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不動産投資で脱税を疑われるケースとは?税務調査でチェックされやすい項目を解説
この記事の監修者
税理士法人松本 代表税理士
松本 崇宏(まつもと たかひろ)
お客様からの税務調査相談実績は、累計1,000件以上。
国税局査察部、税務署のOB税理士が所属し、税務署目線から視点も取り入れ税務調査の専門家として活動。多数の追徴課税ゼロ(いわゆる申告是認)の実績も数多く取得。
不動産投資をしている方の多くが確定申告をしているかと思いますが、確定申告をすれば節税になる一方で、やり方が間違っていると脱税になってしまう恐れがあるのです。
本記事では不動産投資で税務対象の対象となるケースやチェックされやすいポイントについて解説します。
結論として、不動産投資で必要な支出を経費計上すれば節税となりますが、全く関係のない支出を経費として計上するのは脱税となり、厳しく処罰される恐れがあるため、適切な会計処理をしなければならないのです。
不動産投資で認められる経費や税務調査で疑われないようにする方法についても説明していきますので、不動産投資家の方はこの記事を参考に、税務調査対策をしていただけたらと思います。
目次
不動産投資とは
そもそも不動産投資とは、アパートやマンションなどの不動産を購入し、入居者に貸し出すなどして運用することで利益を得るビジネスを指します。
建物一棟を購入して運用する以外にも、マンション一室を購入して貸しだし、家賃収入を得る方法など、運用方法は様々です。
初期費用は大きくかかりますが、適切な物件選びができればリスクが少ない投資であり、入居者が定着すれば安定的な収入が得られるため、近年ではサラリーマンなどが副業として不動産投資を始めるケースが増えています。
不動産投資で利益を得る方法
不動産投資で利益を得る仕組みとして、以下の2通りあります。
- インカムゲイン
- キャピタルゲイン
インカムゲインは家賃収入であり、キャピタルゲインは売買益を指します。
それぞれ詳しく見ていきましょう。
インカムゲイン
不動産投資におけるインカムゲインは、アパートやマンションなどの資産を保有している間に得られる利益です。
例えば、家賃10万円のアパート経営を行っていて、入居者が5人いれば、月50万円のインカムゲインを得ていることになります。
後述するキャピタルゲインとは違い、長期的に収入を得られる点が特徴です。
キャピタルゲイン
不動産投資におけるキャピタルゲインは、アパートやマンションなどの保有する不動産を売却して収益をあげる方法です。
例えば、ワンルームマンションを2,000万円で取得し、2,200万円で売ることができれば、200万円のキャピタルゲインが生じます。
インカムゲインのように長期的な利益は発生しませんが、短期間にまとまった収入を得られる可能性が高いです。
不動産投資で税務調査の対象となるケース
税務調査は法人・個人に関わらず、全ての納税者が対象となります。
しかし、税務調査は限られた件数しか実施できないため、一定の条件を満たす法人・個人に対して行われやすいです。
ここでは、不動産投資を行っている人で税務調査の対象となりやすいケースについて説明していきます。
本業以外の不動産所得が20万円以上ある
本業の給与以外の不動産所得が20万円以上ある場合、税務調査の対象となります。
ここでいう不動産所得とは、家賃収入から必要経費を差し引いた金額を指し、不動産投資を行っていればほとんどの場合、不動産所得が年間20万円を超えるため、忘れずに確定申告をしなければなりません。
もし、確定申告をする必要があるのにそれを怠っていたり、収入を計算していなかったり、必要経費以外のものを経費計上していたりすると、税務調査が入ることがあります。
無申告でも税務調査は入る
税務調査は基本的に、確定申告を行った法人や個人事業主が対象となります。
そのため、、「小規模であれば不動産所得があるのはバレないだろう」と思う方もいるかと思いますが、無申告者に対しても税務調査は行われるので注意が必要です。
