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税務調査の対象になりやすい企業の特徴とは?税務調査でチェックされやすい項目も解説
この記事の監修者
税理士法人松本 代表税理士
松本 崇宏(まつもと たかひろ)
お客様からの税務調査相談実績は、累計1,000件以上。
国税局査察部、税務署のOB税理士が所属し、税務署目線から視点も取り入れ税務調査の専門家として活動。多数の追徴課税ゼロ(いわゆる申告是認)の実績も数多く取得。
税務調査とは、税務署が所得税や法人税の申告内容が正確であるかどうかを確認するために実施するものです。
調査の対象になりやすい企業の特徴として、事業の内容や売上規模などの要因によっては、通常よりも税務調査の対象となる可能性が高くなる場合があります。
本記事では、税務調査の対象になりやすい企業の特徴について紹介します。
他にも「税務調査でチェックされやすい項目」や「税務調査の対象にならないための対策」についても解説していきます。
ぜひこの記事を参考にして、税務調査の対象になりやすい企業の特徴について理解を深めてみてください。
目次
税務調査の対象になりやすい企業の特徴
税務調査の対象になりやすい企業の特徴については、以下の7つが挙げられます。
- 売上や利益に大きな変動がある
- 事業規模が大きい
- 過去に税務調査で指摘されたことがある
- 税務調査が入りやすい業種
- 申告内容に不審な点がある
- 業績が好調なのに赤字
- 昨年と比較して経費が大幅に増えた
それぞれの特徴について解説していきます。
売上や利益に大きな変動がある
業績や売上に大きな変動がある企業は、税務署の調査対象となりやすいとされています。
特に売上が急激に増加した場合、通常は納税額もそれに伴って増えるため、税務署は売上の急増と納税額の整合性を確認し、不自然な点がないか精査します。
さらに、納税額は売上高そのものではなく、利益を基準に算出されるため、売上が急増しても利益の伸びが比較的小さい場合には納税額も少なくなることがあります。
このような状況が不自然とみなされ、疑いを持たれる可能性があります。
実際には、利益を減らす要因となる経費や損金が正当に発生していても、場合によっては所得隠しを疑われ、税務調査の対象となることがあるため注意が必要です。
事業規模が大きい
大規模な事業を展開する法人は、税務調査の対象になることが比較的多いとされています。
一般的に、事業規模が大きい法人ほど納税額も増加する傾向があるので、申告内容に誤りがあった際、納税額に与える影響が大きくなるため、税務署の注目を集めやすく、調査の対象に選ばれる確率が高まると考えられます。
しかし、あくまでも「規模が大きい法人が対象になりやすい」という傾向を示しているだけであり、規模の小さい法人が税務調査を免れるわけではありません。
規模が小さい法人であっても、特定の要因が目立つ場合には調査の対象となる可能性が十分にあるので注意が必要です。
過去に税務調査で指摘されたことがある
税務調査の対象に選ばれるかどうかは、過去の税務調査での対応が大きな影響を与えることがあります。
特に、以前の調査で申告漏れなどの問題を指摘された経験がある場合、その法人は税務署に「再び問題が発生する可能性がある」と判断される可能性が高まります。
一方で、毎年適切に納税を行い、特に問題が指摘されていない法人は、調査対象に選ばれるリスクが低くなりやすいと言えます。
このように、税務署は過去の指摘事項が適切に是正されているかを確認する必要があるため、以前の問題が解消されていない法人は調査対象に含まれやすい傾向があります。
税務調査が入りやすい業種
企業の業種によっては、税務調査を受けやすい傾向が見られます。
具体的には、以下の業種が税務調査の対象になりやすいとされています。
- 医療機関や病院
- 不動産取引関連
- 建設関連業
- パチンコなどの娯楽産業
- 宗教法人
- 法律事務所(弁護士法人)
- 風俗関連事業
- 飲食店
- IT関連企業
これらの業種に該当する法人は、日頃から帳簿や取引記録の整備を徹底し、いつでも税務調査に対応できる状態を保つことが重要です。
申告内容に不審な点がある
