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飲食店の追加融資は可能か|審査通過のポイントや準備&金融機関のホンネ

飲食店で「運転資金が足りなくなった」「人手を増やしたい」という状況になれば、追加融資を検討します。
追加融資とはすでに金融機関から融資を受けている人が、追加で受ける融資です。
金融機関としては、返済能力がある事業者であれば貸付を積極的に行いたいのがホンネです。
飲食店という職種に関わらず、状況によっては追加融資が可能です。
追加融資のポイントや申請前の準備について、まとめました。
飲食店の追加融資は可能か
飲食店の開業などですでに融資を受けている人は、追加で融資を受けられるのでしょうか。
追加融資をする時の状況によるというのが正直なところであり、以下のような状況が審査を左右します。
- 返済能力次第で追加融資が可能
- 赤字の場合
- 他社借入が増加している場合
- 返済を滞納している場合
返済能力次第で追加融資が可能
「飲食店として軌道に乗っている」「きちんと利益を出している」という状態であれば、返済能力があると判断されるでしょう。
融資が必要になるのは、事業が低迷している時だけではありません。
「店舗を増やす」「人件費を増やしたい」というような事業拡大の際には、融資が必要になるものです。
利益が見込める状態で、追加の運転資金融資を希望すれば、追加融資が通りやすいといえるでしょう。また、事業の成長性や将来性もプラスに見てもらえる可能性があります。
金融機関としては、返済ができない可能性がある人への追加融資には慎重になります。
赤字の場合
事業が低迷しており、赤字が続いている状態だと追加融資は難しいでしょう。
経営状況は、事業者の返済能力を判断するための重要な要素となるためです。
「なぜ赤字になったのか」「どう赤字を回復させていくか」という具体的な案を説明できれば、追加融資が可能かもしれません。
他社借入が増加している場合
他社からの借入が増加している場合も、追加融資の審査が厳しいものとなるでしょう。
事業に関する借入ではなく、子どものための教育ローンといった借入も対象です。
借入件数や借入金額が増加していると、返済能力が低いと判断されてしまいます。
返済を滞納している場合
支払いを滞納している場合も、追加融資の審査は通りにくくなります。
融資の滞納だけでなく、固定資産税や消費税といった税金の滞納があると追加融資には不利な状況となります。
追加融資の特徴
追加融資は初回融資の審査と異なる点があります。
審査の厳しさや期間について、ご説明します。
- 審査が厳しい
- 審査期間が短い
審査が厳しい
お伝えした通り、追加融資の審査が通るかは状況によります。
初回審査を受けた頃よりも返済能力が低下していれば、審査は厳しいものとなります。
審査期間が短い
日本政策金融公庫の初回融資の審査期間は、おおよそ2週間程度が目安となります。
追加融資となれば申込者の情報がすでに日本政策金融公庫にあるため、審査期間が短くなります。
ただし完済から3年以上経過している事業者は履歴が削除されていますので、初回融資と同等の審査期間が必要になる場合があります。
金融機関による追加融資が可能な条件
「追加融資を受けるには、審査が厳しくなりそうだ」という印象を受けた方もいるかもしれません。
金融機関が追加融資に応じる条件とは、どのようなものなのでしょうか。
- 利益確保ができている
- 飲食店の将来性
- 資金使途が明確に示されているか
利益確保ができている
金融機関が安心して追加融資できる条件として最も重要なのが、利益確保ができているかという点です。
本業の営業利益が黒字であるのが理想的ですが、経常利益で黒字であれば返済能力の高い事業者であると判断されます。
貸し倒れのリスクが高い事業者に追加融資をする金融機関は、少ないでしょう。
飲食店の将来性
「経営者が変更した」「経営手法が変化した」「コロナウイルスの流行」といった要因で、一時的に飲食店としての利益が低迷する時もあります。
ただ追加融資を受ける際に大切なのは、その事業がどこに向かっているのかという将来性です。
利益が落ちているのに、景気のせいにして無策のまま何の対策もとらないような事業者だと、追加融資の審査は厳しいものとなるでしょう。
資金使途が明確に示されているか
なぜ追加融資が必要なのかという、目的が明確でなければ追加融資は難しいでしょう。
設備資金としての融資が必要なのであれば、具体的な見積書を提出します。
運転資金としての融資が必要なのであれば、3ヶ月~6ヶ月先までの資金繰り表を提出します。
資金使途の説明を求められた時に、明確な返答ができるようにしておきましょう。
追加融資の審査を通過するためのポイント
追加融資の審査を通過するためのポイントを7つご紹介します。
- 事業実績が出ているか
- 初回融資の返済は計画通りか
- 資金使用使途に間違いないか
