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税務調査での更正の請求とは?必要な書類や修正申告との違いについても解説
この記事の監修者
税理士法人松本 代表税理士
松本 崇宏(まつもと たかひろ)
お客様からの税務調査相談実績は、累計1,000件以上。
国税局査察部、税務署のOB税理士が所属し、税務署目線から視点も取り入れ税務調査の専門家として活動。多数の追徴課税ゼロ(いわゆる申告是認)の実績も数多く取得。
更正の請求とは、確定申告後に、本来の税額よりも多く税金を納めていた場合や申告した損失額が実際よりも少なかった場合などの誤りを訂正して正しい金額を申請する手続きを指します。
本記事では、税務調査での更正の請求について紹介します。
他にも「更正の請求に必要な書類」や「更正の請求と修正申告の違い」についても解説していきます。
ぜひこの記事を参考にして、更正の請求について理解を深めてみてください。
目次
更正の請求とは?
更正の請求とは、確定申告が終了した後に、本来支払うべき税金よりも多く支払っていたり、控除の不足や還付金を少なく申告してしまったなどの場合に訂正を行う手続きです。
実際に、更正の請求によって、過剰に支払った税金が返還される可能性があります。
更正の請求を行うことで罰則が科されることはないので、申告内容に誤りが見つかった場合は、なるべく早く申請することをおすすめします。
しかし、所得が減ったり、所得控除が追加されたとしても、最終的な税額や純損失の金額に変動がない場合は、更正の請求を提出することはできません。
更正の請求に必要な書類
更正の請求に必要な書類については、以下の3つが挙げられます。
- 本人確認書類
- 事実を証明する書類
- 所得税及び復興特別所得税の更正の請求書
それぞれの書類について解説していきます。
本人確認書類
更正の請求に必要な書類として、事前に本人確認書類の提示やその写しの提出が求められることが多いため、準備しておくことが重要です。
本人確認書類では、申請書に記載されたマイナンバー(個人番号)の確認と、提出者の身元を証明する書類が必要です。
マイナンバーカードを持っている場合、そのカード1枚でマイナンバーと身元の両方を確認することができますが、マイナンバーカードを所持していない場合は、住民票の写しや運転免許証など複数の書類を組み合わせて提出する必要があります。
このように、更正の請求をする際には、事前に必要な書類を揃えておくとスムーズに進めることにもつながります。
事実を証明する書類
更正の請求を行う際には、その根拠となる事実を裏付ける書類を提出する必要があります。
請求理由が「特定の期間における取引に関連する事実」に基づいている場合は、その取引の記録を証明する書類を添付することが必要です。
例えば、12月分の事務所賃料が経費として計上されていなかった場合には、修正後の青色申告決算書や収支内訳書、経費が反映された帳簿などが挙げられます。
一方で、請求理由が「特定の取引に関する事実」以外の場合でも、それを裏付ける資料が求められます。
例えば、国民年金保険料の記入漏れにより社会保険料控除が少なくなっていた場合には、国民年金保険料控除証明書など支払った金額を証明する書類を提出することが求められます。
所得税及び復興特別所得税の更正の請求書
所得税及び復興特別所得税の更正の請求書は、国税庁のWebサイトから「所得税および復興特別所得税の更正請求書」をダウンロードすることができます。
必要事項については、Webサイトに記入例があるので、それを参考にして記入するようにしましょう。
また、e-Taxを利用して提出することも可能で、「確定申告書等作成コーナー」を通じて書類を作成することができます。
更正の請求と修正申告の違い
修正申告が税額を増やすために行われるのに対し、更正の請求は税額を減らす場合にのみ認められます。
修正申告を行う場合、提出された修正申告書によって自動的に税額が変更され、再び確定します。
しかし、更正の請求の場合は、提出しただけでは税額は自動的に変わりません。
