2024.10.21

起業・開業

【初心者必見】会社設立は誰に頼む?後悔しないための士業選びのポイントを解説

この記事の監修者

松本 崇宏

税理士法人松本 代表税理士

松本 崇宏(まつもと たかひろ)

お客様からの税務調査相談実績は、累計1,000件以上。
国税局査察部、税務署のOB税理士が所属し、税務署目線から視点も取り入れ税務調査の専門家として活動。多数の追徴課税ゼロ(いわゆる申告是認)の実績も数多く取得。

「会社設立って自分だけでするのは難しい?」
「会社設立をしたいけど、誰に頼んでいいかわからない」

会社設立にあたって最も悩ましいのが、誰に頼むべきかです。中には、書類さえ用意すれば自分でもできると考えている人もいるのではないでしょうか。

結論からいえば、会社設立は将来を見据えて頼む相手を選んでください。自分だけでやろうとすると手間と時間が大きくかかり、依頼した場合とコストもそれほど変わらないため、大差ありません。

この記事では、「会社設立は誰に頼むべきか」を解説しています。「司法書士や行政書士などに頼んだ場合のメリット」や、「会社設立の流れ」も紹介しているので、ぜひ参考にしてください。

会社設立は誰に頼むべきか

会社設立は誰に頼む

会社設立は複雑な手続きが必要です。そのため、個人で進めるよりも、適切な専門家に依頼する方がスムーズに進められます。ただし、それぞれできる業務内容が異なるため、何をして欲しいのかを決めたうえで、依頼しましょう。

以下の士業にわけて、それぞれ解説します。

  • 司法書士
  • 行政書士
  • 税理士
  • 社会保険労務士

司法書士

会社設立の法的手続きを任せたいなら、司法書士が最適です。司法書士は会社設立に関する書類作成や登記手続きができ、代行まで任せられます。他の士業ではできないため、司法書士の独占業務といっても良いでしょう。

会社設立後の住所や事業、役員などの手続きも司法書士なら可能です。会社設立を考える場合、真っ先に相談したい存在といえます。

行政書士

会社設立の許認可申請が必要な場合は、行政書士が適任です。司法書士と違って登記申請の手続きはできませんが、必要な書類の作成や認証の代行は、行政書士が得意としています。

また、飲食店や酒類の販売、介護事業、建設業の許可申請は行政書士でなければできません。

会社の業務によっては行政書士に依頼するケースもあるので、どのような事業をするのかは明確にしておきましょう。

税理士

会社設立 税理士

会社設立後の税務や会計のアドバイスを受けたい場合は、税理士が適しています。税務や会計の専門知識を持っているため、資本金や決算月など経営に役立つアドバイスを受けられるでしょう。

また、税務署に提出する書類の作成や提出代行も可能です。法人税の申告や帳簿の作成指導を受ければ、税務リスクを減らし、健全な経営ができます。

税金関係で困ったら、税理士に相談しましょう。

社会保険労務士

従業員を雇用する予定がある場合は、社会保険労務士が適任です。労働法や社会保険手続きに詳しいため、労務保険関係や社会保険関係を申請する際に業務を依頼できます。

特に、雇用保険の加入手続きや労働条件通知書の作成支援は重要です。給与計算や帳簿の作成もできるため、従業員を雇うなら頼ると良いでしょう。

会社設立の手続きの流れ

会社設立 流れ

会社の設立を考えた場合、以下の手順で進めてください。

  1. 会社概要を決める
  2. 定款を作成する
  3. 書類の確認と押印を準備する
  4. 定款の認証手続きをする
  5. 資本金を振り込む
  6. 法務局で登記申請をする
  7. 会社設立の登記が完了する

Step1.会社概要を決める

会社設立で最初にしておきたいのが、会社概要の決定です。以下の情報を決めておきましょう。

  • 商号(会社名)
  • 本店所在地
  • 事業目的
  • 資本金
  • 役員

これらの情報は、定款と呼ばれる書類に記載します。司法書士や行政書士など、どの事務所に相談するにしても、必ず聞かれる部分です。会社の基本情報として、全て決めておきましょう。

Step2.定款を作成する

会社概要が決まったら、次に定款を作成します。定款とは、会社の基本的なルールを定めたもの。会社を設立する際、法務局に提出する必要があります。

定款には、以下のような事項を記載しましょう。

  • 商号
  • 本店所在地
  • 事業目的
  • 資本金
  • 役員
  • 株券の発行の有無
  • 解散の方法

定款は会社のルールを記載したものなので、会社法によって記載する内容が決められています。難しい場合は司法書士や行政書士に依頼しましょう。

Step3.書類の確認と押印を準備する

定款ができたら、登記申請に必要な書類を確認し、押印をします。会社の印鑑が必要になるため、事前に準備しておきましょう。

必要な書類は法務局によって異なりますが、以下の書類は共通して求められます。

  • 定款
  • 設立登記申請書
  • 役員変更届
  • 発起人証明書
  • 代表取締役の住民票
  • 代表取締役の印鑑証明書

これらの書類に漏れや誤りがあると登記申請が不備となり、やり直しになります。注意しましょう。提出前に司法書士や行政書士に確認をしてもらうとスムーズです。

Step4.定款の認証手続きをする

会社設立 定款 認証

定款ができたら、法務局で定款の認証手続きをします。司法書士に代行を依頼しても良いでしょう。

また株式会社の場合、公証役場で認証を受けなければいけません。法令に沿って定款を作成しているかの確認のためです。問題がないと認証を受けられれば、認証手続きは完了です。

