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【例文付き】創業融資の審査に通る事業計画書の書き方を解説!

読了目安時間:約 6分
創業融資などを利用して融資を受ける際には、事業計画書が重要となります。事業実績がなく、担保の設定も不要な創業融資の場合、事業計画書でしっかりと事業の将来性をアピールできるかが、審査を通過するポイントの1つとなるからです。
ここでは、創業融資の審査に通るための事業計画書の書き方やポイントなどについて、例文を挙げてわかりやすく解説しています。
目次
事業計画書とは
まずは、事業計画書とはどのようなものかについて改めて確認していきましょう。
事業の目的や強み、将来の収益予定などを明確にするための計画書
事業計画書とは、事業の目的や他社にはない強み、将来的な収益性などについて明確に記載し、第三者へ共有する目的で作成する計画書のことです。
事業計画書は、特に融資や補助制度などのサポートを受ける際に必要となることが多く、融資申請や各種支援を受ける際の必要書類の1つとなっています。
事業計画書と創業計画書の違い

事業計画書と創業計画書の違いとしては、作成するタイミングが挙げられます。事業計画書と創業計画書は、事業の詳細について外部へ共有する目的で作成する点は、どちらも同じです。創業計画書が事業を始める前のタイミングで作成するのに対し、事業計画書は既に始まった後のタイミングで作成される点が異なります。
一般的には、事業の実績がない状態から計画を立てる創業計画書の方が、計画書作成の難易度は高めです。
なお、既に事業を開始していても、一定期間内であれば創業間もないとみなされるケースもあるため、事業計画書と創業計画書が同様の意味で使用されることもあります。
創業融資申請時に事業計画書を提出する理由
創業融資とは、これから事業を始めようとしている経営者が、開業時に必要な費用や開業後の運転資金として融資を受けることのできる制度の1つです。
通常、民間の銀行や金融機関で融資を受けようとする場合、企業としての実績や過去数年間の収益などについてチェックを受けることとなります。創業前の実績がない状態で融資を受けるのは難しく、新しいビジネスを始めるチャンスを失いやすくなってしまいます。
こうした民間の金融機関の業務だけでは対応できない点を補完する目的で、国や地方自治体が創業融資を実施しています。
創業融資は、新しく事業を始めたい経営者を応援し、地域活性化や雇用創生などを促進することなどを目的としています。事業計画書で一定以上の将来性や計画性、公益性があるとみなされた場合、実績がなくても融資を受けることが可能です。
創業融資を受ける際には、日本政策金融公庫または地方自治体、信用保証協会などへ事業計画書(創業計画書)の提出が必須となります。その理由として、融資を実施する金融機関や自治体、保証協会にとっても、融資を実施してよいかの判断材料として、事業計画書の内容が重要となるからです。
実績や担保の準備ができない事業者にとって、企業の収益性や将来性、公益性などを外部へ伝える手段として、事業計画書の存在は大変重要といえるでしょう。
事業計画書を作成する目的
創業融資を利用する時以外にも、次のような目的で事業計画書を作成することがあります。
・事業の方向転換を行いたい時
スタートさせている事業について行き詰まりを感じる場合や、リニューアルしたい場合などに、事業計画書を作成することで方向転換しやすくなります。
何となく頭の中にはあるものの、はっきりと表現できないイメージを言語化することで、外部からのサポートも得やすくなります。近年の業界動向やトレンドなども調べることで、事業を進めるべき方向について再確認できる可能性も高まります。
新規取引先や従来の顧客に対しても、新たな方向性を共有する際に、<span style=”background: yellow;”>詳細で明確な事業計画書があると役立つ</span>でしょう。
・問題点や課題を洗い出すため
経営改善の必要があると感じている場合には、事業計画書で収益バランスなど資金の流れを掴むことで企業の問題点を洗い出すことで、今後の課題を可視化しやすくなります。