これは、税務署長に対して税額の減額を依頼する手続きであり、税務署長がその請求に妥当性があると判断した場合にのみ、税額の減額が行われる仕組みです。
また、修正申告と異なり、更正の請求には、税額を最終的に確定させる効力は伴いません。
更正の請求が認められる期限
更正の請求は、基本的には法定申告期限から5年以内に行う必要があります。
しかし、申告の締め切りが土曜日や日曜日、または祝日に当たる場合には、その翌営業日が期限となります。
通常、確定申告は毎年2月16日から3月15日までの期間に行いますが、更正の請求はこの申告期間に限定されず、5年以内であればいつでも提出できます。
また、後発的理由が発生した場合は、通常の5年の期限を過ぎていても、その事実が発生した日の翌日から2ヶ月以内であれば、更正の請求が可能です。
このように後発的理由に基づいて更正の請求を行う場合は、状況が複雑になることが多いため、専門的な知識を持つ税理士などに相談することをおすすめします。
税務調査後の修正申告で発生する追徴課税
税務調査後の修正申告で発生する追徴課税については、以下の5つが挙げられます。
- 延滞税
- 過少申告加算税
- 無申告加算税
- 不納付加加算税
- 重加算税
それぞれの追徴課税について解説していきます。
延滞税
延滞税は、税金が法定の納付期限内に支払われなかった場合に課されるペナルティです。
納付後に税額が不足していたことが修正や再調整、決定により判明した場合にも、延滞税が適用されます。
納付期限の翌日から完納されるまでの日数をもとに計算されますが、税額が1万円未満である場合には延滞税は発生しません。
過少申告加算税
過少申告加算税とは、税務申告で誤りがあり、本来支払うべき税額よりも少なく申告し、その結果、納税額が不足していた場合に課される追徴課税です。
具体的には、追加で支払うことになる税額の10%が基本となります。
しかし、もし新たに支払う税額が当初の納税額または50万円のいずれか大きい方を超える場合、その超過部分に対しては15%の加算税が適用されます。
しかし、税務調査が行われる前に自身で申告のミスに気づき、修正申告を行うことで、この過少申告加算税は発生しません。
無申告加算税
申告期限内に申告を行わなかった場合、正当な理由がなければ課されるペナルティです。
期限内に申告しなかった場合だけでなく、期限を過ぎてから申告を行った場合にも適用されます。
具体的に、税務調査で指摘を受けた場合、税額が50万円以下の場合は15%、50万円を超える部分には20%が適用されます。
また、税務調査とは無関係に、自主的に期限後に申告を行った場合、納付すべき税額に対して5%の割合が適用されます。
さらに、令和6年1月1日以降に申告期限が過ぎてしまうケースについては、300万円を超える部分に対して30%の割合が追加されます。
不納付加加算税
源泉徴収した所得税を、正当な理由なく法定の納期限までに支払わなかった場合、ペナルティとして加算税が課されます。
基本的には、未納税額に対して10%が課されますが、税務署からの指摘を受ける前に自主的に納付を行った場合、加算税の割合は5%に軽減されます。
次のような状況では加算税が免除されることもあります。
- 納期限から1ヶ月以内に納付し、過去1年間に期限後の納付がない場合
- 加算税の金額が5,000円未満の場合
- やむを得ない理由で納付が遅れたと認められる場合
また、源泉徴収された所得税に適用されるもので、他の加算税とは異なる特徴を持っています。
重加算税
不正に事実を隠したり、虚偽の情報を作り上げた場合に適用される罰則です。
例えば、帳簿や決算に関連する重要な書類を故意に破棄したり、隠蔽・改ざんする行為が該当します。
具体的には、売上を意図的に隠すことや、存在しない経費を虚偽で計上するなどが挙げられます。
また、不正が繰り返される悪質なケースでは、さらに高額な重加算税が課せられることもあります。
修正申告を行うケース
修正申告を行うケースについては、以下の3つが挙げられます。
- 税務調査後の申告
- 訂正申告
- 確定申告後の申告
それぞれの項目について解説していきます。
