2025.02.17

会社設立

会社設立時の登録免許税とは?半額にする制度や費用の目安を解説

読了目安時間:約 7分

会社設立時の登録免許税を半額にする方法はあるのでしょうか。法人として会社を立ち上げる際にかかる費用について軽減できる制度を知っておくことで、創業時の費用を抑えやすくなります。

この記事では、会社設立時にかかる費用の目安や内訳に加え、登録免許税の概要や半額にできる制度などについて解説しています。会社設立を自力で行うか、専門家へ依頼するかを検討する際の参考としてもお役立てください。

会社設立時にかかる登録免許税とは

会社設立時にかかる登録免許税について解説します。

登録免許税は登記や登録の際にかかる税金のこと

登録免許税とは、会社や不動産などの登記や登録をする際に課税される税金のことです。国税庁のホームページでは、登録免許税の概要について次のように記載されています。

“登録免許税は不動産、船舶、航空機、会社、人の資格などについての登記や登録、特許、免許、許可、認可、認定、指定および技能証明について課税されます。”

出典:国税庁「No.7190 登録免許税のあらまし」

https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/inshi/7190.htm

会社を設立する際は商業登記を行うため、登録免許税が加算されることとなります。

会社設立時にかかる登録免許税の税率

会社設立時にかかる登録免許税は、会社の種類によって税率が異なります。2025年現在、日本の会社形態には「株式会社」「合名会社」「合資会社」「合同会社」の4つがあり、それぞれの登録免許税率は以下のようになります。

株式会社設立:資本金額×0.7%または15万円のいずれか大きい方

合同会社設立:資本金額×0.7%または6万円のいずれか大きい方

合名、合資会社設立:1件につき6万円

なお、法務省が発表している2023年度の登記統計では、会社設立数の1位は株式会社(100,669件)、2位は合同会社(40,751件)となっており、4つの会社形態のうち、株式会社と合同会社の設立数が多いことがわかっています。

参照:e-Stat「登記統計 商業・法人」

https://www.e-stat.go.jp/dbview?sid=0003206210

会社設立時にかかる費用

会社設立時にかかる費用は、会社形態によって異なります。ここでは、設立数の多い株式会社と合同会社の設立費用について解説します。

株式会社設立時にかかる費用

資本金300万円で株式会社を設立する際にかかる主な費用は以下の通りです。

登録免許税:15万円

定款用の認証手数料:5万円

定款の謄本手数料:1枚250円

定款用の収入印紙代:4万円

計:240,250円

登録免許税は、資本金の0.7%が15万円より高くなる場合は高い方の額を納めます。

定款用の認証手数料は資本金100万円以上300万円未満の場合は4万円、100万円未満の場合は3万円となります。

また、紙の定款には収入印紙の貼付が必要となりますが、電子定款の場合には収入印紙代4万円は不要となります。

合同会社設立時にかかる費用

資本金300万円で合同会社を設立する際にかかる主な費用は以下の通りです。

登録免許税:6万円

定款用の収入印紙代:4万円

計:10万円

合同会社の登録免許税も、資本金の0.7%が6万円より高い場合は高い方の額を納めます。

合同会社設立の際は定款の認証は不要となり、電子定款の場合には収入印紙代も不要となります。

株式会社の設立よりも、合同会社設立の方が登記費用は小さくなります。株式会社と合同会社はそれぞれメリットが異なるため、<span style=”background: yellow;”>どの会社形態をとるかは慎重に検討する</span>とよいでしょう。

会社設立時に必要な定款とは

定款とは、会社の概要やルールなどについて記載した書類のことで、会社設立時の際に必要な書類の1つです。

定款に記載する内容には「絶対的記載事項」「相対的記載事項」「任意的記載事項」の3つがあります。

会社の事業目的や商号、本店所在地や資本金、発起人の住所氏名などは、絶対的記載事項として定款に必ず記載する必要があります。

相対的記載事項には、設立費用や発起人の報酬、財産引受や現物出資など、金銭トラブルを回避するための事項を記載します。

株主総会や公告に関する事項などは任意的記載事項となり、定款に定める必要がある場合に自由に記載することとなります。

株式会社の設立時には、定款作成後に公証役場などで認証を受ける必要があります。公証人から認証を受けることで、正当な手続きで作成されたものであることの証明が可能となります。合同会社の設立時には、定款の認証は不要です。

参照:日本公証人連合会「公証事務・定款認証」

会社設立時の登録免許税を半額にできる制度はある?

