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創業融資
返済不要な創業融資はある?利用するメリット・デメリットや返済不要な資金調達方法も紹介

読了目安時間:約 6分
返済が不要となる融資制度は存在しません。
そもそも融資とは、資金を受け取った側が、一定の利息を加えて元本を返済することを前提とした金銭消費貸借契約に基づくものです。
創業融資についてもこの原則に従い、契約に定められた条件に基づいて返済を行う必要があります。
本記事では、返済不要な融資制度はあるのかについて紹介します。
他にも「創業融資を利用するメリット・デメリット」や「返済不要な資金調達方法」についても解説していきます。
ぜひこの記事を参考にして、創業融資について理解を深めてみてください。
目次
返済不要な融資制度はある?

返済不要の創業融資はありません。
そもそも融資とは、お金を借りることを指し、どのような融資であっても返済の義務が発生します。
しかし、日本政策金融公庫は日本政府が100%出資する公的な金融機関で、銀行や信用金庫といった民間の金融機関とは異なり、営利目的で運営されているわけではありません。
その役割として、国民の生活を支えるセーフティーネットの機能や日本経済・地域経済の活性化を目的とした融資を行っています。
このため、民間の金融機関では融資が難しい創業期の企業や個人事業主に対しても融資を実施し、また、長期間・低金利での資金提供を行うことが特徴です。
さらに、借入後に返済が困難になった場合には、据え置き期間の延長や毎月の返済額の見直しなど比較的柔軟な対応をしてもらえることもあります。
創業融資の種類

創業融資の種類については、以下の4つが挙げられます。
- 日本政策金融公庫の融資
- 制度融資
- 民間金融機関の融資
- ビジネスローン
それぞれの種類について解説していきます。
日本政策金融公庫の融資
日本政策金融公庫は、社会のさまざまなニーズに対応する政策金融を実施しており、特に創業支援に力を入れています。
新たに事業を始める方や事業開始後一定期間内の事業者を対象とした「新規開業資金」という融資制度を提供しています
政府系金融機関であるため、民間の銀行などに比べて融資を受けやすい点が特徴です。
また、「新規開業資金」は原則として無担保・無保証人での融資が可能なため、起業時の資金調達手段として活用しやすいメリットがあります。
制度融資
制度融資とは、地方自治体である都道府県や市区町村が、中小企業や個人事業主の創業支援や地域経済の活性化を目的として、信用保証協会および金融機関と連携して提供する融資制度です。
低金利かつ固定金利で資金を調達できる点が大きな特徴です。
しかし、制度融資を利用する際には、信用保証協会に対して保証料を支払う必要があります。
民間金融機関の融資
民間金融機関の融資には、メガバンクや地方銀行、信用金庫、信用組合などによるものがあります。
融資の種類には、信用保証協会の保証を受けられるものだけでなく、保証なしで直接借り入れるプロパー融資も存在します。
さらに、日本政策金融公庫などの公的融資と組み合わせることで、調達可能な資金の総額を増やせる点が大きな利点です。
しかし、複数の金銭消費貸借契約証書を作成する必要があるため、収入印紙の貼付や印鑑証明書などの書類準備にかかる費用が増加する可能性があります。
また、各金融機関ごとに個別の面談を受ける必要があり、その分の時間も確保しなければなりません。
ビジネスローン
ビジネスローンとは、法人や個人事業主が事業資金を確保するための専用ローンです。
主に民間の金融機関や消費者金融などで提供されており、資金調達の手段として活用されています。
銀行の一般的な融資と比べると、資金が振り込まれるまでのスピードが速い傾向があります。
しかし、民間の融資や信用保証協会が保証する融資に比べると、通常、金利は高めに設定されています。
また、どの金融機関やノンバンクを利用するかによって、借入可能な金額や適用される金利、資金が手元に入るまでの期間が異なります。
そのため、利用する際は各社の条件をしっかり比較・確認することが重要です。
創業融資を利用するメリット

