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税務調査の件数や確率は?調査が入るリスクを減らす方法も紹介

読了目安時間:約 6分
事業を営む法人や個人事業主、また個人に対しては、税務署から税務調査を行う旨の連絡がくる場合がありますが、そもそも税務調査は毎年どのくらいの件数が行われ、対象となる確率はどのくらいなのでしょうか。
本記事では、税務調査が行われる件数や確率、調査の対象となりやすい会社とそうでない会社の違いについて解説します。
また、税務調査が入るリスクを減らす方法についてもご紹介しますので、ぜひこの記事を参考に、税務調査対策に役立てていただけたら幸いです。
目次
税務調査の件数や確率はどのくらい?
税務調査は年にどのくらいの件数を行っており、法人や個人に対し税務調査がどのくらいの確率で入るのか気になる方は多いのではないでしょうか。
実は、国税庁においては、毎年税務調査の確率や頻度に関する情報として、税務調査の件数や誤り・不正があった件数について記者発表するとともに、国税庁ホームページに公開しています。
ここでは、税務調査が行われる件数や確率について、そしてコロナ前後でどのように変わったのかを説明していきます。
税務調査の件数
令和5年に発表された令和4事務年度 法人税等の調査事績の概要と令和4事務年度 所得税及び消費税調査等の状況によると、法人に対する実地での税務調査件数が約6.2万件、個人に対する実地での税務調査件数が約3.1万件です。
また、税務調査を受けた法人や個人事業主のうち、申告漏れにより修正申告書の提出が必要となったケースは約8割と、税務調査が入るとかなりの確率で何らかの誤りが指摘されています。
さらに、そのうち重加算税対象と認定されるのは約2割と、仮装隠ぺいの事実に基づく不正計算有りと認定されるケースも多いことが分かります。
税務調査が入る確率
税務調査は全ての納税者が対象になり得ますが、実際に全ての納税者が調査を受けるわけではありません。
税務調査の対象となる確率は、法人が約1.5~3.0%、個人事業主では約0.5〜1.5%と言われており、一般的には個人事業主よりも法人の方が税務調査が入る確率が高い傾向にあります。
実際、令和5年に発表された情報によると、法人の税務調査の確率は概ね2.0%、個人の税務調査の確率は概ね0.7%でした。
コロナ前後の税務調査について
新型コロナウイルス禍では、国税調査官が調査対象を直接訪問する実地調査が事実上ストップし、税務調査の件数が激減しました。
ですが、約3年に及んだコロナ禍が落ち着いたことで、調査件数が戻りつつあります。
それだけではなく、税務調査の精度や能力の向上により、実地調査件数がコロナ禍前に届かないにも関わらず追徴税額が高水準を記録しており、税務調査1件当たりで指摘される申告漏れが、コロナ前に比べて増えているのです。
AIの導入で効率的な税務調査が行われている
コロナにより実地調査が長らく制限されていたため、コロナが落ち着いて以降の調査の動向として、調査対象や調査する項目については、以前に比べてかなり念入りな下調べをして絞り込んでいる傾向にあります。
昨今の税務調査では 人工知能(AI)を搭載した所得税調査選定システムの導入により、かなり効率化しているのです。
膨大な情報リソースから調査対象を絞り込む過程でAIが活用されることで、多くの追徴税額が見込めそうな案件を抽出し、優先的に調査を行えるようになり、調査件数が減っても追徴税額が増えるという結果に至っています。
税務署はどのように情報収集しているのか
税務署は主に申告内容の不備や不正が疑われる法人や個人に対して税務調査を行いますが、税務署は、どのようにして法人税・所得税をはじめとする各種税金が正しく申告されているかをチェックしているのでしょうか?
