2024.11.26

創業融資

創業融資の申込みはいつまで?申込むベストタイミングや審査を通過するポイントも解説

この記事の監修者

松本 崇宏

税理士法人松本 代表税理士

松本 崇宏(まつもと たかひろ)

お客様からの税務調査相談実績は、累計1,000件以上。
国税局査察部、税務署のOB税理士が所属し、税務署目線から視点も取り入れ税務調査の専門家として活動。多数の追徴課税ゼロ(いわゆる申告是認)の実績も数多く取得。

日本政策金融公庫の創業融資は、法人および個人事業主の両方を対象に、創業前から創業後の第2期終了時点まで利用可能です。

また、創業融資の申込みについて理解を深めることで、タイミングよく資金を確保することにつながり、事業の運営や成長をスムーズに進めることができます。

本記事では、創業融資の申込みはいつまでなのかについて紹介します。

他にも「創業融資を申込むベストタイミング」や「創業融資の融資を通過するポイント」についても解説していきます。

ぜひこの記事を参考にして、創業融資の申込みについて理解を深めてみてください。

創業融資の申し込みはいつまで?

新創業融資制度は、法人・個人事業主の双方を対象としており、適用範囲は「創業前から創業後2期目終了まで」の期間とされています。

しかし、対象期間が「2年以内」ではなく「2期以内」となっているので注意が必要です。

以下では法人の場合と個人事業主の場合について詳しく解説していきます。

法人のケース

法人を設立した日から最初の決算日までが第1期に該当し、その決算日を基準に、1年間を1期とする形でカウントが進みます。

そのため、創業後2期の期間は、設立日から最初の決算日までが第1期、そしてその決算日から1年後までが2期目に該当します。

一方、個人事業を引き継ぎ法人成りをする場合には、計算方法が少し複雑になるため注意が必要です。

個人事業主から法人へ移行する場合、法人成りしたタイミングで個人事業主としての決算を行う必要があります。

法人成りしたタイミングが1期目となり、法人としての最初の決算日までの期間が2期目として扱われます。

個人事業主のケース

個人事業主の場合、事業年度の終わりは通常12月31日とされています。

例えば、年の途中で事業を開始した場合でも、開業日からその年の12月31日までが最初の事業年度となります。

また、翌年の1月1日から12月31日までが2期目の事業年度にあたります。

この事業年度の区切り方は、融資の手続きだけでなく、税務申告や許認可の取得、補助金申請などさまざまな状況で必要となるため、正確に理解しておくことが大切です。

創業融資を申込むベストタイミング

新創業融資制度の申込みには、創業後2期以内という期限が設けられています。

しかし、実際に申請する最適な時期はこの期限内でも異なるので注意が必要です。

特に有利となるタイミングは、「創業の2~3ヶ月前」または「創業後3ヶ月以内」とされています。

実際に、審査基準として「新たに開始する事業に対して適切な事業計画を立て、その計画を実行できる能力があると認められる方」という条件が掲げられています。

申請時には創業計画書などの提出資料をもとに、事業計画の具体性や実現可能性が厳しく審査されるので、事業の将来性がしっかり評価されるタイミングを選ぶことが、融資を有利に進めることにつながります。

