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会社設立
YouTuberが会社設立するメリット・デメリット!法人化の手順や成功させるポイントも紹介
この記事の監修者
税理士法人松本 代表税理士
松本 崇宏(まつもと たかひろ)
お客様からの税務調査相談実績は、累計1,000件以上。
国税局査察部、税務署のOB税理士が所属し、税務署目線から視点も取り入れ税務調査の専門家として活動。多数の追徴課税ゼロ(いわゆる申告是認)の実績も数多く取得。
YouTubeで再生回数やチャンネル登録者数が増えると収入を得ることが可能です。
YouTuberとして活動している人の中には、「収益が増えてきたので法人化するべきか」と悩んでいる方もいるのではないでしょうか。
本記事ではYouTuberが会社を設立する手順やメリット・デメリットについて解説します。
結論として、個人事業主が法人化すると、節税効果などさまざまなメリットがあるため、収益がある程度増えてきたら法人化のデメリットとも比較したうえで検討してみるのが望ましいです。
YouTuberの法人化を成功させるためのポイントについても説明していきますので、ぜひこの記事を参考に、YouTuberとしての収益をさらに増やせるようにしていただけたらと思います。
目次
YouTuberが法人化するメリット
YouTuberとしての活動が拡大、安定してくると法人化を検討する方も増えてきます。
YouTuberが法人化する主なメリットは以下の通りです。
- 社会的信用が得られる
- 節税効果が期待できる
- 社会保険が手厚くなる
- 経費計上できる範囲が広い
それぞれ詳しく説明していきます。
社会的信用が得られる
法人化すると、個人事業主として活動するよりも取引先や金融機関からの社会的信用が得られるというメリットがあります。
特にYouTuberのような新領域のビジネスは特別な資格や専門知識が必要なく、誰でもはじめられるものなので、社会的な信用度が高いとは言えません。
しかし、法人化すると第三者が会社情報や財務状況を確認できるため、外部からの信頼を得やすくなるのです。
YouTuberが法人化すると、ある程度の規模で運営していると判断され、金融機関からの融資も受けやすくなり、長期的な取引や契約にも繋がりやすくなります。
節税効果が期待できる
法人化すると、税の負担が軽減できる点も大きなメリットといえます。
個人事業主の場合、所得税は累進課税で5~45%の税率が適用されるため、収入が多いほど高い税率が課されてしまいます。
しかし、法人税は19%もしくは23.2%で課税されるため、所得が高い場合には大きな節税効果が期待できるのです。
そのため、所得が高いYouTuberは法人化することで納税額を減らせるでしょう。
社会保険が手厚くなる
個人事業主の場合、国民健康保険や国民年金への加入が必要になりますが、法人化すると、社会保険の適用を受けられるようになります。
社会保険に加入すると、手厚い医療保障や年金給付を受けられるようになります。
保険制度が手厚ければ、経営者自身が恩恵を受けられるだけでなく、YouTubeの運営スタッフを雇いたい場合に優秀な人材を確保しやすくなる点もメリットです。
経費計上できる範囲が広い
YouTuberを個人事業で行っている場合に経費に計上できるのは、事業に直接関わりがある経費に限定されます。
しかし、法人化すると、経費として計上できる範囲が広がるという点もメリットです。
特にYouTuberの場合では。動画制作にかかる機材費や編集費用、撮影場所のレンタル費などをさまざまな支出を経費として扱えるでしょう。
このように、法人で支払ったものは個人的なものを除き、多くが経費となるため、税負担が少なくなります。
YouTuberが法人化するデメリット
YouTuberが法人化するとさまざまなメリットがある一方で、以下のデメリットがあることを覚えておく必要があります。
- 会社設立の費用がかかる
- 税負担が多くなる場合もある
- 役員報酬は1年間変更できない
- 法的手続きや会計処理が複雑になる
それぞれ詳しく見ていきましょう。
会社設立の費用がかかる
法人を設立する際には、登記費用や定款認証費用、登録免許税などのさまざまな費用がかかるため、ある程度まとまった初期費用を用意しておく必要があります。
