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税務調査の目的は、納税者が提出した申告内容が正確かどうかを確認し、不足があれば是正や追加の課税を行う調査のことです。
実地調査の期間は、法人と個人事業主によって異なる場合がありますが、1~2日程度とされています。ただし、最終的な結果や対応が完了するまではさらに期間が必要です。
本記事では、税務調査の調査期間や税務調査の調査結果が出るまでの期間、税務調査をスムーズに乗り切るポイントなどについて解説します。
ぜひこの記事を参考にして、税務調査の調査期間について理解を深めてみてください。
目次
税務調査の調査期間は、個人事業主と法人で異なる場合が多いですが、一般的には1~2日程度とされています。
個人事業主の場合、1日程度で終わることが多いですが、法人の調査は通常2日ほどかかることが一般的です。
しかし、あくまで一般的な目安に過ぎないので、正確にはケースバイケースになります。
このように、税務調査の調査期間はあくまで参考であり、税務署や国税庁が公式に発表しているものではありません。
税務調査の期間が早く終わるケースについては、以下の2つが挙げられます。
それぞれのケースについて解説していきます。
税務調査の期間が早く終わるケースとして、書類や帳簿などのミスが少なく整理されている場合です。
税務調査の期間を早く終わらせるには、事前に通知を受けた段階から準備を進めることが重要です。
具体的には、調査日までに必要な書類を整え、月別に整理してわかりやすい状態にファイルしておきましょう。
また、過去の申告内容を再確認し、曖昧な点があれば説明できるようにしておくことも重要です。
税務調査に税理士が関与していると、調査がスムーズに進み、早期に終了するケースが多い傾向にあります。
実際に、税理士のサポートを受けて事前に修正申告を済ませている場合、法人に対する税務調査でも、調査が半日で終わるケースも少なくありません。
また、事前の修正申告が必要かどうかは状況によっても異なるので、調査に不安がある場合は、税務調査対応を依頼している税理士に事前に相談するのをおすすめします。
税務調査の期間が長くなるケースについては、以下の3つが挙げられます。
税務調査で帳簿や書類を確認した際に、計算ミスや記帳漏れが多数発見された場合、調査が長引くことがあります。
意図的でなくても、科目の誤りや計算の誤りによって過少申告が発生していると、罰則を免れることはむずかしいでしょう。
特に、ミスがあまりにも多いと、故意に脱税を図っているのではないかと疑われるリスクもあるので、十分な注意が必要です。
無申告資料が多く残っている場合、税務調査官は書類を一つひとつ丁寧に確認する必要があるので、調査の期間はかなり長引く可能性があります。
資料の確認と並行して質問や回答が繰り返され、途中で新たな疑問点が浮上すれば、さらに指摘が追加されることもあります。
指摘される内容やボリュームによっては、個人を対象とした税務調査であっても、1日では完了しないケースも少なくありません。
税務調査で不正が多数疑われる場合、調査する範囲が広がってしまうので、結果として調査にかかる日数が延びてしまうことにつながります。
また、税務調査は事前に通知される任意調査であることが多いですが、すでに不正の兆候がある場合は税務調査が長引いてしまう傾向にあります。
実際に、調査を進めるなかで新たな不正が見つかり、当初の予想よりも調査が長引くこともあるでしょう。
税務調査では、調査の結果を十分な根拠を持ってまとめる必要があり、追加調査や上司に提出するための報告書作成などで時間がかかってしまうため、調査結果が出るまでにある程度の期間が必要です。
具体的な税務調査の調査結果が出るまでの期間については、以下の2つが挙げられます。
それぞれの期間について解説していきます。
法律上、税務調査をいつまでに完了させるという明確な期限は設けられていませんが、内部規定では「3か月ルール」が定められています。
万が一、3か月を超える場合は、調査官の上司である統括官の許可が必要です。
調査が長引く正当な理由を示す必要があり、詳細な書類作成や手続きを経ることが求められます。
このように、税務調査が長期化することは税務署側にとっても負担であるため、3か月を目安に迅速に進められるのが一般的です。
調査官の上司が3か月以上の長期間にわたる調査を許可するケースは、特定の条件が整ったときに限られます。
特定の条件とは、「重要な成果が期待でき、調査の延長が必要であると合理的に判断される案件」に該当すると認められた場合です。
