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創業融資
創業融資のベストな申し込みタイミングは?審査を通過するためのポイントを解説

読了目安時間:約 6分
法人や個人の事業主が新しくビジネスを始める際に利用できる融資として「創業融資」があります。
事業の実績がないスタートアップでの起業でも、融資を受けやすいのが創業融資の特徴です。
しかし、いざ創業融資を利用しようと思っても、いつまでに申し込めば良いのか、どのタイミングで申し込むのがベストなのか分からず、困ってしまう方も多いのではないでしょうか。
そこで本記事では、創業融資を受ける最適なタイミングについて解説します。
また、創業融資の審査に通過するためのポイントもご紹介しますので、ぜひこの記事を参考に創業融資についての理解を深め、事業運営を円滑に進められるように取り組みましょう。
目次
新しくビジネスを始めるなら創業融資を検討しよう

起業や開業の際に事業者が受けられる融資を「創業融資」といいます。
創業時は、事務所を借りたり機材を確保したり、人件費や広告費を支払ったりと、まとまった資金が必要になるため、創業時に利用できる融資を活用することで、自己資金の不足分を補えるのです。
また、自己資金をある程度もっている場合でも、融資によってより多くの資金を集めておけば、事業の規模を大きくできる可能性があるほか、不測の事態が起こった場合でも資金の枯渇を回避しやすくなります。
「いま融資が必要である」という状態になってからでは手遅れになるケースもあるため、事業開始前に十分に創業融資の利用を検討しておきましょう。
創業融資はいつまで申し込みできる?
起業時に利用できる創業融資ですが、いつまで申し込みができるかご存知でしょうか。
創業融資の申し込み時期は創業融資の種類によっても異なりますが、代表的なものとしては以下の通りです。
- 日本政策金融公庫・・・新たに事業を始める方または事業開始後おおむね7年以内の方
- 地方の金融機関・信用保証協会・・・創業から1年〜5年
創業時に利用できる融資は何がある?

創業時に活用できる融資として、主に以下があります。
- 日本政策金融公庫の新規開業資金
- 日本政策金融公庫の女性、若者/シニア起業家支援資金
- 日本政策金融公庫の再挑戦支援資金
- 地方自治体による創業融資
- 民間の金融機関による創業融資
中でも日本政策金融公庫の融資制度は、創業時の資金調達手段として特に小規模なスタートアップ事業者にとって利用しやすいケースが多いとされています。
それぞれ詳しく解説していきます。
日本政策金融公庫の新規開業資金
日本政策金融公庫は、民間金融機関の取り組みを補完することを目的とした政府系金融機関です。
日本政策金融公庫の新規開業資金は、新たに事業を始めようとしている方、もしくは事業開始後7年以内の方を対象に、幅広い人の創業・スタートアップを支援する融資制度で、設備資金と運転資金どちらでも利用することが可能です。
なお、女性や35歳未満の若者、55歳以上のシニア、創業に再チャレンジする方などは、基準利率よりも安い「特別利率」で利用できます。
参照:新規開業・スタートアップ支援資金
日本政策金融公庫の女性、若者/シニア起業家支援資金
新たに創業する方や事業開始後7年以内の方を対象に、女性や35歳未満または55歳以上の方が利用できる融資制度として女性、若者/シニア起業家支援資金というものがあります。
この制度は、前述した新規開業資金と対象者に大きな違いはなく、融資限度額がそれぞれ異なるものです。
この制度を利用すると利率が安くなるため、女性や若者、シニアに該当する場合は制度の詳細を確認すると良いでしょう。
参考:新規開業・スタートアップ支援資金(女性、若者/シニア起業家支援関連)
日本政策金融公庫の再挑戦支援資金
一旦事業に失敗した方が、再び事業に挑戦するのを支援する融資制度として、日本政策金融公庫の再挑戦支援資金(再チャレンジ支援融資)があります。
新たに開業する方または開業後おおむね7年以内の方を対象に、廃業歴のある起業家の経営者としての資質や事業の見込みなどを評価し、再起を図るうえで困難な状況に直面している方の再挑戦を支援するものです。
原則として基準利率が適用されます。所定の条件を満たしている人は特別利率が適用されることもあるため、事業の失敗によって廃業歴がある方は検討してみると良いでしょう。
参考:新規開業・スタートアップ支援資金(再挑戦支援関連)
地方自治体による創業融資
創業時の資金調達先として日本政策金融公庫の融資と併せて検討したいのが、地方自治体による創業融資です。
多くの自治体では経済活性化に繋げるため創業支援に力を入れており、低金利・無担保・無保証など、有利な条件で融資を受けられる制度を用意しているケースが多いため、事業者を構える自治体の融資制度を確認すると良いでしょう。
ただし、実際に調達できる資金額が少ない傾向にあり、高額融資を望む方には向きません。
民間の金融機関による創業融資
大手銀行の場合、企業の事業内容や業績に基づいた融資審査を行うため、起業したばかりの企業でそれらの情報が足りない場合には金融機関側が融資を行わない可能性が高いです。
しかし、地域に根ざしたサービスを行う地方銀行は大手銀行とは異なり、地域のニーズに応えるために創業融資を受け付けている場合もあるので、相談してみるのが良いでしょう。
また、民間の金融機関が創業融資を実施する際、信用保証協会の保証付融資を利用するケースが多いです。
保証付融資は、万が一、借主の返済が滞った場合に信用保証協会が代わりに金融機関に立て替え払いを行うもので、企業は利用のために保証料を支払う必要があります。
創業融資を申し込むベストなタイミングとは