資本金は1円からでも会社設立ができますが、手続き費用だけでも約22〜25万円程度かかると覚えておきましょう。
手続きが株式会社よりも簡素な合同会社であれば10万円程度で設立できますが、課税所得が多くない場合は負担が大きく感じる可能性が高いです。
税負担が多くなる場合がある
法人化は節税メリットがありますが、かえって税負担が多くなってしまうケースもあるので、注意が必要です。
個人事業主の場合は、赤字であれば所得税や住民税などはかかりませんが、法人の場合はたとえ事業が赤字であっても法人住民税の均等割が発生します。
この均等割は、金額は資本金や従業員数によっても変わりますが、利益の有無にかかわらず毎年最低でも7万円以上納付する必要があります。
そのため、収益が出ていない、安定しないYouTuberにとっては大きな負担となるでしょう。
役員報酬は1年間変更できない
個人事業主の場合、売上が多くなった月は報酬を増やし、少ない月には減らすなどの調整が行えますが、法人化すると役員報酬は基本的に固定となり、年度内に変更することができません。
YouTuberの収益は変動が大きくなりやすく、収益が少ない月には資金繰りが難しくなるリスクがあります。
ほのため、報酬が固定になるのを考慮したうえで法人化を検討するようにしましょう。
法的手続きや会計処理が複雑になる
会社を設立するとなると、法人化するための手続きや会計処理など個人事業主として運営していたときよりも、作業が複雑で難しくなります。
また、会計処理を正しく行わなければ申告に漏れやミスが発生し、税務調査で指摘を受けて重い税負担が課される恐れもあるため、慎重に行わなければなりません。
法的手続きや申告手続きを税理士や司法書士などの専門家に依頼すると、自分で手続き等を行う必要がない代わりに、専門家への報酬の支払いが発生します。
YouTuberの法人化の手続き方法
個人事業主として活動してきたYouTuberが法人化するには、さまざまな手続きが必要になりますが、主な手順や手続きは以下の通りです。
- 会社形態の選択
- 定款の作成と認証
- 資本金の払い込み
- 登記申請
それぞれ具体的に見ていきましょう。
①会社形態の選択
YouTuberの法人化にあたって、どの会社を設立するのか決めなければなりません。
会社形態として株式会社・合同会社・合名会社・合資会社といったように複数の種類がありますが、中でも一般的なのは株式会社と合同会社です。
主な違いを以下の表にまとめたので、それぞれ比較して検討しましょう。
株式会社 | 合同会社 | |
---|---|---|
メリット | ・社会的信用が高い ・株式上場できる ・資金調達方法の選択肢が 多い | ・設立費用を抑えられる ・意思決定が素早くできる ・決算公告の手間が省ける |
デメリット | ・設立費用が高い ・決算公告の義務がある ・法律の規制が多い | ・株式会社よりも会社形態の認知度が低い ・株式上場ができない |
②定款の作成と認証
会社設立には定款を作成する必要があります。
定款とは会社を経営していくための基本的なルールをまとめた、会社の設立や運営において重要な書類であり、会社名、事業内容、役員の構成、資本金などを記載します。
合同会社では定款の認証は不要ですが、株式会社の場合、定款を公証役場で認証してもらわなければなりません。
また、YouTuberの法人化においては、定款に記載する事業目的は将来的な事業展開を考慮して設定する必要があるでしょう。
③資本金の払い込み
定款の認証が終了したら、資本金額を設定し、会社名義の銀行口座に資本金を払い込みます。
YouTuberが1人で法人化するケースもあるかと思いますが、1人で会社を設立する場合は、自身の口座に資本金を振込めば問題ありません。
④登記申請
次に、法務局で登記申請を行います。
登記申請に必要な書類は設立する会社形態によっても変わってきますが、一般的な株式会社に必要な書類は以下の10種類です。
- 登記申請書
- 登録免許税納付用台紙
- 定款
- 発起人の決定書
- 設立時取締役の就任承諾書
- 設立時代表取締役の就任承諾書
- 設立時取締役の印鑑証明書
- 資本金の払込みがあったことを証する書面
- 印鑑届出書
