2025.02.11
  • 税務調査

税務調査の対象期間はどのくらい?3年や5年、7年の違いも解説!

読了目安時間:約 6分

税務調査を受けることになった場合、調査される対象となる期間はどのくらいなのか気になる方も多いのではないでしょうか。「3年」や「5年」「7年」など、異なる対象期間があるのはなぜなのか、自身にはどれがあてはまるのかなども知っておきたいところです。

この記事では、税務調査の対象期間や加算される税金の種類、追徴課税を受けないための対処法などについて解説しています。

 

税務調査の対象期間について

まずは、税務調査で調査対象となる期間について見ていきましょう。

 

税務調査の対象期間は原則として3年

税務調査で調査対象となる期間は、原則3年といわれています。法人の場合も個人事業主の場合も、一般的な任意調査と呼ばれる税務調査では、遡って調査を受けるのは過去3年程度であることがほとんどのようです。

 

法律上は5年まで遡って調査対象となる

税務調査の対象期間は3年であるケースが多いものの、実際には5年まで遡って調査対象とできる旨が法律で定められています(国税通則法第70条1項)。

実際の調査では、まず直近から3年までを確認して、同様の間違いが重複している可能性が疑われる場合には5年前まで遡って調査を受けるケースが多いようです。

対象期間についても「3年」か「5年」の2択という訳ではなく、2年や4年の調査となる可能性もゼロではありません。

 

悪質と判断された場合には7年分が調査対象となることも

税務調査は5年前まで遡って調査対象となることが法律で定められていますが、脱税や犯罪など、悪質性があると判断された場合には、最長7年まで遡って調査対象となる旨も法律で定められています(国税通則法第70条5)。

法人においては、帳簿類などの税法上の書類保管期限も7年となっています。毎年適正な申告や納税を行っていれば、税務調査で7年分も遡って調査対象にされる可能性はかなり低いといえますが、念のため最低7年分の書類は保管しておくようにしましょう。

税務調査で課される税金の種類

税務調査によって課せられる可能性のある税金の種類について解説します。税務調査で指摘を受けて追徴される税金の種類には「過少申告加算税」「無申告加算税」「不納付加算税」

「重加算税」「延滞税」などが挙げられます。以下でそれぞれ詳しく見ていきましょう。

 

過少申告加算税

過少申告加算税とは、期限内に申告、納税した税額が調査の結果適正な額よりも少なかった際に加算される税金です。

過少申告加算税の税率は、原則として新たな納税額の10%となります。

ただし、新たに納める税額が当初の税額または50万円のいずれか大きい方を超える場合には、新たな納税額の15%が課されることとなります。

例外として、税務調査が入る前に自主的に修正申告した場合には、過少申告税が加算されることはありません。

また、税務調査の事前通知(税務調査を実施する前に税務署から受ける事前連絡のこと)の後に修正申告した場合には次のように減額されることとなります。

50万円まで:税額の5%

50万円を超えた額:超えた税額の10%

 

無申告加算税

無申告加算税は、期限内に税金が申告、納税されなかった場合に加算される税金です。

無申告加算税の税率は原則として次のようになります。

50万円まで:税額の15%

50万円を超えた額:超えた税額の20%

ただし、税務調査が入る前に自主的に修正申告した場合は、上記の税率から5%減額されます。

また、期限を過ぎて1か月以内や、一定の条件にあてはまる場合には、無申告加算税が課されない場合もあります。

 

不納付加算税

給与などの源泉徴収額を期限内に納税しなかった場合に加算される税金です。

不納付加算税の税率は、原則として新たな納税額の10%となります。ただし、税務調査が入る前に自主的に修正申告した場合には5%となります。

また、無申告加算税と同様に期限後1か月以内や、一定の条件にあてはまる場合には課されない場合もあります。

 

重加算税

重加算税は、脱税行為や所得隠しなどが疑われる悪質な場合に加算される税金です。

重加算税の税率は次のようになります。

不納付加算税、過少申告加算税に代わって納付する場合:税額の35%

無申告加算税に代わって納付する場合:税額の40%

 

延滞税

上記の加算税に加えて、納付期限の翌日から起算して実際に税金を納付する日までの期間に応じて延滞税が加算されます。

延滞税の税率は次の通りです。

2021年:納付期限の翌日から2か月を経過する日までは2.5%、それ以降は8.8%

2022~2025年:納付期限の翌日から2か月を経過する日までは2.4%、それ以降は8.7%

 

税務調査で多額の税金を払うリスクを回避する方法は?