会社設立時の費用内訳において、登録免許税が占める割合は大きいものです。登録免許税を半額にできる制度はあるのかについて見ていきましょう。

登録免許税を半額にできる制度「特定創業支援等事業」

特定創業支援等事業とは、地方での創業を促進することを目的として、産業競争力強化法に基づいて提供されている支援事業です。各地方自治体が策定した「創業支援等事業計画」を基に、市区町村と創業支援事業者が連携して、さまざまな創業支援サービスを実施しています。

創業や会社設立をしようとしている人を対象とした特定創業支援事業の研修やセミナーでは、受講することで経営や財務、販路開拓や人材育成といった知識を身につけることができるメリットがあります。

また、特定創業支援等事業のもう1つのメリットとして、会社設立時の登録免許税の軽減措置が挙げられます。特定創業支援事業の相談窓口や研修、セミナーなどの受講後に、自治体が発行する証明書を受けることによって、株式会社または合同会社設立時の登録免許税の軽減措置を利用することができるのです。

特定創業支援等事業の登録免許税軽減措置適用後の税率

特定創業支援等事業受講後に、軽減措置を受けて株式会社または合同会社を設立する場合の登録免許税率は以下の通りです。

軽減措置適用前の税率と比較すると

・軽減措置適用前の税率

株式会社設立:資本金額×0.7%または15万円のいずれか大きい方

合同会社設立:資本金額×0.7%または6万円のいずれか大きい方

・軽減措置適用後の税率

株式会社設立:資本金額×0.35%または7.5万円のいずれか大きい方

合同会社設立:資本金額×0.35%または3万円のいずれか大きい方

となっており、軽減措置の適用を受けることで、会社設立時の登録免許税が半額となることがわかります。

参照:中小企業庁「会社設立時の登録免許税の軽減について」

https://www.chusho.meti.go.jp/keiei/chiiki/registration-license-tax/index.html

特定創業支援事業にはさまざまなメリットがある

特定創業支援事業には、登録免許税の軽減措置以外にも以下のようなメリットが挙げられます。

・小規模事業者持続化補助金で創業枠が利用できる

特定創業支援事業を受講して自治体から証明書の発行を受けると、小規模事業者持続化補助金の創業枠が利用可能となります。小規模事業者持続化補助金とは、商工会や商工会議所が支援する小規模事業者向けの補助金で、通常の補助上限は50万円ですが、創業枠を利用することで上限を最大200万円まで引き上げることが可能です。

小規模事業者持続化補助金は募集期間や締め切りがあるため、直近の状況については小会議所または全国商工会連合会のホームページなどで確認してみましょう。

商工会議所地区「小規模事業者持続化補助金」

https://s23.jizokukahojokin.info

全国商工会連合会「小規模事業者持続化補助金」

https://www.shokokai.or.jp/jizokuka_r1h

・融資申請時の優遇制度

特定創業支援事業を受講して自治体から証明書の発行を受けると、日本政策金融公庫で融資を受ける際に自己資金の要件を満たしているとみなしてもらえたり、金利の引き下げを受けたりすることができます。

また、信用保証協会を通して創業融資を受ける際、通常事業開始の2か月前から受け付けとなるところを、事業開始半年前からの受け付けが可能となります。

特定創業支援事業を受けるにはどうすればいい?

