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創業融資
自己資金なしで起業するなら融資制度を活用するのがおすすめ!制度内容や資金調達方法を解説
この記事の監修者
税理士法人松本 代表税理士
松本 崇宏(まつもと たかひろ)
お客様からの税務調査相談実績は、累計1,000件以上。
国税局査察部、税務署のOB税理士が所属し、税務署目線から視点も取り入れ税務調査の専門家として活動。多数の追徴課税ゼロ(いわゆる申告是認)の実績も数多く取得。
これから起業しようとしている人や最近起業したばかりの人で、自己資金がなくてもお金を借りられるのか気になる方も多いのではないでしょうか。
結論から言うと、自己資金がなくても融資を受けることは可能で、日本政策金融公庫の創業融資など様々な選択肢があります。
本記事では、自己資金なしで創業融資を受ける方法について詳しく解説します。
また、融資を受ける際の注意点や融資以外で資金調達をする方法についても紹介しますので、ぜひこの記事を参考に、起業に必要な資金を獲得するための知識を得ていただけたら幸いです。
起業に必要なお金とは
企業を目指すにあたり、不安要素となるのが「お金」のことです。
どんなに事業のビジョンがきちんとあっても、必要な経費が準備できていなければ企業は難しいです。
法人の場合は、設立時に登録免許税や定款認証手数料など事務手数料がかかりますし、他にも店舗や事務所の準備資金、電気やインターネットなどの設備資金、オフィス用品など様々な経費がかかります。
自己資金なしでも起業できる?
自己資金がない場合でも起業自体は可能です。
しかし、一般的には起業するためには前述したように様々な費用がかかり、起業したとしても、すぐには利益に繋がらず、その間も様々な費用がかかるため、それを自己資金でまかなえるのかを考える必要があります。
そして、自己資金でまかなえそうにない場合は、融資を受けるなどの資金調達が必要です。
まずは、自己資金に該当するものが何かを知っておきましょう。
【自己資金に含まれるの】
預貯金 | 自分で貯めていたお金 |
退職金 | 起業に向けて退職した際に支払われたお金 |
相続で得た資金 | 遺産相続によって得たお金 |
生命保険の解約金 | 生命保険を解約することで得たお金 |
みなし自己資金 | 起業に際してすで支払ったお金 |
第三者割当増資 | 株式会社として起業する場合、株式の有償売買によって得たお金 |
自己資金なしで起業するなら創業融資の活用を!おすすめの融資制度を紹介
起業する際に、自己資金が全くない状態では、審査の厳しい民間の金融機関からの融資は受けられない可能性が高いです。
この場合は、以下の公的な創業融資制度の利用を検討してみましょう。
- 日本政策金融公庫|新規開業資金
- 日本政策金融公庫|中小企業経営力強化資金
- 日本政策金融公庫|挑戦支援資本強化特例制度(資本性ローン)
- 信用保証協会|制度融資
- 地方自治体の制度融資
これらは、自己資金がなくても創業融資を受けられる可能性が高いです。
それぞれ詳しく説明していきます。
日本政策金融公庫|新規開業資金
自己資金がなく起業した方にまず検討していただきたいのが、日本政策金融公庫の「新規開業資金」です。
日本政策金融公庫は、政府が100%政府が出資した金融機関で、中小企業や小規模事業者を支援する融資制度が豊富なことで知られています。
日本政策金融公庫の新規開業資金は、新たに事業を始める方や事業開始後税務申告を2期終えていない方を対象に、原則として無担保・無保証人で融資する制度です。
基本的に、自己資金がない場合は審査が厳しくなり、融資の対象とならないケースが多いですが、この制度では自己資金要件はなく、幅広い方の創業・スタートアップを重点的に支援しています。
【新規開業資金の概要】
対象者 | 新たに事業を始める方または事業開始後おおむね7年以内の方 |
資金用途 | 設備資金 運転資金 |
融資限度額 | 7,200万円(うち運転資金4,800万円) |
返済期間 | 設備資金20年以内(うち据置期間5年以内) 運転資金10年以内(うち据置期間5年以) |
日本政策金融公庫|中小企業経営力強化資金
日本政策金融公庫の「中小企業経営力強化資金」は、新事業分野の開拓などを行う中小企業の活動を支援するための融資制度で、創業期から利用可能です。
