2024.11.18

会社設立

会社設立にかかる期間は?手続きスケジュール&事前準備のポイント

この記事の監修者

松本 崇宏

税理士法人松本 代表税理士

松本 崇宏(まつもと たかひろ)

お客様からの税務調査相談実績は、累計1,000件以上。
国税局査察部、税務署のOB税理士が所属し、税務署目線から視点も取り入れ税務調査の専門家として活動。多数の追徴課税ゼロ(いわゆる申告是認)の実績も数多く取得。

株式会社を設立するなら3週間程度の時間がかかり、
合同会社設立なら2週間程度と時間を短縮できます。

この期間は目安のため、短縮できる場合もあるでしょうし、もっと時間がかかる場合もあるでしょう。

どうしたら手続きにかかる時間を短縮させられるでしょうか。

会社を設立する際のスケジュールについて理解すると、何を準備しておけばいいかがわかってきます。

またなぜ合同会社は会社設立期間が短いのか、合同会社にするとどんなメリットやデメリットがあるのかもご説明していきます。

会社設立のための準備には何が必要か、会社設立期間が短い合同会社にすべきか、というポイントを確認し、会社設立のための知識を身に着けておきましょう。

会社設立にかかる期間は2~3週間が目安

会社設立期間

会社設立にかかる期間は、一般的に2~3週間が目安となります。

株式会社約3週間
合同会社約2週間

株式会社にするか、合同会社にするか、登記までの準備をどのくらいしておくかによって、期間に違いがでてきます。

会社の設立年月日は、法務局が設立登記申請を受け付けた日となります。

登記申請だけであれば3週間も時間は必要ないかもしれませんが、準備や関連業務を考えるとスケジュールに余裕をもって準備を始めた方がよいでしょう。

会社設立のスケジュール

会社を設立する際のスケジュールは、こちらです。

法務局に登記申請するまでに準備が必要になり、準備をしっかりできていると期間を短縮させられます。

  1. 設立前の準備
  2. 定款の作成・認証
  3. 資本金の払い込み
  4. 登記申請

設立前の準備

会社を設立するためには、いろいろ決めなくてはならない項目があります。

書類を書く段階でひとつひとつ悩んでいては時間がかかってしまいますので、これらの内容を事前に考えたり、準備しておきましょう。

  • 会社名(商号)を決める
  • 事業内容を決める
  • 会社本店所在地を決める
  • 株式について決める
  • 個人の印鑑登録と実印の発注

会社名(商号)を決める

会社名(商号)は、事業内容や会社の雰囲気、理念が伝わるようなわかりやすいものがいいでしょう。

基本的には自由に決められますが、使用できない文字や記号がありますし、すでに商標登録されている会社名やブランド名は避けた方がいいでしょう。

同一住所に同じ名前の会社がすでにある場合も、配慮すべきです。

会社の種類がわかるよう、「株式会社」や「合同会社」をつけるようにしましょう。

事業内容を決める

設立する会社でどのような事業を行うのか、近い将来行う予定の事業内容を決めておきましょう。

絶対記載事項のひとつで、定款へ記載しなくてはいけません。

事業内容を変更・追加する場合には、株主総会の特別決議や定款の変更などの手続きが必要になります。

手続きには手間も時間もかかりますので、想定している内容はこの段階で盛り込んでおいた方がいいでしょう。