ここでは、税務署が納税者の情報を得る手段についてご紹介します。
一般取引資料せん
税務署から「売上、仕入、費用及びリベート等に関する資料の提出方の依頼について」という文書が届くことがあります。
これを「一般取引資料せん」と言い、売上や仕入などの一定の金額以上の取引があった場合に、その取引先について住所や振込口座・取引金額等を所定の用紙に記載して提出するものです。
この資料せんは、任意の提出のため、未提出や記入漏れがあったかといって罰則はありませんが、国税局や税務署が集めた情報を分析し、税務調査に繋げているとされています。
インターネット上の情報
税務署は、メディアやインターネット上の情報もくまなくチェックしています。
特に、Facebook、Instagram、Twitter、YouTube、LINEなどのインターネットを使って交流ができるSNSは、自分の生活にまつわるさまざまな情報を気軽に発信でき、SNSを通じて簡単に納税者の生活ぶりが分かるため、税務署の情報収集手段の一つとなっているのです。
たとえば、納税額が少ないにも関わらず贅沢な生活を送っているのがSNSから分かると、税逃れをしているのではないかと疑われます。
また、事業者の中には会社の売上や報酬額をSNSにアップする人も多く、そこから税務調査の対象となり、アップした写真が動画が証拠になるケースもあります。
内部告発や退職者からの通報
第三者からの密告があると、その情報をもとに税務調査が行われる場合があります。
会社に不満を持つ従業員や退職をした人は、会社で不正な会計処理を行なっていると気づいていれば、税務署に通報する可能性があるでしょう。
また、相続税の場合も同様に、遺産分割などについて不満を持つ相続人が税務署に通報するケースがあります。
いずれにせよ、適切な税務処理や申告・納税を行っていれば問題はありませんが、円満な人間関係を構築することも税務調査の確率を減らす方法の一つと言えるでしょう。
税務調査が10年以上来ない会社と来る会社の違い
税務調査においては、定期的に調査を受ける法人や個人事業主もいれば、中には10年以上も調査が行われていないというケースもあります。
では、税務調査が10年以上来ない会社と来る会社ではどのような違いがあるのでしょうか。
詳しく説明していきますので、税務調査が行われない会社になるためにも、ぜひご確認ください。
脱税を疑われやすい業種であるかどうか
税務調査は時間や労力がかかるうえに、年に行える件数には限りがあるため、怪しいと思われる企業や個人事業主に絞って税務調査を行っています。
そのため、税務調査を受けやすい業種や事業主が存在するのは事実です。
国税庁が公表している近年の「実地調査の状況」によると、税務調査が入りやすい業種として具体的には以下が挙げられます。
- バー・クラブ
- 風俗業
- 外国料理店
- 廃棄物処理業
- 大衆酒場、小料理店
- 自動車修理工場
- 土木建築業者
- パチンコ
- 運送業 など
これらは実際の売上額を申告しないなどの所得隠しが発生しやすい業種であり、このような不正が多い業種を重点的に調査の対象とする傾向にあるので、該当する場合は特に注意した方が良いでしょう。
売上高の大きさ
売上高が大きいと修正申告となった場合の金額も大きくなるため、売上高が大きい会社に対して税務調査を積極的に行う傾向にあります。
納税額は売上から経費などを差し引いた利益から算出するため、売上に対して利益が伴わなければ、納税額は増えません。
そのため、同業種で比較して売上に対して極端に利益率が低い会社や事業主は経費の水増しなどを疑われ、税務調査の対象となりやすいです。
また、急激に売上が増減した場合にも税務署から疑われやすくなるので、注意しましょう。
現金商売であるかどうか
現金商売を中心に事業を営んでいる事業者の場合、銀行口座間でのやり取りが少ないためにお金の流れが把握しづらく、不正を疑われやすい傾向にあります。
たとえば、多額の売上を現金で受け取っていたり、給与の支払いを振込ではなく手渡しでおこなっていたり、顧客に対してレシートや領収書の発行をあまり行っていなかったりする事業者へは、積極的に税務調査を行っています。
業種で言うと、風俗業、キャバレー、バー・クラブなどは現金商売となりやすく、税務調査の対象となりやすいです。
税務申告の有無
事業を行っている場合、たとえ個人事業主であっても税務申告が必要です。
しかし、税務申告をする必要があるにも関わらず無申告となっている個人事業主は意外と多く、近年では無申告に対する取り締まりを強化しています。
