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住民税無申告で課せられるペナルティとは?申告方法や注意点も徹底解説
この記事の監修者
税理士法人松本 代表税理士
松本 崇宏(まつもと たかひろ)
お客様からの税務調査相談実績は、累計1,000件以上。
国税局査察部、税務署のOB税理士が所属し、税務署目線から視点も取り入れ税務調査の専門家として活動。多数の追徴課税ゼロ(いわゆる申告是認)の実績も数多く取得。
住民税申告とは、地方税である住民税に関する納税額を、市区町村の自治体に報告する手続きのことです。
住民税が無申告だと、さまざまなペナルティが課されてしまうリスクがあるので注意が必要です。
本記事では、住民税無申告で課せられるペナルティについて紹介します。
他にも「住民税申告の方法」や「住民税申告をする際の注意点」についても解説していきます。
ぜひこの記事を参考にして、住民税無申告で課せられるペナルティについて理解を深めてみてください。
目次
住民税申告とは?
住民税申告とは、住んでいる地域で課される地方税である住民税について、納税額を報告する手続きのことを指します。
住民税は都道府県や市区町村に納める税金であり、申告の窓口は市役所や区役所などの地方自治体です。
その年の1月1日から12月31日までの所得に基づいて課税され、翌年の3月15日までに申告を行う必要があります。
また、住民税の支払いは、各自治体が指定するスケジュールに従い、1年間で4回に分けて納付します。
例えば、2024年の所得に対する住民税は、2025年3月15日までに申告が求められます。
しかし、すでに所得税の確定申告を行っている場合、そのデータを基に自治体が住民税を計算するので、別途住民税の申告は不要になります。
住民税申告が必要な場合
住民税の申告は、すべての納税者が必ずしも行う必要があるわけではありません。
具体的に、住民税申告が求められるケースについては、以下が挙げられます。
- 所得税の確定申告をしていない方
- 退職後に年末調整を受けていない方
- 年末調整を受けていない収入が20万円以下ある方
- 住民税の減免を希望する方
上記のケースは多くの自治体で共通していますが、住民税の申告が必要かどうかについては、詳細を各市区町村のWebサイトや窓口で確認することをおすすめします。
住民税申告が不必要な場合
住民税申告が不必要な場合については、以下が挙げられます。
- 所得税の確定申告を既に済ませている人
- 会社で年末調整が行われている人
- 公的年金収入のみで、医療費控除などの追加控除を申請しない人
上記の場合については、一般的に全国で見られる住民税申告が不要となる代表的なケースです。
住民税申告と確定申告の違い
住民税申告と確定申告の違いについては、以下のとおりです。
項目 | 住民税申請 | 確定申告 |
申告対象の税金 | 住民税 | 所得税 |
税金の種類 | 地方税 | 国税 |
申告期限 | 翌年の3月15日まで | 翌年の3月15日まで |
申告先 | 市区町村の自治体 | 税務署 |
納税時期 | 年に4回(1月、6月、8月、10月) | 同様に3月15日まで |
必要書類 | ・住民税申告書
・収入を証明する書類 ・控除を受けるための証明書 ・本人確認書類 |
・確定申告書
・収入を証明する書類 ・控除を受けるための証明書 ・銀行口座がわかる書類 ・本人確認書類 |
住民税の申告と確定申告は、そもそも異なる税金に関わる手続きです。
住民税申告は、住民税や市民税に関連するものであり、一方で確定申告は所得税に関するものです。
また、住民税は地方自治体に支払う地方税であるのに対して、所得税は国に納める国税です。
住民税申告は通常、市区町村の役所で行われますが、所得税の確定申告は税務署が担当しています。
住民税と所得税は申告書の形式も異なり、計算方法もそれぞれ独自のものとなっています。
一般的な流れとしては、税務署が確定申告を受け付け、その情報をもとに市区町村の役所が住民税を計算します。
そのため、所得税の確定申告を行った場合、通常は個別に住民税の申告を行う必要がなくなります。
住民税無申告で課せられるペナルティ
住民税無申告で課せられるペナルティについては、以下の4つが挙げられます。
- 無申告加算税
- 延滞税
- 重加算税
- 刑事罰
それぞれのペナルティについて解説していきます。