特定創業支援事業が受けられる要件や手順、おすすめの方法などについて解説します。

特定創業支援事業が受けられる要件

特定創業支援事業を受けるには、現在「これから創業しようとしている」または「創業してから5年未満」の必要があります。

現在事業を継続している中小企業の事業者が新たに会社を設立する場合や、設立して5年以内の場合にも特定創業支援事業の対象となりますが、この場合は登録免許税の軽減措置が受けられないため注意が必要です。

特定創業支援事業を受講する際の手順

特定創業支援事業は、市区町村と創業支援事業者が連携して相談窓口や研修、セミナーなどを実施しています。

特定創業支援事業を受講する際の基本的な手順は以下のようになります。

・受講要件を満たしているか確認する

特定創業支援事業受講の要件を満たしているかを確認します。これから起業しようとしているか、起業後5年以内であれば、支援の受講が可能です。

・自治体や支援事業者のホームページで開催状況を確認する

受講する要件を満たしている場合、まずは事業区域を管轄する自治体のホームページなどで、特定創業支援事業の開催スケジュールなどをチェックします。

支援事業は自治体や支援事業者によってさまざまな種類があり、スケジュールも地域によって異なるため、受けられそうな支援があるかこまめに確認してみましょう。

・特定創業支援を受ける

受けたい事業が見つかったら、応募要領に従って申し込み、支援を受けます。

・自治体から証明書の発行を受ける

支援事業の受講が終わったら、各自治体へ受講が完了したことの証明書発行を申請します。証明書発行申請も自治体によって申請方法が異なります。

例として、渋谷区の「特定創業支援等事業の支援を受けたことの証明書」申請方法をご紹介します。

・申請方法:支援を受けた日から1年以内に、必要書類を添付の上、オンラインまたはEメールで申請します。

・必要書類:

特定創業支援等事業により支援を受けたことの証明に関する申請書(第1号様式)

開業届の写し (既に創業している個人事業主のみ)

登記簿謄本履歴事項全部証明書の写し (既に創業されている法人代表者のみ)

参照:渋谷区ホームページ「特定創業支援等事業による支援を受けたことの証明書について」

https://www.city.shibuya.tokyo.jp/jigyosha/shoko-rodo-sodan/sogyo-shien/sogyoshien_shomei.html

会社設立時のサポートや補助制度で迷った場合

「会社設立時の初期費用を抑えたいけど、どの方法がよいのかわからない」「補助制度や支援事業などを受けたいが、正しく手続きできるか不安」といった悩みがある場合は、会社設立時のサポートに強い専門家へ相談してみるのも1つの方法です。

例えば、登録免許税が半額にできなくても、創立費として経費計上することが可能です。また、登録免許税は登記内容を変更する際にも課税されるため、会社設立時の書類作成に不備があると、せっかく軽減措置を受けても余分な費用がかかってしまうこととなるのです。

会社設立後の税制優遇や資金調達など、将来的なアドバイスも受けたい場合は、会社設立や経営サポートに強みのある税理士事務所などへ相談してみることをおすすめします。

リサーチや要件の確認、必要書類の入手など、慣れない手続きや申請は専門家の力を借りることで、経営や事業の運営に注力することができるようになるでしょう。

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まとめ

会社設立時の登録免許税は、商業登記をする際に納付が必要となる税金です。会社の登記申請時には登録免許税以外に定款の認証費用や収入印紙代など、さまざまな費用がかかります。会社設立時の登録免許税は特定創業支援事業を受講し、自治体が発行する証明書を受けることで半額にすることが可能です。ただし、支援事業は地域や支援事業者によって実施される内容や期間が異なるため、いつでも希望の支援が受けられるとは限りません。

創業融資などの資金調達や税制優遇など、登録免許税の軽減以外にも創業時に活用したい制度は色々あるため、専門家のアドバイスなども受けつつ、スムーズな起業、創業を目指しましょう。

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この記事の監修者

松本 崇宏

税理士法人松本 代表税理士

松本 崇宏(まつもと たかひろ)

お客様からの税務調査相談実績は、累計1,000件以上。
国税局査察部、税務署のOB税理士が所属し、税務署目線から視点も取り入れ税務調査の専門家として活動。多数の追徴課税ゼロ(いわゆる申告是認)の実績も数多く取得。

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