2024.09.26

会社設立

会社設立前や後に法務局で必要な手続きとは。登記に必要な書類もご紹介

この記事の監修者

松本 崇宏

税理士法人松本 代表税理士

松本 崇宏(まつもと たかひろ)

お客様からの税務調査相談実績は、累計1,000件以上。
国税局査察部、税務署のOB税理士が所属し、税務署目線から視点も取り入れ税務調査の専門家として活動。多数の追徴課税ゼロ(いわゆる申告是認)の実績も数多く取得。

会社設立前後には、法務局で行わなければならない手続きがあります。法務局で手続きを行う際には、提出が求められる書類も多数あり、事前に会社設立前後の流れを把握しておかなければ、書類不足のために手続きを受け付けてもらえない可能性もあります。

そこで今回は、何かと忙しい会社設立前後の時期に効率よく手続きを進められるよう、法務局での手続きの流れや必要書類などについてご説明します。

法務局とは

法務局とは法務省の地方組織の1つで、財産や身分を守る登記や戸籍、国籍などに関する民事行政事務、国の利害に関係する訴訟活動の事務、国民の基本的人権を守る人権擁護事務を行う場所です。

会社を設立する際には、会社に関する重要な事項を法務局に届け出ることで、初めて法人格を取得することができます。この手続きを登記申請といい、登記された会社の情報は一般に公開されるため、会社の信用を高め、円滑な取引を可能にします。

法務局:「法務局・地方法務局所在地一覧」

会社設立をする際に法務局で行う手続き

会社を設立する際には、法務局で法人登記の申請を行わなければなりません。また、法人の代表者印の届け出も法務局で行います。

法人登記

法人登記とは、会社の重要な情報を法務局に登録し、一般に開示できるようにする手続きのことです。

会社設立時には、社名(商号)や事業の目的、発起人、本店の所在地、発起人ごとの出資額、会社設立日、株主や役員・社員の構成、会計年度などを決めなければなりません。また、これらの内容をまとめた定款を作成します。合同会社や合資会社、合名会社を設立する際には不要ですが、株式会社を設立する場合は、法務局での登記申請に先立って公証役場で認証を受ける必要があります。定款の作成や認証を終えた後、発起人が資本金を銀行口座に払込みを完了させたら、いよいよ登記申請を行うこととなります。

したがって、会社設立時には最初に法務局での手続きが必要になるわけではなく、会社設立に必要な準備をすべて整えた後に、法務局での登記申請を行うことになるのです。

法人代表者印の登録

法人の代表者印は、大切な契約を結ぶ際などに使用する印鑑で、会社の意思を対外的に示す際に用いられる重要なものです。個人の場合、実印は市区町村役場で印鑑登録の手続きをしますが、法人の代表者印は法務局で登録をすることとなります。

2021年の商業登記規則の改正によって、会社設立時の代表者印の法務局への登録義務は任意となりました。そのため、必ず法人の代表者印を登録しなければならないわけではありません。しかし、現状では会社設立の登記申請を紙で行う際にも印鑑届出書が必要になり、金融機関に融資の申請をする際などにも代表者印の押印を求められます。そのため、法務局で会社の設立登記をする際には、法人の代表者印も同時に登録するケースがほとんどとなっています。

会社設立登記に法務局への提出が必要な書類

会社設立の法人登記をする際に必要となる書類は、設立する会社の種類によって異なります。ここでは、会社設立時に選択されることの多い株式会社設立時と合同会社設立時に必要な書類をご説明します。

株式会社設立時に必要な書類

・株式会社設立登記申請書

・「登記すべき事項」を記載した書面又は保存したCD-R

・登録免許税納付用台紙

・定款

・発起人の同意書(必要な場合のみ)

・設立時取締役,設立時監査役選任及び本店所在場所決議書(必要な場合のみ)

・設立時代表取締役を選定したことを証する書面

・設立時取締役(及び設立時監査役)の就任承諾書(必要な場合のみ)

・印鑑証明書

・本人確認証明書

・資本金の払込みがあったことを証する書面

・資本金の額の計上に関する設立時代表取締役の証明書(必要な場合のみ)

・設立時取締役(及び設立時監査役)の調査報告書及びその附属書類(必要な場合のみ)

合同会社設立時に必要な書類

・合同会社設立登記申請書

・「登記すべき事項」を記載した書面又は保存したCD-R

・定款

・代表社員の印鑑登録証明書

・登録免許税納付用台紙

・資本金の払込みがあったことを証する書面

・代表社員就任承諾書

・代表社員、本店所在地及び資本金決定書(必要な場合のみ)

・資本金の額の計上に関する証明書(必要な場合のみ)

法務局で会社の代表者印を登録する際に必要な書類

会社の代表者印を登録する際に必要なものは、次のものです。

・印鑑届出書

・会社の代表者印

・印鑑提出者(代表取締役又は取締役)の実印

・印鑑提出者(代表取締役又は取締役)の印鑑証明書(発行後3ヶ月以内のもの)

