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合同会社設立登記申請書とは?書き方や申請方法を解説

読了目安時間:約 7分
合同会社を設立する際には、合同会社設立登記申請書のほかにさまざまな添付書類の作成も必要となります。株式会社の設立時とどのような違いがあるのか、書き方や申請方法を理解することで、スムーズに登記申請を進めやすくなるでしょう。
ここでは、合同会社設立登記申請書の書き方や申請方法に加え、合同会社のメリットや株式会社との違いなどについても解説していきます。合同会社の設立を検討している方や、登記申請の流れを掴みたい方にとって参考になる内容となっています。
目次
合同会社とは
そもそも合同会社とはどのような会社なのか、合同会社設立登記申請書の提出先や「登記」の概要などについて解説します。
2006年施行の会社法で新たに誕生した会社形態
合同会社とは、合名会社や株式会社などと並ぶ日本の会社形態の1つです。合同会社は2006年に会社法で制定された会社で、アメリカで普及している会社形態の1つであるLLC(Limited Liability Company)がモデルとなっています。
2025年現在、日本国内における会社形態は「株式会社」「合同会社」「合名会社」「合資会社」の4つです。
合同会社と株式会社の違い
株式会社では、出資者(株主)が株主総会で取締役を選任する形をとるのに対して、合同会社では出資者が経営者となる点が異なります。
株式会社では出資者である所有者と会社を経営する取締役は分けられますが、合同会社では所有者と経営者が同じであるため、対等な立場で経営に関わることが可能です。
株式会社と合同会社、合名会社、合資会社の違い
株式会社と合同会社、合名会社、合資会社の違いは、有限責任か無限責任かの違いで分けることもできます。
株式会社:間接有限責任社員のみで構成
合同会社:間接有限責任社員のみで構成
合名会社:直接無限責任社員のみで構成
合資会社:直接有限責任社員と直接無限責任社員で構成
有限責任とは、会社の負債について弁済義務が有限であることを意味します。有限責任では、出資額を限度にそれ以上の債務弁済のリスクを避けることが可能です。無限責任では弁済義務に限りが設けられないため、負債について個人の資産から弁済するリスクが生じます。
「直接」と「間接」の違いは、債務について直接責任を負うか、会社を通して間接的に責任を負うかの違いとなります。
合同会社の設立は増えている
法務省が発表している2023年度の登記統計によると、合同会社の会社設立数は40,751となっており、1位の株式会社100,669に次ぐ2位となっていました。
合同会社は複数の個人事業主が共同で事業を立ち上げる際や、小規模な会社経営などに向いており、有限会社に代わる会社形態として、合同会社の設立は増えてきています。
参照:e-Stat「登記統計 商業・法人」
https://www.e-stat.go.jp/dbview?sid=0003206210
合同会社のメリット
合同会社の主なメリットとしては、以下の点が挙げられます。
・設立時のコストが小さい
合同会社は、株式会社と比較して会社設立時にかかる費用が小さいメリットがあります。株式会社設立時にかかる費用は約22~24万円ですが、合同会社は約10万円で設立可能です。
合同会社は決算公告などの必要もないため、会社設立後の費用も抑えることができます。
・経営の自由度が高い
合同会社では、株式会社のように株主と取締役を分離しないため、株主総会などを開催することなく会社の重要事項を決定することが可能です。
利益についても、出資額によらず会社への貢献度などで平等に分配することができるため、経営の自由度が高い点もメリットとして挙げられるでしょう。
・法人としての節税対策がとれる
個人事業主の場合は所得税の申告を行いますが、合同会社を設立した場合は法人税の申告を行うこととなります。所得税は所得が大きくなるほど税率も高くなりますが、法人税は原則として一定の税率となるため、課税対象額によっては法人税の方が節税効果を高めることが可能です。
また、法人の場合は給与や賞与なども経費に計上できるため、個人事業主よりも節税対策がとりやすくなります。
これらのメリットに加え、上記で説明した間接有限責任で会社設立できる点も、合同会社が選ばれる理由の1つといえるでしょう。
合同会社設立登記申請書の書き方
