2024.08.24
  • 税務調査

税務調査が入らないための対策とは?税務調査が入りやすい個人事業主の特徴も徹底解説

この記事の監修者

松本 崇宏

税理士法人松本 代表税理士

松本 崇宏(まつもと たかひろ)

お客様からの税務調査相談実績は、累計1,000件以上。
国税局査察部、税務署のOB税理士が所属し、税務署目線から視点も取り入れ税務調査の専門家として活動。多数の追徴課税ゼロ(いわゆる申告是認)の実績も数多く取得。

税務調査が入らないための対策について知りたいと悩んでいませんか?

本記事では「税務調査が入らないための対策」について紹介します。

他にも「税務調査に入られやすい個人事業主の特徴」や「税務調査は税理士に相談するべき理由」についても解説していきます。

ぜひこの記事を参考にして、税務調査が入らないための対策をしましょう。

税務調査とは?

税務調査とは、国税庁や税務署が、納税者が税法を遵守し、適切に税金を納付しているかを確認するためにおこなう調査です。

調査結果によって、法に違反した処理が発見された場合、税務当局は税法に基づいて、申告内容の修正や不足分の納税を求める措置をおこないます。

また、税務調査の対象については、所得税や法人税に限らず、消費税や源泉徴収税、固定資産税など事業に関連するすべての税金が含まれます。

具体的な税務調査には、以下の2つに分けられます。

  • 強制調査
  • 任意調査

それぞれの調査について解説していきます。

強制調査

強制調査とは、納税者の同意なしに強制的におこなわれる税務調査の方法です。

悪質で多額な不正が発覚し、刑事事件に発展することが予想される場合に実施されます。

基本的に、強制調査の場合には、国税局の査察部が捜査令状をもって実行されるので、税務調査を拒否することはできません。

また、悪質な脱税行為に対する犯罪捜査として扱われるケースも多く、国税局の職員が関係資料の捜索や差し押さえをおこないます。

さらに、刑事処分を前提としているので、修正申告などによって追徴課税が発生するだけではなく、刑事裁判となり、「脱税犯」として刑罰が課される可能性も高くなります。

任意調査

任意調査とは、納税者の合意のもとで実施される調査のことを指します。

多くの場合、地元の税務署が担当しますが、状況によっては国税局の「調査部」や「資料調査課」などの専門部署が担当するケースもあります。

この調査は「任意」という形式を取っているので、納税者の同意が必要です。

しかし、税務職員には「質問検査権」が与えられており、納税者は「受忍義務」としてこれに応じる義務があります。

万が一、納税者が調査に非協力的であったり、虚偽の情報を提供したりすると、罰則が科されてしまう可能性があります。

このように、任意調査とはいえ、実質的には強制的な側面を持っています。

税務調査が入らないための対策

税務調査が入らないための対策については、以下の4つが挙げられます。

  • 適切に経費計上をおこなう
  • 申告漏れや申告通知に誤りがないように徹底する
  • 顧問税理士をつける
  • 経理体制を整える

それぞれの対策について解説していきます。

適切に経費計上をおこなう

税務調査が入らないための対策として、まず適切な経費の計上を心がけることが重要です。

申告に関連するすべての領収書や証拠資料は、確実に保存しておくように注意してください。

万が一税務調査が実施された場合でも、申告書類や日々の会計記録について税務署からの指摘があった際でも、資料が手元にあれば、適切な説明をおこなうことが可能です。

特に税務調査で重点的にチェックされる売上原価、人件費、外注費などの項目については、決算時に税理士に十分な確認を依頼することをおすすめします。