創業融資は起業前、そして起業後すぐに申請できる融資制度ですが、多くの場合一定期間内に申し込む必要があります。
では、どのタイミングで創業融資を申し込むのが良いのでしょうか。
実は、創業前と創業後では、審査で見られる項目が異なってくるのです。
ここでは、創業融資を申し込むのに適切なタイミングをご紹介します。
創業2〜3ヶ月前
多くのケースでは、創業の2~3ヶ月前に申し込むと、審査や準備の観点からスムーズに進む可能性があります。
創業前であれば創業計画実現の見込みで評価してもらえるため、審査に有利といえます。
また、創業時点では融資が完了していることが多いため、十分な資金がある状態で事業を進めることができるでしょう。
さらに、創業後は届出のほかに事業を軌道に乗せるための活動など、やるべき内容が多岐にわたるため、その時期に融資に関する書類や審査の準備作業の負担を避けられるというメリットもあります。
創業後3ヶ月以内
創業後に創業融資を希望する場合、なるべく創業後3ヶ月以内に申し込むのが良いでしょう。
これは、創業前と同じで融資審査に実績が問われないためです。
創業後は事業実績が審査に加味されるため、実績が良好でない場合は不利になることもあります。創業期は資金繰りが困難になることが多いため、できるだけ審査に決算書の提出が必要のない事業に申し込みを行っておきたいところです。
事業の将来性のみで判断してもらえるタイミングが、もっとも融資審査に有利であると覚えておきましょう。
実績がある場合は創業後の融資も通る可能性がある
すでに事業実績があり、売上や利益を生み出せているのであれば、返済能力があるという証明ができるため、創業後の申し込みでも融資を受けられる可能性があります。
ただし、創業後の不安定になりがちな事業実績を審査で見られるため、創業時に申し込むよりも難易度が高いと言えます。
そのため、税理士や融資コンサルタントなどの専門家に相談しながら進めるのが望ましいです。
その他のタイミング
創業融資を申し込むタイミングとして、前述したもの以外にも以下のポイントを押さえる必要があります。
- 事業計画が完成したタイミング
- 必要な資金額が決まったタイミング
- 金融機関の融資申込受付期間
事業計画が固まっていないと、いくら融資が必要なのか明確にできないだけでなく、説得力のある計画書が作成できません。融資審査に通りにくくなることも予想されるため、事業計画が固まっていない場合は申し込みの延期も検討する必要があります。
金融機関の融資によっては申込受付期間が設けられている場合があるため、必ず確認をして申し込みましょう。
日本政策金融公庫での融資審査を通過するためのポイント

