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【なぜ?】新築の家に税務調査が来る | 家屋調査のチェックポイントと対応について徹底解説
この記事の監修者
税理士法人松本 代表税理士
松本 崇宏(まつもと たかひろ)
お客様からの税務調査相談実績は、累計1,000件以上。
国税局査察部、税務署のOB税理士が所属し、税務署目線から視点も取り入れ税務調査の専門家として活動。多数の追徴課税ゼロ(いわゆる申告是認)の実績も数多く取得。
新築を建てた後に税務調査が入る可能性があります。
家を建てるのは人生の一大イベントです。しかし、突然の税務調査の通知に驚き、不安を抱える方も少なくありません。
「何が調査されるのか」「対応を間違えるとどうなるのか」という疑問を抱く方も多いでしょう。
新築の税務調査は、課税標準額や固定資産税額を適切に決めるためのものです。決して何か不備があったから調査されるわけではありません。安心して調査を受け入れましょう。
本記事では「新築に伴う税務調査」について解説しています。その他、「税務調査の流れ」や「チェックされる場所」、「事前準備」も紹介しているので、ぜひ参考にしてください。
目次
新築を建てると税務調査が来ることがる
新築を建てると税務調査が来ることがあります。これは、不動産登記によって税務署へ連絡が行き、その事実を確認するために実施される調査です。
なぜ必要なのか、まず以下にわけて詳しく見ていきましょう。
- 課税標準額のため
- 固定資産税額決定のため
- 再審査の申し出も可能
課税標準額のため
新築家屋の税務調査は、課税標準額を決定するための重要な手続きです。課税標準額とは、固定資産税を計算する際の基礎となる金額となります。
税務調査や自治体による評価に基づき、以下の計算式で算出されます。
- 課税標準額:建築学 × 0.7 × 0.5~0.7
- 工事額:建築学 × 0.7
これらの評価が適切に行われていないと、納税額に不備が生じる可能性があります。そのため税務署の職員が実際に家屋を調査し、詳細な情報を収集して正確な課税標準額を算出するのです。適正な課税を実現するために不可欠なものと認識しておきましょう。
なお、天井埋没エアコンや暖炉などの高価な備品を設置している場合、課税率が高くなる傾向にあります。
固定資産税額決定のため
新築家屋に対する税務調査の目的は、固定資産税額を決定することにあります。新築・増築した住居に入居後、約1ヶ月~3ヶ月以内に自治体から固定資産税の評価額を調べるための税務調査が実施されます。
評価額は固定資産税の基準となるため、納税者として立ち会わなければいけません。その際、約30分かけて建物の構造や使用材料、設備などが調査されます。事前に平面図を準備しておくとスムーズに進められるでしょう。
再審査の申し出も可能
税務調査によってわかった結果を基に、固定資産税が計算されて納税通知書が送られてきます。この際、決定された固定資産税額に納得がいかない場合は、再審査の申し出が可能です。
ただ再調査には具体的な根拠を示す資料が必要になります。同じ地域の固定資産税の課税相場を、課税台帳で調べておくと良いでしょう。
新築の税務調査は地域によって条件が異なる
新築の税務調査は、全ての地域で実施されるわけではありません。地域によって条件が異なるため、来ない場合もあります。各自治体の条例や、家屋の評価方法の違いなどが影響するためです。
そのため、建売住宅は税務調査がないが注文住宅ならある、といったようなケースも起こり得ます。
ただし、税務調査に入る条件は不明なので、基本的に税務調査の連絡が入ったら受けるようにしましょう。
新築の税務調査の流れ
新築に税務調査が来る場合、以下の流れで進みます。家を建てる際は、事前に心構えだけはしておきましょう。
- 事前に訪問日の連絡が入る
- 間取り図と立面図を準備しておく
- 税務調査が実施される
1.事前に訪問日の連絡が入る
新築の税務調査を行う場合、自治体から事前に訪問日の連絡が入ります。入居後1ヶ月~3ヶ月頃に連絡があるので、そのつもりをしておきましょう。不動産会社によっては、入居前に税務調査が入る旨を教えてくれるところもあります。
連絡方法は、書面が一般的です。税務調査の日程が記載されているので、スケジュールを確保しておきましょう。都合が悪い場合は、自治体に連絡をすれば日程変更も可能です。
2.間取り図と立面図を準備しておく
税務調査に備えて、間取り図と立面図を準備しておきましょう。自治体によって準備する書類は異なりますが、以下を準備しておけばまず間違いありません。
- 間取り図
- 立体図
- 工事見積書
- 契約書
どれも家屋の構造や配置、不動産との契約を示す重要な資料です。必要なものは日程の書類に記載されているので、確認しておくと良いでしょう。
3.税務調査が実施される
約束の日時になると、自治体や税務署の職員が自宅を訪れ、家屋調査が始まります。調査では建物の外観や内装、設備などが確認されます。
この際、調査員からの質問には、正直に答えましょう。固定資産税額を算出するために必要な手続きなので、協力的な態度で対応すれば30分~1時間程度で終わります。
新築の税務調査でチェックされる8つのポイント
新築の税務調査では家の中の様々な場所をチェックされます。代表的なものは以下の8つの場所です。
- 玄関
- トイレ
- 風呂
- 脱衣所
- 床材と建材
- キッチン
- 換気システム
- 外壁と屋根
玄関
税務調査で真っ先にチェックされる場所が、玄関です。家の顔とも言える場所であり、最初に目にする場所なので、すぐに調査されます。
広さや使用されている素材、収納スペースなどが確認の対象です。特にタイルは大きさによって固定資産税が異なるため、細かく質問を受けることがあるでしょう。
なお、一般的にモルタル玄関床よりもタイル張りの方が固定資産税が高くなります。
トイレ