この制度は自己資金の要件がないため、融資審査の際にある程度の自己資金があった方が有利ですが、自己資金がない状態でも起業のための融資が受けられる可能性があります。
また、融資限度額も大きく、低金利で借りることができるため、事業が軌道に乗るまでの資金調達方法としても有効です。
【中小企業経営力強化資金の概要】
対象者 | 対象となる条件①以下の全てに該当すること ・経営革新や異分野の中小企業と連携し、市場の創出・開拓を目的にしている ・認定経営革新等支援機関による指導や助言を受けている 対象となる条件②以下の全てに該当すること ・「中小企業の会計に関する基本要領」または「中小企業の会計に関する指針」を適用している ・事業計画書の策定をする |
資金用途 | 設備資金 運転資金 |
融資限度額 | 直接貸付7億2,000万円 |
返済期間 | 設備資金20年以内 運転資金 7年以内 ※2年間の据置期間あり |
日本政策金融公庫|挑戦支援資本強化特例制度(資本性ローン)
日本政策金融公庫には、「挑戦支援資本強化特例制度(資本性ローン)」という融資制度もあります。
スタートアップや新事業展開・海外展開・事業再生等に取り組む方の財閥体質を強化したり、ベンチャーキャピタル・民間金融機関などからの資金調達を支援したりするための制度です。
また、資本性ローンであるため、金融機関の資産査定では借入金が自己資本とみなされるのが特徴となっています。
【挑戦支援資本強化特例制度(資本性ローン)の概要】
対象者 | 以下のいずれかの融資制度の対象となる方 ・新規開業資金新事業活動促進資金海外展開 ・事業再編資金事業承継・集約 ・活性化支援資金企業再建資金ソーシャルビジネス支援資金および助言を受けている方 その他条件として以下のすべての要件も満たす方 ・地域経済活性化にかかる事業を行うこと ・税務申告を1期以上行っている場合、原則として所得税等を完納していること |
資金用途 | 設備資金 運転資金 |
融資限度額 | 7,200万円 |
返済期間 | 5年1ヵ月以上20年以内 |
信用保証協会|制度融資
信用保証協会は、47都道府県と4市(横浜市、川崎市、名古屋市、岐阜市)にあり、信用保証協会法に基づき、中小企業や小規模事業者の方が資金調達をする際に融資を受けやすいようサポートするのを目的に設立された公的機関です。
具体的には、金融機関から創業融資などを受ける際に連帯保証人となり、万が一事業主が倒産などによって借入金を返済できなくなった場合でも、信用保証協会が代わりに返済を行うため、金融機関は中小企業者などへ融資がしやすくなります。
注意点として、信用保証料がかかることや金融機関から確実に借入ができるわけではないことです。
また、返済できなかった場合は信用保証協会へ返済が必要となります。
地方自治体の制度融資
起業に際して自己資金なしで融資を受けたい場合、都道府県や市区町村といった地方自治体の制度融資を活用するのもおすすめです。
制度融資とは、地方自治体と金融機関と信用保証協会の3つの機関が連携して実行する融資制度で、比較的審査に前向きで実績のない企業でも審査に通りやすく、低金利で長期間借りられるというメリットがあります。
ただし、こちらの制度は都道府県によって違いがあるほか、全ての自治体で行われているわけではないので、起業する地域に再度融資があれば検討してみると良いでしょう。
融資以外で資金調達する方法
自己資金がない状態での起業は、様々な面で厳しくなります。
さらに、自己資金が多い方が多くの融資を受けられる可能性が高いため、できる限り自己資金を準備しておくのがおすすめです。
ここでは、融資以外で資金調達する方法をご紹介します。
- 出資してもらう
- 退職金を使う
- 資産を売却する
- 保険を解約する
- 補助金・助成金を使う
- 共同経営者と組む
- 家族や親族から贈与を受ける
出資してもらう
起業するためにまず検討しておきたいのが、出資を募ることです。
事業計画に賛同してくれる投資家を探したり、近年流行しているクラウドファンディングを活用したりするなどして、資金を集められます。
退職金を使う
現在勤めている会社を辞めて起業する場合、その際に支払われる退職金を自己資金とすることができます。