創業融資を申込むベストタイミングを把握することで、以下2つのメリットが挙げられます。

  • 申込み審査に有利
  • 事業を進めやすくなる

それぞれの項目について解説していきます。

申込み審査に有利

起業前のタイミングで申し込むことで、起業後に申し込む場合よりも審査が通りやすくなる傾向があります。

実際に、起業前であれば事業計画の実現可能性を重視した評価が行われることが挙げられます。

一方で、起業後に融資を申し込む場合、以下のような資料が求められ、特に実績が芳しくない場合は融資を受けるのが難しくなる可能性があります。

  • 起業後1期目の場合: 実績を示す資料が必要
  • 起業後2期目の場合: 1期目の決算書や申告書、試算表が求められることがある

このように、起業前に審査を受ける場合は、主に事業計画書の内容が審査の通過可否に大きく影響します。

事業を進めやすくなる

創業融資の申込みをベストのタイミングで行うことで、事業を進めやすくなります。

具体的に、事業を円滑に進めるためには、創業後よりも創業の2〜3ヶ月前に準備を進めることが重要です。

事業をスタートさせる時点で手元の資金に余裕があることで、経営がよりスムーズに行うことができます。

実際に、売掛金が増えキャッシュフローが不足すると、事業運営が難しくなるケースがあるのも事実です。

さらに、日本政策金融公庫から創業融資を受けることで、他の金融機関からの信頼度が向上し、追加の資金調達がしやすくなるメリットも挙げられます。

創業融資の返済期間

創業融資の返済期間は、選択する融資制度によって異なります。

特に新創業融資制度は、他の融資制度と組み合わせて利用することを前提としています。

例えば、創業時に多くの人が活用する「新規開業資金」との併用を考えた場合、返済期間の設定は以下の範囲内で行えます。

  • 設備資金: 20年以内
  • 運転資金: 7年以内
  • 据置期間(返済を猶予できる期間): 最長2年以内

上記のように、新規開業資金では、創業者が資金を借りやすくするために、一般的な融資と比べて返済期間が比較的長く設定されています。

創業融資の審査を通過するポイント

創業融資の審査を通過するポイントについては、以下の4つが挙げられます。

  • できるだけ自己資金を用意する
  • 現実的で具体的な事業計画を策定する
  • 説得力のある資金計画を立てる
  • 個人信用情報を良好に保つ

それぞれのポイントについて解説していきます。

できるだけ自己資金を用意する

創業融資の審査を受ける際に、可能な限り自己資金を準備することで、融資審査の通過率を向上させることが期待できます。

新規事業の資金調達では必ずしも自己資金が必要とされるわけではありませんが、貸し手の視点から見れば、自己資金を多く確保している事業者のほうが信用性が高いと見なされる傾向があります。

