メニュー
法人化
アフィリエイトで法人化するメリット・デメリット|法人化の手順について
この記事の監修者
税理士法人松本 代表税理士
松本 崇宏(まつもと たかひろ)
お客様からの税務調査相談実績は、累計1,000件以上。
国税局査察部、税務署のOB税理士が所属し、税務署目線から視点も取り入れ税務調査の専門家として活動。多数の追徴課税ゼロ(いわゆる申告是認)の実績も数多く取得。
個人事業主として、副業として、アフィリエイトをスタートさせた人が法人化させるべきタイミングとは、いつ頃なのでしょうか。
法人化すると税負担が軽くなる年収の目安がありますので、その金額を超えるようであれば法人化した方が良いと考えられます。
またアフィリエイトで法人化するメリットとは?
メリットだけでなくデメリットも正しく理解し、法人化させていくべきか考えていきましょう。
目次
アフィリエイトで法人化するタイミング
アフィリエイトで法人化するタイミングとして目安となるのが、年収700万円です。
これは税金面での負担を考慮した数字であり、個人事業主が納める所得税と法人が納める法人税の違いが理由です。
個人事業主が納める所得税は課税所得が上がる程、納める税金も高額になるという性質があり、課税所得695万円を超えると税率が15%になります。
一方、法人が支払う法人税は課税所得800万円以下なら税率15%、800万円を超えた分には23.2%が課税されます。
このように税率の違いがありますので、課税所得695万円を超えるようであれば節税のために法人化を検討し始める時期となります。
年収700万円を単純に月収に計算すると、60万円程度となります。
アフィリエイトで法人化するメリット
アフィリエイトで法人化すると、以下のようなメリットがあります。
- 税負担が軽くなる
- 事業拡大させやすくなる
- 社会保険が適用される
- 計上できる経費が増える
- 決算期を自由に決められる
- 法人ドメインが取得できる
税負担が軽くなる
お伝えした通り、一定の年収を超えると法人化させた方が税負担が軽くなります。
税金の負担を軽くすると資金に余裕がでますので、さらに事業拡大のための資金に回すという使い方が可能になります。
アフィリエイトは変動のある世界ですが、月収60万円程度がコンスタントに稼げるようになってきたら法人化を検討するといいでしょう。
事業拡大させやすくなる
税負担軽減による資金面だけでなく、法人であるという社会的信用も得られるようになるので事業拡大させやすい環境となります。
「アフィリエイター」と名乗るよりも、「代表取締役です」と言えた方が初対面の方への印象が変わってくるでしょう。
「会社経営をしている」という立場になりますので、信用されやすくなると考えられます。
また資金調達の時には、法人化した方が融資が受けやすくなります。
従業員を雇う時にも、法人の方が安定して働ける印象を与えられるので、良い人材を集められるようになるでしょう。
社会保険が適用される
法人化させると社会保険が適用されますので、経営者も従業員も厚生年金に加入します。
将来受け取れる年金が増額するだけでなく、休業時に傷病手当金などの給付が受けられるといったメリットがあります。
福利厚生の向上にも繋がりますので、安心して働ける環境を整えていけます。
計上できる経費が増える
法人化すると、以下のようなものを会社の経費として計上できます。
- 役員報酬
- 社宅の家賃
- 出張手当
- 退職金
個人事業主だと売上から経費を引いた分が事業主の所得となりますが、法人だと役員報酬があります。
個人事業主のアフィリエイターよりも経費と認められる範囲が広くなるので、節税にもなります。
決算期を自由に決められる
個人事業主の確定申告は、毎年2月15日~3月15日と決められています。
法人化すると、この決算月を自由に設定できます。
大きな売り上げが見込める月の前月を決算月にすると、1年かけて節税対策を考えられるのでおすすめです。
アフィリエイターであれば、得意なジャンルで売り上げが見込める月や季節を目安とするといいでしょう。
法人ドメインが取得できる
法人ドメインとは、株式会社や合同会社などの営利法人が取得できるドメインです。
代表的なものだと「co.jp」や「.jp」があります。
令和5年10月に実施されたGoogleのコアアップデートで、法人ドメインがSEOで優遇される傾向があるという見方があります。
アフィリエイターにとってSEOは死活問題ですから、できるだけSEO的に有利なドメインを取得しようと、法人化を検討される方もいます。
