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税務調査における反面調査とはどんな内容なのか?
この記事の監修者
税理士法人松本 代表税理士
松本 崇宏(まつもと たかひろ)
お客様からの税務調査相談実績は、累計1,000件以上。
国税局査察部、税務署のOB税理士が所属し、税務署目線から視点も取り入れ税務調査の専門家として活動。多数の追徴課税ゼロ(いわゆる申告是認)の実績も数多く取得。
税務調査では、「反面調査」と呼ばれる調査が行われることがあります。反面調査はどのような理由で行われ、また実施された場合にどのようなリスクがあるのでしょうか。
ここでは、税務調査の反面調査の内容やリスク、注意点などについて解説しています。 取引先に税務調査が入り、自分のところにも税務調査がくることになりお困りの方は税理士法人松本までお気軽にご相談ください。
そもそも反面調査とは?
反面調査とは、税務調査の際に実施される調査の一つで、調査対象となった事業者の取引先に対して行われるものです。反面調査では調査対象者ではなく、調査対象者と関係のある取引先などに対して調査が行われます。もちろん、反面調査が行われるときには、調査対象となる納税者に対しても調査は実施されていますが、それだけでは十分な情報を得られない場合に反面調査が行われるのです。
通常の税務調査は自社が対象
通常の税務調査では、調査の対象となるのは自身の会社や事務所です。パソコンや各種書類、帳簿や通帳などから、過去の取引について申告内容と合致しているかを確認されることとなります。
調査対象となっている事業者や会社に残っているデータだけを調べても実態解明が難しい場合や、疑わしい点についてさらに情報が必要と判断された場合に、反面調査が実施されるのです。
反面調査では、得意先や銀行などへ問い合わせが行われる
反面調査では、得意先や金融機関など、調査対象と取引のある企業などに対して行われます。文書や電話で問い合わせをすることもあれば、相手先まで訪問して調査を実施することもあるのです。また、場合によっては自社の従業員や退職した従業員、その家族にまで聞き取りが行われるケースもあります。
反面調査では、得意先や銀行に対して、主に調査対象者との取引について確認や質問が行われます。
反面調査の方法
反面調査の方法は、通常の税務調査と同様です。
口頭で取引についての質問がなされ、帳簿や請求書など、調査対象者との関係性を示す書類の提示が求められます。
すべての税務調査で反面調査が実施されるわけではない
税務調査では、通常反面調査まで行われることはなく、対象となる事業者が保有している書類やデータのみの確認となるのが一般的です。
では、反面調査はどのような場面で実施されるのでしょうか。反面調査が実施されやすいケースについて、次章でさらに詳しく解説していきましょう。
反面調査が行われやすいケースとは?
反面調査が行われるケースとは、調査対象者の事務所や店舗などを対象に行った調査だけでは事業実態の把握が難しいと判断されたケースです。具体的には、税務調査において、以下のような状況となった場合は、関係先に対して反面調査が行われる可能性が高いでしょう。
過去の書類やデータが残っていない
税務調査では、過去3~5期分まで遡って調査や確認が行われます。この期間に起きた取引に関する情報や書類について、紛失や破棄といった理由で確認が困難となった場合、反面調査を実施する可能性が高まるでしょう。
また、過去の書類やデータを保管しているつもりでも、一部紛失していたり、データの削除や記入ミス、計上漏れなどによって事実関係が把握できなかったりする際にも、反面調査の対象となりやすいものです。
税務調査に対して協力的な態度でない
税務調査で求められた書類を提出しない、質問に答えない、威嚇や恫喝など穏やかなやり取りができないなど、調査に対して非協力的な態度を取っている場合も、対象者からは必要な情報が得られないと判断され、反面調査の対象となることがあります。
悪質な所得隠しなどが疑われる場合
提示する書類やデータが揃っており、税務調査で穏やかに対応していたとしても、反面調査の対象となるケースがあります。税務署の方で事前に多額の脱税や所得隠しといった情報を掴んでおり、税務調査でその事実確認ができない場合、取引先に対して反面調査が実施されやすいでしょう。
調査対象となる期間中に無申告期間が含まれる、過去に意図せず脱税が認められる行為が発覚したというケースでも、反面調査の可能性が高まります。
このように、反面調査が行われるケースは限定的であり、通常であれば取引先にまで連絡がいくことはありません。
ただし、税務署の方で反面調査が必要と判断された場合には、たとえ取引先と関係が悪くなる可能性があったとしても連絡されてしまうため注意が必要です。 取引先の税務調査で自分にも税務調査の連絡がきた方は税理士法人松本までいますぐお電話ください。
反面調査を回避するための対処法は?