合同会社を設立する際には「合同会社設立登記申請書」を法務局へ提出し、登記を行う必要があります。登記とは、重要な情報について広く社会へ公示することで、情報の信用性を高めるほか、情報に基づいて取引を円滑に進められることなどを目的とした法制度の1つです。
登記には不動産登記や商業・法人登記などの種類があり、合同会社設立登記は商業登記に含まれます。
ここでは、合同会社設立時に提出する「合同会社設立登記申請書」の書き方について解説します。
合同会社設立登記申請書の入手方法
合同会社設立登記申請書は、法務省のホームページから書式のダウンロードが可能です。
法務局:商業・法人登記の申請書様式
https://houmukyoku.moj.go.jp/homu/COMMERCE_11-1.html
または、次の記入例を参考に自身で作成することもできます。
法務局:合同会社設立登記申請書(記載例)
https://houmukyoku.moj.go.jp/homu/content/001252889.pdf
合同会社設立登記申請時の書き方
合同会社設立登記申請書に記載する主な項目は次のとおりです。

・商号(社名):合同会社の会社名とフリガナを記載します。
・本店の所在地:合同会社の所在地を記載します。
・登記の事由:会社設立の場合は「設立の手続き終了」と記載します。
・登記すべき事項:「別紙のとおり」と記載し、登記すべき事項について記載した書類を別途作成し添付します。
なお、登記すべき事項について記載したデータを記録したCD-RまたはDVD-Rを添付することもできます。その場合は「別添CD-R(またはDVD-R)のとおり」と記載します。
・課税標準の金額(資本金):資本金の額を記載します。合同会社の場合、株式会社と同様に1円から設定することが可能ですが、信用性なども考慮して決定しましょう。
・登録免許税の額:合同会社設立登記申請時には、登録免許税の納付が必要となります。登録免許税額は資本金額の0.7%または6万円のいずれか大きい方となります。
・添付書類:定款や資本金の払い込みを証明する書類、就任承諾書などの添付書類について「定款 1通」など記載します。
・提出年月日:合同会社設立登記を行う日付を記載します。
・申請人、代表社員等の氏名・住所及び連絡先:申請人と代表社員の住所、氏名を記載します。合同会社では法人を社員とすることができます。法人を代表社員にする場合は職務執行者の住所、氏名を記載し、あらかじめ法務局へ提出した印鑑を押印します。また、代理人が登記申請を行う場合には、代理人の住所、氏名と押印も必要です。最後に連絡先の電話番号を記載します。
・登記所(提出先の法務局):「〇〇法務局 〇〇支局 御中」など、提出先の法務局を記載します。
合同会社設立登記申請時の必要書類
合同会社設立登記申請時に必要となる書類について解説します。
合同会社設立登記申請書に添付する書類
合同会社設立登記申請書へ添付する書類には、以下のようなものが挙げられます。

・定款
会社名や所在地、事業目的などを記載した書面です。株式会社とは異なり、合同会社では定款の認証は不要となります。紙で作成する場合は4万円の収入印紙を貼付します。
・登録免許税納付用台紙
合同会社設立登記申請時に納める登録免許税は現金ではなく、購入した収入印紙を別途A4用紙などへ貼付して納付します。なお、納付時に収入印紙への消印は必要ありません。消印を押してしまうと、再度購入する必要があるため注意しましょう。
登録免許税は資本金の0.7%または最低額となる6万円のいずれか高い方となります。
例:
資本金1,000万円の場合
1,000万円×0.7%=7万円
資本金500万円の場合
500万円×0.7%=35,000円となるため、納める登録免許税は最低額の6万円
・代表社員、本店所在地及び資本金決定書
代表社員と合同会社の本店所在地、資本金額について定款で定めていない場合に必要となる書面です。代表社員が1名のみの場合は「本店所在地及び資本金決定書」となります。定款と同じ日付で、記載する所在地の番地は漢数字で記載し、社員個人の実印を押印します。
・代表社員の就任承諾書
代表社員として就任することを承諾する旨の書面です。「代表社員、本店所在地及び資本金決定書」に追記して作成することもできます。
・会社印の印鑑届出書
会社の実印とする印鑑を法務局へ登録するための届出書です。
・代表社員の印鑑登録証明書
代表社員の印鑑登録証明書です。代表社員が複数いる場合は、全員の印鑑登録証明書が必要となります。
・資本金の払込証明書