無申告加算税
無申告加算税とは、所得があったにもかかわらず、確定申告の期限である3月15日までに申告を行わなかった場合に科されるペナルティのことを指します。
納税者が本来納付すべき税金に対して追加で課税されるもので、次のように定められています。
- 納付税額が50万円以下の場合:未申告の納付税額に対して15%が加算される
- 納付税額が50万円を超え300万円以下の場合:未申告の納付税額に対して20%が加算される
- 納付税額が300万円を超える場合:未申告の納付税額に対して30%が加算される
しかし、税務署の調査が始まる前に自主的に申告を行った場合、加算税率が5%減額されます。
さらに、2024年1月1日以降、過去2年分の国税において無申告加算税が課された者が再び無申告を行った場合、追加で10%の加算税が課される仕組みが導入されます。
このように、期限を守らない場合のペナルティは非常に厳しく設定されているので、確定申告の期限を遵守することが重要です。
延滞税
延滞税とは、確定申告の提出期限である3月15日までに申告は行ったものの、期限内に所得税を支払わなかった場合に課されるペナルティです。
申告期限翌日の3月16日から発生し、実際に税金を支払うまでの期間に応じて計算されます。
具体的には、以下のように延滞税額は日数に応じて加算されます。
- 期限後2ヶ月以内に支払った場合:「納付が完了するまでの日数」× 2.4%
- 期限後2ヶ月を超えて支払った場合:「納付が完了するまでの日数」× 8.7%
上記の税率は、令和4年1月1日から令和6年12月31日までの期間の税率を基にしており、年ごとに税率は変わるので、あらかじめ注意が必要です。
重加算税
重加算税とは、意図的な事実の隠蔽や虚偽の申告を行い、正しく申告すべき所得を過小に報告したり、全く申告しなかった場合に科されるペナルティです。
悪質とされる行為には、帳簿の改ざんや二重帳簿の使用などが含まれます。
重加算税の税率は、過少申告の場合に追徴される本税の35%、無申告の場合は本税の40%と、他のペナルティに比べて非常に高い特徴があります。
さらに、2024年1月1日以降、前々年度や前年度に無申告重加算税を課された人が再び無申告を行った場合、追加で10%の税率が上乗せされます。
このように、重加算税は不正行為に対する厳しい処罰であり、正確な申告が求められます。
刑事罰
脱税が特に悪質であると判断された場合、刑事罰が課されることがあります。
国税局査察部が強制的な調査を実施し、最終的に有罪判決を受けた場合は、5年以下の懲役または500万円以下の罰金が科される可能性があります。
また、正当な理由なく税務申告を行わなかった場合には、1年以下の懲役もしくは50万円以下の罰金が科せられることがあります。
住民税申告の方法
住民税申告の方法については、以下のとおりです。
- 申告に必要な書類を準備する
- 申告期限までに書類を提出する
- 住民税を納税する
それぞれの方法について解説していきます。
申告に必要な書類を準備する
まず、住民税の申告に必要な書類を準備しましょう。
具体的には、住民税申告書や源泉徴収票などが必要になります。
住民税申告書の形式は自治体ごとに異なるので、住んでいる市区町村の役所で入手するか、自治体の公式Webサイトからダウンロードすることができます。
申告書の書き方に不安がある場合は、各自治体のWebサイトにある記入例を確認することができます。
さらに、役所に直接訪れて職員に相談することも可能です。
申告期限までに書類を提出する
申告に必要な書類の準備が整ったら、3月15日の申告期限までに、それぞれの市区町村へ提出しましょう。
提出方法としては、郵送や窓口での手続きが一般的ですが、e‐TAXを利用してオンラインで申告することも可能です。
しかし、各市区町村ごとに推奨する提出方法が異なることがあるため、事前に自治体の公式Webサイトを確認しておきましょう。
住民税を納税する
各市区町村では、住民税の通知が、申告された情報に基づいて計算された納税額とともに、5月から6月にかけて納税者に送付されます。
通知には、住民税決定通知書とともに納付書も同封されており、納税者は一括で支払うか、分割して支払うかを選択することができます。
分割払いの場合、普通徴収では4回に分けて支払う方法が一般的で、納期限は自治体によって異なりますが、6月・8月・10月・1月に設定されていることが多いです。
