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会社設立の銀行口座開設のタイミングとは?審査を通過するポイントも解説
この記事の監修者
税理士法人松本 代表税理士
松本 崇宏(まつもと たかひろ)
お客様からの税務調査相談実績は、累計1,000件以上。
国税局査察部、税務署のOB税理士が所属し、税務署目線から視点も取り入れ税務調査の専門家として活動。多数の追徴課税ゼロ(いわゆる申告是認)の実績も数多く取得。
会社設立の銀行口座開設のタイミングは、会社設立が完了してからの流れになります。
具体的には、会社設立の登記が正式に完了した後でないと、法人口座を作る手続きに進むことはできません。
本記事では、会社設立の銀行口座開設のタイミングについて紹介します。
他にも「銀行口座開設の審査を通過するポイント」や「会社設立時の銀行口座開設における注意点」についても解説していきます。
ぜひこの記事を参考にして、会社設立の銀行口座開設のタイミングについて理解を深めてみてください。
目次
会社設立の銀行口座開設のタイミング
会社設立の銀行口座開設のタイミングは、会社設立の登記手続きが完了した後でなければ作成することができません。
そのため、銀行口座を準備するのは、会社設立後に行うことが基本となります。
具体的には、登記完了後に会社の登記簿謄本や銀行印、事業内容が確認できる資料などを金融機関に持参し、申請を行う形になります。
しかし、金融機関ごとに必要書類や審査基準には違いがあるため、事前に確認しておくことをおすすめします。
個人名義の口座と比較すると、法人口座の開設は審査が厳しい傾向があるので注意が必要です。
会社設立前から銀行口座開設の準備をするべき理由
会社設立前から銀行口座開設の準備をするべき理由については、以下の3つが挙げられます。
- 審査期間が長い
- 必要書類が多い
- 審査通過の対策が必要
それぞれの理由について解説していきます。
審査期間が長い
法人口座の開設は非常に厳密な審査が求められるので、審査にかかる期間は一般的に2~4週間と長期になります。
慎重な審査が行われる理由として、不正利用を防ぐことが挙げられます。
近年では、振り込め詐欺や還付金詐欺、フィッシング詐欺といった金融犯罪が増加しており、これらの犯罪に銀行口座が悪用されるケースは少なくありません。
また、銀行口座の売買やマネー・ローンダリング、その他の不正利用も深刻な問題となっています。
マネー・ローンダリングとは、犯罪で得た不正な資金の出所や所有者を隠すために複数の送金を繰り返す行為を指します。
このように、法人口座の開設は難易度が上がっていますが、会社設立の登記が完了した時点でスムーズに申し込めるように、事前に必要な準備を整えておくことが重要です。
必要書類が多い
法人名義の銀行口座を開設するには、多数の必要書類を提出することが求められるので、会社設立前から銀行口座開設の準備をするべきと言えます。
例えば、役所から取得する書類や作成に時間を要するものも含まれており、準備には数日から1週間程度かかる場合があります。
特に、多くの書類は会社の設立登記が完了してからでないと揃えることができません。
しかし、必要な書類の種類や取得方法を事前に確認しておくことで、設立登記が完了した後に効率よく準備を進められます。
事前準備をすることで、手続きをスムーズに進めるための大きな助けとなります。
審査通過の対策が必要
法人の銀行口座を開設する際には、審査に通るための準備を事前に行うことが大切です。
例えば、銀行によっては、固定電話を設置していることや自社のWebサイトが存在することが、審査を有利に進める要素となる場合があります。
このように、設立登記が完了した時点でスムーズに審査を受けられるよう、あらかじめ銀行の審査基準や傾向を調べ、それに対応した対策を進めることが重要です。
銀行口座開設の審査を通過するポイント
銀行口座開設の審査を通過するポイントについては、以下の4つが挙げられます。
- 事業目的を明確にする
- 固定電話を設置する
- 資本金を100万円以上にする
- ホームページを作成する
それぞれのポイントについて解説していきます。
事業目的を明確にする
会社の事業内容や目的は、第三者にも明確に伝わる形で整理することが重要です。
実際に、曖昧でわかりにくい内容では、事業に本気で取り組む意志がないのではないかと疑われる可能性があります。
特に、定款や申請書の事業目的欄に、関連性の薄い事業を10個以上も羅列してしまうと、方向性が見えず、信頼を損ねるリスクがあります。
会社の核となる事業を明確にし、その軸を中心に「どのような企業を目指しているのか」を具体的に考え、整理しておくことが大切です。