退職金がもらえるタイミングは一般的に、退職日以後、1週間~1ヶ月位の間ですが、会社の退職金規定などで確認しておくのがおすすめです。
資産を売却する
価値のある動産や不動産などの資産を所有している場合、それを売却して資金を得る方法があります。
売りに出してから買い手が決まり、その後引き渡しがあるため、入金があるまで相当の時間を要します。
そのため、計画的に行う必要があるでしょう。
保険を解約する
積立金のある保険を契約している場合、それを解約して入金されたお金を自己資金にする方法もあります。
この場合はお金が入金されてからでなければ自己資金として扱えません。
また、本当に保険を解約して良いものかよく検討する必要があります。
補助金・助成金を使う
国や地方自治体による助成金や補助金を活用するのも有効です。
補助金・助成金の中には、会社設立時に利用できるものもあるため、自身に合うものを選びましょう。
補助金や助成金は原則として返済不要で、うまく活用できれば、起業時の強力な資金調達となります。
共同経営者と組む
共同経営は、複数の経営者が対等な立場で一緒に経営する形態です。
お互いの足りない部分を補い合えるのがメリットで、共同経営者から資本金として資金援助をしてもらうこともできます。
家族や親族から贈与を受ける
家族や親族から資金を出してもらうケースもよくあります。
起業資金を親などから援助してもらう場合、資金をもらう「贈与」と資金を借りる「借入」があります。
贈与といっても、金額によっては税金がかかる恐れがあるため、注意しましょう。
自己資金ゼロで融資を受ける際に大切なポイント
先述した融資制度は、自己資金がなくても融資を受けられる可能性がありますが、誰でも簡単にお金を借りられるわけではありません。
そこで、自己資金なしで創業融資を受ける場合に押さえていただきたいポイントを説明していきます。
見せ金は自己資金として通用しない
見せ金とは、相当する資金があるかのように見せかけるお金のことです。
創業融資においては、第三者からの審査のときのみ一時的に借り入れ、自己資金があるかのように提示し、審査が終了した後に借りたお金を返済する行為を指します。
しかし、審査では預金口座の通帳原本を確認するケースが多いため、見せ金は通用しません。
「見せ金である」と判断された時点で審査落ちする可能性が高く、さらには信用を失ってしまい、今後の融資にも悪影響を及ぼす恐れがあるので絶対にやめましょう。
綿密な事業計画を準備する
融資を受けたいと考えている方は、実現性が高く、かつ説得力のある事業計画書を作成することが大切です。
お金を提供する側は、その企業に資金が本当に必要なのか、しっかり運用できるのかを判断して融資しますが、返すあてがない企業に対してはお金を貸せないため、厳しい審査となるのです。
ですから、資金調達について相談する段階から、事業計画やキャッシュフローについて綿密に組み立てておく必要があります。
特に資金計画や収支計画については、事業計画書の中で根拠のある具体的な数字で示すことを意識しましょう。
【事業計画に必要な要素】
- 経営者の経歴・起業の動機
- 経営理念・目標・ビジョン
- 事業概要(コンセプト・サービス内容)
- 市場環境・競合状況
- 自社の強みや成長性
- 人員計画や実施体制
- 資金計画
- 収支計画 など
税理士など専門家に相談する
自己資金がない方は事業計画をよく練る必要があるため、専門家に相談するのがおすすめです。
法律全般に詳しい弁護士、税金や資金に関することに精通している税理士、各種書類の作成をサポートしてくれる司法書士など、専門家に相談することで融資を受けられる可能性が高くなります。
創業融資に関することは、税理士に相談するのが近道ですが、得意分野は税理士によって異なるため、あらかじめ創業融資についての相談内容を確認したうえで探しましょう。
創業融資を活用して起業を成功させよう
たとえ自己資金がなくても、日本政策金融公庫や信用保証協会、地方自治体などからの融資を活用して資金を調達すれば、起業も可能です。
自己資金を増やす方法もいくつかあるので、何が自己資金にあたるのか、資金を集める方法として何が最適かを考えたうえで準備を進めましょう。
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