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起業・開業
建設業で起業する方法|費用や資格&失敗しないための準備

読了目安時間:約 6分
建設業での起業を考えている方の中には、必要な資格や費用について疑問をお持ちの方もいらっしゃるのではないでしょうか。建設業は技術や経験が求められるだけではなく、資金集めや許可の取得が必要なこともあります。
本記事では、建設業で起業するために必要な資格や費用などの準備について解説します。起業を失敗しないためのポイントにも触れますので、この記事を参考にスムーズな開業準備ができるよう知識を深めていきましょう。
目次
建設業で起業する方法
建設業で起業するには、以下のような方法があります。
- 一人親方になる
- 法人として会社を設立する
- フランチャイズを選択する
一人親方になる
会社を設立せずに、一人親方として起業するという方法があります。
一人親方は、外部の従業員を雇わずに一人またはその家族だけで仕事を請け負います。
仕事内容としては一人または少人数でできるものである、大工や型枠、塗装、左官、クロス貼りなどが挙げられます。
大きく分類すると個人事業主となり、法人として会社を設立するよりも必要な手続きは少ないといえます。一人で起業して、事業が軌道に乗ってきたら従業員を雇い法人化するという方も多いです。
煩わしい手続きを行わず、すぐに仕事を始めていきたいのであれば一人親方としての起業がいいでしょう。
法人として会社を設立する
法人として会社を設立しようとすると、いくつか手続きが必要になります。
会社設立のための登記、社会保険や労働手続きの加入などがあります。
一人親方よりもハードルが高く感じられるかもしれませんが、法人の方が社会的信用を得られやすいというメリットがあります。
優秀な人材を確保する、資金繰りのための融資を受ける、などの目的があれば法人の方が有利になるかもしれません。
フランチャイズを選択する
建設業で起業するのであれば、フランチャイズという方法も選択肢のひとつです。
加盟金やロイヤルティといった資金が必要になりますが、知名度があるから集客に繋がりやすいですし、本社のサポートを受けられるといったメリットがあります。
いきなり起業をすると資金繰りなど経営面で行き詰るケースがありますが、フランチャイズなら資金繰りに関しても学べる機会があります。
経営理念に共感できるなど気になるフランチャイズがあれば、具体的な内容を調べてみてもいいでしょう。
建設業での起業にかかる費用
建設業で起業するには、どのくらいの費用が必要なのか確認しておきましょう。
- 一人親方の起業費用
- 会社設立にかかる費用
一人親方の起業費用
一人親方として起業するのであれば、初期費用は比較的少なく済む場合が多いです。
開業届の提出自体に費用はかかりませんし、事務所を準備せずに自宅で起業するという形であれば別途賃料なども必要ありません。
建設業許可を取得するのであれば自己資本500万円以上、または500万円以上の資金調達能力が必要ですが、小規模の事業からスタートするのであればこの費用も不要といえます。
建設業許可の取得について、詳しくは後述します。
会社設立にかかる費用
法人として会社を設立するのであれば、株式会社で22~24万円、合同会社で10万円ほどかかります。
建設業許可のための資本金500万円以上と、事務所の賃料などもかかります。
従業員を雇うのであれば、人件費についても準備が必要です。
起業した直後から安定した売り上げが見込めるかはわかりませんので、3ヶ月~6ヶ月分以上の運転資金を準備しておきましょう。
建設業での起業に必要な資格
建設業を行う上で必要な資格について、ご説明します。
- 建設業許可を取得するべき理由
- 建設業許可の区分について
- 一般建設業と特定建設業
建設業許可を取得するべき理由
建設業で起業する場合、建設業許可の取得が必要となる場合があります。
ただし「軽微な建設工事」のみを請け負って仕事をするのであれば建設業許可は不要です。
「軽微な建設工事」とは、以下のような建設工事を指します。
工事1件の 請負代金の額 | |
---|---|
建築一式工事 | 1,500万円未満 または延べ面積が150㎡未満の木造住宅工事 |
建築一式工事以外の建設工事 | 500万円未満 |
建設業の許可区分について
営業所の置き方によって、建設業の許可区分が異なります。
営業所の区域 | |
---|---|
国土交通大臣 | 二以上の都道府県の区域内 |
都道府県知事 | 一の都道府県 の区域内のみ |
上記のように営業所の場所によって区分が分けられますが、営業し得る区域または建設工事を施工し得る区域に制限があるわけではありません。
許可を受ける行政庁は、国土交通省のホームページを参考になさってください。
参考:国土交通省|許可行政庁一覧表
一般建設業と特定建設業
建設業許可は、契約の規模により「一般建設業」と「特定建設業」に分けられます。
特定建設業 | 5,000万円以上となる下請契約の締結 (建築工事業の 場合は8,000万円) |
一般建設業 | 特定建設業以外 |
下請契約の締結に係る金額については、令和7年2月より上記の金額となっています。
以前のものと混合しないようご注意ください。
建設業で起業をするためのステップ
建設業で起業をする前には、以下のようなステップを踏んでいきましょう。
- 企業や組織で経験を積む
- 専任技術者になれる資格を取得する
- 起業の資金や情報を集める
- 会社設立や開業届の手続きをする
- ホームページやSNSで集客を行う
企業や組織で経験を積む
一般的には、まずは企業や組織に属し経験を積んでいきます。
将来的に独立や起業を見据えて、自分が専門とする職種に必要なスキルを身につけていきます。
専任技術者になれる資格を取得する
建設業法では、営業所ごとに専任技術者の配置が義務づけられています。
起業のために建設業許可を取得したいと考えているのであれば、まずは専任技術者になれる資格が必要です。
一人親方であっても、自身が専任技術者になれる条件を満たしていれば建設業許可を取得できるようになるためです。
