2025.02.7
  • 税務調査

税務調査が入る確率は?対象になりやすいケースや注意点を解説!

読了目安時間:約 7分

確定申告している法人や個人事業主に税務調査が入る確率はどのくらいなのか、気になる方も多いのではないでしょうか。「真面目に納税しているのに税務調査の対象になった」「知り合いのところには全く税務調査が来ていない」など、ケースによって税務調査が入るタイミングが異なることも珍しくありません。

ここでは、税務調査が入るタイミングや対象になりやすいケース、税務調査を怖がらないためのポイントや注意点などについてわかりやすく解説していきます。

 

税務調査が入る確率はどのくらい?

まずは、税務調査が入る確率や頻度について見ていきましょう。

 

2022年の法人税・消費税の調査率は3.9%

国税庁が2023年に発表した統計によると、2022年の接触率は法人税・消費税が3.9%、源泉所得税が5.7%となっていました。

接触率とは、調査が必要であると判断された納税者に対して税務署などが訪問調査を行う「実地調査」と書面や電話連絡、税務署への来署依頼などで調査を行う「簡易接触」の合計から計算されたものです。

なお、2021年の接触率は法人税・消費税が3.3%、源泉所得税が5%となっており、年度によって調査が行われる確率は微妙に異なります。

 

参照:国税庁「令和4事務年度法人税等の調査事績の概要」

https://www.nta.go.jp/information/release/kokuzeicho/2023/hojin_chosa/pdf/01.pdf

 

税務調査が入る頻度はどのくらい?

上記の数値から単純計算すると、法人税・消費税の実地調査または簡易接触が行われる頻度は約30年に1度、源泉所得税の場合は約20年に1度となります。

一般的には、法人企業では3~10年に1度、個人事業主では5~10年に1度の頻度で税務調査が入ることが多いといわれています。

企業や個人事業主によっては「20年以上1度も調査を受けたことがない」というケースもあれば「起業して数年で税務調査が入った」というケースもあるでしょう。

税務調査が実施される確率や頻度は一定の目安にはなりますが、税務調査は毎年必ず一定件数が実施されています。そのため、納税者であれば税務調査が入る可能性は毎年ある、といえるかもしれません。

 

税務調査の確率や一般的な頻度の目安を超えて、税務調査が入りやすい条件などはあるのでしょうか。

 

税務調査が入りやすいケースはある?

業種や事業の状況などによって、他の法人や個人事業主よりも税務調査が入りやすいケースにはどのようなものがあるのでしょうか。

 

税務調査が入りやすい業種

国税庁では、税務調査で不正が発見される割合の高い業種を毎年発表しています。2022年度の不正発見割合の高い業種は以下の通りです。

 

1位:その他の飲食 36.2%

2位:廃棄物処理 29.4%

3位:中古品小売 28.7%

4位:土木工事 28.1%

5位:職別土木建築工事 27.7%

6位:医療保健 27.6%

7位:一般土木建築工事 26.8%

8位:管工事 26.4%

9位:自動車、自転車小売 25.1%

10位:美容 25.0%

 

参照:国税庁「令和4事務年度法人税等の調査事績の概要」

https://www.nta.go.jp/information/release/kokuzeicho/2023/hojin_chosa/pdf/01.pdf

 

上記の順位や業種は、その年の情勢や動向などによって変わることもありますが、不正が発覚する割合が高い業種に従事している場合、他の業種に比べて税務調査が入りやすい可能性が高いでしょう。

 

税務調査が入りやすい事業の状況

次に挙げるような事業状況にある場合も、税務調査が入りやすい可能性があります。

 

・売上や利益が大きく変動している

過去と比較して売上や利益が大きく変動していると、税務署では「何が原因で変動しているのか」について注目します。売上や利益が大きく伸びた場合はもちろん、大きく減少した場合も同様です。

売上や利益が変動した際に税務調査の対象となりやすい理由としては、記帳や計上など経理上のミスがある可能性や、脱税行為などがないかの確認のためなどが挙げられるでしょう。

税務調査の目的は不正の摘発だけでなく、納税者を適正な税務申告へと導く目的もあります。

毎年ぎりぎりで非課税になるよう調整しているように見えるケースや、急に高額の経費が発生しているケースなども注意が必要です。

 