不動産投資の場合、税務署は登記情報などを把握できるため、不動産所得があるのに申告していなかったり、不審な点があったりすると、税務署から「お尋ね」の連絡や、税務調査が入る恐れがあります。
事業規模が大きい・収入が多い法人や個人
不動産を複数棟所有しているなど、事業規模が大きかったり、収入が多かったりする法人や個人事業主は、税務調査の対象となりやすくなります。
事業規模が大きければ、申告のミスや漏れ、不正があった場合の額も大きくなってしまいがちだからです。
所得に大きな変動があった
税務調査が入りやすいタイミングとして、所得に大きな変動がある、もしくはお金の動きが激しい年が挙げられます。
具体的には、以下のパターンです。
- 不動産を取得した
- 不動産を売却した
- 不動産所得に対し、経費が異常に多くなった
不動産を取得するにはまとまった資金が必要になるため、調達方法などが調べられ、売却した場合は、譲渡所得に対する所得税や住民税がきちんと支払われているか確認されます。
また、所得が増えた場合は、納税額を減らそうと度を超えた節税対策をしてしまうケースが多く、経費の水増しや所得隠しを疑われる場合があるのです。
過去に確定申告でミスを指摘されたことがある
過去の確定申告で、税務署からミスや不備を指摘されたことがある、またはミスを繰り返している不動産投資家は、税務調査の対象となりやすいです。
確定申告のミスを繰り返すと「悪質性が高い」と判断され、脱税を疑われるリスクが高くなるため、注意しなければなりません。
ミスが多い場合や、節税のつもりが脱税になっていないか心配な方は、正確に納税するために、税理士への相談がおすすめです。
不動産投資家が税務調査でチェックされやすいポイント
税務調査で疑われやすいのはどの項目なのか、どの部分をチェックされるのかを把握しておけば対策がしやすく、万が一税務調査を受けることになった場合でも対応しやすくなるでしょう。
ここでは、不動産投資における税務調査でチェックされやすい項目について解説します。
計上する収入に漏れがないか
不動産投資に関わらず、税務調査では収入を正しく計上しているか厳しくチェックされます。
不動産投資で計上する収入は家賃収入が基本ですが、その他にも礼金や更新料、駐車場代なども収入に含まれます。
また、物件の敷地内に設置された自動販売機なども計上すべき収入となるでしょう。
このように、家賃収入以外にも収入がある場合は、これらも正しく計上されているかチェックされます。
減価償却費が正しく処理されているか
不動産投資の必要経費で最も大きなものとされているのが減価償却費です。
減価償却は、経年劣化によって価値が下がる固定資産に対して、定められた年数に渡って一定額を経費計上する制度で、上手く使えば節税対策としても効果が高くなります。
しかし、耐用年数を間違えて本来の年数よりも短くしてしまうと減価償却費が増え、本来納めるべき税金が少なくなるため、税務調査では必ずチェックされる項目です。
消費税分を申告しているか
不動産投資で得られる家賃収入の中には、消費税がかかるものとかからないものがあり、消費税分を正しく申告しているかをチェックされやすいです。
課税対象となるもの・ならないものには、以下があります。
- 課税対象・・・事業用に使用している建物の家賃、管理費など
- 非課税・・・居住用の建物の家賃、共益費、敷金、礼金など
このように、不動産経営では消費税の考え方が分かりづらく、ミスが申告漏れが起きやすいので、税務調査でも確認されやすいポイントです。
不動産投資とは関係ない支出を経費計上していないか
経費を水増しして計上することは、脱税行為にあたります。
具体的には、以下のように経費を偽ると脱税と判断されて処罰を受ける可能性が高いです。
- 私的な旅行費用を「交通費」として経費計上
- 私的な飲食代を「接待交際費」として計上
- 支払いが生じていないにも関わらず架空の領収書を作成して経費計上
このように、不動産投資とは関係のない私的な費用を経費として計上したり、経費扱いになるものを水増しして計上したりするのは絶対にやめてください。
不動産投資で認められる経費
先述した通り、不動産所得は年間の家賃収入から年間にかかる経費を差し引いて計算します。