創業融資を利用するメリットについては、以下の4つが挙げられます。
- 審査が通過しやすい
- 無担保・無保証の融資がある
- 着金までのスピードが速い
- 長めに返済期間を設定できる
それぞれのメリットについて解説していきます。
審査が通過しやすい
創業融資は、融資の審査が比較的通りやすい点が特徴の一つです。
例えば、日本政策金融公庫の創業融資であれば、政府が全額出資して運営しているため、通常の銀行では対応が難しいケースでも融資を受けられる可能性があります。
さらに、日本政策金融公庫は、民間の金融機関が提供しづらい大規模な資金力を持っているため、創業したばかりの事業者や、事業の安定性を証明しにくい方でも融資を申し込みやすい環境が整っています。
銀行や信用金庫で融資を断られた場合でも、資金調達の選択肢として検討しやすいのが大きなメリットです。
しかし、審査が通りやすいとはいえ、申請者が経営者として信頼できるかどうかは厳しくチェックされるので、事業計画や財務状況などの提出資料を通じて、事業の将来性や経営への真剣な取り組みを示すことが重要です。
無担保・無保証の融資がある
一般的な融資を受ける場合、通常は代表者が保証人として責任を負う必要がありますが、日本政策金融公庫の創業融資では、保証人を求められないケースがあります。
無担保・無保証の融資は、万が一事業が軌道に乗らず倒産した場合でも、代表者個人の資産を守ることを目的としており、創業から2年以内の企業が利用できるようになっています。
この制度を知っておくことで、資金調達の選択肢を広げることにもつながります。
着金までのスピードが速い
日本政策金融公庫からの創業融資は、信用保証協会を経由しないため、手続きが比較的シンプルで、資金が振り込まれるまでのスピードが速い点が大きなメリットです。
具体的に、初めて融資を受ける場合、資金が実際に振り込まれるまでの期間はおおよそ1ヶ月程度とされています。
特に、事業計画書や資金繰り表などの書類は詳細な確認が求められるため、審査期間が長くなる傾向にあります。
一方、一般的な民間金融機関から融資を受ける場合、申請から融資実行までに2〜3ヶ月ほどかかることが多いとされています。
民間金融機関の融資は通常、信用保証協会の保証を利用する仕組みになっており、金融機関だけでなく、信用保証協会への書類提出も必要になるからです。
さらに、審査プロセスも二重に行われるため、民間金融機関と信用保証協会の両方で審査を受ける必要があり、その結果、融資実行までの時間が長くなる傾向にあります。
そのため、できるだけ早く資金を確保し、スムーズに事業に専念したいと考えている方にとっては、日本政策金融公庫の創業融資を活用することをおすすめします。
長めに返済期間を設定できる
事業資金として創業融資を利用する場合、他の融資と比べて返済期間を長めに設定できるのが特徴です。
返済期間が短いと毎月の返済額が大きくなり、資金繰りが厳しくなる可能性があります。
そのため、余裕を持った返済計画を立てたい方にとっては、長めの返済期間を設定できる創業融資が有効な選択肢と言えます。
例えば、日本政策金融公庫が提供する新規開業ローンの返済期間は以下のように定められています。
- 運転資金:最長7年
- 設備資金:最長20年
しかし、返済期間を長くすると、その分支払う利息が増えるため、最終的な総返済額は大きくなります。
長期返済を選択する際は、最終的な支払総額がどの程度になるのかを試算し、事業の収益計画と照らし合わせた上で慎重に判断するようにしましょう。
創業融資を利用するデメリット

創業融資を利用するデメリットについては、以下の2つが挙げられます。
- 中小企業事業は繰上返済ができない
- 融資担当者が選べない
それぞれのデメリットについて解説していきます。
中小企業事業は繰上返済ができない
創業融資の中でも、国民生活事業の融資は繰り上げ返済が可能ですが、中小企業事業の融資では繰り上げ返済が認められていません。
できるだけ早く返済を完了させたい企業にとっては、不利な条件となる可能性があります。
どの融資制度を利用するかは、日本政策金融公庫の担当者との相談を通じて決めることになります。
そのため、自身が申し込む融資が小規模事業者向けなのか、それとも中小企業向けなのかを、事前に担当者と話し合い、適切な制度を選ぶようにしましょう。
融資担当者が選べない
創業融資を利用するデメリットとして、融資担当者が選べないことが挙げられます。
実際に、担当者は自分で選ぶことができず、日本政策金融公庫が決定します。
そのため、担当者によって得意とする分野や業界の知識に差があり、自分の事業に詳しい担当がつくかどうかは運次第です。
また、担当者との相性が審査結果に影響を与える可能性もあるため、デメリットとして挙げられます。
もし事業に対する理解が浅い担当者になった場合、事業内容を説明し、納得してもらうまでに時間がかかるリスクもあります。
そのため、どのような担当者が来てもスムーズに理解してもらえるよう、事前にしっかりと準備を整えておくことが大切です。
返済不要な資金調達方法