このように、事業内容を一貫性のある形で伝えることで、第三者からの信頼感を高め、会社のビジョンをより効果的に示すことにつながります。
固定電話を設置する
会社専用の固定電話を所有していると、審査においてプラスになるケースがあります。
固定電話は事業所の所在地と密接に関連付けられており、実際に事業が運営されていることを示す証拠として評価される場合があります。
また、固定電話の存在は「連絡が取れなくなるかもしれない」という懸念を軽減し、会社の信頼性を高める効果があります。
しかし、最近では固定電話がなくても審査を受け入れる銀行が増えてきており、必須条件とは言えないケースも見られます。
資本金を100万円以上にする
銀行によっては、審査の際に資本金の金額を重要な基準の一つとして考慮する場合があります。
特に、資本金が極端に少ない企業は、詐欺的な目的で設立されたペーパーカンパニーであると疑われる可能性があります。
会社法では資本金が1円でも会社を設立することは可能ですが、実際には事業を始めるためには一定の資金が必要です。
事業の種類や規模に応じて異なりますが、一般的に審査をクリアするためには最低でも100万円以上の資本金を用意するのが望ましいとされています。
ホームページを作成する
法人が銀行口座を開設する際には、自社のホームページを持っていることが大きなメリットとなります。
ホームページを通じて会社の基本情報や事業内容、取り扱い商品・サービスの詳細などを明確に示すことができ、事業の実態を信頼性をもって伝えられることにつながります。
実際に、事業の目的や内容が曖昧だと、不正利用や犯罪行為に関与しているのではないかと疑われる可能性があるのも事実です。
そのため、ホームページがしっかりと整備されていれば、事業活動が真摯に行われていることをアピールしやすくなります。
しかし、ホームページが形式的で内容が薄い場合や、無料ツールで簡易的に作られただけのものでは、信頼を得るのは難しいと言えます。
きちんと管理・運用されており、ビジネスの集客や販売活動に活用されているホームページであれば、事業の信憑性を効果的に高めることにつながります。
会社設立後の銀行口座開設に必要な書類
会社設立後の銀行口座開設に必要な書類については、以下の4つが挙げられます。
- 印鑑証明書
- 定款
- 商業登記簿謄本
- 運営実態がわかる資料
それぞれの書類について解説していきます。
印鑑証明書
印鑑証明書とは、登録された印鑑が公式なものとして認められることを証明する文書です。特に、法人口座を開設する際には、法人代表者と法人自体の印鑑証明書が求められることがあります。
法人印鑑証明書を取得するには、まず印鑑カード交付申請書を準備し、それを法務局に郵送する必要があります。
その後、法務局の窓口で証明書を受け取ることができます。
また、電子定款や登記事項証明書を取得するための環境を整えている場合、ICカードリーダライタを利用できる環境がある場合は、オンライン申請を活用して印鑑証明書を取得することも可能です。
定款
定款は、会社の基本情報を網羅した公式な文書であり、以下の情報が記載されています。
- 商号
- 資本金
- 事業目的
会社を設立する際には、定款の作成が必須となります。
特に、銀行口座を開設する際には、定款に記載されている事業目的が重要視されます。
万が一、事業内容の記載が不明確で曖昧である場合、口座開設の申請が拒否される可能性があるので注意が必要です。
そのため、定款を作成する際には、主な事業内容を具体的かつ明確に記述することが重要です。
商業登記簿謄本
商業登記簿謄本は、会社や法人の登記情報を紙に印刷して証明する書類です。
法務局の窓口で直接入手できたり、オンラインを通じて取得することも可能です。
また、会社が正式に設立されて初めて発行できるので、設立が完了した後、速やかに取得し、その後の手続きを進めることをおすすめします。
運営実態がわかる資料
法人名義の口座を開設する際には、会社が信頼できる法人であるかどうかの審査が実施されるので、運営実態がわかる資料を準備しておくようにしましょう。
万が一、税金対策を目的とした設立などで実際に事業が行われていないと見なされた場合、口座開設を断られるリスクが高くなります。
そのため、会社が実際に運営されていることを示す資料が求められます。
具体的には、事業内容がわかるホームページや具体的な事業計画書、オフィスの賃貸契約書などの提出が必要です。
このように、運営実態がわかる書類を用意することで、事業の実態を証明し、口座開設の審査を通過しやすくなります。
会社設立時に銀行口座開設するメリット
会社設立時に銀行口座開設するメリットについては、以下の3つが挙げられます。
- 社会的信用を獲得しやすい
- 資金繰りの把握に役立つ
- 法人名義のクレジットカードが作成できる
