2024.10.29

会社設立

会社設立1年以内でクレジットカード作れる?選び方のコツや審査落ちの理由

この記事の監修者

松本 崇宏

税理士法人松本 代表税理士

松本 崇宏(まつもと たかひろ)

お客様からの税務調査相談実績は、累計1,000件以上。
国税局査察部、税務署のOB税理士が所属し、税務署目線から視点も取り入れ税務調査の専門家として活動。多数の追徴課税ゼロ(いわゆる申告是認)の実績も数多く取得。

クレジットカードを作るには、審査が必要です。

そのため設立して1年以内の会社、事業実績や決算書のない会社は法人カードが作れないのではないかと諦めてしまう人もいます。

しかし法人カードの中には、設立1年以内の会社であっても審査の対象になるものもあります。

会社設立直後でも作れる法人カードには、どのような特徴があるのでしょうか。

法人カードを持つメリットや、より意義のある特典を得られるような法人カードの選び方についてご紹介します。

会社設立1年以内でもクレジットカードはつくれる

法人向けのクレジットカードは、個人向けのクレジットカードと比較すると審査が厳しくなる傾向があります。

会社の決算実績がない設立1年以内だと、法人クレジットカードが作れないのではないかと不安になる方もいるかもしれません。

しかし会社の決算実績がなくても、代表者個人の信用情報で法人クレジットカードが作れる場合もあります。

「会社設立後3年以上、かつ黒字決算の会社」という条件を耳にするかもしれませんが、全ての法人クレジットカードがこの基準というわけではありません。

法人クレジットカードの審査基準はそれぞれ違うので、会社設立直後でも作れるクレジットカードを選びましょう。

法人向けクレジットカードとは

法人向けクレジットカードとは、会社での利用を目的としたものです。

ビジネスカードコーポレートカードという名称がついている場合もあり、違いは以下のようになります。

ビジネスカード個人事業主や中小企業向けのクレジットカード
コーポレートカード大企業向けのクレジットカード
法人カードビジネスカードとコーポレートカードの総称

大企業ならコーポレートカードと呼び、中小企業ならビジネスカードと呼びます。

会社設立直後に作れるクレジットカードの特徴

法人向けのクレジットカードには、会社設立直後に作れるものもあります。

全ての法人カードが会社設立直後に作れるわけではないので、会社設立直後に作れるクレジットカードの特徴について確認しておきましょう。

  • 設立直後と強調されている
  • 利用限度額が低い
  • 代表者の信用情報で発行される
  • 決算書・登記簿謄本が不要
  • 発行枚数が少ない

設立直後と強調されている

法人カードの公式サイトをチェックすると、会社設立直後でもクレジットカードが作れるかどうかがわかります。

「設立直後でも申し込み可能」や「スタートアップ企業におすすめ」という文言があれば、設立して間もない会社もクレジットカードが作れます。

このような記載があれば、事業の実績が審査で重視されにくいと考えられます。

会社設立直後、または1年以内といった会社でも、審査に通りやすいです。

利用限度額が低い

法人カードの利用限度額が高いと、貸し倒れのリスクが高くなるため、審査も厳しくなります。

設立直後の会社だとカード会社側のリスクも高くなるため、利用限度額が低い方が審査に通りやすくなります。

カードを作る段階では利用限度額が低くても、利用実績によって上限が上がっていくケースが多いです。

長く利用していけば利便性が向上しますので、申し込み段階での利用限度額をネックに感じる必要はありません。

代表者の信用情報で発行される

設立して間もない会社の法人カードを作る際には、代表者の本人確認のみ、または代表者の信用情報で審査される場合もあります。

代表者の情報だけで審査される法人カードは、
会社の創立年数に関しては重視されません

ただし代表者の個人信用情報に問題があると、会社設立直後に発行可能な法人カードであっても審査が通らない可能性があります。

決算書・登記簿謄本が不要

一般的に法人カードの申し込みには、代表者の本人確認書類だけでなく、会社の決算書や登記簿謄本が必要になります。

しかし会社設立直後だと、会社としての決済関連の書類は提出できませんので、これらの書類が不要となります。

会社の業績が審査の対象ではない、というのが、設立直後の会社でも作れる法人カードの大きな特徴といえるでしょう。

発行枚数が少ない

法人カードを持つのであれば複数枚の追加カードを作り、社員がそれぞれ持っていた方が経費精算の効率化となります。

しかし追加カードが多いほど利用額が大きくなってしまいますので、発行枚数が少ない方が審査に通りやすくなります。

事業規模が大きくなってから追加カードを作る、ワンランク上の法人カードを検討する、というように対応していけばよいでしょう。

法人でクレジットカードを作るメリット

法人でクレジットカードを作ると、いくつかのメリットがあります。

  • 経費の管理が楽になる
  • 資金繰りの改善になる
  • 社員の経費立て替えができる
  • ビジネスに役立つ特典がある
  • 会社の信用力が上がる
  • 経費削減にも貢献
  • 法人税の納付もできる