税務署は申告内容に不自然な点が見受けられる場合、その原因を明らかにするために税務調査を行う可能性が高くなります。
特に以下のようなケースでは、疑念を抱かれるリスクが高まるため、注意が必要です。
- 売上に対する経費の割合が過剰に高い場合
- 大幅な損金を計上している場合
- 同業他社と比較して利益率が著しく低い場合
- 貸借対照表で異常な値動きが見られる場合
たとえ正当な計算であっても、申告が税務署の目に不自然に映ることがあります。
そのため、税務調査に備え、計上した数値の根拠や損金の発生理由などについて、適切に説明できる準備をしておくことが大切です。
業績が好調なのに赤字
長期間にわたって赤字が続いている企業や、業績が好調にもかかわらず赤字決算を計上している企業は、税務調査の対象となる可能性が高いと考えられます。
そもそも赤字とは、企業が提出する財務書類上の数字にすぎず、実態として赤字かどうかは明確ではありません。
特に、業績が好調であるにもかかわらず赤字を装い、税負担を回避しようとする意図が見受けられる場合は、税務署の注目度も高くなります。
このような理由から、毎年赤字決算を申告している企業に対しては、税務当局が慎重に状況を確認する必要性が高まると言えます。
昨年と比較して経費が大幅に増えた
法人の経費が前年度に比べて著しく増加している場合、税務署がその要因や状況を詳細に調査する可能性が高くなります。
特に外注費や交際費、広告宣伝費といった特定の費目に多額の支出が集中している場合、税務署がその内容や正当性を精査することがあります。
不自然な経費の計上や過剰な支出が疑われるリスクが高まるため、慎重な対応が求められます。
法人としては、経費の大幅な増加があった際、その理由や背景を正確に整理し、適切に説明できるよう備えることが重要です。
税務調査でチェックされやすい項目
税務調査でチェックされやすい項目については、以下の6つが挙げられます。
- 売上・経費
- 人件費
- 修繕費
- 交通費
- 印紙税
- 寄付金
それぞれの項目について解説していきます。
売上・経費
税務調査では、決算期末の売上や仕入れの計上タイミングに問題がある「期ずれ」を確認されることがよくあります。
期ずれとは、本来その年度に記録するべき売上や経費などを、意図せずに前年度や次年度に計上してしまうことを指します。
もし、本来当年度に含めるべき売上や仕入れが他の年度に記載されている場合、税務署から修正申告を求められることがあります。
特に注意が必要なのは、期末に近い時期の売上や仕入れの記録、または商品購入に関連する前払い費用などは期ずれが発生しやすいポイントと言えます。
人件費
会社に実際に在籍していない人物を人件費として計上する行為は、税務調査において特に注目されやすい点の一つです。
従業員を雇用した際には、氏名や住所といった情報を市町村へ届け出る義務があるため、虚偽の人件費が記載されている場合、それが判明するのは時間の問題となります。
よく見られる例として、社会保険加入義務のないアルバイトなどが架空の人件費として計上されるケースがあります。
このような不正が発覚し、架空人件費で得た資金が会社代表者に流れている場合、それは役員賞与として認定され、結果的に源泉所得税の対象となる可能性が高いです。
修繕費
修繕費については、計上するタイミングが適切かどうか、また架空の修繕費が含まれていないかといった点が確認されやすいです。
特に、期末直前に計上された修繕費については、翌期に費用として認識すべきものが混在していないかを確認されるので、適切な証拠資料の提示が求められます。
また、修繕費として計上されている内容であっても、資産の使用可能期間を延長したり、その機能や効用を向上させるような支出については、「資本的支出」として取り扱われるべき場合があるので注意が必要です。
交通費
交際費に関しては、適切に処理されているかどうかを確認するために、該当する書類が偽造されていないか、あるいは交際費として不適切に計上されていないかがチェックされます。
元帳などの帳簿から交際費に関連する費用を洗い出し、その内容の精査を行います。
この過程では、経理担当者や経営者に細かく質問を行いながら、詳細な調査が進められます。
印紙税
税務調査でチェックされやすい項目として、印紙税も挙げられます。
