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会社設立
自分で株式会社設立はできる?必要な手続きや難易度、リスクなどをご紹介
この記事の監修者
税理士法人松本 代表税理士
松本 崇宏(まつもと たかひろ)
お客様からの税務調査相談実績は、累計1,000件以上。
国税局査察部、税務署のOB税理士が所属し、税務署目線から視点も取り入れ税務調査の専門家として活動。多数の追徴課税ゼロ(いわゆる申告是認)の実績も数多く取得。
株式会社設立時にはさまざまな手続きが必要です。これから株式会社を設立したいと考えている方の中には、自分ですべての手続きを進められるのか、専門家に依頼した方が良いものか悩んでいる方もいらっしゃるのではないでしょうか。
今回は、自分で株式会社を設立する際に必要な手続きや自分で手続きを行うメリットなどを、専門家に依頼した場合と比較しながらご説明します。
株式会社設立に必要な手続きの流れ
株式会社設立の際にどのような手続きが必要になるのかを把握していなければ、自分で株式会社設立手続きを進めた方が良いのか、専門家に依頼をした方が良いのか判断しかねるはずです。まずは、株式会社設立時に必要な手続きと手続きの流れから確認していきましょう。
株式会社設立時に必要な手続きは次のような流れで進めていきます。
1.会社の概要を決定する
2.会社の代表者印、定款を作成する
3.定款の認証を受ける
4.資本金の払い込みをする
5.法務局で登記申請と印鑑登録をする
6.年金事務所で社会保険の手続きをする
7.税務署、都道府県税事務所で税金の手続きをする
8.労働基準監督署、ハローワークで労災保険、雇用保険の手続きをする
1.会社の概要を決定する
会社の名前(商号)や本店の所在地、事業の目的、資本金の額、株主の構成、役員の構成、会計年度などを決定します。
ここで決定した内容は定款に記載することになります。
2.会社の代表者印、定款を作成する
紙で法人登記をする際には、会社の実印とも呼ばれる代表者印が必要になります。また、オンラインで登記申請をする場合でも、銀行口座を開設する際や取引先との契約時に押印を求められるケースが多いため、会社の代表者印を作成しておいた方が良いでしょう。
また、定款とは会社を設立する際に必ず提出が必要な書類で、会社の基本的な事項やルールを記載するものです。定款には、紙の定款を作成する方法と電子定款を作成する方法の2つがあります。紙の定款の場合、4万円分の収入印紙を貼付する必要がありますが、電子定款の場合、収入印紙は不要です。しかしながら、電子定款を作成する際には、電子署名用のソフトやICカードリーダライタなどを準備しなければなりません。
3.定款の認証を受ける
株式会社設立時には、定款が完成したら公証役場で認証を受ける必要があります。認証手数料は資本金によって異なり、3~5万円です。
定款の認証を受ける際に、記載事項に不備があった場合には認証を受けることができません。そのため、事前に公証役場に連絡をし、内容に問題がないかどうかの審査を受けた方が良いでしょう。事前審査で問題がなければ、公証役場で予約を取り、予約日に公証役場を訪問して認証を受けるようにします。
認証を受けた定款は、法務局で登記申請をする際に提出する必要があるため、定款の謄本の発行を申請します。定款謄本の発行手数料は1枚あたり250円であり、定款の枚数によってかかる費用は異なりますが、一般的に2,000円程度です。
4.資本金の払い込みをする
定款の認証を受けたら、資本金の払い込みをします。この時点ではまだ株式会社設立手続きは完了していないため、法人名義の銀行口座を開設することはできません。したがって、発起人の個人の銀行口座に割り当て株式数に応じた資本金を払い込みます。
株式会社設立の方式には、発起設立と募集設立の2つがあります。発起設立は、株式会社設立時の株式をすべて発起人が引き受ける方法で、募集設立は発起人が一部の株式を引き受け、残りの株式を引き受けてくれる人(株主)を募集する設立方式です。
募集設立の場合は、株主となる出資者を募集し、出資者から割り当て分の資本金を払い込んでもらいます。その後、創立総会を開き、設立時取締役や監査役などの選任、定款の承認、発行可能な株式総数の決定などについて決議を取ります。また、創立総会の話し合いの内容は議事録として記録を残し、設立登記をする際に法務局に申請する必要があります。発起設立の場合は、創立総会の開催は不要です。
5.法務局で登記申請と印鑑登録をする
株式会社に限らず、法人を設立するときは必ず法務局に登記をしなければなりません。登記申請とは、会社を設立したことを公に証明するために必要な手続きです。法務局での登記が完了すると、株式会社として成立していることを認められたこととなります。
株式会社設立の登記申請には、さまざまな書類の準備が必要となり、発起設立なのか募集設立なのか、取締役会を設置しているかいないかによって、必要となる書類が変わってきます。
また、法務局で登記をする際には登録免許税の支払いが必要です。登録免許税の額は、資本金の額の0.7%または15万円のいずれか高い方と決められています。