具体的には、以下のような状況が考えられます。
上記のなかで、特に頻繁に見られるのは、重加算税の賦課が見込まれるケースです。
重加算税を課すには納税者が故意に事実を隠ぺいし、脱税を図った証拠を示す必要がありますが、証拠を確実に集めるには相当な時間をかけて調査を行う必要があります。
また、重加算税を課すことができれば、調査官の業績評価も高まるため、上司としても調査の延長を許可しやすくなる傾向にあります。
税務調査の対象期間は原則5年分が対象になりますが、実際の調査で5年間すべてが詳しく調べられるケースは少なく、多くの場合3年間で終了することが一般的です。
しかし、悪質な脱税行為が発見された場合には、調査期間が最大で7年に延長されることがあります。
具体的な税務調査の対象期間については、以下の3つが挙げられます。
それぞれの対象期間について解説していきます。
申告に誤りがない場合や経理処理のミスなどがあっても意図的でない場合、多くのケースでは3年間の調査で終わります。
また、もし脱税行為が見つかったとしても金額が少額であったり、悪質でない場合には、同じく3年以内の調査で完了したりすることが一般的です。
しかし、相続税のように毎年申告する必要がない税金については、5年から10年前までさかのぼって調査される可能性があります。
税務調査において、申告に誤りや修正が見つかった場合は、調査期間が5年間に延長されることが一般的です。
ただし、調査期間延長の判断基準は明確ではなく、担当する税務調査官の裁量による部分が大きい傾向にあります。
例えば、誤りが複数あっても金額が少額であれば3年間のままですが、金額が大きい場合や、悪質なミスが1つでも見つかった場合には5年間調査されるケースも少なくありません。
無申告の場合は必ず5年間にわたる調査が行われますが、場合によっては調査可能期間すべてを調査することもあります。
税務署は無申告者の取締りを重点項目に挙げているため、税務調査官の対応も厳しい傾向にあります。
このように脱税や不正をしていない場合でも、申告にミスがあれば5年間以上の税務調査が実施される可能性があるので注意が必要です。
過去の申告に不正行為があり、税務調査官が「故意かつ悪質な脱税」と判断した場合、調査期間が7年に延長されることがあります。
具体的に以下のような行為が不正行為に該当します。
しかし、上記の行為が発覚したからといって必ずしも7年さかのぼって調査されるわけではなく、場合によっては3年で済むケースもあります。
7年調査の対象となるのは、申告漏れが大規模であったり、故意に税務調査官を欺こうとするなど、行為が極めて悪質であると判断された場合です。
税務調査の対象期間でお伝えしたとおり、申告内容に誤りがない場合は最低3年分の調査で完了します。
しかし、それは申告内容に誤りがない場合で、調査を進める過程で追加の資料を求められた際に、書類を保管していなければ問題になります。
書類の保存期間は、法人と個人で異なり、基本的には5~7年の保管が必要です。それぞれ詳しく解説します。
法人の場合、帳簿や各種書類の保存期間は、その事業年度の確定申告書の提出期限翌日から7年間です。
例
保存期間
帳簿
総勘定元帳、仕訳帳、現金出納帳、売掛金元帳、買掛金元帳、固定資産台帳、売上帳、仕入帳など
7年間
書類
棚卸表、貸借対照表、損益計算書、注文書、契約書、領収書など
参照:国税庁|No.5930 帳簿書類等の保存期間
個人の場合は、青色申告か白色申告かで書類の保存期間が異なります。
青色申告の保存期間は「5~7年」です。
仕訳帳、総勘定元帳、現金出納帳、売掛帳、買掛帳、経費帳、固定資産台帳など
7年
決算関係書類(損益計算書、貸借対照表、棚卸表など)
現金預金取引等関係書類(領収証、小切手控、預金通帳、借用証など)
その他の書類(請求書、見積書、契約書、納品書、送り状など)
5年
現金預金取引等関係書類に関しては、以下の条件に当てはまれば、保存期間は5年に短縮されます。
ただし、消費税の課税事業者が、仕入税額控除を受けるのに必要な請求書等や、インボイス制度に基づいて交付した適格請求書の写し・電磁的記録などは、上記の条件にかかわらず7年間保存する義務があります。
白色申告でも、事業所得や不動産所得、山林所得がある場合は、帳簿や各種書類の保管が必要です。保管期間は青色申告と同様に5~7年ですが、項目が多少異なります。
【法定帳簿】収入金額や必要経費を記載した帳簿
【任意帳簿】業務に関して作成した上記以外の帳簿
決算に関して作成した棚卸表その他の書類
請求書、納品書、送り状、領収書などの書類
