2025.02.3

会社設立

会社設立時には公告方法を決めないといけない?官報公告をするタイミングはいつなのかも解説

読了目安時間:約 6分

会社を設立する際に決定すべき事項の一つとして、公告の手段を選定することが挙げられます。

公告の方法は定款に必ず記載しなければならない項目ではありませんが、多くの場合、定款に明記されています。

会社法では、決算公告は定時株主総会の終了後、できるだけ速やかに実施することが求められています。

会社設立時には公告方法を決めないといけない?

公告方法は、定款に記載することができる任意の事項の一つであり、必ずしも明記しなければならないものではありません。

公告とは、株式会社が重要な決定事項や財務情報を広く公に知らせるための手続きのことを指します。正式には「法定公告」と呼ばれ、大きく「決算公告」と「決定公告」の2種類に分類されます。

例えば、決算報告については、会社法第440条により公告が義務付けられています。

また、会社法第939条では、定款に公告方法の記載がない場合、自動的に官報公告が適用されることが定められています。

そのため、定款に公告方法を明記しないまま会社を設立し、後になって「電子公告に変更したい」と考えた場合、手続きが煩雑になってしまいます。

このように、公告方法は会社の運営において重要な役割を果たすため、会社設立時にしっかりと検討しておくことをおすすめします。

官報公告とは

官報公告とは、政府が発行する公式な公報であり、企業の公告だけでなく、法律や条約の制定・改正などさまざまな重要情報が掲載されます。

また、官報に掲載する際の表記には細かなルールがあり、番地を記載する際、「千」「百」「十」などの漢数字は使用しないことや日付の記載には「十」を用いることが挙げられます。

決算公告を掲載する場合、貸借対照表のすべてを掲載する必要はなく、要点のみを記載することが認められています。

官報公告をするタイミング

官報公告をするタイミングについては、決算公告は定時株主総会終了後に「遅滞なく」実施する必要があると定められています。

即時の対応を求めるものではなく、可能な限り迅速に対応することが求められるものの、やむを得ない事情があれば多少の遅れは許容されるという意味が含まれます。

一方で、合併や資本減少など、債権者保護手続きを伴う公告については、該当する事項が決定した段階で速やかに行う必要があります。

官報公告以外の公告方法

官報公告以外の広告方法については、以下の2つが挙げられます。

  • 方法①:電子公告
  • 方法②:新聞公告

それぞれの公告方法について解説していきます。

方法①:電子公告

電子公告とは、企業が自社のウェブサイトや帝国データバンクのサイトなど、インターネット上で情報を公開することで公告を行う方法のことです。

利用するには、定款にその旨を記載するとともに、公告を掲載するウェブページのURLを登記する必要があります。

一方で、公告方法として官報や日刊新聞紙を選択している場合でも、決算公告に限って電子公告を採用することが可能です。

この場合、定款への明記は不要ですが、決算公告を掲載するウェブサイトのURLは登記する必要があります。

電子公告を活用する最大のメリットは、コストを削減できる点で、自社のウェブサイトに掲載する場合、特別な掲載費用はかかりません。

また、外部サイトを利用する場合でも、官報や新聞紙に比べて比較的低コストで公告を行うことができます。

方法②:新聞公告

新聞公告とは、日刊新聞に掲載する形で行う公告の方法です。

日刊新聞とは、会社法第939条に基づき、時事に関する情報を掲載する新聞のことを指します。

メリットは、債権者保護手続きにおいて、個別に通知する手間を省略できる点です。

例えば、合併公告や資本金の減少公告など債権者に対する告知が必要な場合、通常は官報への掲載に加えて債権者へ個別に通知する必要があります。

しかし、会社の定款で公告方法を「新聞公告」と定めている場合、官報と新聞公告を併用することで個別通知を省略することが可能になります。

注意点については、コストの高さです。

選ぶ新聞や掲載サイズによりますが、多くの場合30万円以上の費用が発生します。

そのため、会社を新設する際には、新聞公告以外の公告方法を選ぶケースが多いです。

公告方法の費用

官報公告を掲載する際の費用は、1年間の費用は6万円程度ですが、使用する行数や枠数によって異なり、販売所によって掲載料金が異なるケースがあるため事前に確認しておきましょう。

新聞での公告掲載には最低でも50万円以上の費用がかかるため、その高額さから実際にこの手法を選択する企業はごくわずかです。

一方で、電子公告であれば、自社のホームページなどに掲載するだけで済むため、ほとんど費用をかけずに実施できます。

しかし、債権者保護手続きに関する公告の場合は事情が異なります。

電子公告を利用する際には、「法律で定められた公告期間中、継続して掲載されていた」ことを証明しなければならず、そのため、専門の機関に調査を依頼する必要があります。

この調査には10万円以上の費用がかかることもあり、結果として官報で公告を出すよりもコストが高くなるケースが多いため注意が必要です。

公告方法の選び方

公告方法の選び方については、以下2つのケースが挙げられます。

  • 株式会社のケース
  • 合同会社のケース

それぞれのケースについて解説していきます。

株式会社のケース

コストを重視する場合、決算公告は電子公告を利用し、法定公告は官報公告を利用する方法が最も経済的と言えます。

決算公告に関しては、電子公告を選択することで費用を大幅に抑えられますが、法定公告では調査料が発生するため、官報公告を利用した方がコスト面で有利になります。

しかし、電子公告による決算公告には注意点があり、公告を掲載するウェブサイトのURLを登記する必要があるため、URLを変更する際には登記の手続きを行わなければならず、手間や追加費用がかかる可能性があります。

