退職して家賃が払えないとき、どうすればいい?
転職先が決まっていない状態で退職をしてしまった場合や会社都合で退職した場合は、給与の支払いがなくなってしまうため、家賃を払えなくなってしまう可能性があります。退職したことによって家賃の支払いが難しくなってしまった場合は、どうすればよいのでしょうか。
今回は、退職して仕事がない人が家賃の支払いに困ってしまった場合に利用できる補助制度についてご説明します。
目次
退職者向けの家賃補助制度「住居確保支援金」
退職によって家賃の支払いが難しくなってしまった人を対象に家賃の補助を行う「住宅確保支援金」という公的制度があります。住宅確保支援金は一定の要件を満たしている人に対し、市区町村ごとに定める額を上限に、実際の家賃額を原則3か月間支給するというものです。また、2回まで申請の延長ができ、最大9か月間、補助金の支給を受けられます。
支給された給付金は、申請者に渡されるのではなく、賃貸住宅の賃借人や不動産会社などに自治体から直接支払われるようになります。
住居確保支援金の受給要件とは
住居確保支援金を受給するためには、次の要件を満たす必要があります。
・主たる生計維持者であり、離職・廃業後2年以内である場合、または個人の責任・都合によらず給与等を得る機会が、離職・廃業と同程度まで減少している場合
・直近の世帯収入合計額が、市町村民税の均等割りが非課税となる額の1/12(基準額)と家賃(ただし、上限あり)の合計額を超えていないこと
・現在の世帯の預貯金合計額が、各市町村で定める額(基準額の6か月分。ただし、100万円を超えない額)を超えていないこと
・離職・廃業後2年以内である場合は、ハローワークに求職の申し込みをし、月に1回は職業相談をし、企業への応募、面接を受けるなど、誠実かつ熱心に求職活動を行うこと。
・個人の責任・都合によらず給与等を得る機会が離職・廃業と同程度まで減少している場合は、生活再建への支援プランに沿った活動を行うなど、誠実かつ熱心に求職活動を行うこと。
住居確保支援金の申請方法と必要書類
住宅確保支援金の申請方法と必要になる書類についてご説明します。
住宅確保支援金の申請に必要な書類
住宅確保支援金の申請には、主に次の書類が必要になります。
・本人確認書類
運転免許証、個人番号カード(マイナンバーカード表面)、パスポート、各種福祉手帳、健康保険証、住民票、戸籍謄本等の写し等。顔写真付きの証明書がない場合は2つ以上必要となる場合があります。
・収入を確認できる書類
給与明細、年金等の公的給付金の証明書等。(控除前の額が分かる書類)
・預貯金の金額ができる書類
申請者、同居親族等の金融機関の通帳の写し。
・離職・廃業や就労日数・就労機会の減少が確認できる書類
離職・廃業後2年以内の場合は、 離職票や離職証明書、廃業届等
個人の責任・都合によらず給与等を得る機会が、離職・廃業と同程度まで減少している場合は、勤務日数や勤務時間の減少が確認できる勤怠表等。
住居確保給付金の申請方法
住居確保支援金の申請手順をご説明します。
1.居住エリアの自立相談支援機関に申請をする
まず、各地域にある生活困窮者自立相談支援機関に相談をし、必要書類を提出して、住宅確保支援金の申請をします。
このとき、住居確保給付金申請書、住居確保給付金申請時確認書、入居住宅に関する状況通知書、賃貸契約書等の写し等の提出が必要になります。入居住宅に関する状況通知書については、賃貸人または不動産媒介業者に記入してもらう書類です。
最寄りの自立相談支援機関は厚生労働省のサイトから確認ができます。
厚生労働省「住居確保給付金 申請・相談窓口」
https://corona-support.mhlw.go.jp/jukyokakuhokyufukin/counter.html
2.市区町村による審査
自立相談支援機関は、申請者から書類を受け取ると、市区町村に住居確保給付金の申請書を提出します。市区町村では、書類を基に審査を行い、審査結果を自立相談支援機関に通知します。
3.通知と支給
住居確保給付金の支給が決定した場合、住居確保給付金決定通知書とともに各種手続きに必要な書類が申請者宛に郵送されます。同時に、支給日には市区町村から賃貸人または不動産媒介業者に給付金が支給されます。
4.求職活動状況書類等の提出
住居確保給付金の支給要件には、積極的に求職活動を行うことが含まれています。住居確保給付金の支給が決定したら、申請者は月に1回、求職者活動等状況報告書や就業相談確認票など所定の書類を提出しなければなりません。
また、就労収入が基準額を超えた場合や自己都合によって転居する場合、生活保護を受給した場合は、支給が中止されます。
住居確保給付金の支給額
住居確保給付金の支給額は、自治体によって異なります。東京都の特別区の支給上限額は次の通りです。
住居確保給付金の注意点
住居確保給付金は、退職によって家賃の支払いが難しくなってしまった場合に利用できるありがたい制度ですが、次の点には注意が必要です。
・支給金額の対象は家賃額のみであり、共益費や駐車場代は対象にはならない
・月に1度、自立相談支援機関に求職活動や収入状況の報告が必要
・失業保険を受給している場合は、収入として算定される
・ルームシェアをしている場合は各人の家賃負担額が明確ではないため、支給対象とはならない
・申請日の属する月に支払うべき家賃から支給が行われるが、支給日は支給決定通知書の発送日から3~4週間後になる。
まとめ
退職すれば、当然ですが給与収入は得られなくなります。そのため、退職によって生活費が不足し、家賃が支払えなくなってしまう事態が発生する可能性も出てくるでしょう。今回ご紹介した住居確保給付金は、失業などによって収入が減少し、家賃の支払いが難しくなってしまった方を支援する制度です。積極的に就職活動を行うことも必要ですが、家賃の支払いが厳しくなってきた場合には、この制度の活用も検討してみましょう。
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