会社本店所在地を決める

会社設立期間

会社を設立するには所在地を決めなくてはいけませんが、必ず新しい事務所を準備する必要はありません。

自宅やシェアオフィス、バーチャルオフィスでも登記は可能です。

しかし本社の所在地は会社の信用やブランドに関わる、大切な要素のひとつといえます。

法人口座の開設審査もありますし、会社設立後に住所変更となると変更登記手続きが必要になります。

長期的に事業を続けていけるよう、会社の所在地をどこにすべきかを考えておきましょう。

株式について決める

株式会社にする場合は、株式についても事前に決めておくとスムーズです。

登記事項である株式の発行枚数や1枚あたりの
株式の値段、株式譲渡の有無を考えておきます。

株式譲渡の有無とは、株式市場において自由に売買が可能になる株式公開にするか、非公開にするかという内容です。

設立したばかりの会社は経営者の経営権を確保しやすくするために、一般的に譲渡制限をつけます。

個人の印鑑登録と実印の発注

法人の登記申請をする際には、設立者の印鑑登録証明書と実印が必要です。

会社の設立者とは、株式会社の場合は発起人、合同会社は代表社員を指します。

オンラインで設立登記を行う際は、印鑑の提出が任意となっています。

定款の作成・認証

定款の作成・認証

定款(ていかん)とは、「会社の憲法」とも呼ばれるもので、会社のルールをまとめた書類です。

全ての会社で必ず作成しなくてはいけないものであり、株式会社の場合は公証役場で定款の認証を受ける必要があります。

定款の作成をする

定款は、会社設立時に必ず作成しなければならない書類のひとつです。

会社名や資本金、事業目的や組織について書かれたもので、内容は法律で定められており、法に準じていない定款は無効となる可能性があります。

定款を作るのは発起人で、紙と電子定款のどちらか好きな方を選べます。

定款の作成は発起人が行いますが、司法書士など専門家への依頼も可能です。

定款の認証を行う

定款の認証とは、定款が正しく作成されたかを確認するものです。

公証役場にて定款の認証が行われますので、紙の定款は製本・印刷します。

電子定款はオンラインで作成・認証申請までできますが、認証済みの定款を受け取るために公証役場へ足を運ぶ必要があります。

専門家ではなく自身で定款を作成すると、一度で認証が下りない場合もあります。

所要時間は30分~1時間程度、認証完了までの期間はおよそ1週間を目安に考えておきましょう。

資本金の払い込み

定款を作成し、無事に認証されたら、資本金の払い込みをします。

この段階では法人口座がありませんので、発起人の個人口座へ資本金を払い込みます。

資本金の払い込みを証明するため、通帳のコピーをとり、払込証明書を作成しておきましょう。

登記申請

必要書類を揃え、法務局にて登記申請をします。

この登記申請をした日が会社設立日となりますが、
実際に登記登録が完了するまでには1週間~10日程度の時間がかかると覚えておきましょう。

管轄の法務局の込み具合や時期によっても、多少前後する可能性があります。

会社設立は最短1日でできる!?

会社設立1日

会社設立には上記のような流れがありますので、3週間程度の時間が必要です。

しかしインターネットの記事で、「最短1日」という広告を目にした経験がある方もいるかもしれません。

なぜ1日で会社が設立できるのでしょうか?