現在何にどの程度資金が使われているのか、このままいくと将来的にどの程度経営に支障が出るのか、上方修正するために改善するべきポイントはどこかなど、キャッシュフローや数値で可視化されることにより、経営改善がしやすくなります。
【例文付き】事業計画書に記載する基本項目と書き方のポイント
事業計画書や創業計画書は、創業融資や創業支援を申し込む金融機関、地方自治体などによってフォーマットが決まっていることも多いですが、どの事業計画書にも記載するべき基本の項目がいくつか存在します。
ここでは、創業融資の申請先として代表的な日本政策金融公庫の創業計画書記入例を基に、事業計画書に記載する基本の項目と書き方のポイント、記入例などについて見ていきましょう。

創業の動機
創業の動機では、創業にかける思いや真剣さなどが伝わるように記入します。起業しようと思い立った際の気持ちやきっかけなどを自身の言葉で書くことで、より熱意を伝えやすくなるでしょう。
あまり共感を得にくい理由や飛躍し過ぎているもの、曖昧でわかりにくい理由にならないように書くのがポイントです。
ダウンロードできる計画書の創業動機欄が小さい場合は、別紙に記載して添付するのもおすすめです。商品やサービスの詳細は「取扱商品・サービス」の項目で記載できるため、この項目では動機に焦点をあてるようにします。
記入例:
「〇〇業に10年間従事してきた中で、シニア世代のお客様からわかりやすいサービスの提供を望む声を多く聞いてきました。自身の両親も長年同じ悩みを持っていることを知り、勤務先の後押しもあって、シニア向け〇〇に特化した事業の創業を決意しました」
「中国のレストランで〇年間修行経験があり、現地で人気のあるメニューが日本国内で普及しておらず、現地から安く材料を購入できる販路を持ったこともあり、ぜひとも魅力を広めたいと考えたため」など
経営者の略歴等
これまでの勤務経験などについてわかりやすく記入していきます。創業する予定の事業と関連する経験やスキル、資格などをアピールできるのが望ましいですが、直接事業に関わったことがなかったとしても「エンドユーザー対応」「法人向け提案」など、事業とリンクできそうな事業への従事経験があれば記載しておきましょう。
記入例:
〇年3月 A大学卒業
〇年4月 株式会社B:食品サービス業にて〇年商品管理部勤務
〇年10月 関連会社C株式会社へ出向:〇年間店舗開拓マネジメント業務
〇年5月 同社を退社、〇〇に特化した飲食専門店開業にて創業予定
これまでの創業経験の有無については「過去の事業経験」欄へチェック、または詳細を記載します。
現状について、既に退職している場合は「創業準備中」等と記載します。退社の際にまとまった退職金が支給された場合は、金額も記載しておきます。事業に関連する資格を取得している場合は、資格名と取得年月を記載します。サービスや製品に関する商標や特許を取得、申請している場合は「知的財産権等」の欄へ詳細を記載しましょう。
取扱商品・サービス
創業予定の事業で取り扱う商品やサービスについて記載します。取扱商品・サービスの項目は、更に以下の項目に分けられます。
・事業内容
「健康志向メニューに特化したテイクアウト専門点」「シニア向けパソコン、スマートフォン教室運営」など、事業内容を端的に記載します。「準備期間〇か月」「ジュニア向けサービスも開始準備予定」など、今後の計画もあれば記載しましょう。
・取扱商品、サービスの内容
取扱商品やサービスに関する詳細を記載します。複数の事業を開始する場合は、シェアの大きい順に書くようにしましょう。
このほか、飲食業や小売業では客単価や営業日数、定休日、営業時間などの記入欄があり、建設業や製造業では受注(販売)単価の記入欄もあります。
・セールスポイント
商品やサービスのセールスポイントを記載します。項目欄が小さい場合には、別紙に詳細を記載して添付してもよいでしょう。
既存で似た商品やサービスがある場合は、ほかにない強みはどこか、新しいサービスの場合は成功できると信じられる説得力のある理由などについて書き出します。
記入例:
「外食業の勤務経験と管理栄養士の資格を活かし、糖質オフや高たんぱくで健康志向のメニューが提供できる」