自己資金が多いと財務の安定性が向上し、金融機関としても「返済不能リスクが低い」と判断する可能性が高まります。

また、自己資金を活用して借入額を抑えることで、返済の負担が軽減されるというメリットもあります。

さらに、十分な自己資金を投入することは、事業に対する強いコミットメントを示す手段にもなります。

このように、本気で事業を成功させようとする姿勢を具体的に表すことで、資金面だけでなく精神的な準備が整っていることをアピールする要素にもなります。

現実的で具体的な事業計画を策定する

公庫に融資の審査を申し込む際には、実現可能で具体性のある事業計画を準備することが求められます。

審査の過程では、必要な書類を提出した後、公庫の担当者と面談を行い、担当者から事業計画や資金繰りの見通しについて質問を受けることになります。

その際に、具体的で現実味のある事業計画を基に、自身の考えをしっかりと説明し、説得力のある根拠を添えて話すことが重要です。

また、効果的な事業計画を作成するには、市場の動向や競合の状況、販売戦略などの要素を明確に盛り込むことが大切です。

さらに、考えられるリスクについても予測し、その対策を計画に織り込むことで、事業に対する理解度や準備が万全であることを示せます。

このように、現実的で具体的な事業計画を策定することで、事業主としての信頼性を高め、公庫側から高い評価を得られる可能性を広げます。

説得力のある資金計画を立てる

創業融資の審査を通過するポイントとして、資金の用途を具体的に示し、説得力のある計画を作成することが重要です。

資金の使い道が不明確な場合、融資の必要性が疑われる可能性があり、審査で不利になったり、希望額が満額で受けられなかったりするリスクがあるのも事実です。

そのため、融資の目的や具体的な用途を明確にし、見積書や資金繰り表といった資料を活用して計画を裏付ける必要があります。

さらに、開業後や事業運営中の売上や仕入れ、経費など資金の動きを具体的に示すことも求められます。

返済能力があると審査で認められるよう、現実的で説得力のある資金計画を作成し、融資審査を受けるようにしましょう。

個人信用情報を良好に保つ

創業融資の審査を通過するポイントとして、個人信用情報を良好に保つことが挙げられます。

実際に、個人信用情報は、事業主の信用力を判断する上で重要な基準の一つとされています。

例えば、クレジットカードの支払いやローン返済を延滞した履歴がある場合、その情報は個人信用情報に記録され、信用に傷がついた状態となります。

こうした過去の記録は、公庫側に「再び問題を引き起こす可能性がある」と懸念を抱かせる要因になってしまい、審査に悪影響を与えてしまうリスクがあります。

また、信用情報は信用情報機関に登録されており、金融機関は審査の過程で申込者の信用状況を確認することが一般的です。

さらに、公共料金や税金の未払いがある場合も、事業主としての信頼性が疑われるリスクも挙げられます。

このように、個人信用情報を適切に維持することは、事業運営において極めて重要なポイントと言えます。

創業融資を利用する際の注意点

創業融資を利用する際の注意点については、以下の3つが挙げられます。

  • 審査期間に時間がかかる
  • 審査に落ちると6ヶ月間は再申請が難しい
  • 自己資金が少ないと融資額が減額されてしまう

それぞれの注意点について解説していきます。

審査期間に時間がかかる

日本政策金融公庫の融資を利用する際には、審査に時間がかかってしまうので、あらかじめ注意が必要です。

特に、起業や新たな事業を立ち上げる際に初めてこの融資を申し込む場合、信用情報の調査などを一から行う必要があるため、審査に通常よりも時間を要することがあります。

利用する融資制度や条件にもよりますが、一般的に申し込みから資金が手元に届くまでにはおよそ3週間から1か月ほどかかると言われています。

一方で、過去に日本政策金融公庫の融資を受けた経験がある場合は、審査が比較的スムーズに進む可能性があります。

しかし、初めての申請で迅速に資金を得るのは難しく、申し込みから数日以内に融資が実行されるケースは稀です。

そのため、必要な資金がいつ頃必要になるかを見越して、早めに申請手続きを始めることが大切です。

急ぎで資金を確保する必要がある場合は、日本政策金融公庫以外の資金調達方法も視野に入れることをおすすめします。

審査に落ちると6ヶ月間は再申請が難しい

創業融資制度の審査に通らなかった場合、6ヶ月間は再申請は難しくなってしまうので注意が必要です。

再申し込みには通常半年以上の期間を空ける必要があるため、タイミング次第では再挑戦のチャンスが先延ばしになってしまうリスクが挙げられます。

そのため、1回目の申請で融資を受けられるよう、万全の準備をすることが重要です。

特に、書類の記載ミスや準備不足で評価が下がることのないよう、可能な限り細心の注意を払うようにしましょう。

自己資金が少ないと融資額が減額されてしまう

創業融資では、自己資金が少ない場合、希望する融資額が減額される可能性があるので注意が必要です。

しかし、「自己資金が○万円未満なら融資額が○万円になる」というような明確な基準は設けられていませんんが、自己資金不足が原因で希望額を借りられない状況は避けるようにしましょう。

そのため、特に大きな融資を希望する場合は、具体的な基準が不明であることを踏まえ、可能な限り自己資金を増やして、しっかりと準備を進めることが重要です。

創業融資はベストなタイミングで申込みをしよう!

今回は、創業融資の申込みはいつまでなのかについて紹介しました。

日本政策金融公庫の新規開業資金制度は、これから事業を始める方や、事業を開始してからおおよそ7年以内の方が利用可能な制度です。

申し込みのタイミングは個人事業主か法人かによって異なりますが、一般的には開業の2~3か月前が最適とされています。

この時期に申請することで、審査がスムーズに進むだけでなく、事業運営においても多くのメリットが挙げられます。

今回の記事を参考にして、事前にしっかりと計画を立てて、融資をスムーズに受けるようにしましょう。


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