それぞれのメリットについて解説していきます。
社会的信用を獲得しやすい
法人口座を開設している場合は、会社の資産と個人の資産を明確に分けて管理していることを示すことができるので、社会的信用を獲得しやすいメリットが挙げられます。
実際に、業務で個人名義の銀行口座を使用すると、ビジネス資金と個人資金が混在していると見られるリスクがあるのも事実です。
また、法人口座の開設には一定の審査を通過する必要があり、それは法人として実体があり信頼できることを証明するものです。
このように、法人口座を持つことは、社会的信用の向上にもつながる重要な要素といえるでしょう。
資金繰りの把握に役立つ
会社設立時に銀行口座開設をすることで、事業で得た資産と個人の財産を明確に区別して管理でき、資金繰りの把握に役立ちます。
法人専用の口座を活用することで、業務に関連する資金の流れを通帳を確認するだけで簡単に把握でき、支出の状況も明確化されます。
結果として、どの経費を削減するべきかを効率的に検討できることにもつながります。
対外的な信用力の向上というメリットがあるだけでなく、資金管理や経営状態の把握が容易になるというメリットも挙げられます。
法人名義のクレジットカードが作成できる
会社設立時に法人名義の口座を開設すると、その名義でクレジットカードを作成することも可能です。
実際に、個人用のクレジットカードを経費支払いに利用すると、精算や管理が煩雑になることが少なくありません。
一方で、法人専用のクレジットカードを活用すれば、経費の支払いから管理までを一元化できる点が大きなメリットと言えます。
また、会計ソフトと連動させることで、経理業務の自動化や効率化も図れるため、業務負担を軽減することが期待できます。
会社設立時の銀行口座開設における注意点
会社設立時の銀行口座開設における注意点については、以下の3つが挙げられます。
- 適切な資本金額の設定をする
- 事業内容を具体的に明記する
- 一定額の自己資金が必要になる場合がある
それぞれの注意点について解説していきます。
適切な資本金額の設定をする
会社設立に必要な資本金は1円からでも可能ですが、資本金が少ない場合、それは事業運営に使える資金も限られていることを示すことになるので、適切な資本金額の設定をするようにしましょう。
資本金額が極端に低いと、信用力の不足と見なされ、審査が通らないリスクが生じる場合があります。
一般的には、資本金は最低でも100万円以上に設定することが望ましいとされています。
また、金融機関によっては、口座開設や融資申請時に必要な資本金の最低額を指定しているケースもあります。
このように、会社設立の際は資本金の基準について事前に確認しておくことが重要です。
事業内容を具体的に明記する
定款に記載する事業内容が広範すぎたり、具体性を欠いていると、審査において不利になる可能性があるので、事業内容を具体的に明記するようにしましょう。
例えば、「営利目的のあらゆる事業」などの漠然とした表現では、口座開設が難しくなることがあるので、十分に注意が必要です。
また、審査をスムーズに進めるためには、事業の実態を示す資料を整えることも重要になるので、会社概要書や事業計画書、ホームページなどを用意して、事業の信頼性や具体性をアピールするようにしましょう。
一定額の自己資金が必要になる場合がある
会社設立時の銀行口座開設における注意点として、一定額の自己資金が必要になる場合があります。
実際に、企業の資本金の中でも、自己資金の金額は特に重要な指標とされています。
自己資金は、創業時点での手元資金や事業のスケール感を反映するものであり、自己資金額が大きいほど、資金的な余裕があり取引規模も大きいと見なされる傾向があります。
金融機関にとっても、口座を維持するコストに見合った取引量が期待できるので、一定以上の自己資金を条件としている場合があります。
このように、自己資金額は信用力や取引の活発さを測るうえで重要な要素となっています。
会社設立時の銀行口座開設は早めに準備しよう!
今回は、会社設立の銀行口座開設のタイミングを紹介しました。
会社設立の銀行口座開設のタイミングは、会社設立の登記手続きが完了後に口座開設する流れになります。
法人口座を作ることは必須ではありませんが、取引先からの信頼を得やすくなったり、資金管理がより効率的になるなどメリットがあるため、多くの企業が口座開設を行っています。
しかし、法人口座を開設するには、金融機関の審査を通過する必要があり、手続きには一定の時間がかかる点に注意が必要です。
今回の記事を参考にして、事業の開始に支障が出ないよう、会社設立後すぐに手続きを進められるよう準備を整えておきましょう。
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