印鑑登録の届け出は、代理人に依頼することもできます。その場合は、印鑑届出書の用紙内にある委任状の欄に必要事項を記入する必要があります。委任状にも代表取締役又は取締役の実印での押印が必要です。印鑑届出書は法務局のホームページからダウンロードできるため、代理人に印鑑届出の手続きを委任する場合などは事前に準備をしておくようにしましょう。

法務局:印鑑届出書

会社設立後に法務局で必要な手続き

会社を設立するために法務局で必要な手続きは、法人登記と会社の代表者印の登録手続きでした。しかし、法務局で行う手続きはそれだけでは終わりません。会社設立後には次のような手続きも必要です。

・印鑑カードの取得

・印鑑証明書の取得

・登記事項証明書の取得

それぞれについて詳しくご説明します。

印鑑カードの取得

印鑑カードとは、法務局に届け出をした会社の代表者印の正しい所有者であることを証明するカードです。印鑑カードは、会社の代表者印の印鑑証明書を取得する際に必要となるため、会社設立登記が完了したら、速やかに印鑑カードの手続きをとるようにしましょう。印鑑カードの申請に費用はかかりません。

印鑑カードの取得方法

印鑑カードは、法務局に備えてある「印鑑カード交付申請書」に必要事項を記入し、届け出た会社の代表者印を押印して提出すれば交付してもらえます。「印鑑カード交付申請書」の提出も代理人に依頼することができます。「印鑑カード交付申請書」に委任状の欄があり、代理人が申請する場合には委任状に必要事項を記入し、届け出をした会社の代表者印を押印します。「印鑑カード交付申請書」は法務局のホームページからもダウンロードが可能です。

法務局の窓口に申請書を提出した場合は、その場で印鑑カードを受け取ることができます。また「印鑑カード交付申請書」は郵送で申請しても問題ありません。ただし、郵送の場合、返送までに数日の時間がかかる点に注意が必要です。郵送で申請する際には、必要な郵便料金分の切手を貼り、返信先の宛先を書いた返信用封筒も同封しなければなりません。印鑑カードは会社の代表者印の印鑑証明を取得できる重要なカードとなるため、普通郵便ではなく、簡易書留など、引き受けや配達の記録が残る方法で返信してもらった方が安心です。

法務局:「印鑑カード交付申請書」

印鑑証明書の取得

印鑑証明書とは、印鑑によって個人や法人を証明するものであり、登録している印鑑が公的に認められた印鑑であることを示す書類です。個人の場合、印鑑証明書は住宅ローンを組む際や自動車を購入する際などに必要となりますが、法人の場合、印鑑証明書は次のようなシーンで求められるケースが多くなっています。

・法人名義の銀行口座を開設するとき

・金融機関に融資を申請するとき

・法人名義で不動産を取得するとき

・法人名義の不動産を売却するとき

・法人名義で自動車を取得するとき

・法人名義の自動車を売却するとき

・所有権の移転登記をするとき

・取引先と新規契約を結ぶ際に実印の押印を求められたとき

会社の代表者印を押印しても、その印鑑が本当に代表者印であるかどうかは、金融機関や取引先などでは確認することができません。そのため、代表者印の押印が必要となる場合には、印鑑証明書の添付によって、代表者印が本物であることを証明するのです。

印鑑証明書の取得方法

印鑑証明書を取得する方法には法務局の窓口で取得する方法、郵送で請求する方法、オンラインで請求する方法の3つがあります。

・法務局の窓口で申請する場合

印鑑証明書を取得する際に必要となるのは、「印鑑証明書交付申請書」と印鑑カード、証明書交付の手数料です。「印鑑証明書交付申請書」は法務局の窓口にも備えられていますが、法務局のホームページからもダウンロードができます。

法務局:「会社法人用 印鑑証明書及び登記事項証明書」交付申請書

「印鑑証明書交付申請書」には収入印紙を貼付する欄があり、印鑑証明書の発行手数料である450円分の収入印紙を貼付します。

法務局によっては証明書発行請求機が設置されている場所もあります。証明書発行請求機は、印鑑カードを機械に読み取らせることで会社名などの情報の記載を省略できるものです。そのため、証明書発行請求機では、画面の案内にしたがって操作を進めることで「印鑑証明書交付申請書」を記載せずに印鑑証明書の交付を受けられます。また、印鑑証明書を請求する際には、証明書発行請求機へ代表者の生年月日の入力が必要です。

証明書発行請求機を使用した場合も、印鑑証明書の発行手数料は1通450円です。窓口で印鑑証明書の交付を受ける際に、発行手数料分の収入印紙が必要となるため事前に準備しておきましょう。また、受け取りの際には印鑑カードの提示も求められます。

