2024.10.12

会社設立

会社設立までには最短で何日かかる?準備や手続きの流れをご紹介

この記事の監修者

松本 崇宏

税理士法人松本 代表税理士

松本 崇宏(まつもと たかひろ)

お客様からの税務調査相談実績は、累計1,000件以上。
国税局査察部、税務署のOB税理士が所属し、税務署目線から視点も取り入れ税務調査の専門家として活動。多数の追徴課税ゼロ(いわゆる申告是認)の実績も数多く取得。

さまざまな事情から、できるだけ早く会社設立をしたいケースがあるはずです。急いで会社を設立したいときに気になるのが、会社設立にかかる日数でしょう。では、会社設立は最短で何日で行うことができるのでしょうか。

今回は、会社設立までにかかる最短日数と、会社設立に必要な準備や手続きなどについてご説明します。

会社設立までの最短期間は?

会社設立までの最短期間は、どこまでをもって会社設立と指すかによって異なります。

会社設立登記の手続きの最短期間は2日

会社を設立する際には、最短の場合、2日程度で登記手続きを完了させることができます。ただし、書類に不備がある場合などは、手続きにかかる時間も長くなるため注意が必要です。

会社設立登記完了までの最短期間は1週間から2週間

法務局に登記申請をしても、その日のうちに法人登記が完了するわけではありません。登記申請後、法人登記完了までは1週間から2週間程度の時間がかかります。したがって、会社設立登記が完了するまでの最短期間でいえば、1~2週間程度が目安になるでしょう。

会社設立登記の完了後も必要な手続きがある

登記完了後も会社設立の後は、税務署や年金事務所などでの手続きが必要です。

今回は、登記完了後の手続きについては含まず、会社設立登記の申請をするまでの日数を最短日数としてご説明していきます。

会社設立に必要な準備と手続き

では、会社設立に必要となる準備や手続きから確認していきましょう。会社の設立登記には次のような準備と手続きが必要です。

・会社概要や事業目的などの決定

・発起人の印鑑登録証明書の取得

・定款の作成

・定款の認証(株式会社の場合のみ)

・資本金の準備

・資本金の払い込み

・法務局での登記申請書の提出

・会社の実印の作成

最短で会社設立を行うためのスケジュール

会社設立の登記申請までを、最短2日で終わらせるためのスケジュール例をご紹介します。

1日目にすべきこと

・会社概要や事業目的を決定し、定款を作成します。

・株式会社の場合、公証役場で定款の認証を受ける必要があり、公証役場の予約が必要です。

・市区町村役場で、発起人全員の印鑑登録証明書を取得しておきます。

・資本金の準備をしておきましょう。

2日目にすべきこと

・株式会社を設立する場合は、公証役場で定款の認証を受けます。

・資本金を払い込み、払い込み証明書を作成します。

・登記申請書類を作成し、法務局への登記申請を行います。

最短日程で会社を設立する場合の1日目にすべき準備と手続き

では、早速、1日目にすべき手続きや準備についてご説明します。

会社概要や事業目的の決定

会社設立時には、会社の根本的なルールを記載した定款を作らなければなりません。定款には、必ず記載しなければならない絶対的記載事項というものがあります。

絶対的記載事項の内容は次の5つです。

・事業の目的

・商号(会社名)

・本店の所在地

・資本金の額

・発起人の氏名と住所

会社設立の際には、定款に書かれている事業目的以外の事業を行うことはできません。また、会社名は、すでに存在する会社と重なってしまったり、似たような名称になってしまったりすると、取引先などにも混乱を招く恐れがあります。事業目的と会社名はしっかり考えたうえで決定するようにしましょう。また、本店の所在地をどこにするか、資本金の額をいくらにするのかについても決めなければ、定款は作成できません。

そのほか、役員の構成や1株あたりの金額、発行可能な株式総数、会社設立時に発行する株式数、事業年度なども決めておくことをおすすめします。

印鑑証明書の取得

定款の認証を受ける際には、発起人全員の印鑑登録証明書が必要です。また、法務局で法人登記をする際には、設立時取締役の印鑑証明書が必要になります。設立時取締役が複数いる場合は、全員分の印鑑証明が必要です。

定款の作成

会社の基本的な事項を決定したら、定款を作成します。定款には前述した絶対的記載事項のほか、必要に応じて相対的記載事項、任意的記載事項も記載しましょう。

会社設立後に定款を変更する場合、法務局での登記変更手続きが必要になるケースもあります。設立する会社の状況に合わせ、必要な事項を漏れなく記載するようにしましょう。

定款には紙の定款と電子定款の2種類があります。紙の定款の場合、4万円の収入印紙の貼付が必要ですが、電子定款の場合、印紙は不要です。ただし、電子定款を作成する場合にはICカードリーダライタや電子署名ソフトなどの準備が必要になります。最短日程で会社設立を行う場合は、所有する機器などの状況に合わせてスムーズに定款が作成できる方法を選ぶようにしましょう。