反面調査が行われると、取引先から虚偽の申告をしているのではと思われ、信用を失ってしまうケースがあります。信用低下により、取引が停止してしまう可能性もあるでしょう。
また、銀行に反面調査が入ったことによって、融資がストップしてしまう恐れもあります。取引や融資に影響が生じれば、事業運営にも大きな影響が生じるでしょう。反面調査が行われると、さまざまなリスクが生じることを忘れてはいけません。
そのため、税務調査の対象となった場合には、反面調査が行われないように誠意をもって対応する必要があるのです。
反面調査のリスクを回避するためには、以下のようなポイントを押さえておくとよいでしょう。
書類やデータはすべて保管しておく
過去の請求書、領収書といった書類や帳簿データは、申告が終わった後も必ず保管しておくようにしましょう。
月別や項目ごとにわかりやすくファイリングし、確認を求められたらすぐに提示できるような状態にしておくことも大切です。
通常の税務調査では、調査担当者が訪問する前に事前連絡があります。数日~1週間程度なら訪問日の調整にも対応してくれるため、税務調査が決まったら、3~5年分の書類はいつでも提出できるようにチェックしておきましょう。
調査時には協力的な態度で臨む
税務調査は、指定された日時に税務署の担当者が事務所を訪れ、1日~数日程度かけて実施されます。
調査中に受ける質問や確認事項については可能な限り協力し、曖昧な返事や感情的な態度を取らないようにしましょう。
とはいえ、担当者の中には威圧的な態度で調査を進めたり、はじめから疑ってかかるような質問をされたりするケースもあります。
調査に対して協力的な態度で臨むことは、税務署の言いなりになってすべて認めることではありません。
受けた質問が事実とことなる場合はしっかりと否定し、税務調査に必要ないと感じる要求には、毅然とした態度で応じましょう。
顧問税理士に同席を依頼する
顧問契約を結んでいる税理士がいる場合、税務調査の際に同席を依頼しましょう。税務調査の対応実績がある税理士なら、税務署からの質問や要求に対して、どのように対応すればよいかを熟知しています。税務のプロのサポートがあれば、反面調査を避けられる可能性も高まるでしょう。
現在顧問契約している税理士がいない場合や、契約していても同席に対応してくれない税理士の場合は、税務調査のサポート実績がある税理士事務所へ相談することをおすすめします。
反面調査を受ける場合の注意点と対処法
税務調査の際、調査に協力的でなかったり、申告内容を審査するための十分な資料がなかったりした場合は、取引先などに対して反面調査が行わる可能性があります。
反対に、取引先に税務調査が入った場合は、関係先の一つとして税務調査から反面調査を受ける可能性もあるでしょう。反面調査を受ける場合は、どのように対応すればよいのでしょうか。
反面調査を受ける際の注意点と対処法についてご説明します。
反面調査は突然行われる
税務調査は、一般的に税務署から事前の連絡があり、実地調査を行う日時が伝えられます。そのため、納税者は必要な帳簿や書類などの準備を行うことができるとともに、税理士に連絡を取って対応法を協議するといった準備もできます。
しかし、反面調査では予告は行われることはありません。もし、反面調査に入る旨の通知をすれば、取引先と事前に口裏合わせをしたり、調査官の目に触れてほしくない書類を隠蔽したりといった行為を招く恐れがあるからです。反面調査の目的は、調査対象者の事業の状況や資金の流れを正確に把握することであり、事前の通知によって不正が行われれば反面調査を行う意味がなくなってしまいます。
そのため、反面調査は突然行われることがほとんどであるということを覚えておきましょう。
反面調査は拒否できない
税務調査官による突然の訪問があり、反面調査が行われる場合、原則として反面調査を拒否することはできません。税務調査も任意調査ではありますが、税務調査を簡単に拒否できないことと同じように、反面調査も正当な理由なく拒否することはできないのです。もし、反面調査を拒否した場合には、1年以下の懲役または50万円以下の罰金が科せられる可能性があります。
ただし、突然の対応となるため、業務が忙しくて対応できない場合や担当者が不在のために対応できないケースもあるでしょう。そのような場合は、税務調査官にその旨を伝え、調査官が正当な理由であると判断すれば、日時を変更できる可能性があります。
反面調査では調査目的を確認し、必要な内容にのみ対応する
反面調査では、調査目的以上のことをしてはいけません。そのため、調査官の説明をしっかりと理解したうえで、反面調査に必要とされる帳簿や資料のみ提示するようにしましょう。反面調査に関係のない書類を提出すると、自社の情報や取引先の情報が漏洩する可能性があります。後々のトラブルを防ぐためにも、反面調査の際には調査に必要であると納得できた場合のみ、関係する帳簿や書類だけを提出することが大切です。
また、帳簿や書類を渡す際にもコピーを取って、調査官とのやり取りの証拠を残すことも忘れないようにしましょう。
質問には誠実に対応する
反面調査では、帳簿や書類の提示だけでなく、調査官から取引内容などについての質問がなされます。質問内容に対しては、虚偽の回答をすることなく、事実をそのまま伝えるようにしましょう。取引先とよい関係性を築いている場合などは、取引先を擁護したい気持ちから、調査官に対して不誠実は対応を取ってしまうこともあるかもしれません。
しかし、真摯な態度で反面調査に臨まない場合、隠していることがあるのではないかと疑いを強めてしまうこともあるでしょう。
また、質問への回答を拒否したり、虚偽の情報を提供したりすると、罰則が科せられる可能性もあります。質問に対しては、必要なことを事実に基づき、正しく説明するようにしましょう。
まとめ
反面調査とは、税務調査で自社だけでなく、取引先や銀行などにも問い合わせされる調査のことです。通常の税務調査だけでは実態の把握が難しいと税務署が判断した場合に、反面調査が実施されます。納税者は税務調査に協力する義務があるため、反面調査を拒否することは難しいものですが、税務調査への対応を熟知している税理士であれば、反面調査のリスクを回避するためのアドバイスを受けることも可能です。
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