青色申告と同様に、雑所得がある方で、前々年の雑所得の収入金額が300万円を超える場合は、現金預金取引等関係書類(領収証、小切手控、預金通帳、借用証など)を5年間保存しなければいけません。
また、消費税の課税事業者が仕入税額控除を受けるのに必要な請求書等や、インボイス制度に基づいて交付した適格請求書の写し・電磁的記録なども、上記の条件にかかわらず7年間保存する義務があります。
参照:国税庁|記帳や帳簿等保存・青色申告
税務調査には決まった時期があるわけではないため、1年を通じていつでも調査の事前通知が届く可能性があります。
ただし、税務調査が特に多くなる「ピーク時期」も存在します。
税務調査のピーク時期は下半期の7~12月です。
上半期(1~6月)は、確定申告や法人税の申告・決算処理のピーク時期になるため、税務職員も税理士も繁忙期になります。
これにより、税務調査までする余裕がなく、申告のピークが落ち着く下半期に税務調査が集中する傾向にあります。
税務調査のピークを迎える下半期でも、個人と法人では税務調査が入る時期が分かれています。
7~8月は上半期のピークが収まり、税務調査の選定や実地調査の下調べをする時期なので、比較的簡単に終わる小規模な企業や個人事業主が調査対象となります。
ただし、この時期はあくまでも一般的な目安で、上半期にも税務調査が行われる可能性は十分にあることを念頭に置いておきましょう。
税務調査の流れは主に6ステップです。
税務調査の対象になった場合、納税者または顧問税理士に事前連絡が入ります。
事前連絡で伝えられる内容は主に以下の7つです。
ただし、事前通知が届くのは任意調査の場合や現金取引をメインとしている事業者以外です。数字の改善や隠ぺいの可能性が高い現金取引が多い事業者や強制調査の場合は、事前通知はありません。
また、調査を進めるなかで、調査官が必要と判断した場合は調査対象期間が5~7年に延長されることもあります。
事前通知で指定される期間や必要書類はあくまでも目安なので、追加資料を求められても良いように念入りに書類を準備し、余裕のあるスケジュールを組んでおきましょう。
税務調査を行う日程は納税者側から指定できます。そのため、仕事や重要な予定がすでにある場合、わざわざ変更する必要はなく、都合の良い日程を提示できます。
また、税務調査には税理士も同席できるため、顧問税理士の日程もあわせて確認しておきましょう。
事前通知の際に必要書類を指示されるので、見やすいように整理して、完璧な状態にしておきましょう。調査の過程で追加資料を求められるケースもあるため、税理士に相談し、念の為用意しておいたほうが良い書類はないか確認しておくと安心です。
また、税務調査日には税務調査官から質問されることがあります。そのため、顧問税理士によくある質問を教えてもらい、的確に答えられるように準備しておきましょう。
実地調査(税務調査)当日は、事前の打ち合わせで決めている場所に税務調査官が訪問します。通常は事業所や自宅に来ますが、場合によっては納税者側が税務署に出向くこともあります。
実地調査自体は、大企業や悪質な脱税の疑いでもない限り、1~2日で完了するケースがほとんどです。
ただし、必要に応じて後日追加の調査や資料提出を求められることもあります。
実地調査終了後も書面や電話でのやりとりが続きます。追加の資料提出や説明を求められることがあるため、その際は迅速に対応しましょう。
税理士が実地調査に立ち会った場合は、連絡が税理士に入るため、交渉や対応は税理士が行います。
税務調査が完了したら、以下のいずれかの結果が通知されます。
申告是認は「申告内容に問題なし」と判断された状態なので、追徴課税はありません。
一方で、税務署から何かしら申告内容に関する指摘があり、修正申告が必要になる場合、不足分の税金や加算税を支払うことになるケースがほとんどです。
税務署からの修正申告を無視する場合は、税務署が強制的に申告内容を訂正し、税額を再計算します。もし、税務調査の結果に納得できない場合は、放置するのではなく税理士に相談しましょう。放置を続けると、最悪の場合、財産差し押さえにまで発展する可能性もあります。
税務調査をスムーズに乗り切るポイントについては、以下の5つが挙げられます。
それぞれのポイントについて解説します。
税務調査をスムーズに乗り切るポイントとして、税務調査官の質問に正確に回答することです。
税務調査が行われる際、調査官は申告内容が正確であるかを確認するために、調査対象者に多くの質問をすることがあります。
これらの質問には、誠実かつ正確に対応することが重要です。
