2024.11.8

会社設立

建設業の会社設立方法とは?設立する流れや必要な資格についても徹底解説

この記事の監修者

松本 崇宏

税理士法人松本 代表税理士

松本 崇宏(まつもと たかひろ)

お客様からの税務調査相談実績は、累計1,000件以上。
国税局査察部、税務署のOB税理士が所属し、税務署目線から視点も取り入れ税務調査の専門家として活動。多数の追徴課税ゼロ(いわゆる申告是認)の実績も数多く取得。

建設業の会社設立方法について知りたいと悩んでいませんか?

本記事では「建設業の会社設立方法」について紹介します。

他にも「建設業の会社設立をする流れ」や「建設業の会社に必要な資格」についても解説していきます。

ぜひこの記事を参考にして、建設業の会社設立方法について理解を深めてみてください。

建設業の会社設立をする流れ

建設業の会社設立をする流れについては、以下の8つが挙げられます。

  • ステップ1:基本事項を決める
  • ステップ2:発起人の印鑑証明書を取得する
  • ステップ3:代表者印を作成する
  • ステップ4:定款を作成する
  • ステップ5:公証役場で認証を受ける
  • ステップ6:資本金を振り込む
  • ステップ7:必要書類を作成する
  • ステップ8:法務局で登記申請をおこなう

それぞれの項目について解説していきます。

ステップ1:基本事項を決める

会社を設立する際には、まず以下の基本的な項目を決めるようにしましょう。

基本事項内容
商号会社の名称を指します。会社名には必ず「株式会社」または「合同会社」を含める必要があります。ただし、同一住所で同一の商号を登録することは認められていません。同一地域で同じ商号を持つ会社が存在すると、トラブルが生じる可能性があるため、できるだけ避けるようにしましょう。
事業目的会社が展開する業務内容を示すもので、会社はこの範囲内でのみ活動できます。事業目的は定款や登記に記載され、変更や追加をおこなう場合は、手続きが必要となり、手間がかかります。そのため、将来的に行う可能性のある事業も含めて事業目的を設定するようにしましょう。
本店の所在地会社の住所を指しますが、必ずしもその場所で事業活動をおこなう必要はありません。代表者の住所を本店とし、事業活動は別の場所でおこなうことも可能です。
設立に際する出資額及び、設立後の基本金額会社を設立するには資本金が必要ですが、その金額は1円から設定可能です。しかし、資本金は会社の信用にも影響するため、慎重に設定することが重要です。
発起人発起人とは、会社設立時に資金を出資する人のことを指します。発起人は会社設立に必要な手続きをおこなう責任があり、最低でも1人以上の発起人がいなければ会社は設立することができません。
発行可能株式総数と設立時発行株式数資本金を決定した後、1株あたりの価格と設立時の発行株式数を決める必要があります。将来的に増資する際、この範囲内でのみ増資が可能となるため、慎重に設定することが重要です。
役員に関する事項役員とは、取締役や監査役を指し、会社の運営を担う役割を持っています。株式会社を設立する際には、最低1人以上の取締役が必要です。監査役の設置は任意ですが、取締役会を設置する場合は必須となります。
事業年度と決算日事業年度とは、決算日の翌日から次の決算日までの期間を指します。会社は1年以内であれば自由に事業年度を設定できます。創立初年度については、会社設立日から決算日までが事業年度となります。