紙の定款の場合は、定款の各ページの間に実印で契印を押すか、袋とじにして閉じ目に契印を押します。また、定款の末尾の欄外に発起人全員の捨印を押しておくと、公証役場で誤りを指摘された場合にも訂正することができ、再提出の手間が省けます。

また、電子定款の場合はPDFファイルに変換し、電子証明書つきの電子署名をします。

平成30年11月30日から定款の認証を受ける場合、法人成立時に実質的支配者となるべきものについて、氏名、住居、生年月日等と暴力団員及び国際テロリストに該当するか否かを申告する書類を提出しなければなりません。実質的支配者の申告書も事前に作成しておくようにしましょう。

公証役場の予約

株式会社の場合、公証役場で定款の認証を受けなければなりません。公証役場は原則として、予約が必要です。公証役場が混雑している場合などは、希望日時に予約が取れない可能性もあります。最短2日で会社設立を行いたいときは、1日目のうちに電話をし、予約を取得するようにしましょう。

また、定款の認証は、会社の本店所在地を管轄する法務局または地方法務局に所属する公証役場で行うことになります。必ず管轄地の公証役場に予約を入れるようにしましょう。

資本金の準備

定款には資本金の額を記載し、会社設立の登記をする際には資本金が払い込まれたことを証明する通帳のコピーが必要になります。

複数の口座に資金を分けているような場合は、資本金を払い込めるよう、お金の準備を進めておきましょう。

会社の実印の準備

2021年2月15日から会社設立の登記申請をオンラインで行う場合、印鑑届出書の提出は任意に変更されています。しかし、会社設立後は融資を受ける際などに会社の実印が必要になります。会社の印鑑は、法務局に実印届出書を提出することで登録が可能です。

最短2日で会社設立を行う場合には、会社の実印の準備が間に合わないことも多いでしょう。その場合は、会社の実印が完成次第、印鑑届出書を提出します。印鑑届出書の提出時にも代表者の印鑑証明書の添付が必要です。

届け出る印鑑は、辺の長さが1cm以上で、3cm以内の正方形の中に収まる大きさでなければなりません。大きさを確認したうえで、会社の実印の発注をしておきましょう。

最短日程で会社を設立する場合の2日目にすべき手続き

1日目の会社設立準備や手続きが無事に済んだら、2日目はいよいよ会社設立の登記を行います。2日目にすべき手続きについて詳しくご説明します。

定款の認証(株式会社の場合のみ)

株式会社を設立する場合は、公証役場で定款の認証を行います。紙の定款を認証する場合は、定款の原本を3通提出します。3通の定款が必要になるのは、1通は公証役場で保管し、1通は会社で管理する原本として、残りの1通は登記申請の際に法務局に提出するためです。

定款の認証には、印鑑登録証明書と実印が必要になるほか、株式会社設立時には「実質的支配者の申請書」の提出も必要になります。

また、定款の認証には手数料も発生します。手数料の額は資本金の額によって異なります。資本金が100万円未満の場合は3万円、100万円以上300万円未満の場合は4万円、300万円以上の場合は5万円です。その他、紙の定款を提出する際には収入印紙の準備も忘れないようにしましょう。

電子定款の場合は、法務省の登記・供託オンライン申請システムで申請書を作成し、作成した定款のPDFを添付し、電子署名をして申請を行います。また、その際、公証役場で認証を受ける日時も連絡し、実質的支配者についての入力も行います。

公証役場での準備が完了した旨の連絡を受けたら公証役場に出向き、公証人による認証を受けます。その際、印鑑登録証明書と実印が必要です。また、紙の定款の認証手数料と同様、手数料の支払いが必要であり、手数料の支払いと引き換えに、定款のデータを保存したCD-ROMを受け取り、認証が完了します。

電子定款の場合、前日の申請では、翌日までに準備が完了しないケースも考えられます。最短で会社設立を行う場合には、電子定款での申請ではなく、公証役場に足を運んだ方が効率よく定款の認証を受けられるかもしれません。

資本金の払い込み

法務局での登記が完了しなければ、まだ会社は存在しないため、法人名義の銀行口座を作ることはできません。そのため、会社設立前は、発起人個人の銀行口座に資本金の払い込みをします。発起人が複数いる場合には、代表者の口座に払い込むことになります。

払い込まれたことを証明するためには、発起人の名前が通帳に記載されなければなりません。そのため、資本金の額がすでに預け入れられている口座であっても、一旦、その額を出金したうえで、振り込みを行う必要があります。ATMから振り込める金額には限度額が設定されているケースも多いため、限度額を超える資本金を定款に記載している場合には、窓口で振り込みを行うようにしましょう。