返済不要な資金調達方法については、以下の3つが挙げられます。
- 方法①:補助金・助成金
- 方法②:クラウドファンディング
- 方法③:ファクタリング
それぞれの資金調達方法について理解を深めてみてください。
方法①:補助金・助成金
返済不要の資金調達方法の一つとして、補助金や助成金の活用が挙げられます。
国や地方自治体は常に何らかの支援制度を設けており、その種類も多岐にわたるため、自社に適したものが見つかる可能性は十分にあります。
しかし、補助金や助成金は常時利用できるわけではなく、募集時期が限られているため、タイミングが合わなければ応募できません。
また、申請したからといって必ずしも採択されるとは限らず、審査に通らなかった場合は資金を得ることができません。
さらに、補助金の種類によっては、事業計画通りに進行しているか定期的な報告が求められ、資金の支給も事業完了後となるケースが多いため、実際に手元に資金が入るまでに時間がかかる点も考慮する必要があります。
支給される金額は数十万円から多くても数百万円程度のものが一般的で、大規模な資金調達には向いていないのも事実です。
そのため、補助金や助成金はあくまで事業の一部を補助する資金として活用するのが現実的と言えます。
方法②:クラウドファンディング
クラウドファンディングにはいくつかの種類がありますが、中でも最も一般的なのは「購入型」と呼ばれるもので、支援者が商品やサービスを購入する形で資金を提供する仕組みです。
単なるオンライン販売とは異なり、支援者が事業やプロジェクトそのものを応援したいという想いを込めて資金を提供する点に特徴があります。
そのため、まだ実現していないアイデア段階のプロダクトやサービスであっても、魅力的なコンセプトであれば十分に資金を集めることができる可能性があります。
創業初期の資金調達手段としても適していると言えます。
しかし、魅力的な商品やサービスでなければ支援を集めることは難しく、単にプラットフォームに掲載するだけでは成功することは難しく、多くの支援を得るためには、積極的な広報活動や宣伝が不可欠です。
方法③:ファクタリング
ファクタリングとは、企業が保有する売掛債権を専門業者に買い取ってもらうことで、本来の入金予定日よりも早く現金化できる仕組みです。
資金の回転をスムーズにする効果があるため、特に小規模事業者にとっては、適切に活用すれば役立つサービスと言えます。
しかし、ファクタリングは一種の「先払い」のような形態をとるため、取引先からの入金があった際には、ファクタリング会社へその資金を支払う必要があります。
また、このサービスを利用する際には手数料が発生し、一般的に10〜20%程度と高めに設定されていることが多いため、売上規模が大きくなるほど負担も増加します。
長期的に見れば資金繰りが厳しくなる可能性もあるため、慎重な判断が求められます。
さらに、ファクタリングの性質上、万が一債権の支払いが滞った場合には、取引先に通知が行くこともあり、これが信用低下につながるリスクもあります。
そのため、安易に導入するのではなく、手数料や契約内容を十分に検討した上で利用を決定することが重要です。
創業融資を活用して事業立ち上げをスムーズに行おう!

今回は、返済不要な創業融資はあるのかについて紹介しました。
これから事業を立ち上げる方にとって、創業融資は欠かせない資金調達の手段です。
返済が不要な資金ではありませんが、低金利や無担保で借りられるケースが多く、大きなメリットがあります。
また、返済不要な資金調達方法も検討することで、自己負担を軽減しつつ、安定した運転資金を確保できます。
今回の記事を参考にして、創業融資を活用して事業立ち上げをスムーズに行いましょう。
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この記事の監修者

税理士法人松本 代表税理士
松本 崇宏(まつもと たかひろ)
お客様からの税務調査相談実績は、累計1,000件以上。
国税局査察部、税務署のOB税理士が所属し、税務署目線から視点も取り入れ税務調査の専門家として活動。多数の追徴課税ゼロ(いわゆる申告是認)の実績も数多く取得。