アフィリエイトで法人化するデメリット
アフィリエイトで法人化すると、メリットだけでなく以下のようなデメリットがあります。
- 法人の設立にコストがかかる
- 会計処理が複雑になる
- 赤字でも払う税金がある
- 社会保険料の負担が増える
- 役員報酬の変更は年1度きり
- 解散をするにも費用がかかる
法人の設立にコストがかかる
法人の設立をするには、コストがかかります。
設立時には手続き費用として、20万円~30万円の費用がかかります。
資本金は1円からでも会社設立可能とはされていますが、資本金は社会的信用や会社の体力の目安ともなります。
運転資金の3ヶ月~6ヶ月分が資本金の目安になるといわれており、会社設立時にはこれらのコストが負担となります。
会計処理が複雑になる
今までは個人事業主として毎年確定申告をしていたものが、法人になると会計処理が複雑になります。
法人税に関する知識も必要となるため、法人化するタイミングで税理士に相談するというアフィリエイターの方が少なくありません。
会計処理の勉強をするよりも、パソコンに向かう時間が長い方が良いと考えるからでしょう。
赤字でも払う税金がある
法人化すれば税金の負担が少なくなるとお伝えしましたが、それは法人税に関してです。
税金の種類はいくつかあります。
赤字の場合は利益に対して課税される法人税は0円となりますが、法人は赤字でも納めなければいけない税金があります。
法人住民税が赤字でも納める税金であり、最低7万円は必ず税金がかかります。
社会保険料の負担が増える
社会保険料は、基本的に法人と従業員で半分ずつ負担します。
個人事業主の場合は自分の保険料のみを支払っていれば良いですが、従業員が増えるとそれだけ負担が大きくなってしまいます。
社会保険に加入できるのはメリットではありますが、保険料の負担があるという点を忘れてはいけません。
役員報酬の変更は年1度きり
法人化すると役員報酬を受け取るようになります。
個人事業主であれば利益があれば自由にお金を使えたかもしれませんが、法人化させると法人の利益を明確にしなければいけません。
法人の役員報酬が変更できるのは1年に1回のみなので、いつでも役員報酬を自由に設定できるわけではありません。
個人事業主の頃と比較すると、自由度が減少したと感じる方もいるかもしれません。
解散をするにも費用がかかる
法人は設立時だけでなく、解散時にも費用がかかります。
解散の登記費用は3万円、官報公告掲載料が約3万円で、司法書士などに依頼をすればその費用は10万円前後となります。
「法人でうまくいかなかったら解散すればいいや」という安易な気持ちでスタートすると、解散時に費用が負担になってしまうかもしれません。
アフィリエイト法人化の手続き
アフィリエイトで法人化するための手続き、手順についてお話します。
- 会社形態の選択
- 定款の作成と認証
- 資本金の払い込み
- 登記申請
- 税務署や社会保障の手続き
会社形態の選択
アフィリエイトで法人化するのであれば、会社形態は株式会社か合同会社を選択するのが一般的です。
株式会社は社会的な信用が高いですが、設立時や維持のコストがかかります。
合同会社は設立時や維持のコスト面で優れていますが、株式上場ができませんし、社会的な信用も株式会社より低いという特徴があります。
理想のビジネスや将来的な希望も含め、どのような形態にするかを考えていきましょう。
定款の作成と認証
会社設立時には定款(ていかん)を作成していきます。
定款とは、会社の憲法とも呼ばれるもので、基本的な規則をまとめた書類です。
会社名や役員構成、事業内容など基本的な内容から、株主総会など運営に関わる事柄についても記載されます。
定款の認証とは、公証役場で定款の正当性を証明してもらう手続きであり、不備があると認証を受けられません。
発起人が定款を作成しても構いませんが、専門家に依頼するとスピーディーで確実です。
資本金の払い込み
定款の認証が完了したら、発起人の銀行口座から資本金の払い込みを行います。
この段階では法人の口座はありませんので、発起人の口座で構いません。
資本金の払い込み内容の明細コピーをとり、払込証明書を作成しておきます。
定款認証よりも後の日付になるよう、注意しましょう。
登記申請
法人として公に認めてもらうため、法人登記を行っていきましょう。
登記事項は誰でも閲覧可能な情報となりますので、安心して取引してもらえる材料となります。
