の割合も考慮されるため、希望額に対して自己資金があまりに少ない場合、融資が承認されにくくなることもあります。
このように、希望する融資額が不足している場合は、追加で自己資金を用意することを検討しましょう。
廃業歴がある人は再挑戦支援資金を検討しよう!
今回は、再挑戦支援資金について紹介しました。
日本政策金融公庫が提供する「再挑戦支援資金(再チャレンジ支援融資)」は、過去に事業を廃業した経験がある人が再び創業に挑戦する際に利用できる融資制度です。
事業の再スタートを考えている方にとって、有力な資金調達の手段の一つと言えます。
しかし、過去に自己破産や任意整理などを行った人を特別に対象とした制度ではなくて、あくまで事業を再び立ち上げようとする人の創業支援を目的とした融資制度なので、その点を十分に理解した上で活用を検討することが重要です。
今回の記事を参考にして、廃業歴がある人は再挑戦支援資金を検討してみてください。
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この記事の監修者

税理士法人松本 代表税理士
松本 崇宏(まつもと たかひろ)
お客様からの税務調査相談実績は、累計1,000件以上。
国税局査察部、税務署のOB税理士が所属し、税務署目線から視点も取り入れ税務調査の専門家として活動。多数の追徴課税ゼロ(いわゆる申告是認)の実績も数多く取得。
税理士法人松本は 国税OB・元税務署長 が所属し、 確定申告・相続・会社設立・融資サポート・労務手続きなど 幅広いサービスを提供する税理士法人です。
全国からの 税務・労務相談実績 年間1,000件以上
税理士法人松本の強み
- 税務署目線、税理士目線、お客様目線の三方良しの考え方でアドバイス
- 過去の無申告分から税務調査、相続、会社設立まで幅広く対応可能
- 融資や助成金、補助金の申請など資金調達サポートにも豊富な実績
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