- 1年以上事業継続していて決算書ができてるか
- 他社借入がないか
- 今後の見通しが立っているか
- 担当者との信頼関係が築けているか
事業実績が出ているか
追加融資がポジティブなものであり、将来性が見込める内容であれば審査に通りやすいです。
事業の実績が出ているかがポイントとなりますので、決算書や確定申告書類が確認されます。
また初回融資を受けた時の事業計画書の内容と照らし合わせ、計画に近い形で実績が出ていればプラスの評価になるでしょう。
初回融資の返済は計画通りか
初回融資の返済は計画通り行われているでしょうか。
日本政策金融公庫の返済は、1日でも期限を過ぎると遅延損害金が発生します。
信頼関係を築いていくためにも、返済は滞りなく行っておきましょう。
返済が3割ほど済んでいるタイミングだと、追加融資の審査が通りやすいといわれています。
資金使用使途に間違いないか
追加融資では、初回融資で資金使途に相違がないかという点が確認されます。
設備資金の融資を受けたら、見積書と領収書で差異がないかをチェックします。
多少の値引きであれば容認される範囲ですが、「購入予定だったのにリースにした」「購入予定で融資を受けたのに未購入である」というような事実が発覚すると追加融資を受けにくくなります。
資金使途違反と判断されると、追加融資を受けられないだけでなく、初回融資の一括返済を求められる場合があります。
1年以上事業継続していて決算書ができてるか
追加融資の審査は、1年以上事業継続していて決算書ができている方が通りやすいです。
試算表だと審査が通らないというわけではありませんが、あくまで仮の書類となりますので決算書がある方が望ましいです。
急ぎの追加融資でなければ、決算書ができるのを待って申し込む方がいいかもしれません。
他社借入がないか
日本政策金融公庫から融資を受けていて追加融資を受けようとしているのに、他社からも借入があると印象は良くありません。
カードローンや消費者金融からの借入がある事業者が追加融資を申し込むと、「ローンの返済に使われてしまうのではないか」と疑われてしまいます。
「黙っていれば他社からの借入はバレないのではないか」と思うかもしれませんが、信用情報機関に借入状況の照会をかけますので、必ずバレます。
他社借入がある場合は、完済してから追加融資を申し込むようにしましょう。
今後の見通しが立っているか
追加融資を受けた後の見通しが立てられていなければ、審査通過は難しいです。
「追加融資をどう使うのか」「利益は見込まれているか」「返済計画は無理がないか」などがポイントです。
「初回融資の運転資金が足りなくなったから」というような曖昧な理由でなく、根拠のある計画を示せるようにしましょう。
担当者との信頼関係が築けているか
融資を受けた金融機関の担当者との関係性は良好でしょうか。
返済を滞らせないのは最低限のマナーとし、決算書を提出するなど連絡を密にとっておくといいでしょう。
信用を落とすと、追加融資の審査は厳しいものとなります。
過度に媚を売る必要はありませんが、追加融資を視野に入れているのであれば担当者と良好な関係を築いておけるようにしましょう。
追加融資の審査を受ける前の準備
追加融資の審査を受ける前にしておきたい準備について、お伝えします。
- 追加融資における必要書類の準備
- 追加融資希望の理由を説明できるように
追加融資における必要書類の準備
追加融資の場合は事業者の基本的な情報は金融機関が把握していますので、資格証明書や許認可証などの書類が不要になる場合があります。
実際に提出する書類は担当者と確認していきますが、
以下のようなものが必要になりますので参考になさってください。
書類 |
具体例 |
本人確認書類 |
運転免許証 パスポート |
決算書 |
貸借対照表 損益計算書 勘定科目内訳明細書 確定申告書 |
売上が確認できる書類 |
明細書 試算表 資金繰り表 |
納税が確認できる書類 |
納税証明書 課税証明書 |
返済が確認できる書類 |
返済予定表 |
追加融資希望の理由を説明できるように
お伝えしてきた通り、追加融資希望の理由を説明できるようにしておきましょう。
初回融資の時のように、原則的には追加融資でも面談が行われます。
事業者の情報をすでに確認しているため、追加融資では面談がなしになる場合もあるようですが、きちんと準備をしておくべきです。
追加融資以外の選択肢を考える
追加融資はあくまでも融資なので、返済の義務があります。
「借入額の総額が増えるので不安だ」と感じてしまう人は、追加融資以外の方法として補助金制度の活用を考えてみましょう。
例えば東京都だと飲食事業者向け経営基盤強化支援事業があり、定められた要件を満たしてれば申請できます。
補助金は融資とは違って返済が不要になりますので、魅力的な資金調達方法です。
該当する補助金がないか、調べてみるといいでしょう。
税理士に経営相談を
追加融資を受ける前に、税理士に経営や資金調達に関する相談をしてみませんか?