専門の職種によって必要となる国家資格が異なりますので、適切な資格を取得していきましょう。
起業の資金や情報を集める
スキルや資格を取得したら、本格的に起業の準備を進めていきましょう。
事務所を用意するのであれば、内見などをして積極的に動いていきます。
資金集めについては、開業資金だけでなく運転資金、建設業許可の取得のために500万円以上の資本金が必要になりますので、まとまったお金を準備しなくてはいけません。
起業の資金集めの方法としては、創業融資を活用するという選択肢もありますので覚えておくといいでしょう。
会社設立や開業届の手続きをする
一人親方として個人事業主でやっていくのであれば、管轄の税務署に開業届を提出します。
確定申告で青色申告を選択したいのであれば、青色申告承認申請書も同日に提出しておくと後から手続きをする手間が省けます。
会社を設立するのであれば、定款の作成・認証、法人登記などの手続き、社会保険の加入が必要です。
ホームページやSNSで集客を行う
ホームページやSNSアカウントは集客ツールとして有効であり、顧客からの信頼獲得にもつながります。
「まずはどんな会社か検索してみる」という人が多い時代なので、これから事業を拡大させていきたいのであれば事前にホームページを準備しておくといいでしょう。
SNSは企業・ブランドとしてのイメージを構築できるツールです。
何もかもに手を出す必要はありませんが、どう事業を拡大させていきたいのかをイメージして適切なツールを選択していきましょう。
建設業の起業で失敗しないために
建設業で起業した場合、安定した利益を上げるためには適切な経営と努力が必要です。最初の数年間は収益が不安定なこともありますので、計画的に運営していくことが求められます。
失敗しないために、以下のような点を意識していきましょう。
- 営業努力で集客力アップ
- 建設業務以外の事務を回していく
- 運転資金を準備しておく
- 労災保険に加入しておく
営業努力で集客力アップ
起業したらサラリーマンのように与えられた仕事をこなすだけで報酬が得られるわけではありません。
受注した仕事だけでなく、自身で営業を行っていく必要があります。
最初は人脈があって仕事に困らないという人でも、事業を継続していくためには営業が欠かせません。
営業による集客だけでなく、リピーターを増やしていけるようにアフターフォローなどを丁寧に行っていきましょう。
建設業務以外の事務を回していく
起業をしたら建設業務以外の事務処理も行っていかなければいけません。
事務員を手配すると継続的に人件費がかかりますが、業務を回していく上では検討することも選択肢の一つです。
運転資金を準備しておく
起業のためには運転資金の準備が不可欠です。
工事の着工から完了、その後の入金までに必要となる資金がなくなると事業に支障が出てしまうかもしれません。
人件費や材料費、外注費や現場経費を準備しておくのはもちろん、不足の事態に備えた余剰金があると心強いです。
労災保険に加入しておく
建設業は危険な現場で業務を行いますので、労災保険に加入しておきましょう。
一部例外を除き個人事業主は労災保険の加入が認められていませんが、建設作業や重量物の取り扱いを含む業務を行う一人親方は労災保険の特別加入制度が利用できます。
自身がいくら注意をしていたとしても、思いがけない事故に巻き込まれてしまうことも考えられますので、労災保険の特別加入制度の利用を検討しましょう。
建設業の起業は税理士に相談を
建設業を起業しても、本人のスキルだけでは事業の継続は難しいかもしれません。
経営者としての知識や判断力、人脈や営業力など多くの要素が求められるようになるためです。
起業や会社設立に関して、税理士法人松本では以下のようなサポートをしています。
- 建設業許可申請
- 社会保険・労働保険の手続き
- 一人親方サポート
- 会社設立
- 資金調達サポート
- 税理士顧問
起業や会社設立時はもちろん、税申告や税処理に関してのご相談が可能です。
スムーズに事業を開始し、できるだけ早く軌道に乗せていくためにも、専門家のサポートがあると安心です。
建設業の起業に関するよくある質問
建設業の起業に関するよくある質問をまとめました。
- 建設業で独立しやすい職種は何ですか?
- 建設業でも該当する助成金はありますか?
- 未経験でも建設業で起業できますか?
建設業で独立しやすい職種は何ですか?
一人親方でも起業しやすいのは一人でも作業ができるような内容で、大工、型枠や塗装、左官、
クロス貼りなどが挙げられます。
手に職をつけておけば、独立しやすい職種であるといえるでしょう。
建設業でも該当する助成金はありますか?
2024年問題による建設業での人手不足や、材料費・運搬費の高騰を緩和するため、建設業の事業者が申請できる助成金があります。
助成金や補助金は原則返済不要となりますので、該当するものがあれば積極的に申請しましょう。
事業再構築補助金やものづくり補助金、小規模事業者持続化補助金がありますので確認してみましょう。
未経験でも建設業で起業できますか?
建設業には専門的な技術や知識、経験が必要となります。未経験の方が起業するためには、まずはスキルを身に着けられるよう、現場で経験を積んでいくようにしましょう。
建設業界に精通した税理士を選ぼう
建設業の起業に関して、税理士がお力になれる事柄はいくつかあります。
しかし税理士なら誰でも良いというわけではなく、業界に精通した税理士を選ぶべきです。
税理士法人松本には、建設業界に詳しいスタッフが在籍しています。
専任技術者の問題や建設業許可の申請についてなど、建設業特有のお悩みも親身にサポートいたします。お気軽にご相談ください。
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この記事の監修者

税理士法人松本 代表税理士
松本 崇宏(まつもと たかひろ)
お客様からの税務調査相談実績は、累計1,000件以上。
国税局査察部、税務署のOB税理士が所属し、税務署目線から視点も取り入れ税務調査の専門家として活動。多数の追徴課税ゼロ(いわゆる申告是認)の実績も数多く取得。