経費の管理が楽になる

法人カードを作り、経費関連の支払いをまとめておけば、経費管理が楽になります。

交際費や消耗品の購入をプライベートのクレジットカードですると、仕分け作業が必要になり、ミスの原因にもなります。

税務調査が入った時にミスを指摘されると、追徴課税が必要になったりと負担がかかってしまうかもしれません。

カードの利用履歴がまとまっていれば、明細書を見るだけで利用日・利用場所・利用金額が一目で確認できます。

経費管理がスッキリすると、経理にかかる工数の削減にもなります。

資金繰りの改善になる

クレジットカードを利用すれば、支払いから実際のカード引き落とし日まで時間の余裕ができます。

2ヶ月ほどの期間がありますので、会社設立直後のキャッシュフローコントロールに役立ちます。

社員の経費立て替えができる

社員に法人カードを持たせておけば、経費の立て替えが不要になります。

出張や備品の購入といった場面で、1人1人が領収書を持って経費を清算する手間がなくなります。

例えば営業車を使う会社であれば、ETCカードを法人で作れば高速料金の支払いも立て替えが不要になります。

さらに履歴でいつ高速道路を利用したかという内容も、正確に把握できるようになるというメリットもあります。

ビジネスに役立つ特典がある

法人向けのクレジットカードは、ビジネスに役立つ特典が用意されています。

空港でのラウンジ無料利用や海外旅行の損害保険、
レンタルオフィスや会議室が使えるものなどがあります。

さまざまな施設を優待価格で使える特典がついている場合もあり、社員の福利厚生として活用してもいいでしょう。

会社の信用力が上がる

クレジットカードを持つには審査が必要であり、信用力があると認められると審査を通過できます。

例えば、審査基準の厳しいプラチナカードを持っていればステータスを高められます。

プラチナカードでなくても、法人カードを持っているというのは信用の証です。

取引先にとっても安心して取引できる相手として判断される要素となりますので、会社としての信用力を高めます。

経費削減にも貢献

法人カードを持っていると、細かな経費削減にもなります。

振込でなくクレジットカードで支払いをすれば、振込み手数料の削減になるでしょう。

また法人カードは、個人カードよりも利用額が大きくなるため、その分ポイントも貯まりやすいです。

貯まったポイントで、経費の支払いをするという使い方ができます。

法人税の納付もできる

法人税や消費税といった税金の納付も、法人カードで支払えます。

金融期間やコンビニに足を運ばず、24時間365日好きなタイミングで納付ができるようになります。

カード決済をすれば、実質的な支払いを遅らせることができるというメリットもあります。

ただしクレジットカード納付は、1,000万円以上の納付の際には使えませんので覚えておきましょう。

また納付額に1万円ごとに約83.6円の手数料がかかります。

納税額とポイント還元率を考慮して支払い方法を選ぶといいでしょう。

法人クレジットカードの選び方

法人クレジットカードは、どのように選べばいいのでしょうか。

初めて法人カードを作る、会社設立して間もないという場合には、以下のような選び方を参考になさってください。

  • クレジットカードの年会費
  • 法人ならではのサービス内容

クレジットカードの年会費

個人カードであれば年会費無料という場合も多いですが、法人カードだと年会費がかかる場合が多いです。

年会費無料の法人カードもありますが、おおよそ
1万円~3万円が目安となります。

経費管理が簡素化できるといったメリットはありますが、年会費がマイナスになってしまう状況であれば法人カードはまだ不要かもしれません。

領収書の枚数が少ないようであれば、経理の手間を考慮したとしても法人カードの年会費が割高になってしまうでしょう。

年会費を払ってでも法人カードを作るメリットがあるのか、費用対効果が大きいのかを考えておきましょう。