税務調査による追徴課税のリスクを回避するために押さえておきたいポイントについて解説していきます。

 

期限を守って適正な申告、納税を行う

毎年期限を守って適正な申告を行い、納税も納付期限までに済ませることが重要なポイントとなります。

とはいえ「忙しくてうっかり忘れてしまった」というケースもあれば「正しいと思っていたのに間違っていた」と期限を過ぎてから気づくケースもあるでしょう。そうした際には、できる限り早急に修正申告を行うことが大切です。

 

税務調査を受ける前に自主的に修正申告をする

期限を過ぎてから申告漏れや納税漏れに気づいた場合、税務調査を受ける前に自主的に修正申告を行うようにしましょう。

多くの加算税は、税務調査を受ける前に自主的に修正申告をすることで減額されます。また、延滞税についても期限の翌日から起算するため、期間が長くなるほど税額が増えてしまいます。

 

事前通知後の修正申告には注意が必要

税務調査が入る前の修正申告で注意したいのが、事前通知を受けた後の修正申告についてです。

税務調査の事前通知後、税務調査の実施までには数週間の猶予があるのが一般的です。この間に申告漏れや計算間違いなどが見つかった場合、調査前に修正申告すれば過少申告加算税を減額することが可能ですが、ほかに間違いや不正がないかなど、その後の税務調査が厳しくなることがあるため注意が必要です。

 

対象期間の書類や帳簿は整理して揃えておく

税務調査が入ることになった場合、対象期間の書類や帳簿などは年度別、月別、科目別などに見やすく整理して、提出を求められたらすぐに出せるよう準備しておきましょう。

また、税務調査が入るかどうかにかかわらず、法人や個人事業主には帳簿や書類を一定期間適切に保管する義務があります。

法人および個人事業主の書類保管期間はそれぞれ以下の通りです。

 

・法人の場合

保管が必要な帳簿(書類保管期間7年):総勘定元帳、仕訳帳、売上帳、仕入帳、固定資産台帳、売掛金および買掛金元帳、現金出納帳など

保管が必要な書類(書類保管期間7年):貸借対照表、損益計算書、領収書、注文書、契約書、棚卸表など

 

・個人事業主(白色申告)の場合

保管が必要な帳簿:法定帳簿(経費や収入に関する帳簿)は7年、任意帳簿(業務上必要な帳簿)は5年

保管が必要な書類:決算書類、請求書、領収書、納品書などは5年

 

・個人事業主(青色申告)の場合

保管が必要な帳簿(書類保管期間7年):総勘定元帳、仕訳帳、固定資産台帳、売掛帳、買掛帳、現金出納帳、経費帳など

保管が必要な書類:決算書類(貸借対照表、損益計算書など)は7年、現金預金取引等関係書類(通帳、領収証、借用証など)は前々年度所得が300万円以下の場合は5年(それ以外は7年)、その他書類(請求書、見積書、送り状、契約書、納品書など)は5年

 

これらの書類は申告が終わっても破棄せず、適切に保管しておくようにしましょう。

 

税務調査で調査されそうな箇所への対策を取っておく

書類や帳簿の保管、整理が完了したら、税務調査で指摘されそうな内容について、事前にリストアップして、スムーズに説明できるようシミュレーションをしておくとよいでしょう。

税務調査では、ほとんどの場合次の点を調査されます。

 

・経費におけるプライベートな支出計上の有無

・売上や売掛金の計上時期や計上方法

・架空取引や水増し請求の有無

・3万円以上の領収書への支払先、名目などの記載

・領収書、契約書等への収入印紙の貼付

 

このほかにも、外注費としての計上が給与にあたらないか、消費税の計上間違いがないかなどのほか、業種ごとに厳しく調査されやすいポイントが異なる場合もあります。

不安な場合は事前に税理士へ相談するなどして、しっかりと対策を練っておくことが大切です。

 