「ホテルでのマネージャー業務と〇年間の留学経験から、インバウンド需要に対応できる観光コンサルティングが可能」など
・販売ターゲット、販売戦略
ターゲットとなる層の年代やライフスタイル、性別などについて記載し、事業を拡大するための戦略も記載します。
記入例:
「70代以上のシニアを対象に、近隣の店舗と提携してPRキャンペーンを行い、販路拡大につなげる」
「韓国語教室と提携して韓国カフェのチラシやクーポンを配布し、相互に利用できる仕組みづくりで事業拡大する」など
・競合、市場など企業を取り巻く状況
競合他社や市場の動向などを記載し、企業を取り巻く状況について簡潔に説明します。
記入例:
「現在子ども向けスキンケア商品は選択肢が少なくデザインも限られているため、相当数のニーズが見込まれる」
「店舗のデジタル化推進にあたり、費用を抑えたい小規模店舗向けのアプリ開発需要がある」など
取引先・取引関係等
取引先や仕入先、外注先などが決まっている場合に記載します。既に得意先や仕入先がある程度決まっていれば、事業の将来性や適切な準備を行ってきたことなどが伝わりやすくなります。
記入例:
「販売先:株式会社A シェア80% 掛取引割合100% 回収・支払条件 毎月末締め翌月末払い」
「仕入先:〇〇商店株式会社 シェア100% 掛取引割合100% 回収・支払条件 毎月15日締め翌15日払い」など
従業員
常勤役員数と従業員数を記載します。正社員・パートを問わず、1人以上雇用する場合は記入します。従業員のうち、家族とパート従業員がいる場合には内訳も記入します。
お借入れの状況
金融機関からの融資を受けている場合は、融資の詳細を記載します。事業資金ではなく、創業者個人の借り入れ状況の記載が必要な点に注意しましょう。
必要な資金と調達方法
物件取得費や備品購入費用などの「設備資金」と、外注費や家賃などの「運転資金」に分け、創業に必要な資金の内訳を記載します。
記入例:
・設備資金
事務所 500万円
内訳:保証金150万円、内外装工事150万円(見積りA社、B社)、設備購入(見積りC社、D社)100万円、パソコンおよび周辺機器50万円、デスク椅子セット50万円
・運転資金(3か月分)200万円
家賃 60万円
諸経費 140万円
計700万円
調達方法:
・自己資金 200万円
・創業融資借入 500万円(元金6万円×84回)
計700万円
必要な資金と調達方法の合計額は一致するように記載します。
事業の見通し
創業当初と1年後に経営が軌道に乗った場合とを比較して、それぞれの売上高や仕入高、諸経費などの見通し額を記載します。
人件費は従業員数がわかるようにしておくこと、売上高から諸経費などを差し引いて利益が出るような仕組みになっていることが大切です。
借入金の返済元金や税金などは、利益から支払われることとなります。また、個人営業の場合は、利益が創業者の人件費となります。
参照:日本政策金融公庫「創業計画書 記入例」
https://www.jfc.go.jp/n/service/pdf/kaigyourei05_240401g.pdf
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まとめ
創業融資を申請する際には、事業計画書の質を高めることが重要となります。創業に対して前向きであることや、熱意が感じられるのはもちろんのこと、しっかりと準備を重ねて経営に乗せる計画が立てられているか、販路や取引予定、必要な資金の内訳が明確か、創業の動機やセールスポイントは魅力的かどうかなどが、事業計画書作成時のポイントとなります。希望額の融資をスムーズに受けるために、専門家のサポートも検討しながら手続きを進めていきましょう。
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この記事の監修者

税理士法人松本 代表税理士
松本 崇宏(まつもと たかひろ)
お客様からの税務調査相談実績は、累計1,000件以上。
国税局査察部、税務署のOB税理士が所属し、税務署目線から視点も取り入れ税務調査の専門家として活動。多数の追徴課税ゼロ(いわゆる申告是認)の実績も数多く取得。