税務調査後の申告
税務調査後の修正申告は、税務署が調査を通じて指摘した誤りを納税者が認めた場合に、自主的に行う手続きです。
納税者はその内容を反映した修正申告書を提出し、不足分の税金を支払います。
また、通常は本来支払うべきだった税額に加え、延滞税や過少申告加算税といったペナルティが課され、それも併せて納めることが求められます。
訂正申告
訂正申告とは、税務申告の期限前に提出した申告内容を変更したい場合の申告を指します。
訂正申告を行う際は、修正申告書を使用せず、通常の確定申告書に訂正を加えて再提出が必要です。
期限内に提出された最も新しい申告書が正式なものとして認められます。
一方、修正申告は税務申告の期限を過ぎてから内容を修正する際に利用されるもので、訂正申告とはその点が異なります。
税務調査後の申告
税務調査前の期間中に、過去の申告内容に誤りがあると気付いている場合は、税務署からの指摘を受ける前に自主的に修正申告をすることができます。
しかし、修正申告を行うには相応の事務作業が必要であり、税理士に依頼する場合、短期間での対応が難しいのも事実です。
そのため、申告後にミスに気付いた場合は、税務調査の通知が届く前に速やかに自主的な修正申告を行うのをおすすめします。
更正の請求を税理士に相談するメリット
更正の請求を税理士に相談するメリットについては、以下の3つが挙げられます。
- 適切な判断につながる
- 税務調査の準備ができる
- 税務調査当時に立ち会いを依頼できる
それぞれのメリットについて解説していきます。
適切な判断につながる
税理士に相談することで、修正申告や更正の請求が本当に必要かどうかを専門的な観点から判断してもらうことができます。
実際に、税務署の指摘が常に正確であるとは限らず、納税者側に反論の余地があるのも事実です。
また、修正申告をしないまま争った結果、最終的に税務署の主張が正しいと認められると、無駄な手間やコストがかかり、さらに延滞税の負担も増えるリスクもあります。
このように、税理士のアドバイスを受けて、慎重に対応することをおすすめします。
税務調査の準備ができる
税理士に相談することで、専門知識と豊富な経験を活かし、税務調査の事前準備をしっかりとサポートしてもらうことができます。
税務調査の通知を受けてから調査当日までには、ただ資料を整えるだけでなく、どの点が重点的に調べられるかを予測し、対策を講じることが重要です。
また、事前にしっかりと準備をしておくことで、当日の調査はスムーズに進みやすくなります。
例えば、必要な資料が準備できていなかったり、予想外の質問に答えられず、調査官に疑念を抱かせたりすることを防ぐことができます。
さらに、準備の過程で何らかの誤りを発見した場合、事前に修正することができれば、調査中に指摘される前に問題を解決でき、結果的に追徴課税の負担を軽減することが可能です。
税務調査当時に立ち会いを依頼できる
税務調査の当日に税理士に同席を依頼すれば、税務調査官とのやり取りを代理してもらうことができます。
調査官の質問内容を誤解させてしまったり、誤った情報を伝えることで疑念を持たれるリスクを減らすことができます。
実際に、誤解や間違った回答が調査結果に悪影響を与えると、自分自身にとって不利な結果となる可能性が高まります。
万が一、顧問税理士がいない場合でも、税務調査に対応してくれる税理士を見つけることができる場合があるので、少しでも不安な場合は依頼を検討すると良いでしょう。
更正の請求に関わる相談は税理士がおすすめ
今回は、税務調査での更正の請求の基本的な内容や追徴課税に関する詳細について紹介しました。
更正の請求や修正申告の対応には専門的な知識が求められるので、修正申告を検討する際は、少しでもリスクを減らすために、税理士などの専門家に相談し、適切な判断を得ることをおすすめします。
税務調査が控えている方やそうでない方も、更正の請求や追徴課税の基本を再確認し、税務調査に備えた準備や対応手順を見直しておくことが大切です。
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