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会社設立
会社設立(設立登記申請)は司法書士しかできない?|他の士業の選び方から自分で登記する際の注意点について
この記事の監修者
税理士法人松本 代表税理士
松本 崇宏(まつもと たかひろ)
お客様からの税務調査相談実績は、累計1,000件以上。
国税局査察部、税務署のOB税理士が所属し、税務署目線から視点も取り入れ税務調査の専門家として活動。多数の追徴課税ゼロ(いわゆる申告是認)の実績も数多く取得。
会社を設立する場合、書類の作成や申請の手続きなどがたくさんあります。
個人で行うには難しいことも多く、会社設立に関する書類作成等を士業の専門家に依頼するケースが一般的となっています。
会社の設立時に関わる士業には、「司法書士」「税理士」「行政書士」「社会保険労務士」といった士業がありますが、依頼できる範囲や役割がそれぞれ異なります。
この記事では、会社設立の手続きに関わる士業の役割の違いや、士業を選ぶ際のポイント、メリット・デメリットなどについて解説します。
会社設立の基礎知識
会社設立というと「株式会社」を起ち上げるというイメージのある方が多いかもしれません。
しかし、「会社」には「株式会社」以外にもいくつかの種類があります。
会社の種類とは?
会社の種類は大きく次の3つの種類に分けることができます。
- 株式会社
- 持分会社
- その他の法人
それそれ「誰が所有」し、「誰が経営するのか」など特徴がことなります。
法人を設立する際には、所有や経営についてはもちろん、事業の種類や目的によって、「法人の種類」を決める必要があります。
1.株式会社
株式会社とは、株式を発行し、集めたお金で運営をしている会社のことです。
出資した「株主」が株式によって会社を所有していますが、会社の経営は株主に選ばれた経営陣が担っています。
所有と経営が分離しているのが特徴です。
2.持分会社
株式会社以外の会社を持分会社といい、以下の3種類があります。
- 合名会社
- 合資会社
- 合同会社
株式会社と大きく異なる点は、所有と経営が「一致」している法人である点です。
持分会社は出資者を「社員」といい、社員が自ら会社の経営を行います。
また、この「合名会社」「合資会社」「合同会社」3種類の違いは会社に対する責任社員の限度が異なるところです。
3.その他の法人
株式会社と持分会社は「会社法」という法律によって定められた「会社」です。
その他の法人とは、「会社法上の会社」以外の法人をさします。
具体的には、医療法人、学校法人、社会福祉法人、宗教法人、独立行政法人、一般財団法人、公益財団法人、一般社団法人、公益社団法人、NPO法人などがあります。
他にも「法人」とは名称につきませんが、「地方公共団体」「農業協同組合」「漁業協同組合」なども法人です。
会社設立は自分で行うか専門家に依頼するか?
