2024.10.20

会社設立

会社設立時に必要な登録免許税とは。費用を抑える方法はある?

この記事の監修者

松本 崇宏

税理士法人松本 代表税理士

松本 崇宏(まつもと たかひろ)

お客様からの税務調査相談実績は、累計1,000件以上。
国税局査察部、税務署のOB税理士が所属し、税務署目線から視点も取り入れ税務調査の専門家として活動。多数の追徴課税ゼロ(いわゆる申告是認)の実績も数多く取得。

会社設立の際には、法務局で会社設立の登記申請をしなければならず、その際には登録免許税の納付が必要になります。登録免許税とはどのような意味合いを持つ税金で、どのくらいの額の納税が必要になるのでしょうか。

会社設立時にはさまざまな費用負担が発生するため、できるだけ設立費用を抑えたいと考える方も少なくないでしょう。

今回は、会社設立時に必ず納付が必要となる登録免許税の概要や納付額を抑える方法について詳しくご説明します。

登録免許税とは

登録免許税とは、会社や不動産、船舶、航空機、人の資格などについて登記や登録などをする際に課税される国税です。登記をすることで、会社は法人格の取得ができ、登記には、会社の基本的な情報を公に伝えることで権利の保護と安全な取引を図る目的があります。登録免許税は、登記の対象や内容によって税率が異なります。

会社設立時の登録免許税の額はどのくらい?

会社設立の登記をする際には、登録免許税の支払いが必要です。会社の商業登記にかかわる登録免許税の額は、設立する会社の形態や資本金の額によって変わってきます。

株式会社設立時にかかる登録免許税の額

株式会社を設立する際の登録免許税の額は、資本金の額の1,000分の7または15万円のいずれか高い方の額です。

合同会社設立時にかかる登録免許税の額

合同会社設立の際に必要となる登録免許税の額は、資本金の額の1,000分の7または6万円のいずれか高い方となります。

合名会社・合資会社設立時にかかる登録免許税の額

合名会社または合資会社を設立する際の登録免許税の額は、資本金の額にかかわらず、申請1件につき6万円です。

登録免許税の3つの納付方法

登録免許税は、会社設立の登記申請を行う際に負担するものですが、登記申請には法務局の窓口に申請する方法とオンラインで申請する方法があります。また、登記申請の方法に合わせて登録免許税の納付方法も選ぶことができます。

収入印紙で納付する方法

法務局の窓口に登記申請書を提出する場合は、収入印紙で登録免許税の納付をすることができます。登記申請書を提出する際には、収入印紙貼付台紙に収入印紙を貼付し、申請書と一緒に提出をします。ただし、この際、収入印紙には割印を押さない状態で提出しなければならない点に注意が必要です。

また、オンラインで会社設立の登記申請をする場合でも、登録免許税を納付する際に収入印紙を窓口に提出または送付することが認められています。その場合は、オンライン申請後に付与される受付番号等を記載した登録免許税貼付用紙に印紙を貼り付け、補正期限内に提出するようにします。

銀行等で現金納付をする方法

銀行には、登録免許税納付用の納付書が備え付けてあり、納付書に必要事項を記入のうえ、指定の口座に登録免許税の額を納付する方法もあります。この方法を現金納付といいます。現金納付をする場合は、登録免許税の納付が完了した際に金融機関から発行される領収書を登録免許税納付用紙に貼付し、申請書と一緒に提出をします。

現金納付は、窓口での申請のほか、オンライン申請をする際も利用できます。その場合は、領収書を登録免許税納付用紙に貼付して法務局の窓口に提出または送付します。

インターネットバンキング等で電子納付をする方法

インターネットバンキングやモバイルバンキング、電子納付に対応しているATMでも登録免許税の納付ができます。登録免許税を電子納付する際の納付期限は、申請情報が登記・供託オンライン申請システムに到達した日の翌日から起算して3日間です。