・事業の規模が大きい

従業員数の多い企業や多数の支店を持つ企業、取引規模の大きい企業なども、中小規模の企業に比べると税務調査が入りやすくなります。

取引量や経理、経費精算など、お金に関する業務に関わる従業員や取引先が多ければ、それだけミスや不正が発生するリスクも高まるからです。

また、事業規模の大きな企業の特徴として、税務調査に頻繁に入られやすい点も挙げられます。

事業規模が大きければ、税務調査で確認するべき取引や科目なども多岐にわたることが多いのも特徴の1つです。

「今年税務調査が入ったからしばらくは来ないだろう」と思っていたら、間髪を入れずに再び調査が入った、というケースも少なくありません。

 

・過去の税務調査で指摘されたことがある

過去に税務調査を受けたことがある企業や事業主のうち、何らかの不正や計算ミス、申告漏れなどが発覚して指摘された経験がある場合も、税務調査の対象とされやすくなります。

税務調査には適正な税務申告ができるように納税を導く目的もあるため、指摘後に適正な申告が行われているか、同じ間違いが起きていないかを税務署も注目し、必要に応じて調査を行うためです。

 

・税務調査が入りやすい業種に従事している

上記で挙げた税務調査で不正発見の割合が高い業種に従事している場合も、税務調査の対象となりやすいでしょう。

また、税務調査で1件あたりの不正額が多い業種も税務調査が入りやすくなります。国税庁が発表している2022年の1件あたりの不正金額が大きかった業種は以下の通りです。

 

1位:計量器、医療機械、理化学機械等製造(1件あたり85,482千円)

2位:運輸附帯サービス(1件あたり63,695千円)

3位:鉄鋼卸売(1件あたり58,822千円)

4位:その他の対事業所サービス(1件あたり43,325千円)

5位:自動車、同付属品製造(1件あたり41,292千円)

6位:その他の不動産(1件あたり39,819千円)

7位:その他の製造(1件あたり37,365千円)

8位:野菜、果物卸売(1件あたり36,687千円)

9位:電気、通信機械器具卸売(1件あたり34,170千円)

10位:その他の金属製品製造(1件あたり34,098千円)

 

1件あたりの不正額が大きい業種には、不動産や鉄鋼関連、自動車製造など事業規模の大きな企業が多く含まれています。

「うちはそんなに儲かってないから大丈夫」「正しく申告できている」と思っていても、計上する月を間違えていたり、ちょっとした思い込みや計算ミスが大きな不正と疑われたりする可能性もあるため注意が必要です。

 

・申告内容に不審点が多い

上記のケースにあてはまらない場合でも、申告内容に不審点が多いと判断される場合には、税務調査の確率が高まることがあります。

例えば、同業他社と比べて売上や経費のバランスがおかしい場合や、平均的な金額と大きく離れているような場合には、税務署では何か間違いや不正が起きていないかを注目することとなるからです。

 

・そもそも申告をしていない

申告するべき所得や売上、利益があるにもかかわらず申告をしていない場合も、税務調査が入る確率は高まります。

売上や利益を隠して少なく申告する過少申告はもちろん、全く申告をしていない無申告についても、税務署は独自の調査で実態を掴んでいるケースは少なくありません。

税務調査で長年の無申告が発覚した場合、何年も遡って重いペナルティの対象となるため注意が必要です。

 

税務調査が入る確率が高いかも?どんなことに気をつければいい?

「税務調査が入る確率が高い気がする」「いつ税務調査が来てもおかしくないのかも」と不安になった場合に気をつけたい点や、押さえておきたいポイントなどについて解説します。

 

事業状況や申告した内容について説明できるようにしておく

例年よりも売上や利益が大きく変動した年は、なぜ変動したかの理由を自身でも明確に説明できるようにしておくことが大切です。不正や間違いではなく、ちゃんとした理由があって変動しているのであれば、税務調査の際もしっかりと主張するようにしましょう。

領収書や請求書なども月別、科目ごとにファイリングして、いつでも取り出せるようにしておきます。足りない資料があれば取り寄せたり、再発行を依頼したりして抜けがないようにしましょう。領収書の出ない支出があれば出金伝票を書き、月ごとにリストアップして管理します。