法人ならではのサービス内容

法人カードを作るメリットでも先述しましたが、ビジネスに役立つ特典があります。

特典の内容はカードによって異なりますので、どのような特典がついているかという点で、法人カードを選ぶという方法もあります。

これらの特典を使えば、経費削減にもなりますので活用してみましょう。

飛行機を利用するなら

海外出張が多い、国内の出張でも飛行機を使うシーンが多いという会社であれば、飛行機や空港でのサービス特典があるかを重視してみましょう。

  • マイル還元率
  • 空港ラウンジサービス
  • プライオリティパス
  • 空港手荷物預かりサービス
  • 空港送迎サービス
  • 海外旅行傷害保険
  • 国内旅行傷害保険

飛行機や空港に関するクレジットカードの特典は、上記のような内容があります。

ゴールドカード以上の法人カードは、付帯サービスがより充実している場合もあります。

営業車を使うなら

営業車を使う、高速道路を利用する頻度が高いという会社は、ETCカードに関する特典を重視してみましょう。

  • ETCカードの枚数
  • ETCカードの年会費
  • ポイント還元率

法人カードによって、発行枚数や年会費の有無が異なりますので、事前に比較しておきましょう。

法人用ETCカードは1台に限定せずに利用できますので、柔軟な使い方ができます。

新幹線移動が多いなら

東海道・山陽新幹線での移動・出張が多い会社なら、以下のような特典が付帯している法人カードが便利です。

  • Suicaカードの購入やチャージ
  • 新幹線や特急券の予約
  • JRホテルやレンタカーでの割引

EX予約サービスと連携している法人カードだと、予約が簡単になるだけでなく、会員価格で新幹線のチケット購入ができるようになります。

法人カードの審査に落ちる理由

設立して間もない会社であっても審査に通る法人カードはありますが、必ず全ての審査が通るわけではありません。

中には審査に落ちてしまうというケースもあり、落ちた場合は以下のような理由が考えられます。

  • オフィスがない
  • 固定電話がない
  • 必要書類の記載ミス
  • 代表者の信用情報による

カード会社側は、その会社にきちんと支払い能力があるかを審査します。

オフィスや固定電話の有無などを調査していて、固定電話があると電話加入権があるというひとつの信頼性に繋がります。

書類の記入漏れやミスがあった場合は、カード会社が慎重になってしまうのも無理はありません。

再度記入されるよう指示がありますので、記載ミスのないように注意しましょう。

また代表者が過去に滞納をしていたりと信用情報に問題がある場合は、審査に通らない可能性が高いです。

法人カードを作るデメリット

法人カードを持つデメリットもありますので、理解しておきましょう。

  • 年会費がかかる
  • 限度額に制限がある
  • 追加カードの管理には手間がかかる
  • 追加カードの年会費がかかる

年会費や限度額については、先述した通りです。

追加カードを発行し社員に持っていてもらうと便利ではありますが、発行枚数が増えるほど紛失や盗難のリスクもあります。

また社員が使っていたとしても、私的利用をしてしまうというリスクもあります。

追加カードは年会費がかかる場合もありますので、リスクや手間も考慮して発行するように注意しましょう。

経営管理を簡素化しよう

法人カードを作り、支出を1本化すれば経営管理が簡素化されます。

会社を設立したばかりでも作れる法人カードがありますので、創業1年目でも申し込みできるか調べてみましょう。

法人カードは特典も重視して選ぶのがおすすめです。

事業内容に合う特典を選べば経費削減になるだけでなく、社員の満足度も向上させられるでしょう。


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