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飲食店での売上のごまかし!伝票を捨てるとバレないって本当?
この記事の監修者
税理士法人松本 代表税理士
松本 崇宏(まつもと たかひろ)
お客様からの税務調査相談実績は、累計1,000件以上。
国税局査察部、税務署のOB税理士が所属し、税務署目線から視点も取り入れ税務調査の専門家として活動。多数の追徴課税ゼロ(いわゆる申告是認)の実績も数多く取得。
売上額が多くなればなるほど、納税額は大きくなります。そのため、経営者の中にはできるだけ売上を抑え、納税額を減らしたいと考える人もいます。特に飲食店では、代金を現金で支払うお客が多いため、簡単に売上のごまかしができるのではと思うケースが多いようです。現金払いであれば、伝票を捨てることで証拠も隠滅できると考えるのでしょう。
しかし、伝票を捨てたとしても、税務調査が実施されれば、飲食店の売上のごまかしはバレます。なぜ、飲食店の売上のごまかしはバレてしまうのでしょうか。
今回は、飲食店の売上のごまかしが確実にバレる理由についてご説明します。
目次
飲食店の売上ごまかしのよくある手口
キャッシュレス決済が進む今でも、飲食店ではまだまだ現金で支払うお客が多いという現状があります。クレジットカード決済やコード決済の場合、決済データが残るため、売上のごまかしは難しいでしょう。しかし、現金決済の場合、売上をごまかそうと思えば簡単にごまかすことができてしまいます。
伝票を捨てるは飲食店の売上ごまかしの常套手段
飲食店の中には、手書きの売上伝票を使っている場合があります。実際には、100人の来客があった場合でも、そのうちの1割の伝票を捨て、帳簿には90人分の売上を記載すれば、売上を少なくごまかすことができてしまいます。また、レジを打たずに売上をごまかす方法もあります。紙の伝票を捨てると、証拠が残らないために売上をごまかしてもバレないと思う方が多いのでしょう。
レジを改ざんして売上をごまかす
レジを導入している飲食店の場合には、レジを改ざんし、売上をごまかすケースがあります。レジによっては取引履歴が全て残るものもあるため、改ざんした場合、改ざんしたデータも記録されるケースがあります。しかし、中には、改ざんしたデータは残らないレジもあるのです。そのようなレジを導入している飲食店の中には、お客の前では注文通りにレジを打ち、代金を受け取るものの、営業終了後などにレジの履歴を消去して、売上をごまかすケースがあります。
飲食店の売上のごまかしがバレる理由
飲食店の売上のごまかしは、税務調査によって発覚します。なぜ、飲食店の売上のごまかしはバレてしまうのでしょうか。
仕入と売上のバランスがおかしい
飲食店では、必ず食材やドリンクを仕入れ、おしぼりや割りばしなどの消耗品を購入します。確定申告書の内容を見た時に、仕入れの額や消耗品の購入額が大きいにもかかわらず、それに見合った売上が計上されていない場合、売上をごまかしているのではと疑われます。
原価率は、年によってそれほど大きく変わるわけではありません。したがってこれまでの申告内容と比べ、原価率が大きく高まっているようであれば、不正が疑われることとなるのです。
税務署には銀行口座の調査権限がある
税務調査を進めるうえで必要があれば、税務署では金融機関に対して情報提供を求める権限が認められています。したがって、税務署では、飲食店の事業用の口座のお金の動きを確認することが可能です。また、事業用口座だけでなく、個人名義の口座の調査も実施できるため、売上をごまかしていた場合でも、<不審なお金の動きがあれば細かく調査がなされ、不正が発覚します。
覆面調査で売上の状況をチェックされる
税務調査を実施する際には、税務署は、原則として、事前に事前調査を実施する旨の通知を行わなければなりません。しかし、飲食店のように現金主義の商売の場合は事前の通知なしに、税務調査を実施する権限が認められています。そのため、確定申告の内容に疑義がある場合などは、実際に調査を行う前に、一般客を装って飲食店を訪れる覆面調査を実施するケースがあるのです。覆面調査では、メニューに記載されている金額やお店の広さ、お客さんの来店状況、支払いの様子などをチェックし、飲食店のおおよその売上がどの程度になるかの確認をします。