登記申請書類を提出する際に、法人の代表者印の印鑑届出書を提出し、印鑑登録も済ませておきましょう。
6.年金事務所で社会保険の手続きをする
登記が完了すれば、株式会社設立は認められたことになりますが、登記完了後も必要な手続きがあります。年金事務所での手続きもその1つです。株式会社設立後は、たとえ事業主1人の会社であったとしても社会保険の加入義務が発生します。そのため、株式会社設立後は、年金事務所で健康保険と厚生年金の加入手続きを取らなければなりません。
7.税務署、都道府県税事務所で税金の手続きをする
会社設立後は、法人税や法人住民税、法人事業税などの納付が必要です。税務署と都道府県税事務所にそれぞれ法人を設立したことの届け出を行います。また、税務署には青色申告の承認を受けるための書類、役員報酬などの給与を支払うことを届け出る書類、事前に決定した役員報酬の額を届け出る書類などを提出しなければなりません。
8.労働基準監督署、ハローワークで労災保険、雇用保険の手続きをする
役員だけの株式会社を設立した場合は不要ですが、従業員を1人でも雇用した場合には、労働基準監督署で労災保険の手続きが必要です。労災保険とは、労働者が仕事中や通勤途中に事故や病気になった場合に備えた保険であり、雇用契約の種類にかかわらず従業員を雇用した場合には必ず加入しなければなりません。また、雇用保険も労働者が失業した場合や育児休業中に給付金を支給する制度で、従業員を雇用した場合には雇用保険の適用事業所の手続きを取る必要があります。
従業員を雇用する場合には、労働基準監督署とハローワークでの手続きも忘れないようにしましょう。
株式会社設立手続きを自分で行う際にかかる難易度
株式会社設立の手続きをすべて自分で行うことは可能です。しかしながら、定款には絶対に記載しなければならない「絶対的記載事項」のほか、定款に記載する必要はないものの記載しなければ効力が認められない「相対的記載事項」、定款に任意で記載しても構わない「任意的記載事項」の3つがあります。それぞれ記載すべき内容は細かく規定されており、定款に記載していない事項に関しては別途書類を準備しなければならないものもあるなど、専門的な知識が求められます。
また、定款の認証や設立登記、会社設立後に税務署や年金事務所などで行う手続きにもさまざまな書類の提出が必要になり、さらに届け出の期日が定められているものもあります。
そのため、自分で株式会社設立手続きを進めるとなると、準備すべき書類や書類の記載方法、手続き期限などを一から調べなければならず、かなりの労力と時間を要します。したがって、株式会社設立手続きは自分だけで行うことはできるものの、決して簡単ではないといえるのです。
株式会社設立の手続きを自分で行うメリット
難易度の高い株式会社設立の手続きですが、専門家に依頼をせずに自分で手続きを進める場合、次のようなメリットがあります。
株式会社設立手続きについての知識が深まる
株式会社設立手続きは非常に複雑です。しかし、自分で調べながら手続きを進めていくと、会社法や法人税、法人住民税、社会保険、労災保険、雇用保険などについての知識を深めることができます。法律や税金などについての知識は、会社設立後も会社を経営していくうえで役立てることができるでしょう。
株式会社設立にかかる費用を節約できる
株式会社設立時には次のような費用がかかります。
・収入印紙代 4万円(紙の定款を作成する場合)
・電子署名用ソフト、ICカードリーダライタ等の準備(電子定款を作成する場合)
・定款の認証手数料 3~5万円
・登録免許税 15万円~
・法人の代表者印の作成費用、印鑑証明取得費用、定款の謄本発行費用、登記簿謄本発行費用など
合計すると、株式会社設立時には25万円前後の費用が必要になるのです。
株式会社の設立手続きを、専門家に依頼した場合、ここに専門家へ支払う費用もかかりますが、自分で株式会社設立手続きを行う場合、専門家への報酬は発生しません。株式会社設立手続きを自分で行う最大のメリットは、会社設立にかかる費用を抑えられる点ではないでしょうか。
株式会社設立の手続きを自分で行うデメリットとリスク
株式会社設立手続きを自分で行う場合のメリットをご紹介してきましたが、自分で手続きを進めることには次のようなデメリットやリスクもあります。
手続きに時間や手間がかかる
繰り返しになりますが、株式会社設立手続きにあたっては、さまざまな場所での手続きが必要になり、作成しなければならない書類も多数あります。そのため、自分で株式会社設立に必要な書類をすべて作成し、手続きまで行うとなるとかなりの労力と時間がかかります。
書類などにミスがあり、手続きが遅れる可能性がある
自分で調べながら書類や手続きの準備を進めても、法律上の難しい言葉が用いられるケースも少なくないため、書類に不備が生じる可能性があります。万が一、書類にミスがあった場合、もう一度書類を作り直さなければならず、手続きが遅れてしまうケースもあるでしょう。また、定款の内容に誤りがあった場合、登記完了後に定款を変更する際には株主総会を開催し、決議を取らなければなりません。変更内容によっては法務局での登記変更手続きも必要になります。変更登記には3万円の登録免許税がかかり、余計な出費が増えるリスクも出てきます。