定款の作成や認証、資本金の払い込みが終わったら、法務局で登記申請をします。
法人登記の申請をした日が会社の設立日となりますので、希望の日付がある場合は逆算して準備できるようにしましょう。
税務署や社会保障の手続き
法人化したら税務署に法人設立届出書を提出し、管轄の年金事務所で社会保障の手続きを行っていきます。
社会保障の手続きは会社設立から5日以内と期限が短いので、忘れないようにしましょう。
法人設立届出書を提出する期限は、法人設立後2ヶ月以内とされていますが、早めに手続きを済ませておくと安心です。
アフィリエイト税務調査のポイント
アフィリエイト事業を行っている法人はもちろん、個人のアフィリエイターも税務調査の対象となります。
税務調査とは税務署の調査官が行うもので、正しく税申告・納税がされているかを確認するものです。
税務調査で申告漏れなどの不正が発覚すると、ペナルティが課されて税金の負担が大きくなってしまう恐れがあります。
アフィリエイト事業の税務調査で、よく指摘されるポイントはこちらです。
- ASPの情報と乖離がないか
- 売上の申告漏れがないか
ASPの情報と乖離がないか
A8.netやアクセストレードなどのASPから、アフィリエイト報酬として支払った金額を税務署は把握しています。
そのためASPから入手した情報と、申告された金額に違いがないかを確認しています。
申告ミスや申告漏れがあった場合に税務署が気付けるのは、このためです。
複数のASPから報酬を受け取っている場合には、特に申告漏れに注意しましょう。
売上の申告漏れがないか
税務調査では、故意であろうが不意なミスであろうが、不正は不正です。
悪質性があるかないかの配慮はありますが、誤りがあればペナルティが課されます。
アフィリエイトの報酬を計上する時に注意したいのが、振込日ではなく確定日を計上しなければいけないという点です。
確定日は実際には振込みがされていない日付なので、間違えてしまう人が多いです。
例えば、12月確定日で2月振込みの報酬があった場合、12月決済だと年度としての報酬が変わってきてしまいますので注意しましょう。
アフィリエイト事業に強い税理士を選ぶ
アフィリエイトで法人化をすると、会計処理が複雑になりますので税理士を検討するタイミングとなります。
インターネットビジネスは近年盛り上がりを見せている業界であり、税務署としても調査データを収集するために積極的に税務調査を行う傾向があります。
法人化を機に税理士を選ぶのであれば、アフィリエイト事業に強い税理士を選ぶべきです。
専門用語に詳しい人の税理士が、話が通じやすいのでストレスなくやりとりできます。
またインターネットビジネスと税金に関する知識がある税理士であれば、事業に関してアドバイスができるかもしれません。
税理士は「誰でも良い」というものではありませんので、相性の良い税理士を選ぶようにしましょう。
アフィリエイトで法人化をする
アフィリエイトで法人化を検討する目安は、月収60万円程度、年収なら700万円程度となります。
一定以上の収入があるのであれば、個人事業主よりも法人の方が節税効果が期待できます。
しかしアフィリエイトは浮き沈みが激しい事業でもありますので、ギリギリの年収で法人化してしまうと逆に税負担が大きくなってしまう場合もあります。
法人化すると社会保障の負担が増えるため、トータル的に考えると「個人事業主の方が良い」という考えの人がいても不思議ではありません。
「法人化した後の会計処理が不安」という人だけでなく、「法人化を迷っている」という方も税理士にご相談ください。
免責事項
当ブログのコンテンツ・情報について、できる限り正確な情報を提供するように努めておりますが、正確性や安全性を保証するものではありません。当サイトに掲載された内容によって生じた損害等の一切の責任を負いかねますのでご了承ください。
税務・労務等のバックオフィス支援から
経営支援まで全方位でビジネスをサポート
本気で夢を追い求めるあなたの会社設立を全力サポート
- そもそも個人事業と会社の違いがわからない
- 会社を設立するメリットを知りたい
- 役員報酬はどうやって決めるのか
- 株式会社にするか合同会社にするか
会社設立の専門家が対応させていただきます。
税理士法人松本の強み
- 設立後に損しない最適な起業形態をご提案!
- 役員報酬はいくらにすべき?バッチリな税務署対策で安心!
- 面倒なバックオフィスをマルっと支援!
- さらに会社設立してからも一気通貫で支援