資本金を代表社員の口座へ払い込み済であることを証明する書類です。通常は通帳の表紙と取引ページ、銀行の詳細がわかるページのコピーを添付します。
インターネットバンキングの場合は、上記詳細のわかる取引画面の画像を保存、コピーします。
・登記すべき事項について記載した別紙またはCD-R
合同会社設立登記申請書で「別紙のとおり」とした登記事項を記載した書類を添付します。登記すべき事項には
・事業目的
・商号
・本店及び支店の所在場所
・資本金額
・代表社員の住所氏名
などのほか、合同会社の解散の事由や存続期間、公告方法などについて定款に記載した場合には、登記すべき事項にも記載します。
代表社員が法人の場合は、執行役員の住所氏名も記載します。登記すべき事項についてデータで保存している場合は、保存したCD-RまたはDVD-Rの添付が必要です。
このほか、代表社員を法人とする場合には執行役員に関する事項や、代理人が申請する場合には委任状なども必要となります。
また、合同会社では不動産や債権など、現金以外を資本金とすることも可能です。合同会社設立時にどのような方法をとるのが自身にとって最適かわからない場合は、一度<span style=”background: yellow;”>会社設立に詳しい専門家へ相談してみる</span>のもよいでしょう。
合同会社設立登記申請時に押さえておきたいポイント
合同会社設立登記申請時に押さえておきたいポイントについても見ていきましょう。
合同会社設立登記申請書の提出方法
合同会社設立登記申請書の提出方法には「法務局の窓口へ直接提出する」「郵送で提出する」「オンラインで提出する」の3種類があります。
オンラインで提出する場合は、法務省のホームページから申請を行います。
法務局:「株式会社・合同会社の設立」
https://houmukyoku.moj.go.jp/homu/syougyou_youshiki.html
オンライン申請は窓口で直接申請する手間を省き、郵送による申請よりもスピーディーに登記を完了できるメリットがある反面、申請用総合ソフトのダウンロードやリーダーライターの購入、マイナンバーカードやマイナポータルをダウンロードしたスマートフォン、パソコン環境などの事前準備が必要となるため、慣れない場合はハードルが高い可能性があります。
記載内容に不備があると申請が無効になる可能性がある
定款の記載事項や会社名、資本金、所在地、事業目的など、合同会社の重要な情報に不備があった場合、登記が認められずに無効となってしまう可能性があるため注意が必要です。
最短24時間で登記が完了するオンライン申請の場合も、不備があった場合にはそこから手続きが進まず、何日も経過してしまうケースも少なくありません。
法務局へ提出し、社会的に公示する内容となるため、間違いのないよう慎重に書類を揃えるようにしましょう。
合同会社設立でお悩みの際は税理士法人松本へご相談を
税理士法人松本では、合同会社設立前のお悩みや設立後の課題など、会社設立時のあらゆるご相談に対応しています。提携の司法書士事務所で、会社設立時の登記申請書類の代理作成も可能です。
融資申請や節税、税務調査対策など、会社設立後の会計や税務サポートをご依頼いただいた場合、実質無料で会社設立サポートがご利用いただけます。
ご相談予約はフリーダイヤルまたは専用フォーム、LINEにて受け付けていますので、全国どこからでもお気軽にお問い合わせください。
まとめ
合同会社設立登記申請書は、合同会社を設立する際に法務局へ提出する書類の1つです。合同会社設立登記申請書には、定款や資本金の払込証明書、登記するべき事項などについて記載した添付書類に加え、印鑑届出書や印鑑証明書などの添付も必要です。
代表社員を一人にするか、代表を法人にするのかなど、合同会社設立にもさまざまなパターンがあり、申請時の様式も微妙に異なります。
提出した書類に不備があると登記申請が無効になってしまうため、可能であれば専門家へ申請について相談しながら進めていくのがおすすめです。
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- さらに会社設立してからも一気通貫で支援
この記事の監修者

税理士法人松本 代表税理士
松本 崇宏(まつもと たかひろ)
お客様からの税務調査相談実績は、累計1,000件以上。
国税局査察部、税務署のOB税理士が所属し、税務署目線から視点も取り入れ税務調査の専門家として活動。多数の追徴課税ゼロ(いわゆる申告是認)の実績も数多く取得。