本業の準備に影響が出る恐れがある
株式会社設立準備のために時間を取られてしまうと、事業の準備のために必要な時間が圧迫される可能性もあります。事業の準備が十分に行えなければ、株式会社設立後に事業を軌道に乗せるまで時間がかかってしまう場合もあるでしょう。
株式会社設立の手続きを依頼できる専門家とは
株式会社設立の手続きを自分でする場合、かなりの手間と労力がかかります。そのため、会社設立に関する知識を身につけたいという場合でなければ、専門家に手続きを依頼することをおすすめします。なぜなら、株式会社設立の手続きにかかる負担を軽減できれば、事業計画の推進に関わる業務に注力できる時間が増えるからです。
では、株式会社設立の手続きはどの専門家に依頼すべきなのでしょうか。株式会社設立の手続きの代行を依頼できる専門家についてご説明します。
行政書士
定款の作成や公証役場での定款の認証手続きは、行政書士が代行できます。また、行政書士は、飲食業や建設業など、許認可が必要な業種を営む場合の許認可申請の手続きも行うことができます。
司法書士
定款の作成や認証、法務局での登記申請など、会社設立までにかかる業務をすべて代行できる専門家が司法書士です。登記申請の代行は、司法書士だけに認められた独占業務となっています。
税理士
株式会社設立後に必要となる税務署や都道府県税事務所での手続きを代行できるのが、税理士です。また、株式会社を設立する際には、資本金の額や会計年度の時期、役員報酬の額などによって会社設立後に納める税金の額が変わってきます。税理士は税の専門家であり、会社設立をするタイミングから税理士に相談をすれば、節税に効果的な資本金の額や会計年度の時期などについてのアドバイスを受けられます。
社会保険労務士
社会保険労務士は、株式会社設立後に社会保険や労災保険、雇用保険等に関する専門家です。必要な書類の作成や年金事務所、労働基準監督署などでの手続きを代行できます。
株式会社設立時には税理士への相談がおすすめ
株式会社設立を検討している場合、自分1人ですべてを進めるのではなく、設立の前段階から税理士に相談することをおすすめします。以下で、税理士に相談するメリットを3つご紹介します。
税負担を抑えた株式会社設立が可能
前述のように、資本金の額や会計年度によって会社設立後の法人税や法人住民税、消費税などの納税額が変わってきます。また、役員報酬の額によっても法人税の納税額や会社の社会保険料の負担、事業主の個人としての所得税や社会保険料の負担額が変わります。そのため、株式会社設立時には、さまざまな事情を考慮したうえで、設立のときだけにかかる費用ではなく、設立後にもかかる費用を考える必要があります。少しでも会社設立にかかる費用を抑えようと自分ですべての手続きを進めても、税についての詳しい知識がなければ、会社設立後の納税額が大きくなり、かえって大きな額の支出が発生する可能性もあるでしょう。
税について詳しくなければ、会社だけでなく個人の負担額まで考慮し、会社と個人のメリットを最大化できる会社設立方法を見出すことは簡単ではないはずです。税理士に相談すれば、双方にとって最適な会社設立の方法を提案してもらえます。
会社設立後の決算や申告の負担も軽減できる
株式会社の会計処理は非常に複雑で、決算や申告には専門的な知識が必要です。事業主が1人で会計や決算の処理を行おうとすれば、かなりの負担がかかります。また、経理担当者を採用しようとすれば、給与や社会保険料といった人件費の負担が大きくなります。
株式会社設立時に税理士に相談すれば、会社設立後の決算や申告時にも継続してサポートを依頼できます。税理士に依頼できれば、ミスなく正確な処理ができ、節税のアドバイスも受けられるでしょう。
融資や補助金等の申請サポートを受けられる
会社設立後、事業拡大のために融資や補助金、助成金などの申請をする場合、事業計画書など、今後の事業の見通しについて示す書類の提出を求められます。融資や助成に値する企業だと認められるためには、実現可能性の高い事業計画書を作成しなければなりません。融資や補助金等の申請サポート経験を豊富に持つ税理士であれば、精度の高い事業計画書の作成が可能です。また、金融機関等の面接時の対応方法などについてもアドバイスを受けられます。
まとめ
自分で株式会社を設立することは可能です。しかしながら、株式会社設立にはさまざまな書類の準備と機関での手続きが必要となるため、自分1人で手続きを進めるとなるとかなりの労力と時間を要します。自分で株式会社設立準備を進めることで得られる知識もありますが、会社設立手続きに手間がかかりすぎてしまい、本業に充てる時間を十分に確保できないというデメリットもあります。株式会社設立時には、すべての手続きを自分で行うのではなく、専門家への相談をおすすめします。
税理士法人松本は、株式会社設立を検討されている方からのご相談を承っています。節税面でのアドバイスはもちろん、資金調達の際のサポート、提携先の司法書士の紹介なども行っておりますので、株式会社設立をお考えの際にはお気軽にご相談ください。
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