できるだけタイトなスケジュールで会社設立するためのヒントを探してみましょう。

  • 会社設立最短1日のカラクリ
  • 登記完了予定日とは

会社設立最短1日のカラクリ

会社設立最短1日とは、会社の登記申請が1日で終わるという意味のようです。

そもそもどんなに自身がスピーディーに動いたとしても、登記申請から登記登録が完了するまでは
1週間~10日程度の時間が必要です。

会社を設立するまでの準備はスケジュールに含まず、全て用意された状態であれば、登記申請を1日で済ませられるかもしれません。

オンラインでできる手続きを駆使すれば、従来よりも会社設立のための所要時間は短縮されるでしょう。

しかし「1日で会社を設立しよう!」という予定でいると、スケジュールに大きな誤算が生まれる可能性がありますので注意しましょう。

登記完了予定日とは

登記申請した段階で登記完了日が知りたい場合は、
登記完了予定日をチェックしておきましょう。

前後する可能性はありますが、法務局のホームページで、登記完了予定日を調べられます。

東京都の場合はこちらです。

場合によっては2週間近くかかるかもしれません。

法人口座を開設したいと思っても、登記事項証明書が必要になりますので、登記完了日がその後のスケジュールに関わってくるでしょう。

会社設立が早い合同会社とは

会社設立合同会社

会社を設立するスケジュールが株式会社よりもスピーディーなのが、合同会社です。

出資者が会社の経営者と同じであるという特徴があります。

なぜ合同会社は早く会社設立できるのか、またその他の特徴についてご説明します。

  • 合同会社は早く会社設立できる理由
  • 合同会社は設立費用が安い
  • 合同会社のデメリット

合同会社は早く会社設立できる理由

合同会社は、出資者と経営者が同一の会社の形態なので、株式会社よりも経営の自由度が高いのが特徴です。

定款の作成は必要ですが、定款認証がないので株式会社よりも早く会社設立できます。

合同会社は株式会社と比較すると、組織としての意思決定が迅速に行えます。

小規模事業の法人化で選択されるケースもあり、会社設立のハードルが低いのがメリットです。

合同会社を設立し、将来的に株式会社への移行が可能です。

ただし株式会社に移行するにも新たな書類や手続きが必要になりますので、株式会社にしたいのであれば最初から株式会社を設立した方がいいでしょう。

合同会社は設立費用が安い

会社設立にかかる費用を比較すると、株式会社よりも
合同会社の方が安いです。

株式会社合同会社
定款にかかる
収入印紙の費用
4万円4万円
定款の認証費用3~5万円0円
登録免除税15万円
または
資本金×0.7%のうち高い方
6万円
または
資本金×0.7%のうち高い方
合計24万円~10万円~

定款にかかる収入印紙の費用は、紙の定款を作成した場合にのみかかり、オンラインの場合はかかりません。

登録免許税とは、登記の際に国に納める税金です。

合同会社の登録免許税は資本金×0.7%で計算しますが、6万円以下の場合はどちらか高い方となります。
(参考:法務省|合同会社の設立手続について

合同会社のデメリット

株式会社よりも早く会社設立でき、会社設立の費用も安くすむ合同会社ですが、デメリットもあります。

合同会社は株式発行による資金調達ができませんので、資金調達方法は自治体の補助金や融資というように限定的になります。

また社会的信用や認知度が低いので、営業や求人の際に不利になるかもしれません。

そのためこのような場合は、合同会社ではなく株式会社を検討した方がいいでしょう。

  • 株式上場したい
  • 銀行からの融資を考えている
  • 大規模な事業を展開していきたい
  • 大量の雇用予定がある

合同会社が向いているかどうかは、設立する会社の規模や将来のビジョンにより異なります。

会社設立を焦るとトラブルに

会社設立スケジュール

会社設立には準備や手続きに時間がかかりますが、急いで取り組んでしまうと後にトラブルになったり、後悔してしまうというケースがあります。

具体的にこのような失敗をしないよう、会社設立の際には準備が必要です。

  • 決算月を後悔する
  • 登記上の資本金が不足してしまった

決算月を後悔する

事業年度の最終月となる決算月は、会社設立の際に定款に記載します。

第一期は設立日から1年以内となっていますが、できるだけ期間をあけておくのがおすすめです。

例えば、4月に会社を設立するなら、3月を決算月にすると最大限期間を設けられます。

この期間が短いと、事業が始まってすぐに決算申告料が発生してしまいます。

消費税が早くかかりますし、決算申告のための時間と労力、費用がかかってきます。

決算月は自由に決められますので、後悔のないよう考えておきましょう。

登記上の資本金が不足してしまった

資本金は会社の運営資金となりますので、少なすぎるとすぐに資本金が不足してしまうかもしれません。

資本金1円で会社を設立する、1円起業といった言葉もありますが、資本金が少なすぎると口座開設や融資で苦労したり、社会的な信用が得られにくいといったデメリットがあります。

また一般建設は純資産が500万円以上、旅行業は資本金が3,000万円以上というように、一定額以上の資本金が必要な業種もあります。

会社設立後に必要な手続き

無事に会社設立が完了すると、これらの手続きが必要になります。

  • 法人の印鑑登録証明書を取得する
  • 法人口座を開設する
  • 業種により営業許可を申請する
  • 法人設立届出書など税金の手続き
  • 社会保険加入の手続き

法人口座の開設は、手続きをしてから2週間~1ヶ月程度時間がかかります。

提出期限があるものもあり、例えば法人設立届出書は
会社設立から2ヶ月以内に必要書類を提出しなくてはいけません。

会社を設立した後にも、このような関連手続きがありますので、忘れないようにしましょう。

会社設立は余裕あるスケジュールを

会社を設立するには、株式会社であれば約3週間、合同会社であれば約2週間という時間がかかります。

登記申請だけであれば1日でもできるかもしれませんが、できるだけ早く会社を設立したいのであれば事前準備を丁寧にしておくといいでしょう。

会社設立後には、口座開設や税金の手続き、社会保険加入といった手続きがあります。

全ての手続きを終えるには、さらに時間がかかると予想されますので、できるだけ余裕のあるスケジュールを組んでおくのがおすすめです。

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