インターネットバンキングで納付する方法には、登記・供託オンライン申請システムからアクセスする方法と、金融機関のインターネットバンキングに直接アクセスする方法があります。また、ATMを利用する場合は、電子納付に対応しているATMでなければなりません。利用可能な金融機関については、e-GOV電子納付の金融機関一覧から確認ができますので、事前に確認をしておくことをおすすめします。

e-GOV電子納付:金融機関一覧

会社設立時に登録免許税の負担を軽減する3つの方法

会社設立の際には何かと費用が発生します。そのため、節約できる部分に関しては費用を節約し、その分を本業の資金に回したいと考える方も多いでしょう。実は、登録免許税を節約できる方法もあります。

設立する会社の形態を考える

前述のように、設立する会社の形態によって登録免許税の最低額は変わります。株式会社の場合、会社設立時には最低でも15万円の登録免許税が必要です。しかし、合同会社を設立する場合の登録免許税の最低額は7万円であり、どのような形態の会社を設立するのかによって登録免許税の額も変わってきます。

株式会社と合同会社では、社会的な認知度や資金の調達法などに違いがあります。そのため、登録免許税の額だけを見て会社の形態を選ぶことはできませんが、会社設立費用を極力抑えたいのであれば、合同会社を設立した方が費用は安くなるでしょう。

資本金の額を考える

株式会社の場合は、資本金の額の1,000分の7と15万円、合同会社の場合は資本金の額の1,000分の7と7万円を比較し、いずれか高い方の額が登録免許税の額となります。

株式会社の場合は、資本金の1,000分の7が15万円よりも高くなるのは、資本金を約2,143万円以上に設定したときです。同様に、合同会社の場合も資本金を860万円以上に設定したときには、登録免許税の額は7万円を上回ります。

したがって、登録免許税の額を低く抑えたいときには、資本金の額を設定する際にも注意をするようにしましょう。

特定創業支援等事業を活用する

会社設立時の登録免許税を抑えるには、市区町村が創業支援等事業者と連携して行う特定創業等支援事業の制度を活用する方法もあります。特定創業等支援事業を活用すると、登録免許税を半額に抑えられます。

会社設立時に必要な登録免許税の額は、資本金の1,000分の7ですが、特定創業等支援事業を活用すると登録免許税の額は資本金の1,000分の3.5に軽減されます。また、資本金の1,000分の7の額が株式会社の場合は15万円未満、合同会社の場合は6万円未満であったときには、それぞれ登録免許税の額は半額の7万5千円、3万円となります。

登録免許税を半額にできる特定創業等支援事業とは

会社設立時の登録免許税を半額にできるのであれば、ぜひ特定創業等支援事業を活用したいと考える方も多いでしょう。では、特定創業支援等事業は誰でも利用できるものなのでしょうか。特定創業支援等事業の概要や利用方法などについてご説明します。

特定創業支援等事業とは

特定創業等支援事業とは、日本の経済の再興と産業の持続的発展を目的に平成25年12月に成立した産業競争力強化法に基づいて設立された、会社設立を考える創業者を支援する事業です。

市区町村は創業支援等事業者と連携し、経営、財務、人財育成、販路開拓等を身につけるセミナーや研修、個別相談などの継続的な支援である特定創業等支援等事業を実施します。また、特定創業等支援事業を受けた人に対し、証明書を交付し、証明書を持つ創業者は特定支援等事業の優遇措置を受けられることとなります。

創業支援等事業計画の認定を受けている市区町村

自治体が特定創業等支援事業を実施するためには、認定支援機関と連携して創業支援事業計画を作成し、国の認定を受ける必要があります。令和6年6月25日現在、1,506の市区町村が認定を受けています。

認定を受けている市区町村については、中小企業庁のホームページから確認ができます。

中小企業庁:産業競争力強化法に基づく認定を受けた市区町村別の創業支援等事業計画の概要 

創業支援事業を利用できる人とは

創業支援事業を利用するためには、まず、事業を始める予定の市区町村が国から創業等支援事業計画の認定を受けていることが前提となります。

そのうえで、創業支援等事業を利用できるのは、以下の要件を満たす人です。

・これから新たに事業を始める人や会社設立を予定している人

・開業後5年未満の個人事業主

また、登録免許税の軽減という優遇措置受けるためには特定認定創業等支援事業による支援を受けたことの証明書が必要になります。特定認定創業等支援事業の内容は自治体によって異なり、支援を受けたことを証明する基準も異なる点に注意が必要です。