実地調査を開始する際には、覆面調査の結果と照合し、調査官の飲食代が売上として計上されているか、売上の額が実情と合っているかなどを調べます。覆面調査の結果と帳簿上の数字にずれが認められれば、売上のごまかしが発覚するのです。
税務調査で売上のごまかしを指摘された場合のリスク
税務調査によって売上を正しく計上していないことが発覚すれば、追徴課税がなされます。
追徴課税とは
追徴課税とは、正しく申告を行っていなかった場合に、追加で納付しなければならない税金のことです。追徴課税時には、本来支払うべき税額との差額のほか、正しく申告をしなかったことに対するペナルティや納税が遅れたことに対するペナルティの税金の納付も求められます。
売上をごまかし、所得額を過少に申告していた場合は過少申告加算税の納付が必要です。過少申告加算税の税額は、不足分の税額の10%相当額です。ただし、追加分の税額が当初の納税額と50万円のいずれか多い金額を超えている場合、超えている部分に関しての税率は15%になります。
さらに、仮装隠蔽などが行われ、より悪質な売上のごまかしが行われていると判断された場合は、過少申告加算税よりさらに税率が重い重加算税が課せられます。過少申告加算税に代えて重加算税が加算される場合の税率は35%です。
悪質な売上のごまかしの場合、調査対象は7年分に
一般的に、税務調査は過去3年分にさかのぼって調査が行われます。しかし、重加算税が加算されるような悪質な売上のごまかしが発覚した場合、過去7年分の調査が行われる可能性があります。
長年にわたって売上をごまかしてきた飲食店の場合、7年分の不足税額はかなりの額になるでしょう。さらに、7年分の不足額に加え、35%の重加算税の納税のほか、延滞税の納税も求められます。追徴課税は原則として一括で納付しなければなりません。追徴課税の額が多額となり、納付できない場合には、財産が押さえられる可能性もあります。
売上のごまかしなど、税務調査に不安がある飲食店は早めの対策を
繰り返しになりますが、飲食店の場合、他の業種のように税務調査の事前通知がなく、突然調査官が訪れ、税務調査が開始される場合があります。さらに、覆面調査も実施され、気が付かない間に店の売上の状況を調べられていれば、税務調査で不正を指摘されても反論するは難しくなります。売上をごまかしてきた場合など、税務調査に不安がある場合は早めに税理士に相談しましょう。
税務調査前の修正申告で追徴課税額を軽減できる
税務調査の事前通知を受ける前に自主的に修正申告を行い、不足分の税金を納税した場合、過少申告加算税は課税されません。また、事前通知を受けた場合でも、税務調査の前までに修正申告を行えば、過少申告加算税の税率は軽減されます。
税務調査で売上の不正が指摘され、本来の額よりも多くの納税を求められることになっては意味がありません。無駄な支出を抑えたいのであれば、正しく申告をしましょう。
税理士に相談すれば、ミスなく、正しい修正申告書の作成ができます。税務調査が入る前に早めに税理士に相談することをおすすめします。
節税のアドバイスを受けられる
売上のごまかしは、不正な行為であり、脱税に該当する行為です。しかし、節税とは合法的に納税額を低く抑える方法であり、税理士であれば、節税につながる対策を熟知しています。
税理士のアドバイスのもとに節税対策を実施すれば、何のリスクもなく納税額を軽減できるでしょう。
ただし、税理士によって得意分野は異なるため、税理士に相談する場合は、飲食店の税務調査に強い税理士に相談することが大切です。
まとめ
飲食店の中には、伝票を捨てる、レジを改ざんするといった行為などで売上をごまかすところがあります。しかし、売上をごまかし、所得額を低くみせかけていても、税務調査で売上のごまかしがバレるケースがほとんどです。
税務調査で不正を指摘され、追徴課税がなされれば、本来納めるべき額の税金よりも多くの税金を納めなければならなくなります。売上のごまかしは、絶対に行ってはいけない行為ですが、もし、これまで正しく申告をしてこなかった場合などは早めに飲食業界に強い税理士に相談することをおすすめします。
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