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会社設立
会社設立時の行政書士の費用はどのくらい?分野ごとの専門家や自分で行う際の注意点について
この記事の監修者
税理士法人松本 代表税理士
松本 崇宏(まつもと たかひろ)
お客様からの税務調査相談実績は、累計1,000件以上。
国税局査察部、税務署のOB税理士が所属し、税務署目線から視点も取り入れ税務調査の専門家として活動。多数の追徴課税ゼロ(いわゆる申告是認)の実績も数多く取得。
会社を設立するとなるとその手続きは多岐に渡り内容も複雑なため、不安に感じる方も多いのではないでしょうか。
「専門家に依頼したいけど、費用が高額?」
「自分で全ての手続きを行うことは出来るの?」
このような疑問をお持ちの方も多いと思います。そこで今回は、行政書士以外にも司法書士や税理士、社会保険労務士といった会社設立をサポートしてくれる専門家について解説すると共に、費用相場や自分で手続きを全て行う際の注意点を解説します。
会社設立時の手順
そもそも、会社を設立する際に行う手続きにはどんなものがあるのでしょうか。行政書士を始めとする専門家に依頼をするにあたって、まずは会社設立時に必要な手続きを改めて確認しておきましょう。会社設立時の手順は主に以下の5つです。
- 会社基本事項の決定
- 定款の作成・認証
- 資本金の払い込み
- 登記書類の作成
- 登記の申請
それぞれ詳しく解説していきます。
1.会社基本事項の決定
会社基本事項とは、文字通り会社の基本的な情報を指します。具体的には、会社名や所在地、役員、役員の任期、設立日、事業目的、資本金の額、決算日などです。これらの項目は設立者本人が決定しなければならないものであり、株式会社の場合は上記に加えて発行株式総数と株主構成を決定する必要があります。
2.定款の作成・認証
定款(ていかん)とは、会社の基本事項や指針となる規則・規約など、いわば「会社の憲法」をまとめたものです。定款は会社設立時に作成することが義務付けられており、公証役場の交渉人から認証を受ける手続きも必要となります。ただし、合同会社の場合は定款の作成後に認証を受ける必要はありません。
3.資本金の払い込み
この時点で会社はまだ設立されておらず会社の口座は存在しないため、会社設立者本人の銀行口座に資本金を振り込みます。この時に使用する口座は、現在使用している普通預金口座で問題ありません。
通帳がある場合は通帳のコピー、ネットバンキングなど通帳がない場合は該当する取引部分のコピーが必要ですので、忘れず準備しておきましょう。
4.登記書類の作成
法務局に申請する登記書類の作成を行います。株式会社と合同会社では提出が必要となる書類が異なりますので、以下の表を参考に準備を行ってください。なお、必要書類はA4サイズにまとめて製本する必要がありますので覚えておきましょう。
株式会社 | 合同会社 | |
---|---|---|
登記申請書 | 〇 | 〇 |
登録免許税の収入印紙を貼付た台紙 | 〇 | 〇 |
登記すべき事項を記載した書類(CD-Rでも可) | 〇 | ✕ |
定款 | 〇 | 〇 |
設立時取締役の就任承諾書 設立時取締役の印鑑証明 | 〇 | ✕ |
代表社員の就任承諾書 | ✕ | 〇 |
資本金の払込証明書 | 〇 | 〇 |
資本金額の計上に関する代表社員の証明書 | ✕ | 〇 |
法人印鑑届出書 | 〇 | ✕ |
発起人の決定書 | 〇 | ✕ |
監査役の就任承諾書(監査役をおかなくてよい場合もある) | 〇 | ✕ |
取締役全員の印鑑証明 | 〇 | ✕ |
5.登記の申請
必要書類の準備が整ったら、本社所在地を管轄する法務局に登記の申請を行います。この時、株式会社の場合は代表取締役、合同会社であれば代表社員が提出することが基本です。
行政書士や他の専門家が出来ること
前述のように会社設立にあたっては、やらなければならないことが多岐に渡ります。会社設立といえば行政書士に依頼を考える方が多いかもしれませんが、必ずしも全ての方が行政書士に依頼をすべきという訳ではなく、司法書士に依頼をすべき場合もあります。また、会社設立にあたって税理士や社会保険労務士への依頼を検討すべき場合もあるでしょう。
それぞれ専門分野が異なりますので、可能なサポート内容を理解し、どの専門家に依頼する必要があるかを検討していきましょう。それぞれの士業の出来ることは、大まかには以下の通りです。
- 行政書士:基本事項決定の相談、定款の作成・認証、許認可の代行
- 司法書士:資本金の払い込み以外の手続き
- 税理士:法人化に向けた相談、税務関係の届出書の作成・提出の代行