「確定申告をしていなくても誰にも言わなければバレないだろう」と考える方もいるでしょうが、税務署ではあらゆる手を尽くしてさまざまな情報を収集しているため、不正は見逃しません。
事業者の取引先に対して行った税務などから事業が支払った、または受け取った金額を把握しており、それらの情報から税務申告の必要の有無を判断されることがあるのです。
売上が1,000万円を超えているかどうか
事業者へ消費税を課税するかどうかは、2年前の売上が1,000万円を超えているかどうかで判断されます。
売上が1,000万円を超えていなければ、消費税の納付義務はないことから、この消費税分を逃れるために売上の一部を故意に隠し、1,000万円を超えないように不正を行う事業者がいるのです。
そのため、不自然に売上がギリギリ1,000万円を超えない状態が続く事業者に対して、税務調査が入りやすくなっています。
前回の税務調査で全く問題がなかった
前回の税務調査で全く指摘を受けず、正確な申告や納税を行っていたと判断された場合には、次の税務調査までの期間が長くなる傾向にあります。
もちろん、前回問題がなかったからといって税務調査が行われなくなるわけではなく、急激に売上が伸びたり利益率が大幅に増減したりするような場合には税務調査が行われることもあるので注意が必要です。
とはいえ、前回の調査で問題がなければすぐに税務調査が入る可能性は低いでしょう。
税務調査が入る確率を下げる方法
税務調査が入ることになり、ミスを指摘されると、たとえ意図的な不正を行っていなかったとしても、追徴課税による負担が増えたり、会社の信頼を失ったりする恐れがあります。
このようなリスクを避けるためにも、税務調査が入らないように対策をとっておきましょう。
ここでは、税務調査が入る確率を下げる方法について、具体的に説明していきます。
正しく確定申告を行う
正しい確定申告書の作成は、税務調査のリスクを減らすために重要なポイントです。
確定申告をミスなく行うためには、申告書に記載する情報の記載漏れや計算ミスがないかどうか、書類がすべて揃っているかを入念にチェックすることが大切です。
そのほか、売上高や利益率が大きく変動している場合にはその理由を申告書に明確に記載し、証拠となる領収書や請求書などは全て保管するほか、必要に応じてすぐに提出できるようにしておきましょう。
意図的な不正を行わない
経費を水増ししたり、売上を意図的に調整したりするなどの不正行為はすぐに税務署にバレてしまいますし、税務調査の対象となる確率が大幅に高まります。
また、税務調査で悪質なものだと判断された場合には重加算税や延滞税などの課税や刑事罰などの重い罰則が課される可能性があるので要注意です。
日頃から正確な会計処理を行い、適切に確定申告を行えるよう心掛けることで、税務調査が入るリスクを軽減できます。
信頼できる税理士に相談する
税務調査は法人、個人事業主、個人を対象に行われますが、いずれの場合でも税務調査対策を税理士に相談することが調査の対象となるリスクを減らすのに有効になる場合があります。
書類の改ざんをするのはもちろんしてはいけませんが、税務調査に強みのある税理士に依頼すれば、帳簿や確定申告書の作成時に間違えやすい箇所や税務署にチェックされやすいポイントを事前に押さえておくことが可能です。
また、万が一税務調査の対象となった場合にも、調査官への対応を税理士に任せられるので心強い味方になるでしょう。
税務調査の動向を知って対策を取ろう
税務調査が入る確率は決して高くありませんが、申告内容に不審な点がある場合や、売上高や利益率が大幅に増減した場合、過去に不正を指摘されたことがある場合などは、疑われやすくなるので注意が必要です。
不要な税務調査を回避するためにも、日頃から適切な会計処理を心掛け、正確に申告しましょう。
また、申告について不安がある場合は税の専門家である税理士に相談するのがおすすめです。
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この記事の監修者

税理士法人松本 代表税理士
松本 崇宏(まつもと たかひろ)
お客様からの税務調査相談実績は、累計1,000件以上。
国税局査察部、税務署のOB税理士が所属し、税務署目線から視点も取り入れ税務調査の専門家として活動。多数の追徴課税ゼロ(いわゆる申告是認)の実績も数多く取得。
税理士法人松本は国税OB・元税務署長が所属する税理士法人です。
全国からの税務調査相談実績 年間1,000件以上
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