また、電子公告では決算書を最低5年間公開し続ける義務があり、これによって企業の財務状況が広く知られるリスクがあるため、心理的な負担を感じることも考えられます。

もし、会社設立の段階で公告用のURLがすでに決まっており、決算書の公開に抵抗がないのであれば、電子公告を利用する方法が最適と言えます。

合同会社のケース

合同会社の公告を行う際には、官報公告を利用するのが最も適した方法と言えます。

合同会社には法定公告のみが義務付けられており、株式会社のような決算公告義務は無いので、公告方法として官報を選択することが、最も経済的で合理的な手段となります。

また、法定公告の中でも、資本金の減少や吸収合併、解散など債権者保護手続きに関わる公告については、どの公告方法を選んでいたとしても、必ず官報に掲載することが法律で定められています。

たとえ定款で日刊新聞や電子公告を公告手段として定めていた場合でも、債権者保護手続きに関する公告は新たに官報を利用しなければならず、その分の手間や費用がかかってしまいます。

このように、合同会社にとって官報公告以外の方法を選ぶメリットはほとんどないので、公告を行う際には、官報公告を選択することをおすすめします。

官報公告のやり方

官報公告を出したい場合、まず最初に官報販売所へ依頼を行います。

従来は電話やFAX、郵送などで申し込むのが一般的でしたが、近年ではインターネット経由での申請が主流になっています。

実際にインターネットを利用すれば、よりスムーズに手続きを進めることが可能です。

オンライン申請の場合、官報販売所の公式サイトにアクセスし、指示に従って必要事項を入力します。

また、公告の原稿を作成する際には、掲載例が提示されているため、すべてを一から考える必要はありません。

まずは公式サイトを確認し、具体的な流れを把握することをおすすめします。

公告方法を変更する方法

会社の公告方法は、定款に記載することで決めることができ、変更する場合は定款の修正手続きを行う必要があります。

定款は、会社の基本的な運営ルールを定めた重要な文書になるので、変更するには「特別決議」を経る必要があります。

特別決議は、議決権を持つ株主の過半数が出席し、そのうち3分の2以上の賛成を得ることで成立します。

特別決議によって定款の変更が承認された後は、法的な手続きを進めるために変更登記申請を行います。

その際、登録免許税として3万円(収入印紙)が必要になるので、あらかじめ注意が必要です。

会社を設立したほとんどの企業が公告をしない理由

会社を設立したほとんどの企業が公告をしない理由については、以下の2つが挙げられます。

  • 競合企業に経営状況を知られたくない
  • 公告をしていない企業が多い

それぞれの理由について解説していきます。

競合企業に経営状況を知られたくない

会社を設立したほとんどの企業が公告をしない理由として、競合企業に経営状況を知られたくないことが挙げられます。

実際に、公告を行わなくても業務に支障がないことに加え、企業の多くは自社の経営状況を他社に知られたくないと考えています。

さらに、公告には費用がかかるうえ、手続きが煩雑であることも、公告を避ける理由の一つとなっています。

罰則を受けた事例がない

会社を設立したほとんどの企業が公告をしない理由の一つとして、罰則を受けた事例がないことが挙げられます。

決算公告を行っていない企業が非常に多いにもかかわらず、実際には取り締まりがほとんど行われていないのが現状です。

実際に、公告義務を怠ったことで罰則を受けた企業の事例は確認されていません。

大手企業であれば、多くの人の目に触れるため、監督当局による指摘や取り締まりの対象になる可能性が高くなります。

しかし、非上場で株式を公開していない中小企業の場合、公告を行わなくても問題視されることがほとんどなく、実際には見過ごされているのが実態です。

公告義務の種類

公告義務の種類については、以下の2つが挙げられます。

  • 決算公告
  • 法定広告

それぞれの種類について解説していきます。

決算公告

決算公告とは、企業の財務状況を広く公表するためのものです。

株式会社は、定時株主総会で承認された決算の内容をできるだけ速やかに開示する義務があります。

しかし、決算公告を行う際に「遅滞」とみなされる具体的な期限については、法律上明確には定められていません。

法定広告

法定公告とは、株主にとって重要な影響を及ぼす可能性のある事項を周知するための手続きです。

特に、合併や減資、解散といった債権者に大きな影響を与える事象については、「債権者保護手続き」の観点から、官報への公告が法律で義務付けられています。

合同会社については、決算公告の義務はありませんが、債権者保護手続きに関しては株式会社と同様に法定公告を行う必要があります。

自社にとって最適な公告方法を選ぼう!

今回は、会社設立時の公告方法や官報公告をするタイミングについて紹介しました。

公告は、株主や債権者に一定の事項を知らせることです。

公告の方法には、官報への掲載、日刊新聞紙への掲載、そして電子公告の3つの選択肢があります。

公告の義務は株式会社のみに課されていますが、法定公告については「債権者保護手続き」の観点から、合同会社も公告を行う必要がある点に注意が必要です。

今回の記事を参考に、公告方法のメリット・デメリットを把握して、自社に適切な方法を選びましょう。

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この記事の監修者

松本 崇宏

税理士法人松本 代表税理士

松本 崇宏(まつもと たかひろ)

お客様からの税務調査相談実績は、累計1,000件以上。
国税局査察部、税務署のOB税理士が所属し、税務署目線から視点も取り入れ税務調査の専門家として活動。多数の追徴課税ゼロ(いわゆる申告是認)の実績も数多く取得。

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