- 社会保険労務士:社員を雇用する場合の社会保険の手続き
それぞれ詳しく解説していきます。
行政書士
行政書士に依頼できる業務は、前述の会社設立時の手順に当てはめると「1.会社概要・基本事項の決定」の際の相談役と「2.定款の作成・認証」の代行です。また、会社設立にあたって許認可が必要な事業を行う場合は、許認可の専門である行政書士に依頼をすると良いでしょう。
許認可が必要な事業には以下のようなものがあります。
- 美容業や飲食店業
- 電気工事業
- 建設業
- 宅地建物取引業
- 旅館業
- 中古品販売業など
また、許認可には「届出」「登録」「認可」「許可」「免許」などさまざまな種類があり、保健所や警察署など提出先にも違いがあります。手続きの難易度はあまり高くない場合もありますが、会社設立時はやらなければならない手続きも多く、定款の作成を間違えた場合は作り直しに更に費用がかかりますので、専門家に依頼をすることがおすすめです。
司法書士
司法書士は、会社設立時の手順における「3.資本金の払い込み」以外の手続きを全てサポートしてくれます。前述のような許認可が必要ない事業であり、会社設立時の手続きを可能な限り代行してほしいという場合は、司法書士に依頼をすると良いでしょう。
税理士
会社設立時の手順に当てはまるような手続きは、そもそも税理士の分野ではありません。しかし会社を設立するにあたって、税理士に依頼をすると以下のようなメリットがあります。
- そもそも会社を設立すべきかアドバイスしてくれる
- 法人形態について相談できる
- 資本金の金額を相談できる
- 税金を考慮し設立時期をアドバイスしてくれる
- 節税対策を行ってくれるなど
法人化することで赤字をより長期間繰越せたり、退職金制度を設けられたりといったメリットがありますが、売上が安定しなければ個人事業主よりも税負担が大きくなる可能性もあります。
また、株式会社や合同会社といった法人形態についての相談や、税金面での相談ができるため安心に繋がります。会社設立後も節税対策や資金繰りなどの相談もできますので、会社設立にあたっては税理士に相談することをおすすめいたします。
社会保険労務士
税理士と同様に会社設立の手続きを代行することはできませんが、従業員を雇う場合は社会保険労務士を検討する必要があるでしょう。社会保険労務士は労務や社会保険に関する手続きを行ってくれます。
会社設立と同時に従業員の雇用を考えているという場合は、社会保険労務士を検討することをおすすめいたします。
会社設立にかかる費用・専門家の報酬
ここでは会社の設立にかかる費用について解説します。株式会社と合同会社に分けて記載していきますので、大体の金額をイメージしていただけると幸いです。また、報酬相場に関しては会社設立手続きの代行といった意味合いで行政書士と司法書士の報酬のみ記載していきます。
株式会社設立にかかる費用・専門家の報酬
内訳 | 費用 |
定款用の収入印紙代(電子定款の場合は無し) | 40,000円 |
定款の認証手数料 | 30,000~50,000円 |
謄本発行の手数料 | 約2,000円 |
登録免許税 | 150,000円または資本金額×0.7%の高い方 |
合計 | 約180,000~240,000円 |
「定款用の収入印紙代」以外は会社を設立するにあたって必ず必要ですので、専門家への報酬以外の株式会社設立に必ずかかるの費用は、最低でも18万円以上ということになります。
また、株式会社設立時の専門家の報酬相場は以下のようになっています。
専門家 | 報酬 |
行政書士 | 100,000~150,000円 |
司法書士 | 70,000~100,000円 |
つまり株式会社設立時に行政書士や司法書士に依頼した場合、かかる費用はおおよそ25~40万円ということになります。
合同会社設立にかかる費用
内訳 | 費用 |
定款用の収入印紙代(電子定款の場合は無し) | 40,000円 |
定款の認証手数料 | 不要 |
謄本発行の手数料 | 約2,000円 |
登録免許税 | 60,000円または資本金額×0.7%の高い方 |
合計 | 約60,000円~100,000円 |
定款の認証手数料がかからない、登録免許料が安いといった理由から、株式会社と比較すると12万円程費用が安くなることが分かります。
また、合同会社設立時の専門家の報酬相場は以下のようになっています。
専門家 | 報酬 |
行政書士 | 40,000~70,000円 |
司法書士 | 60,000~90,000円 |
合同会社設立時に行政書士や司法書士に依頼した場合、かかる費用はおおよそ10~19万円ということになります。