税務調査で受けた質問には丁寧に対応する

税務調査で訪問を受けた場合、調査官には納税者の申告や記帳内容、計算方法等に関する質問や書類の確認などができる「質問検査権」があります。

申告漏れや経費の水増しなどが疑われる場合、調査官から質問や資料の提出などを求められます。

疑惑を解消して適正な取引であることの理解を得るためにも、必要な資料や書類は提出し、聞かれた内容には誠実に答えることが大切です。

調査官が訪れて過去の帳簿などを調べられる状況下の中では、悪いことをしていなくても緊張したり、焦りからうまく説明できなかったりするケースもあるでしょう。

税務調査当日に困ることのないように、あらかじめ聞かれそうなことはシミュレーションしておくなど、事前に準備をしておくようにしましょう。

 

調査官の言いなりにならない

税務調査の際、調査対象となった納税者には受忍義務があります。受忍義務とは、質問検査権を持つ調査官に対して必ず対応する義務のことで、正当な理由がない限り質問や要請に対して拒絶や拒否、妨害などをしてはならないことが法律で定められています。

拒否せず調査に協力したり、資料提出等に対応したりすることは大切ですが、だからといって調査官の言いなりにならなければならない訳ではありません。

税務署としては、現場へ調査官を派遣して訪問しているため、立場上少しでも追徴課税の取り残しがないように調査をしようとします。中には、悪質な納税者を数多く指摘してきた調査官もいるでしょう。

時には強い勢いで質問される、意地悪な聞き方をされるといったケースがあるかもしれません。

「これは経費をわざと水増ししていますね」「前年度に計上するべき売上を故意に繰り越しているんじゃないですか」などの質問を向けられても、事実と異なるのであれば毅然とした態度で否定をすることが大切です。

緊張感から説明が矛盾してしまったり、昨日まで覚えていたことが追及されてしどろもどろになったりする可能性もあるでしょう。そうした些細な点から、調査官の言い分が通ってしまうことのないように、対応に不安がある場合は事前に対処法を考える必要があるでしょう。

 

税理士へ同席を依頼する

税務調査でうまく対応できる自信がない場合は、事前に税務調査対応に強い税理士の同席を依頼するようにしましょう。

顧問の税理士に同席してもらう方法と、税務調査対応に特化した税理士事務所へ相談して同席してもらう方法があります。

すべての税理士が税務調査への対応に慣れている訳ではないため、少しでも追徴課税を減らしてスムーズに対象期間の税務調査を終わらせるためには、税務調査対応の実績が豊富な税理士へ一度相談してみることをおすすめします。

 

税務調査の対応が不安な場合は税理士へ相談しよう

税務調査への対応に不安がある場合は、税務調査対応の実績が豊富な税理士へ相談してみましょう。

税理士法人松本は、国税OBや元税務署長の税理士が在籍している税務調査対応を専門に扱う税理士法人です。

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まとめ

税務調査の対象期間は、法律では5年、悪質な場合は7年まで遡って調査できることが定められていますが、多くの場合で3年が対象期間とされているようです。

税務調査で申告漏れや無申告などの指摘を受けた場合、過少申告加算税や無申告加算税、不納付加算税などの追徴税が課せられ、税金の納付期限の翌日から納付日までの期間は延滞税も加算されることとなります。

脱税や所得隠しとみなされた場合、税率の高い重加算税の課税対象となる場合もあるため、税務調査が入る前に入念なチェックや対策を講じることが大切です。毎年の期限を守ることはもちろん、専門家のアドバイスも参考にするなどして、適正な申告、納税を目指しましょう。

 

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この記事の監修者

松本 崇宏

税理士法人松本 代表税理士

松本 崇宏(まつもと たかひろ)

お客様からの税務調査相談実績は、累計1,000件以上。
国税局査察部、税務署のOB税理士が所属し、税務署目線から視点も取り入れ税務調査の専門家として活動。多数の追徴課税ゼロ(いわゆる申告是認)の実績も数多く取得。

税理士法人松本は国税OB・元税務署長が所属する税理士法人です。

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