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アフィリエイトでの開業届の書き方とは?提出する方法やタイミングについても徹底解説

読了目安時間:約 7分
開業届とは、個人で事業を始める際に税務署へ提出する重要な書類で、事業を開始したことを税務署に通知する目的で提出します。
開業届を書く際は、第三者が見てもどんな事業内容なのかが明確に理解できるように記載することが重要です。
本記事では、アフィリエイトでの開業届の書き方について紹介します。
他にも「アフィリエイトで開業届を提出する方法」や「アフィリエイトで開業届を提出するべきタイミング」についても解説していきます。
ぜひこの記事を参考にして、アフィリエイトでの開業届の書き方について理解を深めてみてください。
目次
アフィリエイトの開業届の書き方

アフィリエイトでの開業届を書く際に必要な項目は以下のとおりです。
- 税務署名・提出日
- 納税地
- 氏名・生年月日・個人番号
- 職業
- 屋号
- 届出の区分・所得の種類
- 開業・廃業等日
- 開業・廃業に伴う届出書の提出の有無
- 事業の概要
それぞれの項目について解説していきます。
税務署名・提出日
まずは、開業届の提出先と提出日について明確にしておくようにしましょう。
開業届は、自身の納税地を管轄する税務署に提出が必要です。
どの税務署が該当するかは、国税庁の公式ホームページで調べることができます。
また、提出のタイミングについては、事業を始めた日から数えて1ヶ月以内の提出が推奨されています。
締切日が土日や祝日に重なる場合には、次の平日が正式な提出日となります。
参考:国税庁|個人事業の開業届出・廃業届出等手続
納税地
納税地について記入する際は、通常は現在の住所を記載します。
しかし、日本国内に住所がない方で一定期間住んでいる場所がある場合には、その場所を納税地として扱うことになります。
また、納税地と記載した住所が居住地と一致している場合、「上記以外の住所地・事業所等」の記入欄は空欄のままでも問題ありません。
事業所の所在地を納税地に変更したい場合には、「納税地の特例」を利用する手続きが必要です。
そのためには、現在の納税地を管轄している税務署長宛に、「所得税・消費税の納税地の異動又は変更に関する届出書」を提出する必要があります。
氏名・生年月日・個人番号
個人事業の開業届を提出する際には、氏名・生年月日・マイナンバーの情報を記入する必要があります。
氏名の欄には、印鑑を押すことが求められ、使用する印鑑に関して特別な決まりはなく、個人の認印や屋号入りの印鑑などでも使用可能です。
マイナンバーの記載については、法令の改正により開業届がマイナンバーを記載すべき書類に指定されました。
そのため、個人で申請する場合は原則としてマイナンバーの記入が必要となっています。
税務署の窓口で直接申請する場合には、マイナンバーが申請者本人のものであることを証明する必要があり、マイナンバーが記載された書類の提示が求められます。
職業
開業届を提出する際には、「職業」を記入する項目があります。
アフィリエイトを生業とする場合、この欄には「アフィリエイター」「インターネット広告業」「広告業」など広告収入を得ていることが分かるような表現を使うのが一般的です。
このように、アフィリエイトに関して特定の記載ルールが決まっているわけではありませんが、税務署の担当者がその記載から仕事の内容をイメージできることが重要です。
屋号
屋号とは、ビジネスにおける「名前」のようなもので、個人で事業を行う際に用いられる名称です。
主に広告主やアフィリエイト・サービス・プロバイダ(ASP)など自分と関わるビジネスパートナーに認識してもらうために使用されます。
他の人がすでに使っている名称を選んでしまうと混乱を招く恐れがあるため、なるべく独自性のある名前を考えることが大切です。
実名で活動している人は必ずしも屋号を用意する必要はありませんが、今後つける予定があるのであれば記載しておく方が手続きがスムーズでしょう。
届出の区分・所得の種類
提出する届出の区分については「開業」に該当するものを選択します。
次に、収入の種類を選ぶ必要がありますが、選択肢には「不動産所得」「山林所得」「事業所得(農業を含む)」などがあります。
アフィリエイト業の場合には、自分で行う事業として始めるため、「事業所得」を選択するのが適切と言えます。ただし、最終的な判断は税務署によるため、必要に応じて相談しましょう。
開業・廃業等日
開業日についての記載は、事業を始めたと自分が認識した日を記入します。
事業の開始日には明確な定義がないので、事務所を借り始めた日や税務署へ開業届を出した日など自分の判断で決める方が多いです。
しかし、青色申告を申請したい場合には、開業後2カ月以内、もしくはその年度の3月15日までのいずれか早い日に青色申告承認申請書を提出しなければならないというルールがありますので注意してください。
参考:国税庁|青色申告制度
開業・廃業に伴う届出書の提出の有無
開業・廃業に伴う届出書の提出状況を示す欄については、開業届と同時に所得税の青色申告承認申請書を提出する場合は、その項目にチェックを入れるようにしましょう。
開業からしばらくの間は消費税の免税対象となるケースが多いので、特に課税事業者として届け出を行わない場合は「無」にチェックを入れることになります。
しかし、インボイス制度などの関係であえて課税事業者として登録する方は、「課税事業者選択届出書」の項目にもチェックを入れ、開業届と一緒に提出します。
事業の概要
開業届には「事業の概要」を記載する項目も設けられています。
事業の概要は、職業欄だけでは説明しきれない事業の具体的な活動を補足するためのものです。
基本的に、税務署側が業務の内容をある程度把握できれば十分とされています。
アフィリエイトで開業届を提出する方法