会社設立の手続き方法は、自分で行うか、専門家に依頼するかの二択です。
結論からいうと、「費用を抑えたい」「設立の知識を身に付けたい」という理由があるなら自分で、「設立手続きに不安がある」「手続きの時間が取れない」という場合は専門家への依頼するのがおすすめです。
また、この2つの方法には、それぞれのメリット・デメリットがあります。
自分にとってどちらの方法がスムーズかつ効率的に会社設立できるのか選択しなくてはいけません。
会社設立を自分で行うメリット・デメリット
会社設立の手続きを自分で行う場合、費用が抑えられることに加え、会社の法律や税金に関する知識や経験が得られるというメリットがあります。
しかし、会社設立の手続きには必要な書類が多くあり、また手順も複雑です。
自分で手続きすることで、時間がかかったり、書類にミスや漏れが発生したりといったリスクがあるのがデメリットです。
会社設立を自分で行うメリットとデメリットは以下のとおりです。
メリット
- 専門家への依頼費用をおさえられる
- 会社設立について経験が得られる
- 会社法や税金に関する知識が得られる
デメリット
- 慣れない作業により時間がかかる
- ミスが発生するリスクを負う
- 設立準備に時間を割くため事業が圧迫される
会社設立を専門家に依頼するメリット・デメリット
専門家は知識と経験があるため、書類作成や申請代行などの手続きを正確かつスムーズに進めてくれます。
そのため、自身はその間も本業に専念することができるためメリットが大きいです。
しかし、専門家への依頼するとなると外注費がかかります。
場合によってはスポット契約できずに継続的な業務委託契約や顧問契約の締結が求められる懸念があります。
また、自分のニーズに合った専門家を探すという手間がかかるのもデメリットといえるでしょう。
会社設立を専門家に依頼するメリットとデメリットは以下のとおりです。
メリット
- 手続きがスムーズにできる
- 設立を進めながら本業に集中できる
デメリット
- 専門家への依頼費用がかかる
- 専門家を探す手間
- 顧問契約が必要になるリスク
会社設立の際に依頼できる専門家それぞれの役割
会社設立の際に手続きを依頼できる士業には、司法書士や行政書士、税理士、社会保険労務士が該当し、それぞれ対応できる領域が異なっています。
自分にとって適切な専門家を選択するためには、それぞれの得意分野や依頼に必要な費用を把握しておくことが重要です。
また、トラブルにならないよう契約期間が決まっている「スポット契約」か、長期的に契約する「顧問契約」のどちらかを選べるのかも確認しておきましょう。
スポット契約の場合は会社設立時の手続きのみ、顧問契約の場合であれば事業上の幅広い相談ができる、などメリットが違います。
司法書士
- 依頼費用目安
└20万円以上 - 依頼できる範囲
└登記申請
定款作成・認証 - メリット
└登記申請を依頼できる - 主な業務内容
└定款作成・認証、登記申請・変更手続き
会社設立を司法書士に依頼するメリットは、会社設立にあたってほぼすべての手続きを任せられることです。
また、登記申請は司法書士の独占業務のため、その他の専門家にはできません。
登記申請とは、法人に関する「商号(社名)や事業内容・会社の所在地・代表者の氏名や住所など」の必要な情報を法務局に登録し、一般に開示できるようにすることをさします。
司法書士への依頼にかかる費用相場は20万円からと割高ですが、手続きを断然スムーズに進めることができるでしょう。
行政書士
- 依頼費用目安
└約10万円 - 依頼できる範囲
└・定款作成・認証
・許認可申請
・社用車申請 - メリット
└許認可の届出や公文書の作成がスムーズに進められる - 主な業務内容
└定款作成・認証(申請は不可)、許認可申請、社用車申請
行政書士は、「許認可」や「届出の代行申請」「公文書の作成」といったことを得意としています。
会社設立の手続きにおいて行政書士は登記申請の手続きはできませんが、必要な書類の作成・認証の代行は依頼できます。
そのため、自分の設立する会社に行政機関からの許認可が必要な場合は行政関連の手続きを専門としている行政書士への依頼を検討しましょう。
たとえば、飲食店や酒類の販売、介護事業などは行政機関に届け出る義務があり、許認可の手続きや業務で使用する自動車の申請は行政書士しか代行できないため行政書士へ依頼する必要があります。
税理士
- 依頼費用目安