万が一、嘘をついたり、調査に非協力的な態度を示したりすると、調査官の信頼を失う可能性があり、調査がさらに厳しくなるリスクがあります。
このように、調査官からの質問には慎重に対応するように心掛けましょう。
税務調査において書類の提出を求められた際、迅速に対応できるように、書類を事前に整えておきましょう。
通常の税務調査は過去3年から5年分の申告が対象となるので、少なくとも3年分、可能であれば5年分の帳簿や関連書類をすぐに提示できる状態にしておくことが理想的です。
調査当日に帳簿を見つけられないと、税務調査官に対して不信感を抱かせ、調査が長引く要因となる恐れがあります。
税務調査では、税務調査官の指示に対して丁寧・誠実に対応することが重要です。ただし、すべての指示を淡々と受け入れるのではなく、心当たりのない指摘や事実とは異なる内容に関してはしっかりと否定しましょう。
税務調査官のなかには、最初から疑いの目を向けてきたり、意地の悪い質問をしてきたりする人もいます。これは、税務署側にも成果を求められる時期があり、ノルマを意識して強めのアプローチを取るケースがあるためです。
しかし、税務の知識がない場合、その場で自信を持って説明・反論するのはむずかしいでしょう。そのため、税理士に同席してもらうことで、冷静かつ的確な対応ができ、安心して調査に臨むことができます。
税務調査をスムーズに乗り切るポイントとして、税務調査の実施日までに、申告漏れやミスがないかをしっかり確認して、適切な対応を整えておくことが重要です。
具体的に税務調査前に確認すべきポイントについては、以下が挙げられます。
実地調査の前に過少申告や無申告が発覚した場合には、修正申告や期限後申告を行うことで、後に発生するペナルティを軽減することが可能です。
このように、税務調査官からの質問されるであろうポイントを整理し、必要な書類を事前に用意することが大切です。
税務の専門家である税理士が関与することで、税務調査の進行がスムーズになり、調査官の主張に対して専門的な税法の知識を基に対応できます。
万が一、調査官の判断に誤りや曖昧さがあった場合でも、税理士がいることで、適切な法的根拠に基づいた回答が可能です。
また、税法の解釈は異なる見解が生じやすいので、税理士がいれば追徴課税や過大な負担を防ぐための重要な役割も期待できるでしょう。
税理士法人松本は、元国税職員(国税OB)が10名以上在籍しており、元税務署長のサポートもあります。そのため、税務署内部の運用や実務に精通した、他にはない強力なサポート体制が魅力です。
税務調査は知識と交渉力次第で結果が大きく変わり、当法人ではこれまで多くの税務調査で追徴課税ゼロの実績を多数残しています。
安心して調査に臨めるよう、事前準備から調査当日の対応、調査後のフォローまで徹底サポートいたします。
【税理士法人松本の特徴】
まだ税務調査の事前通知が来ていない方でも不安な経理処理をしていたり、過去の申告内容に不安があったりする方は気軽にご相談ください。
お問い合わせはフリーダイヤル・LINE・メールから受け付けており、全国に対応しています。
今回は、税務調査の期間や税務調査をスムーズに乗り切るポイントなどを紹介しました。
税務調査の調査期間は、一般的には1~2日程度とされています。
また、税務調査の結果が出るまでは合計3か月ほどかかり、悪質な隠ぺいや脱税などが疑われる場合はさらに調査期間が延長されるでしょう。
税務調査は税理士なしでも対応可能ですが、税務の専門家である税理士が関与することで、税務調査がスムーズに進んだり、調査官の主張に対して専門的な税法の知識を基に対応したりすることができます。心理的な不安の軽減にもつながるので、おすすめです。
今回の記事を参考にして、税務調査の調査期間について理解を深め、万が一に備えて準備をしておきましょう。税務調査に少しでも不安がある場合は、早めに税理士に相談してください。
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この記事の監修者
税理士法人松本 代表税理士
松本 崇宏(まつもと たかひろ)
お客様からの税務調査相談実績は、累計5,000件以上。国税局査察部、税務署のOB税理士が所属し、税務署目線から視点も取り入れ税務調査の専門家として活動。多数の追徴課税ゼロ(いわゆる申告是認)の実績も数多く取得。
税理士法人松本は国税OB・元税務署長が所属する税理士法人です。
全国からの税務調査相談実績 年間1,000件以上
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