アフィリエイトで開業届を提出する方法については、以下の3つが挙げられます。
- 税務署窓口
- 郵送
- e-Tax
それぞれの方法について解説していきます。
税務署窓口
税務署の窓口が開いているのは、通常、平日の午前8時30分から午後5時までとなっています。
土曜日・日曜日・祝日については、窓口業務は行っていないので注意が必要です。
万が一、時間外に書類を提出する必要がある場合は、税務署に設置されている「時間外収受箱」に投函することで、提出することが可能です。
また、開業届とあわせて提出する「控え」については、税務署の窓口で直接提出すると、その場で受付印が押された控えが返却されます。
郵送
開業届は、直接税務署に行かなくても郵送で手続きすることができます。
その際は、提出書類と一緒に、自分の住所を書いた返信用封筒を同封しておくと安心です。税務署で開業届を受け付けた後、受領印が押された控えが送り返されてきます。
この受付印の入った控えは、失くさないように大事に保管しておくようにしましょう。
e-Tax
e-Taxのサービスは、火曜日から金曜日にかけては基本的に一日中利用することが可能です。
一方、月曜日・土曜日・日曜日および祝祭日には、朝8時30分から夜12時までが利用可能な時間帯となっています。
しかし、祝日やシステムのメンテナンス実施日など、例外的に利用できない日もあるため、事前に確認しておくようにしましょう。
e-Taxを通じて書類を送信すると、メッセージボックス宛に「データの受付が完了しました」といった内容の通知メールが届きます。
この通知は、紙の受付印に相当する証明となりますので、忘れずに印刷して保管しておくことが重要です。
参考:国税庁|インターネットを利用して申告や納税などの手続をしたいとき
アフィリエイトで開業届を提出するべきタイミング

アフィリエイトで開業届を提出するべきタイミングについては、以下の2つが挙げられます。
- 合計所得金額が48万円を超えている
- 赤字が出たとき
それぞれのタイミングについて解説していきます。
年間の合計所得金額が48万円を超えている
誰でも一律で適用される「基礎控除」は48万円となっており、年間の合計所得金額がこの金額を超えた分については課税の対象となります。
しかし、開業届を提出し、確定申告を「青色申告」で行うと、「青色申告特別控除」により節税することができます。
具体的には、最大で55万円、または条件を満たせば65万円まで所得から差し引くことができ、結果として節税につなげることが可能です。
赤字が出たとき
アフィリエイト業で開業届を出すタイミングのひとつに、赤字が発生したときが挙げられます。
副業や本業として取り組んでいる場合でも、年間の収支がマイナスになったときに確定申告を行うことで、節税効果を得られる可能性があります。
例えば、副業としてアフィリエイトをしていて収支が赤字だった場合でも、開業届を提出して確定申告を行えば、アフィリエイトの所得が「事業所得」として認められた場合に限り「損益通算」が適用され、会社から得ている給与所得と事業の赤字を相殺できる可能性があります。
これにより、すでに源泉徴収された税金の一部が戻ってくる可能性が出てきます。
参考:国税庁|損益通算
アフィリエイトで開業届を提出するメリット