└6〜20万円 - 依頼できる範囲
└・税務関係の書類作成・申請
・税務相談
・会計業務 - メリット
└・税務に関する書類作成依頼や相談ができる
・経理関連のサポートが受けられる - 主な業務内容
└ 税務関係の書類作成、申請、コンサルティング
税理士は税務の専門家で、会社設立や経営に必要な会計関連業務を依頼できます。
会社設立に特化してはいませんが、会社設立前に相談することで資本金の金額や決算月等、お金に関するアドバイスを受けることができます。
また、会社設立後は税理士からは節税や決算のサポートが必要になることが多いので、長期的に考えた場合、顧問契約を結ぶのもよいでしょう。
社会保険労務士
- 依頼費用目安
└2〜17万円 - 依頼できる範囲
└・労働保険関係
・社会保険関係
・給与計算
・帳簿作成
・労務に関するアドバイス - メリット
└労務に関する書類作成依頼や相談ができる - 主な業務内容
└労働保険関係、社会保険関係、給与計算、帳簿作成、コンサルティング
会社設立時に社員を雇用する場合、依頼を検討したいのが社会保険労務士です。
ただし、登記に関しては専門としていないため、会社設立に関する依頼をする際は登記を扱える士業との連携ができる人を探すのがよいでしょう。
社会保険労務士は、人事領域のなので社員の労働保険や年金に関する相談や書類作成の依頼ができます。
どちらかと設立後に関わることの方が多いかもしれません。
士業を選ぶ際のポイント
会社設立の手続きを依頼する際は、自身の状況に合わせて士業を選ぶことが重要です。
士業を選ぶときには、以下の点に注意するといいでしょう。
どこまでを依頼するか検討する
会社設立の手続きは、士業に依頼せず、自分で行うことも可能です。
しかし、自分ですべて行うとなると、書類の書き方や手続き方法を調べるなど、時間と手間がかかります。
一方、専門家である士業に依頼すると、手間は減りますが、費用がかかります。
すべて任せるということができない場合は、「手間」と「費用」の兼ね合いを考えて、「自分でできるところ」と「専門家に依頼するところ」とで調整が必要になるでしょう。
会社設立に関する支援の実績があるかを確認する
同じ士業の中でも、「得意分野」と「不得意分野」があるものです。
そのため、過去に会社設立支援の実績がある士業の方を選ぶと安心でしょう。
実績がない士業の方の場合、相談や対応が十分に行ってもらえなかったり、他の士業との連携が円滑にいかなかったりといった懸念がありますので注意しましょう。
自分との相性を確かめる
会社設立にはいくつもの手続きがあります。
そのため、依頼する士業の方とうまくコミュニケーションがとれないと行き違いや疑問が生じやすくなる可能性があります。
依頼する前に直接またはオンラインで面談するなど、「説明がわかりやすいか」「話しやすそうか」など、自分との相性を実際に確かめるといいでしょう。
会社設立を専門家に依頼するなら司法書士がおすすめ
会社設立の手続きを専門家に依頼するなら、一番おすすめなのはすべての手続きを任せることができる司法書士です。
司法書士に依頼した場合のメリット・デメリットをさらに詳しく確認しておきましょう。
会社設立を司法書士に依頼するメリット
会社設立を司法書士に依頼するメリットについて解説します。
登記の専門家なので司法書士なら安心
会社設立を支援できる専門家としては、税理士、司法書士、行政書士が挙げられますが、会社設立手続きで必要となる「設立登記申請」を行うことができるのは司法書士のみです。
設立登記申請のプロである司法書士が作成した申請書類で、申請が通らないといった心配はほとんど無用といえるでしょう。
万が一、書類に不備やミスがあったとしても司法書士ならば適切な修正対応ができます。
会社設立にかかるスピードが早い
会社設立の登記申請は自分で行う事も可能です。
しかし、素人が調べながら手続きを進めていくので、予定通りに手続きが進められず、時間がかかってしまう恐れがあります。
司法書士は登記申請手続きに慣れたプロなので、正確かつスピーディーに手続きを進めることができるでしょう。
手続き以外のことに取り組むことができる
会社設立のの手続きをすべて司法書士に任せれば、本業に集中して時間を使うことができます。
会社設立時には、手続き以外にもやらなければいけないことがたくさんあります。
手続き以外のことに使える貴重な時間が確保できるという点でも、司法書士に依頼するメリットは大きいといえます。