印紙を貼っただけでは税金を納めたことにはならず、適切に消印を施して初めて納税したと見なされます。
しかし、消印がないままの書類が意外と多いため、再確認することをおすすめします。
さらに、印紙税は税務調査で重点的に確認される事項であり、違反した場合には本来の税額の3倍もの重い罰金が科されることがあるので、日常的に注意深く確認するようにしましょう。
寄付金
寄附金は税務調査において特に注目されやすい項目の一つです。
寄附金とは、法人や個人が特定の団体や組織、あるいは公共の利益を目的として無償で提供する金銭や物品を指します。
税法上、寄附金には特別な扱いが適用されるため、これを正しく計上し、適用条件を満たしているかどうかが詳しく確認されることがあります。
また、寄附金は交際費や拠出金、見舞金などと混同されやすい点にも注意が必要です。
税務調査の対象にならないための対策
税務調査の対象にならないための対策については、以下の3つが挙げられます。
- 記帳をしっかりと行う
- 経費を正しく申請する
- 税理士に相談する
それぞれの対策について解説していきます。
記帳をしっかりと行う
帳簿を正確に作成しておくことで、税務署から申告内容に関して疑念を抱かれるリスクを減らすことができます。
帳簿作成時には、「現金主義」と「発生主義」という記帳方法の違いに注意する必要があります。
現金主義は、現金や預金の入出金が実際に行われたタイミングで取引を記録する方法です。
一方、発生主義は、収入や支出が確定した時点で取引を記録する方法を指します。
確定申告の帳簿においては、法人・個人事業主のいずれであっても、基本的には発生主義を採用することが求められているので、帳簿を付ける際には、収入や支出が発生した日を基準に記録を行うよう心がけましょう。
経費を正しく申請する
企業にとって経費は節税対策の要となる要素ですが、税務署が特に注目するポイントでもあるので、経費の申告は慎重に、正確に行うことが重要です。
不適切な経費の計上は税務調査のリスクが高くなるので、注意が必要になります。
具体的に、税法上経費として認められる代表的な支出と認められない支出については、以下のとおりです。
項目 | 内容 |
経費として認められる支出の例 | 人件費
通信費 水道光熱費 福利厚生費 接待交際費 旅費交通費 広告宣伝費 研究開発費 外注費 租税公課 |
経費として認められない支出の例 | 個人的な支出
所得税 住民税 相続税 贈与税 |
上記のように、事業関連の支出と私的な支出を区別することが重要です。
税理士に相談する
税理士に依頼すると、確定申告の際に必要となる税務書類の作成や提出を専門家に任せることができます。
税理士は税務に関する高度な知識を持っているため、書類の不備を防ぎ、税務調査のリスクを軽減するサポートを受けることができます。
また、顧問税理士を雇うことで、税務調査が行われた場合でも心強い支援を受けられます。
調査の事前相談や立ち会いを頼むことができ、税務署職員からの質問や指摘にも適切なアドバイスをもらいながら調査が終了するまでサポートを受けられます。
また、修正申告が必要になった場合には、修正申告書の作成を税理士に依頼することも可能です。
確定申告を自身で行っている方や、税務調査の通知を受けた方は、税理士に相談してみることをおすすめします。
日々の記帳をきちんと行おう!
今回は、税務調査の対象になりやすい企業の特徴を紹介しました。
税務調査は、税務署や国税局が税務申告の内容を精査し、正確性を確認するために実施されます。
特に、事業規模が大きな企業や売上や利益に大きな変動があった法人、過去に税務上の問題を指摘されたことがある法人は、調査を受けやすい傾向があります。
税務調査を回避するためには、日々の帳簿管理を徹底し、経費や収入の記録を正確に行うことが重要です。
また、税務の専門知識を持つ顧問税理士を雇うことで、申告時に必要な書類の作成を依頼できるだけでなく、万が一調査の対象になった場合でも適切なアドバイスや対応を受けることが可能になります。
今回の記事を参考にして、税務調査の対象にならないように日々の記帳をきちんと行うようにしましょう。
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