・郵送で請求する場合

印鑑証明書は郵送での請求も可能です。法務局のホームページからダウンロードした「印鑑証明書交付申請書」に必要事項を記入し、450円分の収入印紙を貼付します。収入印紙を貼った「印鑑証明書交付申請書」、印鑑カード、返信先の住所を記載し、返信用の切手を貼った封筒を同封し、管轄の法務局宛に郵送すると、発行した印鑑証明書を返送してもらうことができます。この場合、印鑑カードも同封することになるため、発送する際も返信の際にも、簡易書留など、引き受けや受け取りの記録が残る方法の利用をおすすめします。

・オンラインで請求する

会社の代表者印の印鑑証明は、オンラインで請求することもできます。オンライン請求は、登記・供託オンライン申請システムを利用し、祝日や年末年始を除く、月曜から金曜までの8時30分から21時まで申請が可能です。

登記・供託オンライン申請システムを使って印鑑証明書の交付請求をする際には、申請用総合ソフトをダウンロードしなければなりません。また、電子署名を付けるための電子証明書もあらかじめ準備しておかなければならない点にも注意が必要です。ただし、マイナンバーカードに格納された公的個人認証サービスの電子証明書を使用することもできます。

登記・供託オンライン申請システムの利用にあたっては、申請者情報の登録も必要になります。登録時に設定した申請者IDやパスワードを利用することで、申請後の処理状況をオンラインで確認できるようになります。

オンラインで印鑑証明書を請求する場合の手数料は、窓口や郵送で申請する場合が1通450円であるのに対し、1通あたり410円又は390円と少し安くなります。オンラインで請求する場合の手数料に幅があるのは、受け取る方法によって料金が異なるからです。郵送での送付を希望した場合には1通410円、窓口での受け取りを希望した場合には1通390円が必要です。窓口で受け取る場合、印鑑証明書を受け取る人の名前と住所、申請番号、印鑑証明書の請求通数が記載された登記・供託オンライン申請システムの通知を印刷したもの、印鑑カードの提出が必要です。また、スマートフォンから申告事項が表示された画面を提示する方法でも構いません。

手数料は、インターネットバンキングやATMなどを利用して電子納付することになります。ATMで電子納付を行う場合、収納機関番号、納付番号、確認番号が必要です。登記・供託オンライン申請システムで申請した後、申請用総合ソフトの処理状況表示画面で電子納付の画面を表示させると、これらの番号は確認できます。

登記・供託オンライン申請システム

登記事項証明書の取得

登記事項証明書は、登記されている事項の内容を証明する書類で、会社設立後に税務署や自治体、年金事務所などで税金や社会保険などの手続きをする際に必要となります。また、法人名義の銀行口座を開設する際や法人名義のクレジットカードを作る際などにも必要です。

登記事項証明書と印鑑証明書は同時に請求することもできます。

登記事項証明書も法務局の窓口で申請する方法のほか、郵送で申請する方法、オンラインで申請する方法があります。

・窓口で申請する

法務局の窓口に申請書を提出します。登記事項証明書だけの交付を申請する場合は「登記事項証明書交付申請書」に記載しますが、印鑑証明書と同時に申請する場合は「印鑑証明書及び登記事項証明書」交付申請書を使用することで一緒に請求することができます。

法務局:「会社法人用登記事項証明書・登記簿謄抄本・概要記録事項証明書交付申請書」

法務局:「会社法人用印鑑証明書及び登記事項証明書交付申請書」

登記事項証明書の発行手数料は1通600円です。登記事項証明書も証明書発行請求機を使用して申請することができます。

・郵送で申請する

印鑑証明書と同様に、登記事項証明書も収入印紙を貼った申請書と返信用封筒を同封することで郵送での申請が可能です。登記事項証明書だけを請求する場合は、印鑑カードの同封は不要です。

・オンラインで申請する

登記事項証明書もオンラインで申請が可能です。登記事項証明書の場合、ソフトをダウンロードせずにWEBブラウザのまま利用できる「かんたん証明書請求」も利用できます。登記事項証明書と同時に印鑑証明書を請求する場合は、印鑑証明書もかんたん証明請求を使っての交付申請が可能です。

登記事項証明書の手数料は郵送を希望する場合は1通500円、窓口での受け取りを希望する場合は1通480円です。手数料の納付方法や窓口での受け取り方法は印鑑証明書のオンライン請求を行った場合と変わりません。

まとめ

会社設立の際に、法務局で必要な手続きと会社設立後に法務局で必要な手続きをご紹介しました。法務局で法人登記を行うことで、初めて会社設立が公に認められることとなります。そのため、法人登記が完了しなければ会社名義の銀行口座を開設することもできません。また、登記完了後には、税金の手続きや社会保険の加入手続き、法人名義の銀行口座開設などに必要となる印鑑証明書や登記事項証明書の交付を法務局に請求することとなります。

会社の設立に際しては法務局での手続きが多くなるため、必要な書類などを事前に確認し、効率よく手続きを進めるようにしましょう。

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