上記の基本事項をもとに、定款の作成や登記手続きがおこなわれ、最終的に公的な認証を受けることになります。

ステップ2:発起人の印鑑証明書を取得する

発起人と取締役に選ばれた方は、実印の印鑑証明書を取得する必要があります。

印鑑証明書を取得するためには、市区町村の役所で印鑑登録が必要です。

また、登録された印鑑は「実印」として扱われ、印鑑登録を行った後には、印鑑証明書が発行されるようになります。

発起人の実印と印鑑証明書は定款作成の際に必要であり、取締役については登記申請の際に求められます。

ステップ3:代表者印を作成する

次に、会社の代表印を作成する必要があります。

会社も法人格として認められているため、個人同様に印鑑が証明手段として必要です。

会社の代表印も印鑑登録が可能ですが、個人の場合とは異なり、登録は本店所在地を所管する法務局でおこないます。

印鑑登録は、登記申請時に同時におこなうことができるので、登記手続きの際には押印が可能な実印が用意できていれば問題ありません。

また、一般的に「実印」「銀行印」「角印」の3つがセットで用意されることが多いです。

会社設立の際に必要となるのは「実印」ですが、銀行印は法人名義の銀行口座を開設する際に、角印は見積書や請求書、領収書などの日常業務で頻繁に使用されます。

そのため、これら3種類の印鑑を同時に作成すると、後々の手間が省けて効率的といえます。

ステップ4:定款を作成する

定款は、会社の基本的なルールとして扱われており、設立時には発起人が必ず作成しなければならない重要な文書です。

定款には、設立に際して決定された基本的な事項が記載されます。

具体的に、定款は以下の3つに分類されます。

定款の種類内容
絶対的記載事項定款に必ず記載しなければならない事項のことです。
以下の5つの項目は、必ず記載が必要です。
・会社の目的
・商号(会社の名称)
・本店所在地
・設立時に出資される財産の価額またはその最低金額
・発起人の氏名または名称および住所
相対的記載事項定款に記載することで法的な効力を持つ事項のことです。
以下のような事項が該当します。
・現物出資
・財産引受け
・発起人の報酬
・設立費用
・株式の譲渡制限に関する規定
・株主総会の招集に関する規定
・役員の任期延長
・設立時に発行される株式数
任意的記載事項上記の2つに該当しない事項は任意的記載事項になります。
よく記載される事項は次のとおりです。
・事業年度
・定時株主総会の招集時期
・取締役や監査役の人数
・権限
・役員報酬の決定方法
・取締役会の招集者など

上記の事項を含めて、定款を作成するようにしましょう。

ステップ5:公証役場で認証を受ける

定款を作成した後、株式会社の場合は公証役場での認証を受ける必要があります。

認証は、会社の本店所在地を管轄する法務局や地方法務局に所属する公証人によっておこなわれます。

公証人とは、定款の内容を確認し、その正確性を証明するために認証をおこないます。

このように、公証役場で認証を受けることによって、定款は初めて法的に有効なものとなります。

ステップ6:資本金を振り込む

定款の認証が完了した後は、資本金の払込み手続きをおこないます。

具体的には、資本金を発起人の個人銀行口座に振り込むことで、この手続きは完了します。

発起人が複数いる場合は、各発起人が代表者の個人口座に資金を振り込む形で処理が進められます。

また、使用する口座については、新たに開設する必要はなく、発起人が既に持っている銀行口座を利用しても問題ありません。

資本金の振込みが完了したら、払込証明書を作成し、その証拠としての通帳コピーと共に登記申請の際に提出するようにしましょう。

ステップ7:必要書類を作成する

資本金の払い込みが完了したら、次は登記手続きをおこないます。

この段階では、以下の書類を作成・準備しておく必要があります。

  • 登記申請書
  • 登記事項
  • 登録免許税納付用台紙
  • 定款
  • 発起人の決定書
  • 取締役の就任承諾書
  • 代表取締役の就任承諾書
  • 監査役の就任承諾書
  • 払込みを証明する書類
  • 取締役全員の印鑑証明書
  • 取締役全員の身分証明書
  • 印鑑届出書

上記の書類を揃えて、正式な登記手続きに進むことが可能です。

ステップ8:法務局で登記申請をおこなう

ステップ7で準備した必要書類を持参し、法務局で会社設立の登記申請をおこないます。

申請方法は、窓口に直接持ち込むか、郵送による申請も可能です。

申請が受理されると、その日が申請日となり、これが会社の正式な設立日として記録されます。

申請時には、登記が完了する予定日についても案内されるので、あらかじめ確認をしておきましょう。

登記が完了すると、会社が正式に設立され、登記事項証明書や印鑑証明書を取得することが可能です。

建設業の会社に必要な資格

建設業を開業する際には、建設業許可を取得することが必要です。

建設業許可には、知事許可と大臣許可の2種類があり、どちらの許可が必要かは、営業所の配置によって異なります。

例えば、営業所を1つの都道府県内にのみ置く場合は知事許可が必要となり、複数の都道府県に営業所を設置する場合は大臣許可が必要です。

複数の営業所を持つ場合でも、すべてが同一の都道府県内であれば、申請が求められるのは知事許可です。

建設業許可を受けなくて良いケース

建設業許可を受けなくて良いケースについては、以下が挙げられます。

軽微な建設工事① 1件の請負代金が 1,500万円未満の工事
② 請負代金の額にかかわらず、木造住宅で延面積が 150 ㎡未満の工事(主要部分が木造で、延面積の1/2以上の居住に供するもの)
建築一式工事以外の建設工事1件の請負代金が 500 万円未満の工事