アフィリエイトで開業届を提出するメリットについては、以下の4つが挙げられます。
- 最大65万円の特別控除を受けられる
- 個人事業主の証明になる
- 屋号付きの銀行口座を開設できる
- 小規模企業共済に加入できる
それぞれのメリットについて解説していきます。
最大65万円の特別控除を受けられる
開業届を提出することで得られるメリットとして、青色申告を利用できるようになることが挙げられます。
青色申告を選択することで、一定の条件を満たせば最大65万円の特別控除を受けることが可能です。
青色申告を始めるには、開業後2ヶ月以内に「所得税の青色申告承認申請書」を税務署に提出する必要があります。
初年度から青色申告を利用したい場合は、開業届とこの申請書を同時に提出することをおすすめします。
参考:国税庁|青色申告制度
個人事業主の証明になる
アフィリエイト業で開業届を提出することで、個人で事業を始めたことを公的に示す証明になるメリットが挙げられます。
例えば、事務所や店舗の賃貸契約を結ぶ際や銀行などで資金の借り入れを申し込むときに、この書類の控えを提示するよう求められるケースがあります。
また、保育園への入園手続きで保護者が仕事をしている証明として、開業届の写しが必要になるケースもあります。
屋号付きの銀行口座を開設できる
屋号付きの銀行口座を持っておくと、仕事での支出と個人生活の支出を分けて管理できるようになり、確定申告や経費の計算がスムーズになります。
また、取引先などからの振込先を本名ではなく屋号名義にしておくことで、対外的な信頼感も向上しやすくなるケースがあります。
これまで本名で銀行口座を使用していた方も、屋号を記載した開業届を税務署に提出することで、屋号を使った専用のビジネス口座を新たに作ることが可能です。ただし、ビジネス口座を開設できるかは各銀行の判断によりますので、あらかじめ確認してください。
小規模企業共済に加入できる
開業届を提出し、実際に事業を行っていると認められる場合には、小規模企業共済に加入できる可能性があります。
小規模企業共済とは、主に個人事業主や小規模事業の経営者が老後の資金を自ら積み立てる形で準備できる、いわば自営業者向けの退職金制度です。
会社員のように企業から退職金が支給されない個人事業主にとって、将来の生活資金を計画的に確保する手段として有効です。
さらに、この共済制度に支払う掛金は全額が所得控除の対象となるため、結果として所得税や住民税の軽減につながる可能性もあります。
なお、小規模企業共済への加入申請を行う際には、通常、確定申告書の控えを提示する必要があります。
しかし、開業して間もなく、まだ確定申告を行っていない場合には、代わりに開業届の控えを提出することで対応してもらえるケースが多いです。詳しくは各共済ホームページで必要書類をご確認ください。
参考:中小企業庁|小規模企業共済制度について
アフィリエイトで開業届を提出するデメリット

アフィリエイトで開業届を提出するデメリットについては、以下の2つが挙げられます。
- 失業手当を受けられなくなる可能性がある
- 健康保険の扶養者から外れてしまう恐れがある
それぞれのデメリットについて解説していきます。
失業手当を受けられなくなる可能性がある
会社を退職後、雇用保険による失業手当を受給している方が開業届を提出すると、給付の対象外となることがあるため注意が必要です。
失業手当は「すぐに就職できる状態であり、働く意志があること」が受給条件です。そのため、開業届を出して個人事業を始めた場合、就職先が見つかったと同じことであるため受給資格がなくなる場合があります。
参考:厚生労働省|➢離職されたみなさまへ<
健康保険の扶養者から外れてしまう恐れがある
家族や配偶者の健康保険に扶養として入っている状態で、自分で事業を始めて開業届を提出すると、事業収入が一定の基準を超えた場合に健康保険の扶養対象から外れる可能性があるので注意が必要です。
健康保険組合ごとに扶養の条件が異なるので、事前に確認しておくようにしましょう。
扶養の資格を失うと、自分で健康保険をやめる手続きを行い、あらためて国民健康保険などへの加入手続きを行う必要があります。
そのため、扶養に入っている方は、家族や配偶者の勤務先が加入している健康保険組合のルールを事前に確認しておくことが重要です。
開業届が必要な場合は速やかに提出しよう!

今回は、アフィリエイトの開業届の書き方を紹介しました。
アフィリエイト業で開業届を出すことは、リスクだけでなく多くのメリットが挙げられます。
特に青色申告による税制上の恩恵を受けたい方にとっては、開業届の提出が前提条件となります。
開業届の必要性を感じた方はなるべく早めに提出手続きを進めることをおすすめします。
今回の記事を参考にして、開業届が必要な場合は速やかに提出するようにしましょう。
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この記事の監修者

税理士法人松本 代表税理士
松本 崇宏(まつもと たかひろ)
お客様からの税務調査相談実績は、累計1,000件以上。
国税局査察部、税務署のOB税理士が所属し、税務署目線から視点も取り入れ税務調査の専門家として活動。多数の追徴課税ゼロ(いわゆる申告是認)の実績も数多く取得。