税理士は税関連の事柄だけでなく、多様なサポートができます。
- 資金調達に関するアドバイス
- 経営課題に関するアドバイス
- 税務関連のサポート
資金調達に関するアドバイス
飲食店が開店して1年は、特に資金繰りに悩む方が多い時期です。
この時期をどう乗り越えていくかが、お店の未来を左右するといっても過言ではありません。
補助金を申請したいと思っても、どの補助金制度を選べばいいのかわからずに、手が止まってしまう方がいます。
税理士は補助金申請のサポートや毎月の資金繰り、長期的な資金の流れを理解して経営のサポートを行います。
経営課題に関するアドバイス
資金の流れに関する理解を深め、経営課題に関するアドバイスを行います。
現状を正しく把握した上で計画を立てていかないと、リスクが高くなってしまうためです。
税処理をする上で経営の資金繰りに関する知識は、欠かせません。
多くの税理士事務所で経営相談を受け付けています。
税務関連のサポート
税理士は、確定申告などの税務処理に関するサポートを行います。
特に起業したばかりの事業者では、「どう税金を納めていくべきか」と、ひとつひとつの事務作業に頭を悩ませてはいませんか?
顧問税理士がついていれば、正しい納税はもちろん、税務調査の対象になった時にもサポートが可能です。
飲食店の追加融資に関するよくある質問
飲食店の追加融資に関するよくある質問をまとめました。
- 飲食店が2号店を出すタイミングは?
- 飲食店の融資の平均額はいくらですか?
- 追加融資が断られたのはなぜですか?
飲食店が2号店を出すタイミングは?
1号店で安定した利益が出ていれば、2号店を検討してもいいでしょう。
店舗が増えると光熱費や家賃などの経費がかかりますので、2号店でも利益を出していけるかを丁寧に検討しましょう。
2号店を任せられる優秀な人材が揃っているかも重要なポイントとなりますので、これらの条件が揃っているかを確認しましょう。
飲食店の融資の平均額はいくらですか?
飲食店開業の平均資金は1,000万円程度で、その内、約55%が融資で賄われています。
ただ飲食店の開業費は店舗の立地や規模、ジャンルによっても異なります。
平均値を気にしすぎず、自身の開業店舗にいくら必要なのかを綿密に考えていきましょう。
追加融資が断られたのはなぜですか?
追加融資の審査が通らず、断られてしまうケースがあります。
理由として考えられるのは、「1回目の融資から間もない」「事業が計画通りに進んでいない」などが考えられます。
資金調達にお困りの場合は、税理士法人松本へご相談ください。
飲食店の追加融資のご相談は税理士法人松本へ
飲食店は開業してから経営が軌道に乗るまでに、6ヶ月はかかるといわれています。
追加融資が必要な状態であれば、税理士法人松本にご相談ください。
お店の資金繰りや状況により、最適な方法を一緒に考えていきましょう。
‐免責事項‐
当ブログのコンテンツ・情報について、できる限り正確な情報を提供するように努めておりますが、正確性や安全性を保証するものではありません。内容は記事作成時の法律に基づいています。当サイトに掲載された内容によって生じた損害等の一切の責任を負いかねますのでご了承ください。
この記事の監修者

税理士法人松本 代表税理士
松本 崇宏(まつもと たかひろ)
お客様からの税務調査相談実績は、累計1,000件以上。
国税局査察部、税務署のOB税理士が所属し、税務署目線から視点も取り入れ税務調査の専門家として活動。多数の追徴課税ゼロ(いわゆる申告是認)の実績も数多く取得。
税理士法人松本は 国税OB・元税務署長 が所属し、 確定申告・相続・会社設立・融資サポート・労務手続きなど 幅広いサービスを提供する税理士法人です。
全国からの 税務・労務相談実績 年間1,000件以上
税理士法人松本の強み
- 税務署目線、税理士目線、お客様目線の三方良しの考え方でアドバイス
- 過去の無申告分から税務調査、相続、会社設立まで幅広く対応可能
- 融資や助成金、補助金の申請など資金調達サポートにも豊富な実績
- 顧問税理士が対応に困った案件も途中からサポートできます
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