また、銀行の窓口営業時間は、平日の午後3時までです。最短で会社設立を行う場合には、設立準備を始める曜日や手続きをする時間帯にも注意しなければなりません。

払い込み証明書の作成

会社設立の登記申請を行う際には、資本金の払い込みが終了したことを証明する払い込み証明書の提出が必要です。

払い込み証明書には、通帳のコピーを添付します。コピーが必要な箇所は通帳の表紙と、表紙裏の銀行名や口座名義人が記載されている箇所、資本金の払い込みが確認できるページの3か所です。また、該当箇所にはマーカーまたは下線を引くなどして、分かりやすいようにしておきます。インターネットバンキングで振り込みをした場合や通帳がない場合などは、インターネット上の画面をプリントアウトしたものや取引明細書、払込金受取書などでも代用可能です。払い込み証明書と通帳のコピーや画面のプリントアウトなどは、合わせて綴じるようにします。

登記申請書類の作成

法務局への提出が必要な登記申請書類を準備します。申請書は、法務局のホームページからダウンロードが可能です。

法務局:商業・法人登記の申請書様式

また、登記申請には書面を法務局に提出する方法と、オンライン申請の2つがあります。書面を提出する場合は、法務局から申請書をダウンロードして、予め申請書を作成しておくとよいでしょう。

オンライン申請の場合は法務局に足を運ぶ必要はありません。登記・供託オンライン申請システムの利用時間は、年末年始や祝日を除く月曜から金曜の8時30分から21時までです。登記所の受付時間は17時15分までになるため、17時15分以降の申請は翌業務日の受付になりますが、遅い時間まで申請ができるというメリットがあります。

オンライン申請の場合、電子署名や電子証明書が必要ですが、QRコード付き書面申請を利用すると電子署名等が必要ありません。無料のソフトを利用し、必要な事項を入力すれば簡単に申請書を作成することができ、インターネットで申請書の情報を送信すると、申請の処理状況をパソコンから確認することが可能です。

登記申請に必要な書類は以下のものです。

法務局への登記申請

書類をまとめたら、法務局に申請します。前述のように申請方法には、紙の書類を法務局の窓口に提出する方法と、オンライン申請の方法があります。いずれか、都合のよい方で申請を行いましょう。

法務局に会社設立登記を申請する場合、登録免許税の支払いが必要になります。登録免許税の額は、株式会社の場合は資本金の額の0.7%または15万円のいずれか高い方、合同会社の場合は資本金の額の0.7%または6万円のいずれか高い方です。

紙の申請書で登記申請をする場合は、収入印紙を購入し、収入印紙貼付台紙に貼って提出します。オンライン申請の場合は、インターネットバンキングやモバイルバンキング、ATMを利用して納付をします。

最短で会社設立を行うためのポイント

最短日数で会社設立手続きを完了させるためには、次の点に注意しましょう。

スケジュールを立てておく

個人事業主の開業と異なり、会社設立時にはさまざまな手続きが発生します。そのため、一般的に、会社設立には2~3週間程の時間が必要になると言われています。その程度の時間をかけて行う手続きを最短2日で完了させるためには、効率よく準備や手続きを進められるようにスケジュールを立てておかなければなりません。

書類の作成は慎重に

慌てて書類を作成するなど時間に追われると、ミスが生じる可能性があります。ミスが生じれば、書類を受領してもらえなかったり、会社設立後に訂正しなければならない事項が発生したりします。最短で会社設立を行う際には、より慎重に手続きを進めなければならないことを忘れないようにしましょう。

専門家への相談もおおすすめ

今回、ご紹介した手続きは、法務局に会社設立登記をするまでの流れです。実際には、法人登記が完了した後に、税務署や年金事務所、ハローワークなどでの手続きも必要になります。

また、会社設立後は、納税の義務が発生しますが、納税額は売上だけでなく、資本金の額によっても変わり、役員報酬の額によって代表者の納税額も変わってきます。急いで会社を設立すると、会社設立後の節税についてまでは考えられず、登記申請後に後悔してしまう可能性もあります。

最短日程で会社設立をし、早く事業を始めたいと検討されているのであれば、税理士への相談をおすすめします。税理士であれば、資本金や役員報酬の額などについての適切なアドバイスが可能であり、提携している司法書士の紹介も受けられます。

また、最短日程で会社設立を希望する背景には、できるだけ早く軌道に乗せたい事業があるという事情もあるのではないでしょうか。会社設立前から税理士に相談しておけば、会社設立後の税務署への届出や、設立1期目の決算についてのサポートも受けられるというメリットもあります。

まとめ

会社設立は、必要な書類が全て問題無く揃っていれば、最短2日から設立できる場合もあります。しかし実際は、さまざまな資料の準備や手続きが必要となり、数週間はかかってしまう場合がほとんどです。そのため、事前にしっかりスケジュールを立てる必要があります。また、設立を急ぐばかりに、書類に漏れがあったり、会社設立後の納税の負担が大きくなったりしては本末転倒です。

初めて会社設立を検討する方が、最短日程で会社設立手続きを完璧に進めるのは、簡単ではありません。税理士法人松本では、司法書士などとも連携し、最短日程での会社設立をサポートしています。スピーディーかつスムーズに会社設立を進めたい場合には、お気軽にご相談ください。

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