納税手段については、口座振替やクレジットカード、コンビニ払いなど、市区町村によってさまざまな方法が用意されているので、指定された方法で期限内に納税しましょう。
住民税申請の必要書類
住民税申請の必要書類については、以下の4つが挙げられます。
- 本人確認書類
- 住民税申告書
- 収入を証明する書類
- 控除を受けるための証明書
それぞれの必要書類について解説していきます。
本人確認書類
住民税の申告を行う際には、個人番号の提示が求められるので、マイナンバーカードまたは通知カードを準備しておく必要があります。
マイナンバーカードを持っている場合は問題ありませんが、通知カードを利用する場合は、顔写真付きの本人確認書類(パスポートや運転免許証など)が必要になるので注意が必要です。
また、窓口での申請を行う際には、印鑑が必要になる場合もあるため、念のため携帯しておくと安心です。
住民税申告書
住民税申告書は、住民税の申告に必要な書類で、その名が示す通り申告手続きを行うために使用されます。
各市区町村の公式Webサイトからダウンロードできたり、直接市役所や町村役場で入手することも可能です。
書き方に関しては、自治体のWebサイトで確認できるほか、わからない点があれば役所の窓口で質問してサポートを受けることもできます。
また、提出期限に間に合うように、早めに準備することをおすすめします。
収入を証明する書類
住民税の申告を行う際には、収入を証明するための書類が必要です。
給与所得者は、会社から発行される源泉徴収票を準備し、年金を受給している方は、公的年金の源泉徴収票の準備が必要になります。
個人事業主やフリーランスの方は、帳簿や領収書など収入に関する詳細な記録が求められます。
特に、退職後に普通徴収で住民税を初めて申告する場合は、必要な書類を忘れずに揃えておきましょう。
このように、収入を証明する書類が正確に用意されていれば、スムーズに手続きを進めることができます。
控除を受けるための証明書
住民税に関連する所得控除を申請する際には、各控除に対応した証明書を添付書類として提出する必要があります。
代表的なものとしては、以下が挙げられます。
- 医療費控除
- 生命保険料控除
- 寄付金控除
しかし、一部の控除については証明書が不要な場合もあるので、申請前に該当する控除の必要書類について、事前に確認しておきましょう。
住民税申告をする際の注意点
住民税申告をする際の注意点については、以下の2つが挙げられます。
- 住民税申告が必要かどうか事前に確認する
- 申告期限に遅れないようにする
それぞれの注意点について解説していきます。
住民税申告が必要かどうか事前に確認する
住民税の申告は、すべての人が必要というわけではなく、状況によって異なるので、申告が必要かどうかを事前に確認することが重要です。
例えば、会社員で年末調整を受けている場合やすでに所得税の確定申告を行っている場合は、住民税の申告を別途行う必要はありません。
しかし、所得税の確定申告が義務付けられているにもかかわらず、申告を行わなかった場合、住民税と所得税の両方に関する申告漏れが発生する可能性があるので注意が必要です。
申告期限に遅れないようにする
住民税の申告が期限を過ぎてしまうと、納付書の発行が遅れるだけでなく、ペナルティが発生する可能性があるので、申告期限に遅れないように注意が必要です。
万が一、申告が遅れたり、申告内容に漏れがあったりして、結果的に納税期限を守れなかった場合、延滞金が課されることがあります。
延滞金の金額や割合は、各自治体やその年の状況によって異なるため、詳細については自治体に確認しておくと安心です。
住民税申告が必要かどうか確認しよう!
今回は、住民税無申告で課せられるペナルティについて紹介しました。
住民税無申告で課せられるペナルティについては、以下の4つが挙げられます。
- 無申告加算税
- 延滞税
- 重加算税
- 刑事罰
また、住民税申告でわからないことがある場合は、税理士に相談することを検討してみましょう。
税理士は、税務に関する国家資格を有する専門家で、法律に基づいて税務署などの公的機関に対して申告や申請を代理で行うことができます。
今回の記事を参考にして、住民税申告を適切に行うようにしましょう。
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