原則として、日本政策金融公庫では再申込を受け付けていますが申請にはある程度期間を空けることが必要となります。
そのため、審査落ちしないよう、事前に十分な対策をしておくことが重要です。
ここでは、日本政策金融公庫をはじめとする創業融資の審査を通過するために押さえておきたいポイントを詳しくご紹介します。
ある程度の自己資金を用意しておく
創業融資を受ける要件として、自己資金があることが含まれているケースがあり、その場合自己資金がなければ創業融資そのものが受けられません。
自己資金は計画性や返済能力を判断する材料にもなるため、ある程度の自己資金を準備しておくのが望ましいです。
日本政策金融公庫総合研究所の「2023年度新規開業実態調査~アンケート結果の概要~」によると、創業時の自己資金額の平均は280万円、割合としては23.8%となっています。
そのため、事業規模や業種によっても異なりますが、目安として2〜3割の自己資金を用意しておくと良いでしょう。
実現性のある内容の事業計画書を作成する
希望金額を融資してもらいたいのであれば、実現性のある内容の事業計画書を作成し、金額や使い道に説得力を持たせることが重要です。
創業融資の申し込みをするにあたって必要となる事業計画書には、月の想定売上や経費などの見通しを記載しますが、主観が強すぎる内容は避けるようにしてください。
創業期には、事業の実績や会社の信用、または両方が比較的少ない状態であるため、根拠に基づいた客観的かつ実現可能性の高い内容を記載し、創業の本気度や信用力を示しましょう。
根拠のある返済計画書を提出する

金融機関側が融資先に求めるのは、確実な融資金の返済です。
そのため、金融機関は事業者がこれから始めようとしている事業が滞りなく返済できるだけの利益をあげられるかどうか、厳しく審査されます。
返済計画書を作成する際には、慎重に事業の売り上げ予測と必要経費を把握し、将来的なキャッシュフローの見通しを立てる必要があります。
数値に基づいた根拠のある返済計画書を提出することで、返済能力があると判断され、融資を受けやすくなるでしょう。
日常的に滞納をしない
事業者の信用情報に滞納の履歴がある場合、創業融資を受けられない可能性があるので注意が必要です。
たとえば、住宅ローンや自動車ローン、スマートフォンの通信料やクレジットカードの支払いなどを滞納した場合、その履歴は信用情報に残るため、融資審査に悪影響を与えます。
そのため、日頃から滞納をしないよう心がけるのはもちろん、未納や滞納分があった場合は、それらをすぐに全額支払っておきましょう。
税理士などの専門家に相談する
創業融資の成功率を高めるには、税理士や融資コンサルタントなどの専門家に相談しながら進めていくのがおすすめです。
専門家に依頼すると、費用はかかりますが以下のメリットがあります。
- 希望融資額を獲得しやすくなる
- 適切な融資先を提案してもらえる
- 本業に集中しやすくなる
しかし、経験に乏しい専門家に依頼すると納得度の低い資金調達となってしまう恐れがあるため、費用面だけでなく実績の有無や相性などを事前に確認しましょう。
開業資金に悩んだらベストなタイミングで創業融資を申し込もう

創業融資の申し込むタイミングとして、創業2〜3ヶ月前、創業後3ヶ月以内がベストとされています。
しかし、事業状況や融資の種類によっても申し込み時期が異なるため、自社のニーズに合わせて適切なタイミングを見極めましょう。
いずれにせよ、創業融資の審査に通るためには信頼性の高い事業計画書や根拠に基づいた返済計画書を作成することが非常に重要です。
起業・開業時の資金調達が成功するように、あらかじめ創業融資の必要性を確認し、計画的に進めていただけたらと思います。
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この記事の監修者

税理士法人松本 代表税理士
松本 崇宏(まつもと たかひろ)
お客様からの税務調査相談実績は、累計1,000件以上。
国税局査察部、税務署のOB税理士が所属し、税務署目線から視点も取り入れ税務調査の専門家として活動。多数の追徴課税ゼロ(いわゆる申告是認)の実績も数多く取得。