なお、株式会社と合同会社ではそれぞれメリット・デメリットがあり、事業規模などによっても適正が異なりますので、どちらの法人形態にするかについては税理士に相談することをおすすめいたします。
会社設立は自分でできる?注意点について
できるだけ費用を抑えるために自分で全てを行おう、と考える方もいらっしゃると思います。結論からお伝えすると、会社設立の手続きを全て自分で行うことは可能です。ただし、そこには注意点もありますので予め理解しておきましょう。主な注意点は以下の2点です。
- 難易度が高い
- 余計な費用が発生する可能性がある
- 手間と時間がかかる
それぞれ詳しく解説していきます。
難易度が高い
「会社設立時の手順」でもお伝えしたように、会社を設立するにあたって必要となる提出書類は多岐に渡ります。その中には法律や税金に関わる知識が必要なものもありますので、全て自分で行うには難易度が高いと言えます。
専門知識が必要な内容であることから、見落としや勘違いで不備になるケースも珍しくなく、もし書類に不備があった場合は再提出が必要となる、融資が通らないなどといったリスクがあります。知識に不安があるという場合は専門家に依頼をすることをおすすめいたします。
余計な費用が発生する可能性がある
書類に誤りがあり変更を行う場合、費用がかかる場合があります。具体的には定款に記載してある内容を変更したい場合、手数料として3万円がかかります。提出するために「とりあえず」で登録してしまうと、後日余計な費用をかけることになりかねませんので注意しましょう。
時間と労力がかかる
多岐に渡る書類を不備なく準備するためには、膨大な時間と労力を要します。ましてや事業開始準備と併せて行うとなれば、肝心の事業に支障が出る可能性すらあります。
一般的に、全ての手続きを自分で行った場合にかかる時間は1か月以上ともいわれていますので「会社設立時の手順」を参考に、事業開始準備と並行して不備なく行うことができるかを考えていただく必要があるでしょう。
専門家を選ぶ際のポイント
会社設立にあたっては、行政書士だけではなく司法書士、税理士、社会保険労務士といったさまざまな専門家がサポートしてくれますので、各々の会社の状況に合わせて専門家を選ぶことが大切です。専門家を選ぶ際に大切なポイントは以下の3点です。
- 何を依頼をするかを決める
- 会社設立支援の実績を確認する
- 相性の良さを大切にする
それぞれ詳しく解説します。
何を依頼するかを決める
すべてを専門家に依頼せずとも、不安なところだけ頼みたいという場合も多いでしょう。具体的には定款の作成と認証だけ依頼したい場合や、税金に関するアドバイスが欲しい、従業員を雇うのでサポートをしてほしいなど専門家の特性に合わせて依頼先を考える必要があります。
あらかじめ、自分では難しい、サポートが欲しいという部分を明確にし、専門家を選定することが大切です。
会社設立支援の実績を確認する
会社設立支援の実績がある専門家を選ぶことがおすすめです。起業にあたって相談にのってもらいたい場合など、支援実績が多い専門家であれば経験や知識を元にサポートを行ってくれるでしょう。
相性の良さを大切にする
会社設立は手続きが多岐に渡り、煩雑であるため専門家とのコミュニケーションは必要不可欠です。スムーズに手続きを行うためにも、話し易さや説明の分かりやすさ、レスポンスのスピードなど、相性の良さを重視し選定することが重要です。
特に税理士や社会保険労務士は会社設立後も頻繁にやり取りを行う可能性が高いため、相性が良いと感じる人を選ぶことをおすすめいたします。
会社設立の手続きは専門家に依頼しよう
会社を設立する際には、やらなければならないこと・決めなければならないことが多岐に渡ります。ご自身で手続きを全て行うことも可能ですが、さまざまな専門知識が必要であり、時間も労力もかかることから、専門家に依頼することをおすすめします。
専門家に依頼する際は会社の状況や依頼したい分野を明確にし、依頼先を決定することが大切です。
専門家 | 依頼すべきケース |
行政書士 | 許認可が必要な業種を扱う場合 |
司法書士 | 可能な限り手続きを代行してほしい場合 |
税理士 | 法人形態、設立時期の相談をしたい場合 |
社会保険労務士 | 開業と同時に従業員を雇う場合 |
ただし会社を無事設立できたとしても、その後の税金対策や資金繰りが上手くいかなければ会社を存続させることは難しいでしょう。税理士は法人化すべきか否かといった起業の相談に乗ってくれるほか、会社設立後も節税対策や資金繰りなどの相談もできますので、会社設立にあたってはまず税理士に相談することをおすすめいたします。
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