会社設立を司法書士に依頼するデメリット
司法書士に依頼するデメリットとしては、登記申請の専門家である一方で、それ以外のことでの支援が受けづらいことなどが考えられます。
経理面の相談などは難しい
司法書士は登記申請の専門家なので、それ以外のたとえば会社の経理業務などについては相談できない可能性があります。
そのため、あくまでも会社設立の登記申請の専門家として考えるべきでしょう。
また、会社設立にあわせて、許認可や補助金・助成金申請など司法書士の代行範囲外の手続きが必要になった場合は、自分で行うか、該当の専門家に依頼する必要があります。
費用がかかる可能性
もともと顧問契約している税理士などの他の士業がいる場合、従来の費用内でアドバイスを受けられる可能性もあるでしょう。
しかし、あらためて司法書士に依頼する場合はその分さらに費用がかかります。
もちろん、会社設立において司法書士は専門家なので、高いサービスを受けられますが、費用は増える可能性があります。
会社設立の手続きを司法書士に依頼した場合
ここでは、司法書士に会社設立の手続きを依頼した場合の流れについて確認しておきましょう。
会社の基本項目を決定する
会社を設立する場合には、その会社について様々なことを決めなければなりません。
決めなければならないことは多岐にわたりますが、主なものをあげると以下のようになります。
- 会社の種類(株式会社か合同会社か)
- 商号(会社名)
- 本店所在地
- 事業年度
- 資本金
- 出資者
- 取締役の氏名
この他にも、多くの決めなければならない事項があります。
司法書士に会社設立を依頼すれば、抱え込まず司法書士にアドバイスを受けながらこれらを決定していくことが可能となります。
定款の作成
会社の基本事項を決定したあとは、その内容に基づいて定款を作成します。
定款とは会社にとって憲法のようなものであり、必ず作成しなければならないことと定められています。
また、定款には、「必ず記載しなければならないこと」や「定款に記載しなければ効力を発揮しないこと」もあります。
これらの内容を把握しながら自分で作成するのは困難な定款も司法書士に依頼していれば、必要な内容をクリアした定款が作成できます。
登記に必要な書類と登記費用の準備
会社設立の登記を行う際には、定款以外にも数多くの書類を法務局に提出しなくてはいけません。
そのような書類の作成も司法書士にすべて任せることができます。
司法書士に依頼していれば、作成してもらった書類を確認し、必要に応じて署名や押印を行うだけで進められます。
ただし、ミスがあるとそのまま登記されてしまうため、この段階で入念に内容を確認しておく必要があります。
また、会社の設立登記を司法書士に依頼する場合は、登記費用(登録免許税)を司法書士に預ける必要があります。
登記費用は資本金の額により異なるので、必ず司法書士に確認しておきましょう
定款の認証を行う
会社設立のために作成した定款は公証役場で認証の手続きを行う必要があります。
この認証においても、司法書士に依頼している場合は任せられるので、特にしなければならないことはありません。
資本金の払い込み
定款の認証を受けたら、資本金を発起人の個人口座に払い込みします。
その後、通帳のコピーなどが必要になるので、準備しておきましょう。
会社設立の登記申請をする
会社設立の登記申請に必要な書類がすべてそろったら、司法書士が法務局で登記申請を行います。
期間の目安としては、登記申請を行った1〜2週間後に法人登記が完了となります。
登記が完了したら、会社の「登記簿謄本」や「印鑑証明書」を取得できるようになります。
会社設立に関わる士業の役割を理解し上手に専門家の力を借りよう
会社設立の手続きは、司法書士や行政書士、税理士、社会保険労務士といった士業に代行依頼することができます。
これらの手続きは自分で行うこともできますが、時間がかかる上、誤った手順で進めてしまうリスクがあります。
そこで、会社の設立の手続きは、専門家に依頼するのがおすすめです。
もちろん報酬が発生するので、費用はかかりますが、確実かつ希望のスケジュールに合わせた登記ができる可能性が高くなります。
「自分でどこまでできるか」「どの士業を選ぶか」「士業に何を依頼するか」とそれぞれの専門家の役割を整理したうえで、士業への依頼を検討するといいでしょう。
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