税務署の元職員が在籍している事務所であれば、税務調査で問題になりやすい点を熟知しており、より的確なアドバイスを受けることができます。

申告漏れや申告通知に誤りがないように徹底する

税務調査を避けるには、申告内容に誤りがないように細心の注意を払い、適切に対応することが重要です。

申告書類に不備があると、税務署が疑念を抱き、調査の対象となる可能性が高くなってしまいます。

正確な申告をおこなうには、日々の会計処理をミスなくおこなうことが必要です。

例えば、決算を年に一度だけでなく、月次決算を導入し、毎月の数字を確定することなどが挙げられます。

また、税理士による定期的な監査を受けることもおすすめです。

年に一度の決算だけでは、12ヶ月分の会計データを確認・修正するのに多くの時間がかかるうえ、税理士もミスを犯すリスクが増えてしまうのも事実です。

顧問税理士をつける

顧問税理士を持つことで、申告内容に誤りや漏れが少なく、意図的な脱税の可能性が低いと判断されやすく、税務調査の対策につながります。

また、税理士を利用することで、税務調査時の専門的なサポートや経理業務の効率化による業務集中の向上などのメリットも挙げられます。

現在税理士を利用していない個人事業主の方は、ぜひ顧問税理士の導入を検討してみることをおすすめします。

経理体制を整える

経理体制を整えることで、税務調査が入ってしまうのを防ぐことにもつながります。

万が一、税務調査が入ってしまい、資料をすぐに提示できないと、調査員からの信頼を損なってしまうリスクがあります。

逆に、整然とした資料を見せることで、管理能力の高さをアピールすることができます。

税務調査においては、過去7年分の資料が求められる場合があるので、情報を適切に保存し、迅速に取り出せるようにしておくことが重要です。

特に、電子帳簿保存法の改正やインボイス制度に対応した形で資料を保存することが、今後の調査においても有効といえます。

税務調査が入りやすい個人事業主の特徴

税務調査が入りやすい個人事業主の特徴については、以下の6つが挙げられます。

  • 確定申告をしていない
  • 申告漏れが多い業種に該当している
  • 毎年売上が900万円台の水準にある
  • 経費が多額に計上されている
  • 現金商売をおこなっている
  • 顧問税理士が付いていない

それぞれの特徴について解説していきます。

確定申告をしていない

確定申告をおこなわない個人事業主は、税務調査の対象となるリスクが高くなってしまいます。

実際に、取引先が行う税務申告やその後の税務調査から、取引している個人事業主の売上が把握されるので、申告をしないとすぐにバレてしまいます。

一定の売上があるにもかかわらず、所得税や消費税を支払っていない場合、税務調査の対象となる可能性はさらに高くなってしまいます。

また、近年では、各種のデータがビッグデータとして蓄積されており、そのデータとAIの技術を組み合わせることで、所得隠しや申告漏れが簡単に特定されるようになっているのも事実です。

このように、確定申告を怠ることが大きなリスクとなるので、注意が必要です。

申告漏れが多い業種に該当している

税務調査が実施される件数は限られているので、申告漏れのリスクが高いとされる業種に焦点を当てて調査がおこなわれる可能性が高くなります。

具体的に、以下に該当する業種で働く個人事業主は、税務調査を受ける可能性が相対的に高いといえます。

  • 経営コンサルタント
  • システムエンジニア
  • ブリーダー
  • 商工業デザイナー
  • 不動産代理仲介
  • 外構工事
  • 機械部品受託加工
  • 一般貨物自動車運送
  • 司法書士
  • 行政書士