そして、計上できる経費は以下のような不動産経営に必要とされる経費です。
- 租税公課(固定資産税、印税、不動産取得税など)
- 管理者への委託管理料
- 物件の修繕費
- 減価償却費
- 保険料(火災保険・地震保険)
- ローン返済額の金利部分
- 確定申告する場合の税理士への報酬 など
このような支出を経費計上することで、所得を減額できるので、節税効果が期待できます。
しかし、関係のない私的な支出を経費とすれば脱税とみなされてしまいます。
不動産投資家が税務調査で脱税を疑われないためにするべきこと
税務調査でミスによる申告漏れや悪質な所得隠し、脱税などが発覚した場合、以下の加算税や延滞税が課されます。
- 過少申告加算税
- 無申告加算税
- 不納付加算税
- 重加算税
- 延滞税
悪質性が高いほど処分も重くなるため、普段の会計処理から気をつけて行わなければなりません。
ここでは、不動産投資家が税務調査で脱税を疑われないようにするために気をつけたいポイントについて説明していきます。
申告する内容に不備がないか確認する
たとえ故意がなくても、確定申告でミスがあると、税務調査の対象にされてしまう恐れがあります。
そのため、日々の記帳を丁寧に行うことはもちろん、申告内容に不備がないよう細部までチェックするようにしましょう。
不動産投資においては、入金を確認した時点で仕訳処理を確実に行う、自分で判断できない場合は税理士に相談するなどの対策をとるのがおすすめです。
領収書などの証拠を残しておく
税務調査では、支出の領収書などの提出を求められる場合が多く、経費としたものの根拠がなければ認められない可能性が高いです。
そのため、不動産投資の経費としてお金を支払った場合は、証拠となる領収書やレシートなどを忘れずに受け取り、なくさないよう保管しておきましょう。
なお、領収書は確定申告後も保管しておくことが法律で義務付けられており、保管期間は以下の通りです。
- 白色申告・・・5年間
- 青色申告・・・7年間
通帳を不動産投資用と個人用とに分ける
税務調査対策として、不動産投資用とプライベート用で通帳を分けるのがおすすめです。
個人投資家の場合、不動産投資とプライベートどちらに使ったお金なのかが曖昧になりがちですが、通帳を分別することで、お金の流れが把握しやすくなり、仕訳も楽になります。
不動産投資に関わらず、個人事業主の方は売上や支出を適切に管理するためにプライベートとの区別できるようにしておくと良いでしょう。
不動産に強い税理士に依頼する
不動産投資における確定申告は、支出を経費計上できるか判断するのが難しく、申告ミスや漏れが起こりやすいです。
たとえ故意によるものではなくても、税務調査で申告ミスが発覚した場合は加算税が課される恐れがあるため、不動産投資に慣れていない方や税務調査が心配な方は、不動産に詳しい税理士などの専門家に相談すると良いでしょう。
費用はかかるものの、税務に関する面倒な手続きを任せられるほか、万が一、税務調査を受けることになった場合も立ち会いや交渉を頼めるので安心できます。
不動産投資で脱税の恐れあり!間違いやすいポイントを押さえよう
不動産投資家が税務調査でチェックされやすい項目は以下の通りです。
- 計上する収入に漏れがないか
- 減価償却費が正しく処理されているか
- 消費税分を申告しているか
- 不動産投資とは関係ない支出を経費計上していないか
不動産投資は小規模からでも始めやすく、入居者が定着すれば利回りも安定するため、副業としてビジネスを行う人が多くなっています。
しかし、不動産投資家も税務調査を受ける可能性があり、税務調査の結果、誤りが発覚することもあるため、日々の会計処理に気をつけるほか、適正な申告を心がける必要があるのです。
特に、不動産投資に関係のない支出を経費として計上するなどの事例は多く、故意でなくても間違いやすいポイントであるため、不動産投資家で正しく会計処理できているか自身がない方、税務調査が心配な方は、ぜひ税理士などの専門家に相談し、正しく計上、集計して不安を解消しましょう。
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