建設業の許可がない場合だと、受注できる工事は小規模なものに限られてしまいます。

そのため、工事の請負金額に制約があることを考えると、建設業で会社を設立する際には、許可の取得が基本的に不可欠であるといえます。

建設業許可の有効期限

建設業許可を継続するためには、定期的な更新手続きが必要です。

取得日の翌日から5年間有効で、許可を維持したい場合は、有効期限が切れる前に必ず更新手続きをおこなう必要があります。

有効期間の最終日が土日祝日であっても、期限自体は変わることはありません。

また、更新手続きは、許可の有効期限が切れる30日前までに申請する必要があります。

その際には、再度許可を取得するための要件を満たしているかどうかを確認することが必要です。

建設業許可申請に関わる会社基本事項の確認ポイント

建設業許可申請に関わる会社基本事項の確認ポイントについては、以下の4つが挙げられます。

  • 資本金の要件を満たしているか
  • 事業目的に工事業種の記載がされているか
  • 経営業務の管理責任者が1名以上役員登記されているか
  • 営業所ごとに専任技術者がいるか

それぞれの確認ポイントについて解説していきます。

資本金の要件を満たしているか

建設業の許可を法人として申請する際には、一定の資本金が必要とされることがあります。

具体的には、一般建設業の場合は500万円以上、特定建設業では2,000万円以上の資本金が求められ、さらに自己資本は4,000万円以上である必要があります。

しかし、資本金が3,000万円を超えると、中小企業に適用される税制優遇を受けられなくなるリスクがあります。

そのため、会社設立後の経営戦略を含めて慎重に資本金の額を決定することが重要です。

事業目的に工事業種の記載がされているか

建設業の許可申請を行う際、申請する工事業種が会社の事業目的として定められていることが必要です。

建設業の許可が求められる業種は28種類あり、それぞれに許可が必要となります。

万が一、事業目的に許可を申請する業種が記載されていない場合、後で事業目的を変更または追加するために登記を行う必要が生じる可能性があります。

このように、会社設立時には、許可を取得したい業種を忘れずに事業目的に記載するように注意しましょう。

経営業務の管理責任者が1名以上役員登記されているか

建設業許可を取得するためには、少なくとも1名の常勤役員が経営業務の管理責任者であることが求められます。

例えば、個人事業主として5年以上建設業に従事していれば、経営業務の管理責任者として認められます。

また、以下の条件を満たしている場合も、経営業務の管理責任者になることが可能です。

  • 役員や個人事業主に準ずる地位で5年以上の経営業務の経験がある
  • 役員や個人事業主に準ずる地位で6年以上経営業務管理者の補助業務を経験している

将来の後継者を役員登記しておくことで、会社の将来にとって有効といえます。

営業所ごとに専任技術者がいるか

本社以外に支店や営業所を設置する場合には、その場所ごとに専任の技術者を配置することが必要です。

専任技術者は必ずしも役員として登記する必要はありませんが、経営管理の責任者を兼任することが可能です。

個人事業主が一人で会社を立ち上げる際には、取締役として役員に登記されるケースが一般的です。

しかし、複数の営業所を運営する場合は、それぞれの営業所に専任技術者を配置しなければなりません。

具体的に、専任技術者として認められるためには、次のような条件が必要です。

  • 許認可を受ける業種に対応した国家資格を有していること
  • 指定された学科を大学で修了し、3年以上の実務経験があること、または高校で修了し、5年以上の実務経験があること
  • 専門学校の指定学科を修了し、5年以上(専門士または高度専門士の場合は3年以上)の実務経験があること
  • 学歴に関係なく、10年以上の実務経験があること

さらに、2023年7月1日以降は、土木施工管理や建築施工管理などの検定に合格した場合、1級は大学卒業と同等、2級は高校卒業と同等と見なされ、実務経験年数の要件が緩和されています。

建設業の会社設立をする流れを把握しよう!

今回は、建設業の会社設立をする流れや建設業の会社に必要な資格を紹介しました。

建設業の会社設立をする流れについては、以下の8つが挙げられます。

  • ステップ1:基本事項を決める
  • ステップ2:発起人の印鑑証明書を取得する
  • ステップ3:代表者印を作成する
  • ステップ4:定款を作成する
  • ステップ5:公証役場で認証を受ける
  • ステップ6:資本金を振り込む
  • ステップ7:必要書類を作成する
  • ステップ8:法務局で登記申請をおこなう

また、建設業を開業する際には、建設業許可を取得することが必要です。

建設業許可には、知事許可と大臣許可の2種類があり、どちらの許可が必要かは、営業所の配置によって異なるので、事前に確認しておくことをおすすめします。

今回の記事を参考にして、建設業の会社設立をする流れを把握しましょう。


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