創業支援事業を利用して登録免許税を軽減する際の手続き

会社設立時の登録免許税の額を軽減するためには、会社設立前に自治体が実施する認定特定創業支援等事業による支援を受け、証明書を取得する必要があります。証明書を取得したら、会社設立の登記申請をする際に法務局に申請書と一緒に、認定特定創業等支援事業による支援を受けたことの証明書の原本を提出します。

会社設立後、法務局に証明書を提出しても登録免許税が半額になることはありません。また、証明書の交付を受けた市区町村以外の場所で会社を設立する場合、証明書は無効となります。特定創業支援等事業を利用する際には、本店を置く予定の市区町村で支援を受けなければならないのです。

会社設立時以外にも登録免許税の負担が必要になるケース

登録免許税の負担が発生するのは、会社設立時だけではありません。会社の商業登記の場合、次のようなケースでも登録免許税の納付が必要になります。

資本金の増資による登記変更をする場合

資本金を増やす場合、増加した資本金の額の0.7%の登録免許税の納付が必要です。ただし、税額が3万円に満たない場合は申請件数1件につき3万円となります。

合併または組織変更等の登記変更をする場合

合併や組織変更、会社の形態の変更などによって株式会社または合同会社を設立する場合、または合併により資本金を増資する場合、資本金の額または増加した資本金の額の0.15%の登録免許税の納付が必要です。ただし、3万円に満たない場合は、申請件数1件につき税額は3万円となります。また、資本金の額が一定の額を超える場合、超える部分についての税率は0.7%です。

分割によって株式会社、合同会社を設立する場合、または分割によって株式会社、合同会社の資本金を増資する際は、資本金の額または増加した資本金の額の0.7%の登録免許税の納付が必要になります。ただし、3万円に満たない場合の登録免許税の額は3万円です。

支店の設置登記をする場合

新たに支店を設置する場合は、1か所につき6万円の登録免許税の納付が必要です。

本店または支店の移転登記をする場合

本店または支店が移転する場合、登記変更時に1か所につき3万円の登録免許税の納付が必要になります。

取締役または代表取締役、監査役等の変更登記をする場合

取締役や代表取締役、監査役などが変わる場合は、登記の際に1件につき3万円の登録免許税の納付が必要です。しかし、資本金の額が1億円以下の会社については登録免許税の額は1万円となります。

支配人、取締役等の職務代行者選任の登記をする場合

支配人の選任または代理権の消滅、取締役または代表取締役、監査役等の職務代行者の選任の登記の際には、1件につき3万円の登録免許税の納付が必要です。

登記事項の変更、消滅、廃止の登記をする場合

登記事項を変更や消滅、廃止の登記をする場合は1件につき3万円の登録免許税の納付が必要です。

登記の更正または抹消登記

登記を更正したり、末梢したりする場合は、1件につき3万円の登録免許税を納付しなければなりません。

組織変更の都度、登録免許税の負担が発生することを忘れずに

資本金の額を増やしたり、本店を移転したり、支店を新たに出したりすると、その都度、登記変更手続きが必要になり、登録免許税の支払いが必要になります。

したがって、会社設立の登記をする際には、すぐに登記事項を変更する必要がないよう、本店の所在地や資本金の額などを事前にしっかり考えてから決定することが大切です。

まとめ

会社設立時には、法務局に登記申請をします。その際に支払わなければならない税金が登録免許税です。

登録免許税の額は、会社の形態や資本金の額によって変わってきます。そのため、登録免許税の負担を抑えたい場合には、株式会社の場合は資本金を2,143万円未満、合同会社の場合は857万円未満に設定するとよいでしょう。

また、市区町村が実施している特定創業等支援事業を活用すると、登録免許税の額を半額に抑えることができます。ただし、創業支援事業による優遇措置を受けるためには会社設立を考えている市区町村が、特定創業支援等事業の認定を受けている必要があります。これから会社設立を考えている場合には、まずは市区町村が特定創業支援等事業の認定を受けているかどうかから調べてみることをおすすめします。

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