税務調査ではトイレも重要なチェック項目です。新築を建てる際、トイレの固定資産税で悩んだ経験がある方も多いのではないでしょうか。
一般的に、トイレは便器と手洗いがわかれているタイプだと固定資産税が加算されます。一体型の場合、加算されません。
また、男性用の小便器もトイレの1つなので注意しましょう。
風呂
風呂も税務調査の対象です。主に以下の項目がチェックされます。
- 換気扇の種類
- 風呂の広さ
換気扇の場合、乾燥機付きであると評価額が高くなります。また、風呂の広さは160cm × 160cmが標準なので、それより広いお風呂だと加算対象です。
脱衣所
脱衣所も税務調査の対象です。特に確認するポイントは、以下の2つです。
- 給水口の数
- 脱衣所を洗面台が一緒かどうか
- 洗面台の大きさ
原則として、給水口の数が増えるほど固定資産税の評価額が高くなります。また、脱衣所と洗面台が一緒になっている場合は、洗面台の大きさも重要です。
洗面台の標準幅は75cmなので、大きければ大きいほど評価額が加算されていきます。
床材と建材
床材や壁材といった建材も税務調査の対象です。使用されている素材の種類やグレードによって、評価額が異なります。
例えば床材は、フローリングよりも無垢材の方が評価額が高くなります。水廻りに関しては、クッションフロアを使っているとタイルよりも安くすることが可能です。ただ、床暖房を採用していると、面積によって評価額に加算されていきます。
床材や建材は、高級な素材が使用されているほど評価額が高くなる傾向にあります。どのような素材を使っているかを事前に確認しておくと良いでしょう。
キッチン
キッチンでは、幅が計測されます。標準が255cmなので、それ以上の幅があると加算対象になります。
かつてはキッチン素材まで確認されていましたが、職員によって判断が異なるため、現在は幅だけが対象です。
なお、コンロがガスかIHかについては確認されません。
換気システム
換気システムは種類や性能によって評価がわかれます。以下を見てみましょう。
- 第一種換気:吸気と排気と機械で行うため評価額が高め
- 第三種換気:吸気を自然に任せるため評価額が低め
第一種換気は機械で換気を強制的に行っており、安定して空気を循環させられます。そのため複雑な設備が必要になり、加算対象となります。
一方の第三種換気は吸気を自然に任せる仕組みなため、複雑な設備が必要ありません。結果、評価額を安く抑えられます。
24時間換気システムを導入している際は、どちらのシステムなのかを事前に確認しておくと良いでしょう。
外壁と屋根
税務調査では外壁と屋根も確認されます。以下の項目に当てはまっていると加算対象です。
- 屋根の勾配が急
- 天窓などがある
- 屋根が瓦
- 外壁がタイル
見た目が良く耐久性の高い素材だと、評価額が高くなる傾向にあります。外壁はサイディングが最も評価額が高く、最も安いガルバリウム鋼板と2倍近い差が開いています。
どのような素材を使われているかは必ず確認しておきましょう。
新築に税務調査が来るケース
新築に入居した際、税務署が来ないケースがある一方で、必ず来るケースがあります。それが、以下の2つに当てはまった場合です。
- 住宅ローンを組むときだけ所得が大きい
- 所得と住宅ローンの金額がつり合っていない
住宅ローンを組むときだけ所得が大きい
新築を購入する際、多くの方が住宅ローンを組みます。この際、希望金額が大きいほど所得が審査に影響します。申請する際に1度は考えた経験がある方もいるでしょう。
この際、住宅ローンの審査を受けるときだけ所得を大きく申請してしまうと、以降の所得と差が生じてしまいます。すると、初年度の住宅ローン控除を確定申告で申請する際に数字がおかしくなります。税務署にとってみれば、調査してくださいと言っているようなものです。
そのため、税務署の調査対象となる可能性があります。注意しましょう。
所得と住宅ローンの金額がつり合っていない
所得と住宅ローンの金額がつり合っていない場合も、税務調査の対象となる可能性があります。
例えば、住宅ローンを1億円で借りた人がいたとして、その人の所得が300万円だと明らかにつり合っていません。厳密にはまず借りられない金額ではありますが、もし借りられたとしても返済原資を確保できないと判断されるでしょう。
結果、おかしいと判断されて税務調査が入るのです。
新築の税務調査をスムーズに進める方法
新築で税務調査を受ける場合、なるべくスムーズに進めたいものです。連絡が来たら、以下を意識してスムーズに進められるようにしましょう。
- 事前に書類を準備しておく
- 調査員には積極的に協力する
- 不明点があれば質問する
事前に書類を準備しておく
まず、税務調査の通知書に書かれている調査に必要な書類を、事前に準備しておきましょう。調査をスムーズに進められるようになります。
自宅にない場合は家を建てたハウスメーカーや建築事務所に問い合わせて、書類を取りそろえておいてください。
調査員には積極的に協力する
税務調査に来た調査員には、積極的に協力しましょう。協力を拒むと、実際の評価とは関係なく、高い評価がされてしまう可能性が高くなります。
調査の立ち会いは1人いれば良いので、時間を作って快く出迎えましょう。
不明点があれば質問する
税務調査を受ける中で、わからない部分があれば積極的に質問してみましょう。丁寧に説明してくれるはずです。
質問によって評価額が下がることはありませんが、「後で聞いておけば良かった!」と後悔せずに済みます。
不安があれば解消のため質問するようにしましょう。
新築に税務調査が来ても慌てず普段通りに対応しよう
新築に税務調査が来ても、慌てる必要はありません。適切な対応をすれば、問題なく調査は終わります。
ただし調査には間取り図や立面図が必要なるので、事前に準備しておきスムーズに進められるようにしておきましょう。
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