年度によって業種の入れ替わることがありますが、上記の業種は他の業種と比べて税務調査の対象となるリスクが高くなることを理解しておきましょう。

毎年売上が900万円台の水準にある

確定申告において、毎年売上が900万円台の金額で申告している個人事業主は、税務調査の対象となる可能性が高まります。

年間の売上高が1,000万円を超えると、翌々年からは消費税の課税対象となり、消費税の納付が義務付けられます。

課税対象になるのを避けるために、実際の売上を過少に申告しているのではないかという疑念が生じてしまい、税務調査の対象になってしまうケースも少なくありません。

万が一、意図的に売上を過少申告していることが発覚した場合、重加算税が課される可能性があり、最大で過去7年間の修正申告が求められることがあります。

このように、意図的に売上を改ざんしてしまうと、多額の追徴課税が発生する恐れがあるので、絶対に避けるようにしましょう。

経費が多額に計上されている

事業活動とは無関係に見える経費が多く計上されていたり、逆に事業に必須と思われる経費がまったく見当たらない場合、税務調査に入る可能性が高くなります。

特に事業に関連しないような経費が多額に計上されていると、個人的な支出を経費として処理しているのではないかと疑われ、税務調査が入ることがあります。

個人事業主にとって、プライベートとビジネスの支出を明確に区別することが重要です。

現金商売をおこなっている

現金取引を行っている個人事業主は、税務調査が入ってしまう可能性が高くなります。

実際に、銀行口座を経由しない取引は、記録が残りにくく脱税の疑いを持たれやすくなるのも事実です。

税務調査では「売上が正確に計上されているか」「領収書が正当なものか」など詳細なチェックがおこなわれます。

特に、架空の領収書を用いて経費を偽装していないかが厳しく確認される場合があります。

このように、現金取引をおこなう場合には、必ず領収書を保管し、正確な帳簿管理を徹底することが重要です。

顧問税理士が付いていない

税理士に依頼せずに確定申告を行っている個人事業主は、税務調査の対象になりやすい傾向があります。

税理士が申告書を作成した場合、誤った経費の計上などの基本的なミスは少なく、意図的な脱税のリスクも低くなります。

顧問税理士がついていると、脱税などの不正が疑われにくく、その結果として税務調査の優先度が低くなることが多いです。

税務調査は税理士に相談すべき理由

税務調査は税理士に相談すべき理由については、以下の3つが挙げられます。

  • 税理士のサポートを受けられる
  • 税務調査が入りにくい
  • 税務調査以外にも多くのメリットがある

それぞれの理由について解説していきます。

税理士のサポートを受けられる

税理士を顧問にしておけば、税理士からサポートを受けられるので、税務調査が入った場合でも安心して対応することにつながります。

税務調査が予定される前に、必要な書類の準備をアドバイスしてもらったり、予想される質問に対する答えをシミュレーションしたりと、事前の対策をしっかりと整えることが可能です。

また、税理士によっては、税務調査の当日に立ち会いを依頼できる場合もあります。

実際に、税務調査では、追加の税金を徴収するために、さまざまな質問を投げかけてきますが、焦って不用意なことを回答しまうと、思わぬ追加課税が発生するリスクがあるのも事実です。

経験豊富な税理士であれば、調査官の不当な要求を拒否したり、過去の事例を引き合いに出して反論したりすることで、不要な課税を回避することにつながります。

税務調査が入りにくい

具体的な統計データはありませんが、顧問税理士がついている個人事業主は、自分で確定申告を行っている個人事業主よりも税務調査を受ける可能性が低いと考えられています。

具体的な顧問税理士がいることで、税務調査がおこなわれにくくなる理由については、以下の2つが挙げられます。

  • 脱税の意図がほとんどないと見なされるため
  • 申告内容に誤りや漏れが少ないと判断されるため

このように、税務署から見ても、税理士が関与している場合は、自力で申告をおこなう個人事業主よりも税務調査の必要性が低いと判断されることが多いです。

税務調査以外にも多くのメリットがある

税理士に相談することで、税務調査の対策だけではなく、他にも多くのメリットが挙げられます。

具体的なメリットについては、以下の6つが挙げられます。

  • 経理作業の手間が軽減され、その分本業に専念できる
  • 帳簿作成や確定申告の正確性が向上する
  • 確定申告の時期に忙しさに追われなくなる
  • 業種や状況に合わせた効果的な節税方法を提案してもらえる
  • 資金繰りや経営に関する相談にも対応してもらえる
  • 法人化を考える際のサポートを受けられる

上記のように、税理士は、法律に基づいて税負担を適切に軽減する方法に精通しており、業種や状況に応じた最適な節税策を提案することができます。

また、資金繰りや経営全般に関するアドバイス、法人化を進める際の支援も期待できます。

事業の成長を目指す個人事業主にとって、顧問税理士との契約は非常に有益であるといえます

税務調査対策について税理士に相談しよう!

今回は、税務調査が入らないための対策や税務調査が入りやすい個人事業主の特徴を紹介しました。

税務調査が入らないための対策については、以下の4つが挙げられます。

  • 適切に経費計上をおこなう
  • 申告漏れや申告通知に誤りがないように徹底する
  • 顧問税理士をつける
  • 経理体制を整える

また、税理士を顧問にしておけば、税理士からサポートを受けられるので、税務調査が入った場合でも安心して対応することにもつながります。

今回の記事を参考にして、税務調査対策について税理士に相談してみましょう。


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