- 「登記すべき事項」を記載した書面又は保存したCD-R
登記が完了すれば、法人としての運営が開始できます。
YouTuberが会社設立するベストなタイミングとは
YouTuberが法人化するメリットやデメリットをお伝えしましたが、これらを考慮したうえで、会社設立をしようと思ったときに、どのタイミングで会社を設立したら良いのでしょうか。
YouTuberが会社設立を検討するベストなタイミングとしては以下の2点です。
- 利益が800万円を超えたとき
- 売上高が年間1,000万円を超えたとき
それぞれ詳しく説明していきます。
年間利益が800万円を超えたとき
1つめのタイミングとしては、年間利益が800万円を超えたときです。
個人事業主の場合、累進課税である所得税は収益が高いほど課税率も高くなってきますが、中小法人の場合では利益が800万円以下で15%、800万円を超えると23%程度、それぞれ一律に課税されます。
利益が800万円を超えると、所得税よりも法人税の方が低くなるケースが多いため、節税の観点からも法人化を検討すると良いでしょう。
売上高が年間1,000万円を超えたとき
もう1つは、売上高が念願1,000万円を超えたときです。
個人事業主の年間売上が1,000万円を超えると、消費税の課税事業者となるため、消費税の納税義務が発生します。
しかし、法人化すると設立後2年間は消費税が免除される可能性があるため、このタイミングで法人化すると免除された消費税額分、節税が期待できるのです。
YouTuberの法人化を成功させるポイント
YouTuberの法人化を成功させるためには、以下の重要なポイントを押さえておく必要があります。
- 適切な会社形態にする
- 適切な資本金を設定する
- 専門家のサポートを受ける
これらを行うことで、会社設立をスムーズに進められるだけでなく、事業運営も効率化できるでしょう。
それぞれ詳しく説明していきます。
適切な会社形態にする
会社形態をどのようにするかは、法人化の成功を左右する重要な要素です。
YouTuberが法人化する場合、株式会社か合同会社を選ぶことが多いですが、以下の点に注意して判断すると良いでしょう。
- 事業規模
- 将来的な事業展開
- 設立コスト
- スタッフの雇用人数
- 資金調達の必要性
自分以外にスタッフを複数人雇用し、大規模な事業展開を考えている場合や、金融機関からの資金調達を希望している場合は株式会社が適しています。
一方、コストを抑えて柔軟に活動したい場合は合同会社が有効です。
適切な資本金を設定する
資本金額の設定も法人化の成功に関わる要素です。
資本金額については、以前は最低資本金が設定されていましたが、現在は廃止されているため、資本金1円でも会社設立ができるようになりました。
しかし、資本金は会社の信用力にも関わってくるため、それを考慮して現実的な額を設定するのが望ましいです。
専門家のサポートを受ける
先述した通り、法人化の手続きや会計処理は複雑です。
YouTuberとして運営する場合に、法的手続きや申告手続きの時間が取れない、もしくは、専門知識がなく不安だという方は、税理士や司法書士などの専門家にサポートを依頼するのが望ましいです。
専門家へ報酬を支払う必要がありますが、会社設立がスムーズに進めることができるだけでなく、税務申告等を税理士に依頼すると、税務調査の対象となるリスクも軽減できるでしょう。
YouTuberの法人化はメリットが多い!正しく理解してスムーズに法人化を進めよう
YouTuberが法人化すると、以下のメリットがあります。
- 社会的信用が得られる
- 節税効果が期待できる
- 社会保険が手厚くなる
- 経費計上できる範囲が広い
YouTuberとしてある程度収益をあげている人にとっては、会社設立によってさらに事業が拡大できるかもしれません。
ただし、費用面や手続きの難しさなどのデメリットもあるため、それぞれよく把握したうえで判断し、計画的に進めると良いでしょう。
会社設立にあたっての難しい法的手続きや会計処理は専門家に依頼するのもおすすめです。
ぜひこの記事をご覧いただき、YouTuberの法人化に活かしていただけたら幸いです。
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