Step5.資本金を振り込む

定款の認証手続きが終わったら、資本金を会社の銀行口座に振り込みます。資本金は、会社の運転資金です。会社設立時に発起人自身が出資金として振り込みましょう。

なお、資本金は何円でも大丈夫です。極端な話、1円でも問題ありません。ただし、取引先や銀行の信用に関わるので、ある程度のまとまった金額を振り込む方が無難です。

振り込んだ明細は、必ず残しておいてください。

Step6.法務局で登記申請をする

定款の認証と資本金の振り込みが終わったら、法務局で登記申請を行います。以下の書類が必要です。

  • 定款
  • 設立登記申請書
  • 役員の就任承諾書
  • 発起人証明書
  • 代表取締役の住民票
  • 代表取締役の印鑑証明書
  • 資本金の払込証明書

登記申請は商業登記法に基づいた記載方法にしなければいけないため、間違いがないように司法書士に相談する方が良いでしょう。

無事に法務局で登記申請が受理されると、数週間後に会社設立の登記簿が発行されます。

Step7.会社設立の登記が完了する

登記簿が発行されたら、会社設立の登記が完了します。登記完了証が発行され、登記事項証明書や印鑑証明、印鑑カードの取得が可能になります。

ただし、会社設立後も、以下の各種行政手続きをしなければいけません。

  • 税務署への法人設立届出
  • 社会保険事務所への加入手続き
  • 労働基準監督署への労働保険の手続き

これらの手続きは、専門家に依頼できます。スムーズに業務を進めるためにも、継続して依頼を考えた方が良いでしょう。

会社設立を依頼するメリット

会社設立 依頼 メリット

会社設立をする場合、司法書士や行政書士に依頼すると大きなメリットがあります。どのようなものがあるのか、以下にわけて詳しく見ていきましょう。

  • 司法書士に会社設立を依頼する場合
  • 行政書士に会社設立を依頼する場合
  • 社会保険労務士に会社設立を依頼する場合
  • 税理士に会社設立を依頼する場合

司法書士に会社設立を依頼する場合

司法書士に会社設立を依頼するのは、法的な手続きを確実に進めたい場合にオススメです。登記や法務に関する知識が豊富で、定款作成や法務局への登記申請をスムーズにできます。

司法書士でなければできない業務もあるので、安心して任せられるでしょう。

行政書士に会社設立を依頼する場合

行政書士に会社設立を依頼するのは、許認可が必要な場合にオススメです。行政書士は、各種許認可申請の専門家なので、特に飲食業や建設業などの特定業種の許可申請を得たい場合に活躍してくれます。

司法書士と違い登記手続きの代行はできませんが、許認可手続きを一緒にやるのは可能です。間違いないように二人三脚で進めたい場合に依頼すると良いでしょう。

社会保険労務士に会社設立を依頼する場合

会社設立 社会保険労務士

社会保険労務士に会社設立を依頼するなら、労務管理や社会保険手続きが必要なタイミングがオススメです。登記手続きはできませんが、雇用手続きや保険の加入手続きなど、専門知識が必要になる部分で強い見方になってくれます。

法人設立時は、社員1人でも社会保険や厚生年金、雇用保険などへの加入手続きが必須です。知識がない状態での加入手続きは難しいため、なるべく社会保険労務士を頼ると良いでしょう。

税理士に会社設立を依頼する場合

税理士は、税務を扱っている士業です。会社設立をする場合、税務関係の届出書の作成や提出で依頼することになるでしょう。税金を少しでも抑えたい場合の相談先としてもオススメです。

特に起業後は忙しくて時間を取れず、決算処理や税務処理が遅れてしまうケースが多々あります。そのような場合は税理士に依頼して、税務リスクを回避するようにしましょう。

会社設立は自分でもできる

会社設立 個人

会社設立は時間をかければ自分でもできます。ただし、以下のデメリットがあるため、注意しましょう。

  • 時間がかかる
  • あまり費用削減はできない

時間がかかる

自力で会社設立をすると、司法書士などに依頼するよりも時間がかかります。手続きや書類作成に慣れていないため、時間をかけて作ってもやり直しになるケースも考えると、さらに時間が必要になります。

個人で会社設立を効率よく進めるためには、手続きの流れをしっかり把握しておかなければいけません。いたずらに時間を浪費して、本業に影響が出ないようにしましょう。

あまり費用削減はできない

自力で会社設立をすると費用を削減できるような気がしますが、実際はほとんど同じです。大幅な費用削減には期待しない方が良いでしょう。

確かに自分ですると、司法書士などに依頼する費用はかかりません。一方で、ICカードリーダーや専用のソフトを購入する必要があります。それらの導入費用を考えると、数万円の差です。

手続きに必要な時間と労力を考慮したうえで、自分でやるかどうかを考えましょう。

会社設立は設立後まで視野に入れて誰に頼むか決めよう

会社設立は、個人でもできますが、司法書士や行政書士に依頼する方がスムーズにできます。士業それぞれに作成・申請できる書類が違うので、適したところに依頼しましょう。

設立に必要な書類は、専門家でないと難しいものばかりです。会社設立後も長期的な付き合いになる可能性もあるので、将来を見越して誰に頼むか決めてください。


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