「これは何に使った費用ですか」「なぜこの月だけこのような支出があるのですか」と言われた時にスムーズに説明できること、「この取引の領収書(請求書)を見せてください」と言われた時に迅速に書類を提出できることが大切です。

 

計上漏れ、計算間違いがないかチェックする

確定申告前に計上ミスや記帳漏れなどがないかを確認するのはもちろんですが、既に申告が完了している年度についても、定期的にチェックすることをおすすめします。

・プライベートの支出を経費にしていないか

・記帳漏れ、勘定科目の間違い、計算や入力ミスがないか

・その年度に計上するべき売上や経費について、翌年や前年度分として計上していないか

 

これらは、日頃から確認するようにしておきましょう。後で間違いが判明しても、修正申告をすることが可能です。修正しないまま税務調査で指摘を受けた場合、重いペナルティの対象となる可能性があるため注意しましょう。

 

無申告状態は解消する

毎年の申告・納税ができていない年がある場合、かなりの確率で税務署に把握されていると考えた方が良いでしょう。

税務調査で無申告を指摘されれば、重加算税など重いペナルティがつき、本来の納税額を何倍も上回る追徴課税を受けることとなってしまいます。

国民の納税義務は大変重く、支払いから逃れることはできないため、無申告状態の年度がある場合は早めに解消する必要があります。

「1人ではできない」「やり方がわからない」という場合は、<span style=”background: yellow;”>税理士などの専門家へ相談することをおすすめ</span>します。

 

申告書類は期限を守り、詳細まで記入する

確定申告は期限を守り、申告書類は正しく作成することに加え、例年と比べて売上や経費に大きな変動があった場合は、備考欄などに経緯を詳しく記入しておくと良いでしょう。

申告時に提出する書類だけでなく、日々の記帳や書類などにも通常と異なる取引があった場合はメモ書きとして残しておくことをおすすめします。その時は覚えていても、何年か経って改めて質問されると忘れてしまい、答えられなくなることも多いものです。

とはいえ、過去に税務調査の経験がなく、何をどのように書き残しておくべきなのかよくわからない、というケースもあるでしょう。既に申告・納税が完了している年度でも「あの仕訳は間違っていたのではないか」「記入漏れしている気がする」と気になる場合があるかもしれません。

過去の申告や現在の記帳、会計処理について自信がない場合や、税務調査が入った時に対応できるか不安な場合は、税理士へ相談するなどしていつ税務調査がやって来ても良いように準備を整えておくことが大切です。

 

税務調査の対応について不安な場合は専門家へ相談しよう

税務調査が不安な場合に相談する税理士を探す際は、税務調査への対応実績が豊富な税理士事務所へ依頼することをおすすめします。

税理士法人松本では、国税OB・元税務署長の税理士が10名以上在籍しており、年間1,000件を超える税務調査の相談実績がある税務調査専門税理士法人です。

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まとめ

税務調査が入る確率はそれほど高くはなく、法人で3~10年、個人事業主で5~10年に1度程度の頻度であるのが一般的です。ただし、税務調査が入りやすい業種や事業の状況、過去の申告状況などによっては、こうした目安よりも税務調査が入る確率が高くなるケースがあります。

税務調査でミスや不正の疑いを持たれないよう、期限を守って適正な申告・納税を行うことが大切ですが、思わぬ計上漏れや思い違いが後で発覚する場合もあるでしょう。

税務調査への対応について不安な場合は、実績豊富な専門家へ相談するなどして、いつ税務調査が来ても毅然と対応できるように準備しておくようにしましょう。

 

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この記事の監修者

松本 崇宏

税理士法人松本 代表税理士

松本 崇宏(まつもと たかひろ)

お客様からの税務調査相談実績は、累計1,000件以上。
国税局査察部、税務署のOB税理士が所属し、税務署目線から視点も取り入れ税務調査の専門家として活動。多数の追徴課税ゼロ(いわゆる申告是認)の実績も数多く取得。

税理士法人松本は国税OB・元税務署長が所属する税理士法人です。

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